4日目 …なんで
目を覚ますとそこは、いつもの暗い桜の木の下ではなかった。
「……どこだここ」
周りを見ると、イスと机がひとつずつ。そしてベットもひとつある、言うなれば『男の子の部屋』のような場所だった。
「……初めての場所…だな」
ここの空間では何をするのが正解なのだろうか。
「なんもわかんねぇ……ん?」
俺は机の上にある1枚の写真に引っ張られるように近づいて行った。
そこで少し、不思議な感覚に包まれる。
(この写真。懐かしい?いや、これを見てると、悲しいのか)
何一つ分からなかった場所。
この部屋をしっかりと見て回ると、不思議なことがあった。
「あれ?この机の中身、知ってる気がする」
この中には、本が1冊入っているはずだ。
「やっぱり、入ってる」
「それは、あなたが小さい頃に好きだった本
かしら?」
「うおぉぉおあ!」
後ろを振り返ると、見知った少女がいた。
「?どうしたの。急に転んで」
「お前のせいだ。それよりここはどこなんだ?」
「そうね、強いて言うなら、起きるための『カギ』のひとつかしら」
カギ?
あの空間から出るためのだろうか。
「じゃあ、ここに来られたのはラッキーだな」
「……あなたは今、あの空間を出たいと思ってるかしら」
「何だ急に」
「いいから」
「まあ、出たいとは思ってる」
「……まだ、出てはいけないわ」
「…なんで?」
「あの本」
「ああ!これ?」
桜花から貰った本を見せる。
「そう。それを読み終わってから出ないと出ては行けないの」
「……そうなのか」
彼女は今のところ間違いは言っていない…はずだ。
「これはだいたい何ページあるんだ?」
「それは分からない。あなたのものだから。もしかしたら明日で最後かもしれないし、あと50年かかるかもしれない」
「そっか」
つまり、彼女でも分からないのだ。
「それなら、俺は君にやれと言われたことをやるだけだ」
そう言って持っていた本を開く。
そこには
「……」
1台のトラックと倒れた少女がいた。
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