第11話
「まあ、本当にたまたま変な日に生まれちゃったってだけだからな。他の人たちが思うほど特殊な出来事とかは無いよ。他のうるう日生まれがどうかは知らないけど、うちの親は誕生日プレゼントも毎年用意してくれてたし」
「ふーん。そんなもんなんだ。でもいいよね、自分の生まれた日で語れることがあるって」
軽やかな歩調に合わせてポニーテールを左右に楽しげに揺らしながら、穂夏は続ける。
「私もね、自分の誕生日すごく気に入ってるの」
「穂夏……さんはいつ生まれなんだ?」
「穂夏で良いってば。さん、とか付けられるとムズムズしちゃう」
「さっき道場は上下関係厳しいって言ってただろ。後輩に呼ばれる時どうしてるんだよ」
「それはまあ、仕方ないから我慢してるよ? 自分が下のときは全然嫌じゃないし。でも敬語とか敬称とかさ、自分が使われる立場だとなんかしっくりこないんだよねー。気恥ずかしいっていうか」
穂夏はそう言って、まるで洋服を後ろ前に着てしまったかのように身体をくねらせた。
「えーっと、何の話だったっけ。あ、そうそう誕生日だ。」
コホンと小さく咳払いをして、穂夏は話を本線に戻す。
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