第7話
「ポルック!大丈夫!?僕も大丈夫?」
「うん…なんとか…」
ポルックの表情は歪み、腹部を抑えていたが立てるくらいだった。
「アルクトです…助けてくれてありがとうございます。」
アルクトは屈託のない笑みを浮かべた。
アルクトは傷だらけだった。
家に帰って、二人の治療が始まった。
大きな外傷には薬品を塗った葉っぱを被せ応急処置をした。
折れた骨を治す術はここにはないので、安静にして、自然治癒を待つ他なかった。
一通り治療が終わると、アルクトが私の裾を引き、話したそうにこちらを見ていた。
「どうしたの?」
「言いそびれちゃったけどお姉さんホントにかっこよかった!ありがとう!」
先程より眩しい笑顔でアルクトは笑った。
私にとってそれは大きな意味を為していた。
前世で助けられなかった君を、前世で心から笑わなかった君を、私は幸せにできた。
自己防衛でもなく、誰かを遠ざけるためでもない笑顔にシャウラは漸く出会えた。
それは以前感じていた恐怖は全く感じられず、ただ嬉しさだけが募る。
しばらくはアルクトのために生きてみてもいいんじゃないか、とさえシャウラは思った。
「うん、どういたしまして。」
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