第40話 東御市(軽井沢のついでに)

 上田市の隣の東御市、都会から来た観光客が軽井沢旅行で時間がたくさんあった場合に、車でドライブをね、このんで立ち寄る、穴場的存在。


 基本的におもだった目立つ観光地は少ないので、食通の方や、雰囲気を大切にする趣味人的なつうの方に好まれるのだと思う。


 ここは、長野県の中でも降水量が少なく、日照時間が長いので、最近はこの場所にワイナリーが造られるようになった。なので、塩尻のような昔からのワイナリーではなく、新規に造られた所が多く、ここのワイナリー文化を牽引しているのが、玉村豊男先生(画家、エッセイスト)で、この先生の経営しているヴィラデスト・ガーデンファームは、ちょっとした観光地となっている。


 レストランとワイナリー、そして広大なぶとう畑とちょっとした公園は、これが田舎の信州ですか? と疑うようなフランス的なおしゃれさで、若い人々やマダムたちを惹き付ける。ランチは予約が必要らしく(混んでいなければ、大丈夫かもしれないが)、飛び込みで行った私は、そのあとのおやつ時間を楽しんだが、いかんせん人気のある場所なので、おやつを楽しむだけといえども待ち時間も長く、見学出来る建物内に飾られた玉村先生の絵を見たり、庭を散歩しながら時間を潰して、ようやくケーキとコーヒーにありついた。価格は都会価格で、しっかりとお金を取られたが、雰囲気がヨーロッパのレストランのようにおしゃれなので、とくに不満は無かったが(味はまぁまぁだったかな)、ここに来るまでの道のりがやや分かりずらく、道に迷いそうになったので、注意が必要である(なので、個人的には好きだけど、あまり行きたくはない。大変だった……予約しないと窓際の良い席には案内されないので、注意が必要)。


 この近くには、小高い丘の上にある湯楽里館ゆらりかんという、開放的な感じの日帰り入浴温泉施設があり(野菜などの小さめの直売所もあったな)、小さいが二階にはこの近辺のワイナリーの? ワインなどの試飲が有料で出来る場所があり、また、一階の入浴料を支払った先にある食堂では、珍しいぶどうのビールを秋には昔飲むことが出来て(たまたまだったのかな?)、なかなかに面白く、隣にあるオラホビールとコラボしたレトルトカレーなども小さな売店では昔売られていて(今は、私自身があまり行かないので、不明だが……)、肉は固かったが、ほのかな苦みがあって、けっこうおいしかった思い出がある(オラホビールは、現在レストランはもうやめたらしい)。


 忘れてはならないのが、東御市には、もう一軒有名な飲食店があるが、それは、チーズの専門店のアトリエ・ド・フロマージュだ(火曜日ではなく、木曜日が休日のようです。一応、ご確認を)。


 チーズ製造のさきがけとなり、海外に勉強をしに行き、大変な苦労をした先駆者の店である(昔だったので、お金も大変だったらしい)。昔、ずいぶんと苦労をした映像だったか、なんだかを見たような気がするが、忘れてしまったが、日本の気候と海外の気候が違うので(東御市は、フランスのブルゴーニュとは似ているらしいが)、海外で勉強してきたことがそのまま通用しなかったので、研究をし、紆余曲折うよきょくせつ艱難辛苦かんなんしんくを乗り込え、なんとか今のかたちとなったということであったように思う(うろ覚えだが)。


 アトリエ・ド・フロマージュは、亡くなった女優の川島なお美さんが、ここのマスカルポーネのシュークリームを好きだと言ってくれたので、元々、食通の方々やチーズ好き、そして、甘党と地元民には、知られていたのかもしれないが、認知度はその当時あまり高くはなく、この彼女の発言で一気にアトリエ・ド・フロマージュの名前が全国に広がり有名になったいきさつがある。


 レストランとカフェが別で(今は改装中)、販売店はカフェの隣にあったような気がするが、昔はここでトマト系のピザとチーズフォンデュを食べたが、特に感動は無く(まぁ、おいしかったことはおいしかったが、個人的には、トマトのピザについては、ちょっといいイタリアンのレストランで水牛のモツァレラを使ったマルゲリータを食べたほうが、好きかもしれないと思った。私もチーズ専門店とのことで、期待をしすぎてハードルをあげすぎたかもしれないが、ややがっかりした内容)、焼きチーズカレーなどはカレーソースがかなり塩分強めだが、普通においしく、さらに、チーズが載っているので、塩分強いのが苦手な方は注意が必要。プレーン九百三十五円、こだわり卵入り(佐久市のちゃたまやさんの)千百二十八円、他に秋だと、季節限定の自家製カマンベールときのこの焼きチーズカレーは千二百八十円である。そして、私のおすすめとしては、色々なチーズが入っているクアトロフォルマッジのピザがあり(千六百円)、言えば蜂蜜をつけてもらえます(個人的にはこれが好き、昔は言わないと蜂蜜を付けてもらえなかったので、今は言わなくても付けてもらえるかもしれないが、一応蜂蜜を付けてくださいと言ってしまいます。蜂蜜無しだとかなりブルーチーズの存在が感じられ(連れはこちらのほうが、好み)、蜂蜜有りでも、これはこれでおいしいので(ブルーチーズの味は薄くなる)、これも良し。あとケーキについては、期待していた自家製カマンベールのアップルパイは、味のバランス的にあまり好みではなく(アップルパイはりんごのみか、普通にカスタードクリームのほうがバランスいいかな)、やはり、マスカルポーネのシュークリームのほうが、おいしかった気がします。三種類食べられるチーズケーキバリエ、九百九十円もお試しのように色々試せるので、おすすめで(バリエは、生チーズと焼チーズの二種類がある)、チーズのソフトクリームはチーズ特有の酸味やコクが無く、また、ミルク感も無いので、どっちつかずな感じで、味は微妙でした(店内五百円、持ち帰り四百円)。これなら、どちらかというと、フォンテンヌブローという、人気ナンバーワンの布のガーゼに包まれたレアチーズケーキ五百十七円のほうが、冷たくはないですが、ソフトクリームと同じくらいに柔らかく、口の中で溶けるようになくなるのですが、チーズのフレッシュな風味についてはしっかりと感じられるので、こちらのほうが、デザートとしては、チーズ好きにはおすすめです。


 ここのお土産としては、昔だったら、カマンブルーというカマンベールの中にブルーチーズが入った物がここだけで作られていて有名だったのですが、今は結構色々な所で作られるようになり、大企業の明治にもこうした商品が作られているので、ここは無難に私の好きな飲むヨーグルトをおすすめします。味は普通ですが、加糖と無糖があり、基本的においしいのでおすすめです。ちなみに、ここの飲むヨーグルトの作り方には特許が取られているので、珍しいのかもしれません。


 あと、情報として、駐車場の隣に牛はいませんが、羊小屋があり、羊も鳴いてご挨拶してくれるので、ちょっと嬉しいです(獣臭くはありますが……)。


 ちょっと小話こばなし、アトリエ・ド・フロマージュの五百メートルほど南にくだったの道の西側に、「鮮魚 安楽や」と看板があり、そこには、安楽屋別府総本店という、駐車場の奥に古くてボロいローカルなスーパーがありますが、鮮度が悪い野菜なども売っていますが、九月の中旬には、東御市産の良さそうなシャインマスカット秀品八房入りの段ボールが七千七百円ぐらいで販売されていたりして(東御市もぶどうの産地、何故か山梨産のシャインマスカットも一緒に販売してあったが……どうやらネットでは、処理水(放射能汚染を危険視かな?)のおかげで台湾などとの取り引きがなくなり、行く宛のないシャインマスカットが売れなくなったので、安くなっていると書いてあった)、上手くすれば、ここでは、地元の農産物がちょっとお得に購入出来るかもしれません(他の直売所の長野県産シャインマスカットはそんなに安くはありません)。あとは、小粒であまり赤くない信州産の苺も三百五十円で売っておりましたし(苺は珍しい)、夕方には安くなったお惣菜を求める方々で混み合うみたいですが、話の種に、昔のスーパーを体験してみたい方はチャレンジされるのも良いのかもしれません。


 他にお土産は、無いのかと、言われたら、東御市は胡桃くるみの産地でもあるので、アトリエ・ド・フロマージュからほど近い野菜や名産品を販売している、道の駅の雷電くるみの里も良いですが(くるみおはぎ、くるみソフトなどの食べ物を販売)、せっかくなので、ここからは遠くなりますが、東御市観光情報ステーションのある田中駅そばのお菓子処かしどころの花岡本店をおすすめします。


 花岡は、長野市などにも支店があり、軽井沢や上田のツルヤなどにもテナントとして店舗が併設されていますが、ここは、胡桃の花岡と呼ばれるぐらいに、胡桃菓子で有名なお店です。


 おすすめは、胡桃の入ったサクサクする歯ごたえのメレンゲ菓子のくるみの初恋(五百二十円)と小さなチーズケーキの胡桃の醍醐味だいごみ(二百二十円)です。チーズケーキの方は、たしか、下のタルト? 生地に胡桃が入っているのだったかな? で、少し胡桃が分かりにくいかもしれませんが、よくある丸みをおびたスフレタイプの一口チーズケーキではなく、四角いベイクドタイプのチーズケーキで、値段のわりに味はおいしいです(パッケージも良く、値段以上に見えます)。胡桃の醍醐味は要冷蔵なので、遠くの方の持ち帰りのお土産としては、クール便になりますが、反対にメレンゲ菓子のくるみの初恋は軽くて気温によっての変化もないので、手軽に持ち帰ることが出来るので、お土産に向いている商品です(多少大きいので(グレープフルーツほどの大きさ)場所を取りますが)。ちなみに、どちらも長野東急のデパ地下に売っており、女性に人気があるようです(胡桃の醍醐味については、アイスケースの中に冷えて入っているようです)。ついでにここのケーキは、平均価格、三百八十円? ぐらいのケーキなので、味は値段相応ですがお値打ちなので、店に併設された喫茶店で、お土産を購入した帰りにお茶を楽しむのも良いのかもしれません。


 中山七里先生、知念実希人先生、葉真中顕先生の共著、「作家超サバイバル術!」を読む。五年で九割の作家が消えるとは、なかなか厳しいなと思うが、私自身、読み専? としては、小説を書くには、時間も手間もかかるし、センスも必要だから作家としてなってやろうという奇特な天才系の方々の登場をまだかなぁ~と、待っている感じである(いや、自分で書けと言われたが、私はやっぱり読みたいのだが……)。たまには、新作の脳ミソの痺れるような私好みの作品が読みたいと思うが……それにしても、出版業界の暴露話は私も本好きなだけに、読んでいても面白いし(中山七転八倒とのカブリはあるが)、内容も充実していて楽しかった(この本の内容は、だいぶマイルドで親切)。

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