第36話 千曲市森・屋代(あんず)

 千曲市森は屋代駅から東に車で十五分ほどの場所にある、上皇、上皇后陛下が来られたあんずの里。


 確か、私も二度ほど来られたことがニュースになったことを知っている。多分あんずの花が綺麗なので、上皇后陛下が花を見るのが好きなのだろうと思っている(私的旅行でも来訪)。

 あんずは桜ほど密接して花が咲くわけではないので、鑑賞するには物足りないかもしれないが、パラパラと木の枝に花が付き、地域全体にあんずの花が咲き乱れた様子は遠くから見ると、高遠の桜(高遠コヒガンザクラというピンク色の桜が咲く有名な信州の観光地)ほどの圧巻さはないがなかなかに風情があり、これが花が咲いたあとも実を付け楽しませてくれるとなればありがたいと思う。人出は花が咲いている時には多いが、休日でなければ混んではいるが、物凄く人間が多いというわけでもないので、キチンと観光が出来る。

 さて、あんずの花はどこに行ったら一番綺麗に見えるのか? と言われたら、花さか村横島物産観光農園の上平展望台がいいのだろうか? たしか、ここでは五百円ぐらい駐車場で駐車料金を支払ったような記憶があるが、ちょっとした高台のあんずのお土産のお店の奥に作られた簡易的な展望台(無料)からあんずの花を眺めたが、空の青さとあんずの花のコントラストが素敵で、なかなかに良かったような気がする。お土産もチェックしたが、あんずの商品が目白押し。あんずのシロップ漬けなど、手間の掛かるなかなかお値段の良い商品が並んでいた。ちなみに、ツルヤスーパーでは、お土産売り場やフルーツコーナーなど、店舗により場所は違えどもあんずのシロップ漬けが売っている。元々シロップ漬けはあんず商品の中でも高い商品なので千二八十五百円ほどだが、とても大きな瓶で売られており、入っているのは大粒できれいなあんずが十粒ほどであったりする(品種はわからないが、普通のあんずのシロップ漬けよりも格段に安い)。お盆にはそれらはしっかりと売れていて、ツルヤを二店舗ほど、日を変えて行ってみたがどちらも棚には無くやはり需要はあるのだなぁ、と思った(お盆が過ぎたら補充されていた)。

 あんずの生食は、大粒のハーコットが一番だが、これには甘酸っぱい物あんずらしい物もあれば、甘くない物もある(当たり外れがあり、見た目ではわからない)。今年は遅霜があったのか、あんずが上手く育たなく、ツルヤにも大粒で形の良いハーコットは並ばなかった。ちなみに、ジャムやシロップ漬けにはどんな品種がいいかと問われたら、長野では信山丸しんざんまると呼ばれる長野で開発された有名な品種があり、酸味もあり、実もしっかりしていて、ハーコットのような柔らさがないので形も崩れにくく、圧倒的に地元では人気と知名度が高いと思っている。私も信山丸で種を抜いたシロップ漬けを昔作っていたが、中には完全なオレンジ色でない青っぽい実もあったが、上手に美味しく漬けられた。あんずのシロップ漬けは手間の掛かる物なので、お客様に少量を出しても受けが良く喜ばれたような気がする(長野によっては、来客時のお茶の時にはお茶受けの市販品の菓子の他になるべく手作りの品物を一品出すのが普通。漬け物や煮物、変わったところでは、ミカンの入った春雨サラダなどその家の得意な物や季節の山菜などが出されることが多い。ただし、現在はこの限りではない)。


 あんずの里には、他に行くところがないのかと言われたら、他にはあんずの里スケッチパークという公園がある(上皇、上皇后陛下が散策された場所)。あんずの花の時期には駐車料金が取られるのかもしれないが、私は少し早めに行き、無料で園内を散策し、たくさんの種類があるあんずの木々の花を眺めて、お散歩することがある。ここは、公園というより、まばらにあんずの木々が植えられており、どちらかというと、手入れの行き届いたパラパラと木々が植えられた畑を歩いている気分になる。ここは、あんずの時期でも駐車場は午後三時からは無料だとか、あんずの実がなる時期にはあんずが販売されているとか、色々な話もあるが、どちらも経験したことはないので残念ながら詳しくは知らない。

 スケッチパークは、普通にここで栽培されている多種多様なあんずの花を見てあんずの木々の大きさの違いやそれぞれの枝になる花の数の違いなどを見ることが出来るので、色々知りたい方におすすめ。


 この地域の他の施設には、近場であんずの里物産館と六月までイチゴ狩りの出来るあんずの里アグリパークや、長野県立歴史館や森将軍塚古墳などもあるが、個々の好みから意見が分かれそうなので、言及するだけに留める。あんずなどのお土産については、たまにお邪魔したところとしては、屋代駅の小さな売店があり(屋代駅には三十分無料の駐車場があるので便利)、あんずだけでなく、他の味噌系の商品もあって良かったことと、また、他には、屋代駅から少し離れたあんずで有名なお菓子屋さんがあったけど、昔食べたが私の好みではなかったので(ここは、最中が有名だったが、私はしっかりしたパラパラしない最中の皮が好きで、どうもその時は、最中の皮が柔らかかった気がする)、個人的にはおすすめはしないことなど、付け加えておきます。


 ちなみに、長野市で有名なあんずのお菓子は善光寺近くの風月堂の玉だれ杏で作家の池波正太郎先生も食べた物、あんずのペースト? ジャムを寒天で固めた物を求肥で巻いていて、珍しいけれど、私の好みではなく、ここの店では、上生菓子がリーズナブルで美味しいので、そちらのほうが個人的には好きかもしれません。ちなみに、利休堂などあんず専門のお店もありますが、こちらよりも、風月堂のほうが有名かもしれません。今、あんず商品で人気なのは、藤井聡太君が高山村の藤井荘での将棋のおやつで食べた、須坂市のコモリ餅店の一万石いちまんごくという、地元産のあんずジャムとバタークリームを挟んだブッセがあり、膨張剤を使用していない生地は卵で膨らませた無添加の商品で、粉糖をかけた表面がボロボロ崩れるけど、なかなか素朴な味わいで、油脂の多い加工され過ぎたブッセを食べた後のような胃の不快感もなく美味しいです。今は一人限定五個と決まっていて、とても人気があるので、いつも早めに売り切れになるみたいですが、そのうち落ち着いたら限定ではなくなるかもしれないとのことです。


 なろうの出版作品紹介が復活した。昔はよくジャケ買いをしたが、近年はハーレムや鬱展開が多いので、内容を吟味して購入するように気を付けているが、本の表紙の絵を見ることは大好き。だけど、新しいやり方が違うのか、なかなかなろうの紹介の作品は、表紙が掲載されていなくて残念だ(灰色の仮の物ばかり)。先日も書店に行ったが、これだというピンとくる内容が無くて、表紙は素敵だと思った本もあったが、残念ながら購入をあきらめて帰った。最近は、ちゃんと表紙を見てから内容を確認して購入を考えるので、なろうの作品紹介でも出版社さんには、なるべく早めに表紙も紹介して欲しいのになぁ、と思う。そして、出来たら女性向けの絵師はウ○ハラ蜂さんがいいなぁ、と思う。売れっ子すぎて忙しくてオファーが出来ないのかもしれないけど、表紙が素敵すぎて内容はあんまり好きな展開ではないのだけれど、購入した本も実はある。ちょうど今、なろうさんで推している女性作家さんがコンテストに応募しているので、ひそかに入選したら、表紙はウ○ハラ蜂さんで、と個人的に祈っている。本の購入者としては、やっぱり絵は重要だと思う……受かるといいな。

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