第33話 青木村(松茸)

 青木村には、タチアカネという、赤が混ざった花が咲く珍しいそばを育てている。


 このそばは、青木村の道の駅で食べられるが、なかなか普通に美味しい。そばの色は普通なので、赤くもなく、言われなければタチアカネのそばだとはわからない。ちなみに、ざるそば千円、天ざるそば千三百五十円、天ざるにするとお得で、ちゃんとエビ天もあるし、そばは歯ごたえが良く、おそらく手打ちで、端っこの部分だと思われる短いそばも切れたそばと共に混じっていると思われる。


 青木村には、大法寺の国宝三重塔があり、去ったあとも思わず見返してしまうということで、別名、見返りの塔と呼ばれている。ここの敷地は広いが、特に塔以外に特筆すべきこともなく、私も二度ぐらいしか行ったことがないが一応書いておく(建物好きにはおすすめ)。


 青木村は、秋の季節になると、県内外からの人々が来る場所になる。理由は、松茸だ。この松茸がどこで売っているのかといえば、青木村の道の駅である。

 ここの松茸の値段は大きい物もあれば、小さな物が何本も入ったパックもあるので、スーパーよりも値段は高いかもしれない。松茸が棚に並んではいるが、皆さん見ているだけで、なかなか手を出さないこともある。安くていい松茸があれば一番はじめに並んでいた人が買ってしまうのだろうが、私はあまり買うつもりがなかったので、午後に行ったせいか、だいたい四千円とか、五千円ぐらいの物がいくつか残っていた。私のような庶民にはなかなか手を出しやすい価格ではない為にその場では諦めたが、ちょうど宿泊予定だった青木村の西にある田沢温泉の富士屋旅館(外から見ると日本家屋で良い感じだが、中に入ると結構古い旅館で、親切な中居さんと女将さんがいる)で松茸が出た。普通の料金で泊まっていたので松茸は無いだろうと思っていたが、宿の方の心遣こころづかいで出していただけたらしい、思わぬところで感動した。

 田沢温泉には日帰り温泉もあり、小さな集落の共同温泉のようなもので、名前は有乳湯うちゆと言う。昔、乳の出が悪い女性たちが湯治をして乳が出るようになったという言われがあり、由緒正しい歴史のあるこじんまりとした温泉だ。温度も高くなく、ゆっくりと入浴が出来る温泉で、ちなみに、この田沢温泉よりも手前で、南の山の中に進むと、秘湯と呼ばれる沓掛くつかけ温泉があり、日帰り温泉の小倉おぐらの湯がある。泉質は、田沢温泉と同じような感じで、建物が小さく地味な温泉だが、地元民ではない者が入ると目立つ感じのひなびた共同浴場的な温泉なので、あまりお邪魔したことはない。秘湯好きなら感慨深いのかも知れないが、普通の人間なら、有乳湯のほうが無難だが、昔の昭和な雰囲気をあじわうには良いと思う。


 うーん、最近の飲み物にアセスルファムKが入っていて困る。これは人工甘味料なのだが、後味で独特の苦味を感じて、とても不味くて飲むのがつらい。これがコーヒーにたくさん入っていることがあり、知らずに購入してしまうと、かなり凹む。このまずい苦味が分かるのは遺伝的なものだそうだが(感じる人と感じない人がいる)、時代の流れかカロリーが無いので、どうやらそれなりにこれを含んだ飲み物が売れているらしい。

 個人的に新商品の飲み物は注意しなくてはならなくなり、裏の成分表を一応見るのだが、いろんな種類の飲み物に入っていてつい面倒だと思う。


 最近、小説を読んでいるが、自分では、なかなか思うようには、書けなくなった。書き始めようとすると、自分の作品に期待し過ぎているのか、思ったように書けないと、書くモチベーションが下がり、頭の中で妄想をしていた物のほうが面白いので、書くと陳腐で面白くなく夢中になれなくて筆が止まる、これが残念である。

 ちなみに、私は小説の鬱展開が全く駄目で、ついでに図々しすぎるキャラクターも苦手で、鬱展開なら、鬱展開が無くなるところまで、駆け足で読めばいいが(あまりにキツイとそこで断念する)、図々しいキャラクターでは、どこまで主人公に付きまとうのかわからないので、これらのキャラクターが出て来た時点で、作品との「さよなら」となることも多い。

 しかし、読みたい小説を妄想をするが一向に書けないので、いよいよ神頼みでどこかで祈ってみなければならないのかと思っているが、神頼みをしてもなかなか私は叶えてもらった記憶がないので、少し淋しい……スピリチュアル本をよく読んでいるが、本当に欲しいものや必要だと思われることを満足するほど与えられたという思いもなく、この世は試練というのが本当だろうな、と最近は思っている。

 紙媒体で私好みの新作小説が読みたいが、自分自身でやるにはいくつかのハードルがある。ストーリー性のある面倒な小説を書けなくても、接待小説を書けばなんとかなるのかなぁ? と最近の傾向と対策を考えてみたが、接待小説は、読者の望むような展開をする小説で、男性向けなら、不遇からの成功、ざまぁ展開やハーレム、女性だったら、嫌われから溺愛などといった作品が好まれるらしく、まぁなろう小説やハーレクインと同じようなものだろうが、今は本当に本が売れないらしいので書籍化も難しいと思うので、想像をして無理だなぁと諦めるだけだが、なかなか私が読みたい本を他人には、書いてはもらえないので、堂々巡りでやっぱり自分で書かないといつまで経っても……とは思う。ちなみに、お気に入りの小説を書いておられる方が家庭の事情で小説を書いておられないのでもうかなり時間が経ち、もう無理なのかなぁ、と半分諦めている。今年は運がないのか、それともまとめて爆発的な開運がもたらされるのか、おみくじでは大吉だったはずなのになんだかなぁと、内心しょげている。運の無いときは宝くじを買えば当たるよと言われたことがあるが、それで当たったこともないし、期待は出来ない。うーん、仕方がない、せめて、自力で読みたい本が書けるように、善光寺にお参りでもしようかな……きゅうりもみ(長野の方言、きゅうりを味噌と揉むだけの食べ方)の味噌をよしのやにでも買いにいくついでに……。

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