第29話 下駄を履かせる

 群馬に進出した、ツルヤスーパー前橋南店がいつの間にか、群馬で一番人気のあるスーパーになっていた。ツルヤは強いなぁ。ここには、まだ、書いてなかったおすすめ商品がいくつかある。

 私も時々食べる、佐久のちゃたまやさんのエルゴラン命の卵を使った固めのプリン(ここに含まれているエルゴチオネインは、美容と健康にいいらしい)や、信州の郷土食のしょうゆ豆(醤油とこうじと豆を漬けた物、主に炊きたてのご飯や冷やっこに載せて食べる、メーカーによって味が違い、少し酒っぽい味になっているものや、醤油の味が濃い物などがある)や、それと、今は安価な紀文にシェアを奪われているけど、長年信州人の健康を守ってきた、石川県のメーカー、スギヨのビタミンちくわだ。

 ビタミンちくわは単なる焼きちくわと同じように見えるが、鮫のビタミンなどが加えられていて、信州でちくわといえば、このちくわしか売れていなかった時代がある。そして正月の雑煮にはじまり、おでんや煮物に、なんにでも活用されてきたのが、このちくわだ。このちくわは信州人のソウルフードであるといっても過言ではない(味は普通の焼きちくわ)。


 小説が読みたい、出来れば新作を……。


 完結作品を一気読みしたい。連載中の作品でもちまちま読む場合と、一気にまとめて読む場合がある。エッセイならちまちま読めるが、基本的に小説の鬱展開が駄目なので、ざまぁがされるまで、読むのをストップしてざまぁがきたら一気に読み進めたこともある。

 有名な一時凄い売り上げだった悪役令嬢ものの小説も今は買うことをやめていて、完結したら購入して一気に読むつもりなので待ちの状態でもある(はじめは小説に勢いがあって面白かった)。


 なろうで、推している逆ハーレムものの作品が、また、コンテストにエントリーしている(書籍化への期待大)。


 その小説は、かなりなポイントなので、確実に売れるとは思うが、逆ハーレムのメインの誰かとくっつくまでが書かれたものだったら、受賞するのかもしれないが、ある意味完結していても、肝心の誰かとくっつくのかという過程と結果が書かれていないので、おいしい苺のショートケーキの、メインの苺抜きみたいな感じになっているので、そこが駄目なのか、それとも文章量が多いから駄目なのか、なかなか受賞に引っかからなくて、個人的に恋愛部分の続きをいつ読めるのだろうか、と待っている。

 出来たら乙女ゲームのマルチシナリオエンディングシステムのように、全ての男性メインキャラクターとくっつく過程を書いてもらって(本編とは別に、キャラクター、一人につき一冊ずつ)、完璧に仕上げてもらうことが出来れば最高だと、思っている。


 わがままかしら?

 

 仕方ないから、なろうの女性向けの凄いポイントがついている、エタった有名な作品を周回するか、池波正太郎先生の梅安シリーズか、鬼平犯科帳をまた周回するのか、と迷う。

 宗教ものもいいけれど、村上春樹先生は、ファッション的に軽い感じでキリスト教のモチーフがちりばめられていて好きだが、やはり、遠藤周作先生のほうが重厚で安定していて好きだ。

 パチもんくさい宗教や政治ならオーケーだが、現在の宗教や政治の話しは小説界では、タブーなので、キレた内容の面白いものが出てこないので、残念だ(これだけ世の中が狂っていれば、何冊か出てくるだろう、とは思うのだが……そうか、炎上するから駄目だったのか……無念……)。


 脳ミソがしびれるような作品が読みたい。


 読者としては、頭の芯から痺れるような、作品が読みたい(だったら自分で書けと言われるんだろうな、だけど、それは嫌。誰かが書いた小説を読みたい)。

 

 誰かコンテストにこうした小説を応募してくれたら、ありがたいのだけれどなぁ、と思う。

 これだけ人間がいても、池波正太郎先生や遠藤周作先生の代わりが出てこないし、多分、私の望むような作品を書くことの出来る人がいないんじゃないかな、と残念に思う。


 暑いので、そうめんを食べる。


 ちょっと良い柔らかな梅干しを二個みじん切りにして、お気に入りのヤマキのめんつゆと水、食欲が無かったのでマヨネーズを少々混ぜて、そうめんのつけ汁にする。

 大葉があれば良かったが、無かったので、仕方がない。

 これはこれで、結構だ。

 ジャンクな味わいだが、たまに食べるぶんには、よろしい。梅の酸味とマヨネーズの酸味が食欲を加速化させる。スルスルと入るそうめんののどごしが良く、ほどほどに美味しい。

 ああ、ネットで購入しようと狙っていたそうめんが値上がりしていた(残念)。また値上がりか、と思う。最近はなんでもそうだ。これで人口が減ってくれば、人件費の高騰や、世界的な競争力の低下により、さらに日本の状況は悪くなるのかもしれない。

 書籍も、作者保護の為、出版社の利益確保の為に、安価な文庫本でなくてもいいから、四六判で最初は発行してくれてもいいと思っている。

 時間が経ったらアルファポリス系の本のように文庫本にしてくれたらいい……小説道場というユーチューブを見ていたら、印税は現在十パーセントではないようだ。印税が、八パーセントだったら、まだ、ありがたいとのことだった。

 とある出版社では、五千部までは、七パーセント、一万部を超えたら十パーセントなど、部数と共に印税を上げているし、出版に関する状況は悪く、電子書籍の販売数も紙書籍と同等になってきていて、先が見通せないとの意見がある。

 作家にもランクがあって、底辺の扱いは酷くなって、下手をすると、新しい担当になったら、新しい担当が新たに自分が起用した新人作家を育てて実績を上げるために、昔からの作家はいじめられて切られるとか……今は、編集者も正社員は少なくて、ほとんどが契約社員だそうで、実績があったら、正社員になれるとか色々だ。それは、弱肉強食の恐ろしい世界で群雄割拠とは、ちと違う。

 今までは、新人作家は三冊まで、出させてくれたのが、一冊目でコケたら終わりみたいな感じだそうだし、世の中世知辛くなってきている(そもそも認知度が低い新人作家が一冊だけの勝負とは正直、キツい……私も面白くても、スルーして気が付かないかもしれないし、せめて、絵師ガチャでは勝たせて欲しいと思う)。

 昔、ミュージシャンが芸能界をみかん箱商売と称していたが、出版業界も同じで、契約をしたのに、重版分の印税を支払わないとか、電子書籍分の一部印税を支払わないとか、はじめから、印税をごまかしていたとか、そもそもの印税を支払わないとか……ブラックだなぁ、と思う。今時、契約についても後出しじゃんけんのようなことをして、それはないだろ、というのが出版業界だが、だから、小説を書く人がいなくなったんだろうな、とも思う(書けないのが原因かもしれないが、これも作家がいない原因だろう)。

 画家と同じで、小説の作品もそれぞれ違うし、せて書くことは出来ても、クオリティの差がつく。

 せめて、新人作家には、下駄を履かせて、コンテストで受賞させてから、本を出版させて欲しい。

 下駄を履かせるとは、主に「盛る」「水増しする」「粉飾する」という意味もあり、最近は「良く見せる」という意味で使っている方々もいるが、それは間違いだ。


 ……盛ってくれ(読者の切なる願い、理由は、発見しやすいから、受賞もしていない素人の作品など、誰が読むのだろうか? 昔だったらバズるかもしれないが、全ての作品がハリー・ポッターのようにはなれない)。


 初めて書籍化する作品には、ぜひ受賞して、本の価値を盛って欲しい、だが、受賞に見合わない本を購入してがっかりしたこともあるので、ある程度のクオリティは欲しい。

 今の私は、自分が欲しい本が見つからなくて、砂漠で彷徨さまよう旅人か、飢えた囚人のようなものだ。

 誰もこの状況に終止符を打ってくれないので、仕方なく、自分で書くが、小説が遅々として進まない。


 ネガティブが続く。


 昔読んだ小説の内容が思い出せない。


 読んだ記憶はあるが、また、読み返す気になれない、小説を読むことは、食事と同じ、食べた記憶はあるが、さて、その味は? というと忘れている。美味しかったことは、覚えているが、それがなんだったかを忘れている。それが、少し淋しい、小説も同じだ。


 ああ、人の好みはさまざまだから、料理と同じように、もっと小説もバラエティーに富んでいてもいいかもなぁ。

 テンプレは好きだが、たまには、慣れたタイプの小説でなくて、違った作品をつまみ食いしたい。


 さて、本屋に行ってみるか、現在、迷走中。

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