　え？　長野でうどんなの？　そばはもう無いの？　となるでしょう。幻と言われた、飯山の富倉そばですが、残念、私の紹介したい店がやっていないのです(コロナの為)。他にも人気のある富倉そばの店はありますが、そのそば屋のそばにあるそば屋は、打ち手が変わったのか、麺のこしはあるが、山ごぼうの葉の繊維を使った歯ごたえのシャクッとしたそばの食感も無くなり、今は推薦出来ません(以前のご主人は腰痛持ちで頑張っていました)。ちなみに休んでいるところは、はしば食堂、今ネットでみたら閉店になってました。再開しないのかな？　始めにおかずを持って来てくれて(最後にこのおかずの分のお金を支払う)、そのおかずも、じゃがいもの煮っ転がしなどの素朴な物でとても好きだったのですが……他にも富倉そば屋はありますが、はしば食堂に比べると、うーん、という感じです。

　じゃあ、うどんでいいや、説明はよ、と言われたら、紹介するのは、坂城町のかいぜです。そう遠いですね、長野から車で一時間以上はかかるでしょう。

　ここはおしぼりうどんが有名でして、辛い大根のしぼり汁が特徴です。じゃあ、おしぼりうどん八百円を食べるんだな？　となりますでしょう。いいえ、違います。私の頼むうどんはめんつゆ八百円です。え？　めんつゆ？　そう、めんつゆです。めんつゆの中に大根のしぼり汁を入れるのです。おしぼりは大根のしぼり汁だけの中に味噌や鰹節を入れるので、そのまんまなので、辛いです。めんつゆはそうじゃないので、マイルド。ちなみにわがままセットという、初めての人が頼みやすいうどんとそばの両方が頼める千円のものがありますが(二種類のつけ汁が用意されるが(おしぼり、めんつゆ)、そばは後にくるので、めんつゆのつけ汁もあとになる)、これは一見さんになる可能性が高いです。一回食べたらもういいや、となるかもしれないのが、このおしぼりうどんです。元々大根おろしが大好きという人でないと、正直キツイのかもしれません。しかも、ここの大根は普通の大根ではなく、ねずみ大根と呼ばれるねずみに似た形の小ぶりな大根で、そして、大根特有の辛みが強く、大根の採れる旬だと、さらに辛い。大根の中にある甘味を感じてください、と店員さんに言われるかもしれませんが、無茶です、凡人には感じられません。他店で紹介されていた甘もっくら(方言)にする方法を皆さんに伝授しましょう。まず、つけ汁の中に熱々のうどんを大量に入れて大根のしぼり汁を加温します。それを食べたら、また熱々のうどんを投入し、といったことを繰り返して、大根のしぼり汁が甘くなるのを待つのです。最後に甘味が感じられるようになったら成功です。初心者は始めからめんつゆでほどほどを楽しんだほうが無難ですが、人生に一度きりなら、おしぼりうどんに挑戦してもいいでしょう。冬季限定におけるきのこうどん千百円(きのこ甘め)にも、もれなく大根のしぼり汁がついてきます(これも好き)。きのこうどんは煮込んであるので、麺のこしは少し無くなっていますが、自家栽培された色んなきのこがたっぷり入った一品です。ちなみに、ここのうどんは地粉を使った手打ち麺で、噛めば噛む程おいしい麺なので、普通のうどんとはちょっと違います。ちなみに、おしぼりにすると、この麺の繊細なおいしさが分かりづらくなります(まぁ、わがままセットにして、わざとうどんを残しておいて、そばのつけ汁でうどんを食べてもいいのですが……)。

　かいぜの外にはうさぎとヤギがいます。その辺でむしった草をあげると、うさぎが寄って来て可愛いです。これもささやかな楽しみ。

　ついでに、お土産ですが、このかいぜの近くにはロビニアというチョコレート工場のアウトレットの売店があります(入るのが難しいので、国道沿いにある逆木の信号北二軒にある駐車場から入ってください)。販売は曜日限定ですが(ネット等で確認を、私が知っているのはコロナ注意時期には金曜日、普通だったら土曜日でした)、チョコレートがお値打ちに売られており、運が良ければ、冬季などには、ピーカンナッツのチョコレートがあります(食べ過ぎ注意)。

　え？　小説は書かないのか？　うーん、書きたくないなぁ、本が読みたいよー、中山七里先生の七転八倒を読み返す。