第6話 上田市

 小説を書いていると、ブルーな気持ちになる。私には、文才がない。

 そんな時には、元気の出る食べ物。

 車を飛ばして、南に行く。


 上田市の私のグルメは、日昌亭(にっしょうてい)。

 ここはやきそばが旨い。私の定番はやきそばと小ワンタンのセットで、千六十円。やきそばそのものは八百六十円で、蒸したと思われるモニモニ(モチモチでは無い)した中華麺を焼いたものにキャベツのあんかけがかかっている料理で、「サマーウォーズ」という映画が公開された時は、若い男性たちが行列を作っていた店がここ。


 やきそばは長野県民ド定番の、酢とからしを混ぜたものを小さな皿で作っておき、食べている途中で回しかけて味変する。やきそばの麺の縮れ方が最高、チープな錦糸卵と申し訳程度に載っているグリーンピースがとても嬉しい、ワンタンも柔らかく皮がツルツルして旨い、やきそばを良く噛んで味を堪能する。

 お腹もいっぱいになったところで、ご機嫌で店をあとにする。

 

 たくさん食べたし、もう食べなくていいだろう? いやいや、甘いな、しょっぱいものを食べたあとには、甘いもの。


 という訳で、富士アイスに私は着く。


 じまんやきを購入する。


 見た目は、どこにでもあるような今川焼きのようなもので、あんことカスタードクリームがあり、値段は九十円、価格破壊、安すぎる……砂糖も小麦粉も値上がりしているし、もっと高くてもいいと思う、店の存続が心配になる値段。

 あんこは自家製、しっとりなめらか、一応つぶあんだが、食べれば柔らかすぎて、ほぼこしあんのよう。銅の焼き型なので、焼きたては皮がカリッと、中は熱々のはず。


 食べてみる。


 今回は、行列が少なく、焼いてから少し時間の経ったじまんやきを渡された。横の部分はカリッとしていたが、そうでない面はそれほどでもなかった、だが温かくて旨い。

 あんこもカスタードクリームも最高。ちなみにここはチェーン店のようで、他にも店があるそうだが、別に他に行きたいとは思わないので、ここで満足している。


 小説書きはロンリー。

 時間もかかるし、ネタが尽きると最悪。運良く、私は小説を書いても、その次の構想が出てくるが、それが無ければ、ゾッとするだろう。

 なんとなく、こんな感じでまとめて、次はこんな感じに方向を示して、パズルゲームか? という感じに小説は流れてゆく。


 今、エッセイを読み返して、自分のテンションが、まちまちで書き直す羽目になった。

 

 食べながら書くとテンションが高くて、驚くほどのんびりしていない。自分でも笑ってしまう。

 書き直すのが面倒くさい、だが、誰もしてくれないので仕方なくやるが、そもそも誰も私にエッセイを書いてください、とオファーもしていないのに書いているので、自業自得だ。私の小説もそんな感じで、誰からも頼まれていないのに、勝手に書き始めた作品だ。

 だから、時々、不憫になる。もっと作者が良かったら上手く書かれて皆さんに気に入ってもらえるのにね。と、まぁ、ノンフィクションなので、作品内で登場人物がどうなろうが、誰も傷つかないし、読んでいる方々には悪いが、誰にも責任が無い。これが、商業誌だと大変で、展開が良くないとクレームがくるらしい。

 忘れていたが、一度、あらすじを書いたものをなろうで発表したとき、感想欄を閉じておくことを忘れて、感想を書かれてしまったことがある。

 どうやら、その人は女主人公の相手が不満で「気持ち悪い」という表現をしていたが、せっかく読んでいたのに、出てきた男が無言のストーカーのような男だったので、がっかりしたのだろうと思う(私の書いたその時のヒーロー役はそんな感じ)。私は、キャラが動くタイプなので、当然、出てくるタイプもフリーダム、何故か、その時の主人公の恋の相手が微妙な男になってしまったのだが、美形として表現しておいたし、大丈夫だと思い込んでいたが、どうやら駄目だったようで、読んでいた人を怒らせた経験がある。多分、若い人で、読むの楽しみにしていたんだろうな、と反省したが、でもなぁ、私、素人だし……恋のじれじれだって書きたいのに違う方向に行くし、どうにもならない、小説は難しい。


 ちびちびとエッセイを書く、日常と小説を書いているエッセイが好き、中山七里先生の七転八倒を読み返す。もう、何度読んだかわからないが、ぼんやりしているとじきに忘れる。そうして、もう一度読むが、所々覚えていて、新作が欲しいと思う。

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