第31話
「じゃあ今日はこれで解散!!!二人ともちゃんと用意しとけよ!」
「そんなことわかってるよ!むしろ私はお兄ちゃんだって、当日忘れ物したって知らないからね!!」
「はいはい、わかったよ・・・」
そう言いながら、俺はこの場を解散させて家に帰ろうとした。
帰る途中も彼女たちは旅行の予定についての会話に花を咲かせていた。
家に帰って一息ついた頃、俺は自室にこもって自分のエゴサや話題探しを兼ねてツイッターを見ていた。
すると、俺のアカウントに1件のDMが届いた。
普段は怪しい人物や無差別に人を煽るネチケットの欠片も持たない者などが主なのだが、今回は普通の人のようだ。
しかもプロフィールに17歳と記載されているため、これが本当なら俺と同学年だ。
そして俺は彼女のDMを見て唖然とした。
『もうすぐ海水浴に行くんですけど、水着はどれが1番可愛いと思いますか?正直な感想を聞かせてください!!!』というメッセージとともに3着ほどの水着の画像が送られていた。
正直なんと返信しておいたら良いのかわからないので、俺は10分ほど吟味した結果、一番最初に送られてきたものを選んだ。
結局これは何だったのだろうか。
チ〇凸ならぬ水着凸というものだろうか・・・
残念ながらその概念は俺の脳内には存在しなかった。
(本当にあったら申し訳ございません)
そしてまたしばらくして、今度はまた別の人からのDMが届いた。
そして、その内容は、『もうすぐ友達と海に行くんですけど、どの水着が1番可愛いと思いますか?闇さん、選んでください!!』というものだった。
またか・・・
やはり最近は水着凸という文化が存在するのだろうか・・・
このDMでも大胆な水着の写真が写されていた。
『う~ん、最初のやつかな~!!』と、表面上はノリノリで、内面は少し引き気味に答えた。
両方とも返信してすぐに「ありがとうございました!!!」とだけ返事が来たのでこれ以上会話が続くことは無かった。
どちらかといえばもう少しファンと思しき人物と会話を楽しみたかったのだが・・・
そう残念に思いながら俺はスーツケースに荷物を入れる作業を始めた。
30分ほどすると大体の用意は終わったので、俺は天舞音に何か必要なものがあれば買って来てやろうかとメッセージを送った。
天舞音からは日焼け止めを買ってきてほしいと返信が来たので、俺は近くの薬局チェーン店に日焼け止めを買いに行った。
久しぶりに店の中に入ったが夏ということもあり、熱中症対策グッズがやたらと売られていた。
とりあえず日焼け止めの他に何か使いそうなものがあったら買おうと思っていたので、俺はいくつかの熱中症対策グッズをカゴの中に入れた。
「合計で5720円になります!!」
ついつい熱中症対策グッズや日焼け止め以外にスポーツドリンクやお菓子などを購入したためかなりの買い物になってしまったが、わざわざ足を運んだだけの収穫はあったと思う。
そして俺は両手にレジ袋を提げながら家に帰った。
「ただいま~」
そう言うや否や天舞音が玄関の前までドタドタと走って来た。
「お~、おかえりお兄ちゃん!私の言ったやつちゃんと買ってきてくれた?」
「うん、ちゃんと買って来たぞ。」
「ナイス~!!やっぱお兄ちゃん頼りになるわ~!!!」
「こういう時だけあからさまにもてはやしてもな~」
俺は天舞音の態度に不満をぶつける。
「いやいやお兄ちゃん、何言ってんの?私はいつもお兄ちゃんのこと慕ってますよ~!!」
そう言っている天舞音の表情は半分真面目で半分冗談といったようなよくわからないものであった。
「果たしてどうだか・・・・、そうだ、天舞音は旅行の準備終わったのか?」
「あ~、まだ!!!」
「早くしろよ~!!直前に準備して何か足りなくなっても知らないからな~」
俺がそう言い終わる前に天舞音は自分の部屋へと戻っていった。
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