第30話
あの地獄の勉強会以来、俺たちはテスト終わりの放課後に俺の部屋に集まり遊びまくるという一種のルーティンができていた。
なんだかんだ遊んでいるとき以外は全員しっかり勉強しているようだったが、花園さんに関しては自分の力じゃどうしようもなかったので俺が家庭教師みたいに教えることが多かった。
そして迎えたテスト最終日。
俺は化学と日本史のテストを解き終えて1学期の期末テストを終わらせた。
感覚としてはどちらもだいたい平均点より10点ぐらいだろうか。
そこそこの出来だったように感じる。
放課後、さっそく俺は天舞音、花園さんの2人と海に行く計画を立てようと彼女たちをファミレスに呼んだ。
「まずどこの海にいつ行くのかを決めたいんですけど・・・」
そう、まずこれを決めないと話にならない。
特に天舞音と花園さんの2人には企業V、イラストレーターとしての仕事があるため正確な日程を決めておかないといけない。
それを考慮すると個人Vのほうが自由が多くて良いと思ったりもするのだが・・・
「私は今週の土日の夜9時までなら大丈夫だよ!」
「私今週末までに終わらせないといけない案件が1つ入ってますが平日の夜頑張ったらなんとかなるかと・・・」
「じゃあ今週の土曜か日曜に決定で良いですか?」
「は〜い!!!」
「わかりました!」と、まあここまでは順調に決まったのだが・・・
「じゃあ2人とも、どこの海に行きたい?」
すると、途端に両者が手を挙げた。
「ハワイ!!!絶対ハワイしかあり得ない!」
「グアムが良いと思います!」
「はい?!」
何を言ってるんだこの人たちと言わんばかりに俺は自分の耳を疑った。
「だから、ハワイが良いっていってるじゃん!」
「いやいや、グアムですよ!」
「あの〜2人とも日帰りってこと忘れてない?あと旅費も・・・」
「大丈夫だって!金曜日の夕方すぐに出発して日曜日の朝に飛行機乗ったらなんとなるよ!!」
「確かに、ハワイまで飛行機だと7時間とか8時間だから可能ではあるな・・・お金があればの話だけど。」
「えぇ〜!!大丈夫だって!お金なら私が・・・」
「いや、飛行機とかホテルの予約すらできるかどうかわからないし、まず高校生だけの海外旅行とか親父や母さんが許してくれるわけないだろ!!」
「ならむしろグアムならどうでしょうか?飛行機なら4時間くらいで行けますよ!最悪日帰りも可能なはずです!!」
「今さっき俺言いましたよね!?海外はダメだって!!」
「あっ!良いこと思いついた!!花園先輩ちょっと見貸して!!」
急に天舞音が花園さんとコソコソと相談を始めた。
「決めましたよ!お兄ちゃん!!海外でもなく、時間にも余裕があって尚且つ金銭的にも余裕がある海が綺麗な場所!!!そう、沖縄!!!!!!」
「え?!今この二人沖縄って言った?」
『うん!!』
なぜか二人はドヤ顔で頷いた。
「でも日帰りで沖縄は時間キツくないか?」
「いやいや、そこは一泊しようよお兄ちゃん!!!」
「そうですよ!!結構時間とお金は余裕ありますから!!」
どうやら二人は本気で沖縄に行きたいようだ・・・
まあ確かに沖縄に行くだけなら個人の負担は合計で5万円ほどのはずなので親に頼み込んだらまだ何とかなる気もしなくもない・・・
「わかったよ、じゃあ一応母さんに行って良いか連絡するからちょっと待っててくれ。」
そう言って俺が母さんに連絡を入れようとすると、突然天舞音が満面の笑みでこちらを見てきた。
「どうしたんだ?やたら嬉しそうだが、まだ決まったわけじゃないぞ!」
「ふふふふふ・・・・・じゃーん!!!これ見て!!」
天舞音が見せてきたのは天舞音と母さんとのメールのやりとりだった。
なんとそこには1分前に母さんから『沖縄旅行?良いじゃない!!しかも雄馬とお友達と一緒なら安心ね!!ホテルと飛行機は予約してあげるからどのお店行くかとかをみんなで決めておきなさい。』というかなりノリノリな返信が来ていた。
「珍しいな、母さんがこういうこと許すなんて・・・まあそれはともかく花園さんの方はどうなんですか?」
母さんが旅行をすぐに承諾したのには少し違和感があったが、それよりも花園さんが許可を取れてないと元も子もない。
「え、私ですか?安心してください!!テスト前から許可は取ってあるので!!!!」
「え、早・・・」
流石といったところだろうか、やっぱり花園さんはその辺りは用意周到だな・・・
これには天舞音も目を丸くしていた・
「よしっ、じゃあ次は海以外に現地で何するかくかだが・・・」
「美ら海水族館!!!」
「確かに良いかもな!花園さんは?」
「私は・・・水牛さんに乗ってみたいかなと・・・」
「お~!!それも良いですね!!」
「ねえねえ見て見てお兄ちゃん!!こことかヤバくない?」
「あの~、今ネットで見つけたんですけどこのお店結構評判良いらしいんですけど・・・」
・・・とまあこんな感じで俺たちの沖縄旅行の日程は着々と決まっていった。
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