第6話

俺が天舞音と共に『最高のVtuber』になろうと決めた次の日の学校の昼休み、俺は昨日と同じように天舞音と一緒に昼食を食べていた。


「ねえ、お兄ちゃん!これ読んでほしいんだけど・・・」


そう言って天舞音は俺にノートを渡してきた。


内容は俺が『最高のVtuber』になるための方法?がぎっしりと書かれてあった。


「天舞音、こんなにたくさん書いてるけど一体どれから始めたら良いんだ?」


「うーん、やっぱり『立ち絵のリメイク』じゃないかな?」


「『立ち絵のリメイク』か、確かにVtuberとしてやってくためには見た目は大事だが・・・俺みたいな資金力のない学生がそんなのできるのか?」


「その辺はお母さんに相談してみる。」


「えー、母さんに相談するのかよ・・・」


正直こんなことで母親と相談するのも少し気が引けてしまう。


なぜなら母さんは翌年に大学受験を控えている俺がVtuberとして配信活動をしていることをあまり快く思っていないからだ。


そう俺がシリアスに考えているのを天舞音が察したのか、すぐに補足を入れた。


「もしかしてお母さんってママのことだと思ってる?」


「え、違うのか?」


「違うよ、お母さんはお母さんでも姫乃琴音のお母さん。つまりイラストレーターの千夜ちよ先生だよ・・・」


「なーんだ、千夜先生か・・・母さんかと思ったよ。」


千夜先生はVtuber姫乃琴音のイラストを担当しているイラストレーターで、琴音のイラスト以外にも有名ライトノベルの挿絵などを数多く担当している。


「まあどれぐらいのお金が必要かとかは千夜先生に相談したらわかるだろうからお兄ちゃんできる限り貯金しといてね!!」


「ああ、そうだな・・・」


いくらかかるかわかったもんじゃないがしばらくは無駄遣いを控えた方がよさそうだ・・・


「それじゃあ、次はPCと周辺機器ね!」


「あーそれなんだが、たぶんPCに関しては大丈夫だ。スペックで心配なのはマイクとウェブカメラくらいかな?まあそんな感じだ。」


「確かにお兄ちゃん、PCは結構いいやつ使ってるもんね!ただ、マイクがちょっと・・・」


天舞音が心配する通り俺のマイクは本当にヤバい。


少し大きな音が出ただけですぐに音割れしてしまう代物だ。


「せめてちゃんと歌枠ができるくらいのやつが良いんだがな・・・めっちゃ高いけど。」


「私マイクに関してはコスパの良い機種知ってるから今日の放課後買いに行く?」


「今手持ちのお金が少ないから一旦家に帰ってからでも良いか?」


「うん、わかった!!」


その時、キーンコーンカーンコーンとチャイムが校舎内に鳴り響いた。


「え、もうこんな時間?!お兄ちゃん授業終わったらすぐ家に帰って来てね!!」

天舞音はそう言うと足早に教室に戻って行った。


俺も走り去っていく天舞音の後を追うようにして自分の教室を目指した。

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