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 あとは冒頭の通りだが一つだけ、語り忘れていた事がある。学者があの乱闘騒ぎに参加していた事だ。その事から、彼の言っていた医学者の友人は存在せず、彼自身が死体を欲しがっていた当人なのだろう。

 兎も角、語るべき事は語った。これで君たちも僕じゃなく、社会が狂っているのだと納得してくれるだろう。

 ……僕は何をやっているんだ?居もしない誰かに向かって話しかけるなんて、僕は作家か!悪く無いな…と言うか此処は何処だ?僕は、死んだんだよな?なら何故意識がある?死んだ筈の僕がこの暗闇で考えを巡らす事が出来るのだ…もしやこれは、

死後の世界か?いや、そうに違いない、此処は死後の世界だ。安心で涙が出そうだ(死んでるから涙なんて出ないが)僕の死に対しての恐怖は、痛みよりも自我の消失であった。天国地獄など信じてなく、死んだら意識も世界も感覚も無い所に行き着くのだとばかりに思っていた。だが僕には意識がある。しかし一つ問題が、何もないが為、やる事が無い、軽い問題の様に思えるが、実は結構重大で、この暗闇の中、何もせず永遠に過ごしていればやがて発狂するだろうし、又やれる事も限られている。運動は勿論、美食だって食べられない。こう考えてみると此処が地獄なんかよりもよっぽど酷い場所に思えてきた。

 い、いや違う、僕が夢見た最後だ、酷い筈がない。時間はたっぷりあるんだ。贅沢に使って行こう。

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