第10話 魅力について

「女子は胸を大きく見せたいのか、小さく見せたいのか、どっちなん?」

「いや、なんやねん急に」

「だって、寄せてあげるブラのポップがデカデカと店の前に置いてあるかと思えば、胸を小さく見せるブラのCMが流れてたりするから、どっちなんやろなと」

「まあ人によるやろな。大きい子は服が似合わんとかジロジロ見られるのがイヤとかで小さく見せるブラ買うし。小さい子はコンプレックスやから大きく見せたい言うし」

「なんでコンプレックスなんやろな?」

「ん〜。大きいほうが女らしいとかモテるとか?小さくてバカにされたって意見も聞いたな」

「え〜。大きいほうが女らしいとか大きいから好きとか、ましてや小さくてバカにするって、相手をモノとしてしか見てへんヤツの言葉やで。関わらんほうがええて。やめときやめとき」

「なるほど。ずっと感じてた違和感をはっきり言葉にしてもらえた気がする。小さくて悩んでる友達に今度言うとくわ」

「ジロジロ見られるから小さく見せたいってのもなぁ。ジロジロ見ても相手は何も感じん思うてる、結局モノ扱いと一緒やん」

「顔より胸を見られるて悩んでる友達に、そうじゃないヤツを大事にせぇ言うとくわ」

「まあ着たい服に似合うサイズの胸にするためのブラとかやったらええと思うけど」

「うちはこのイケメンスタイルに大きい胸は似合わんから、小さいままで満足してるわ」

「そうそう。したい格好するのが一番やで」

「男やとこんな悩みって何かあるかな?」

「……ハゲとか?」

「……あー……毛髪の有無にどれほどの意味があるのか」

「せやな。別に髪が無くてもその人の人間性は変わらん。髪の有無で扱い変えるヤツの人間性のほうが問題や。まあふさふさヘアーでおしゃれを楽しみたいから増毛したい!とかなら前向きでええと思うけどな」

「楽しみたくてする努力がええよ。ちなみにあんたはハゲたらどうする?」

「ウィッグ一択や。日替わりで色んなんかぶって楽しむで」

「生き様が見える答えやなぁ」

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