第5話 痴漢について

「頼む。今日の1限のノート写させてくれ」

「ああ、あんた遅刻してたな。どないしたん?」

「痴漢ですよ。また痴漢にあったんですよ」

「またぁ?高校入ってから何回目よ」

「もうほんまムカつくねんけど!今回触ってきたヤツなんか『女性専用車両に乗ってないんやから触っていいんやろ』とか言ってきよって!』

「それは女性専用車両が使えるうちらからしても、使えないあんたからしても、まるで理不尽な話やな」

「やろ!しっかり警察に突き出してやったわ!」

「こないだは『そんな短いスカート履いてるほうが悪い』って言われたんやっけ?」

「そう!なんでお前ら犯罪者のために、したい格好ガマンせなあかんねん。このスカートは1ミリも短くせんからな!」

「まあスカート長くてもパンツ姿でもあんたは痴漢にあってるから、もはや服装とか関係ないしな。しっかし毎回きっちり警察につきだして、大変やな」

「も〜気持ち悪い体験した上に、遅刻したり色々大変やしホンマに最悪やねんけど。でも初めて痴漢にあった時は『男の俺が触られても痴漢っていうんかな?』って声あげれんかってんで」

「ん〜。たしかに戸惑いそうやな。」

「でも2回目ん時に隣にいた人が助けてくれてな。捕まえて駅員さんに引き渡してくれてさ」

「そうか。良かったなぁ」

「クラスの男子で痴漢あって声上げれんかったって話きいたこともあるし、俺が毎回犯人捕まえて男への痴漢の逮捕数が増えれば、世の中の考えも変わるかもしれんし」

「あんたの場合男への痴漢なのか女への痴漢なのか分かんなくなりそうやけど、困ってる人が助かるのはいいことやな。とりあえず遅刻したときのノートは心配せんでいいで!任しとき!」

「ありがとう!まあ、こんな決意せんでもいい、痴漢がない世の中になるのが一番やねんけどなぁ」

「せやなぁ。痴漢される側が頑張らなあかんのもホンマ理不尽やしなぁ」

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