第2話 希望

「では、あなたの大切なものを、私に頂けますか…?」


「えっ…大切なもの?なんでもいいんですか?」


「ええ…。ご自分で大切だと思っているもの…。物でも大事にしている時間でも、何でも構いません…。それと引き換えに特例で本来のあなたのセーブデータをお渡しします…」


 なんだ…そんなことでいいのか。身構えることなかったな。

 そうだな…自転車にしようかな…。

 駅も近いし、歩いて行ける学校に通ってるわけだから、なくても困らないだろう。

 それにしても眠い…。昨日もほぼ徹夜だったからなあ…。


「外にある自転車で!」


「本当にそれでいいのですね?」


「え?はい…構いませんけど…」


「分かりました。では…」


 拍子抜けするくらい簡単だった。

 再び眩しさに目を閉じる。光が弱まると目の前は自分の部屋だった。


「何だったんだろう…」


 本当にセーブデータ戻ってるのかな?

 それだけ確かめたらもう寝よう…。眠過ぎだ。

 ゲーム機の電源を入れる。


「おお!しっかり元の状態に戻ってる!」


 幸せな気持ちでベッドに入る。

 今後はしっかり確認しながらゲームしよう。

 人生もそうだね。何でも全て、きちんと確認が重要だ。

 心に誓って…おやすみなさい。

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