第4話 今迫直弥を名乗る人物からのメール2

差出人:今迫直弥

件名:Re:Re:突然のメール失礼します


 丁寧な返信、ありがとうございました。私も、おそらく貴方と同じかそれ以上に驚いています。まさか結婚しているとは思っていませんでした。

 ご指摘の通り、私は独身ですし、〇〇(※作者の中学校時代からの友人の苗字)達とのつながりは完全に絶たれており、ペンネームと携帯メールアドレスを両方知っている人間は私しかいないので、勝手に貴方もそうであろうと思い込んでおりました。犯人候補となってしまった皆様にご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。

 それにしても、何度も蒸し返すようで恐縮ですが、まさか結婚しているとは思っていませんでした。あれだけのことがあって再度女性と付き合おうと思える人間が存在し、あまつさえそれが別の世界の自分だとは、にわかに信じられません。また、どんな聖人であれば自分と結婚しようと考えてくれるのか、それだって想像できません。私の作品は、主人公にとってあまりにも都合の良い女性キャラクターが多過ぎるという批判を受けることがありますが、どんなに都合の良い彼女らであったとしても、絶対に私を相手にしてくれないとと(※誤字は原文ママ)思いますし、現実世界の女性たちについては言うまでもありません。私だって、有り余るお金があるので本気を出せば結婚できたろうと思いますが、そういう問題ではないです。差し支えなければ奥さんとの馴れ初めなど聞かせていただけるとうれしいです。

 岩田シリーズ第一作の刊行年がおかしいというお話についてですが、それは、私のデビュー作が岩田20001だと思っているからではないでしょうか。最初に投稿した岩田20001は(貴方と同様)落選しています。少し変則的ですが、私のデビュー作は、2006年〇月に中編作品の「死すら二人を分かてない」が〇〇(※文芸雑誌名)に掲載されたことであり、そこからの縁で12月に「灰になる迄」が〇〇(※レーベル名)から出版され、翌年〇月〇日に岩田の第一作が〇〇(※出版社名)から刊行された、という流れになっています。

 岩田シリーズは、スピンオフも含めると22作品出ており、私の代名詞的な作品です。随分前ですがアニメ化もされ(3期)、劇場版もあります(劇場版はファンの間でも黒歴史みたいになっているので心が痛いですが)。女性向け二次創作界隈での受けが良く、未だに根強いファンがいて、pixivなんかでは鳩×岩や鳩×竹のR18イラストがごろごろ見つかります。私自身、ストーリー的には何故この組み合わせが人気なのだろうと不思議ですが、アニメ版の鳩々山役が〇〇(※声優名)さんということが一番大きいのかもしれません。

 つい先日、某サイトの「まだ続いていたのかと驚く作品」スレッドで名前が挙がっていましたね。アニメが終わってだいぶ経つからでしょうか。「男ばっか出してきて女ファンに露骨に媚び売り始めて見限った」という意見は残念でしたが、「今どうなってんの?」という質問に対して、「急に出てきたおっさんが二人で子育てしてる」というレスがついていて、さすがに笑いました。どんな話か想像できないですよね?

 そういえば、ご指摘の『不安は自由のめまい』(※作者註 テッド・チャンの短編作品)、知らなかったので、早速『息吹』(※作者註 同作が収録されている短編集)をKindleで買いました。別の世界の自分と情報交換できるという部分は、確かに近いですね。このメール自体が世界を分岐させているわけでないので、状況は大きく異なりますが。非常に面白い作品だったので、とりあえずそれだけで満足してしまいました。何か他にも、私が読んでいなさそうなお勧めの本があれば教えてください。

 それでは。

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