間奏
「書けたぞ」
俺はリビングから扉の下へ、コピー用紙を滑らせた。
――ピロリン♪
『読ませてもらった。言い訳や助けを求める文章を書くと思いきや、自白から入るとはなかなか殊勝な心掛けじゃないか……今の君はどうやら、誠実な人物を演じているらしいね。』
「なんとでも言うがいい。俺の目線から事実を書いたが、コレで伝えて貰えるのか?」
――ピロリン♪
『ああ、実に良い文章だ……やはりこの舞台の主役に君を選んで良かったよ。だが表に立ち、話を進めるのは外に居る君以外の演者なんだ。君を生かすも殺すも彼ら次第……探偵役の住人はもう居ないし、残念だな』
「“探偵”……」
その言葉を聞いた瞬間……僕の脳裏に過ぎるものがあった。
――ピロリン♪
『脚本の話じゃないぜ。忘れちゃいないだろう、五年前この屋敷で自殺した文化荘の探偵……一〇一号室の“画家”のことを』
一〇一号室の画家。確かに憶えている、というより忘れるはずがなかった。
「お前……本当に誰なんだ?」
――ピロリン♪
『私が誰かは問題じゃない。それより問題なのは君が彼女の自殺の本当の原因を知らないってことさ』
「本当の原因?そんなものがあったとして、何故お前が知っているんだ?警察の捜査でも、一番近い僕達でも分からなかったんだぞ」
――ピロリン♪
『教えてやる。お前達の罪を……』
次のメールに書かれていたのは、ある一つのラブストーリーだった。
「これは……」
――ピロリン♪
『演じてみろ。そうすれば、君の才能なら分かるんだろう?』
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