第22話 何もわからない

「なるほど。世界の七ヶ所に散らばってしまったミャクミャクの体を集めれば、願いが叶うってことだね」

 相槌を打つと、兎のミミがぶんぶん首を横に振る。

「ちがいます。坊ちゃん、世界はもっと広いです。ミャクミャク様の体が散ったのは七ヶ所どころじゃありません。あちこち! それこそ数え切れないくらい!」

「えー、じゃあなんで七つなんだよ」

「知りませんよぅ。百個っていうとはなから諦めて誰も集めないから、七個くらいが妥当なんじゃないですか」

 そう言ってつんと口を尖らせる。ミミってば本当にいい加減な奴だ。

「じゃあ七つでミャクミャクが復活するのでなければ、誰が願いを叶えてくれるの? ミャクミャクの体を探して旅しているっていう女の子? その子、そんなことできるの?」

 もう、坊ちゃんは質問ばかりでになりますね。ぷいとミミがそっぽ向く。ミミも知らないみたい。

 けど、人間の女の子にそんなのできるはずない。だとすれば、叶えてもらえる願いって案外大したことないのかも。おいしい料理を食べさせてくれるとか、それくらいだったりして。

「人間は神様じゃないから、魔法みたいに願いを叶えることはできないよ」

 そばで聞いていたイチハが言う。

「私が聞いた伝承だと、青い星を探して願いを叶えてくれるのは『大いなる力』だそうよ。それが神様なのか、別の何かなのかは知らないけれど」

「なんですか、そんなの何の情報にもなってないです。イチハも何も知らないんじゃないですかっ」

 ミミはいちいちイチハに突っかかる。そのうち本当にジビエにされちゃわないか、僕は心配だ。

 最近は異常気象が続いているし、また地震も増えてきているから、誰かがミャクミャクを復活させようとしているのかもね。と、イチハが肩を竦める。

「とにかく行動あるのみだ」

 星を集めるぞ、とドゥークが言う。そういえば、僕はドゥークが星を集める理由も知らないままだ。

 きゃあ脳筋すてきー、と能天気な兎がぴょこんと跳ねた。

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