第2話

 アイスを食べ終え惰眠を貪っていると晩御飯だと母親に叩き起こされ晩ごはんを食べ風呂に入って寝た。

 風呂に入る頃には少女のことは脳みその屋根裏部屋にしまっていた。

 夏休みと部活を入っていない者の特権とも言える三度寝をし完全に目がさめる頃には時計は11時を指している。

 多分今日は焼肉ができるよとふざけたことを言っていたらまだ寝ぼけてるのかと母親に呆れられ、目を覚ましてこいとお使いを頼まれてしまった。

 スーパーの帰り道汗だくになりながら坂道を登る。

 なぜこんな可愛い子供に牛乳三本買ってこいと母親は言えるのだろうか? 可愛い子には旅をさせよ?くそくらえ。


「ねえ、お兄ちゃん手伝おうか?」

 その声を聞き僕は驚き振り返る、そこには少女がいた。

 今日も麦わら帽子を被っている。

「ありがとう、こっち持ってくれる」

 そう言って僕は比較的軽いはずの野菜の入った袋を渡す、さり気なく少女は形をよせ麦わら帽子についている紫陽花が僕の顔に当たりそうになる。

 ふたりとも汗だくになりこれは自転車で来るべきだったと今更すぎる反省をしていると自動販売機に目が行く。

 キラキラと光った箱には今一番体が欲している水分が詰まっていた。

「ねえ、君なにか飲みたいものある? お礼に買ってあげる」

 少女は返事をするのも億劫だったのかただ指をさす。

 500mlのペットボトルを飲み干すのに、干からびかけている人間2人がいれば5分もかからなかった。

 少女は一言も喋ることなく家の前まで袋を運んだ。

 家につきこのまま分かれるのもなんかもったいない気がした僕は少女に尋ねる。

「ありがとう、お礼になにかほしい?」

 少女はキョトンとした顔をし、しばらくして言葉の意味を理解したのか目を輝かせながら答える。

「ねえ、明日一緒に遊ぼう」

 ほんとに年が1つしか変わらないのかと思うほど純粋な目を向けられ僕は自分が汚い人間になったように感じ目を合わせることができなかった。

「わかった、遊ぼう線香花火をした丘に集合でいい?」

「うん、10時にきてね」

 ニッコリと満面の笑みを浮かべた少女は軽快なスッテップを踏みながら去って行った。

 そして僕は起きれるかな?と一人つぶやいたのであった。

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甲子園用 @nya-nya-

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