ヒナギク
まだまだ外は寒いです。
つんとした風が毛のなかまでかいくぐってきては直接からだを冷やしてきます。
それでもねこちゃんには関係なく、今日も今日とて走っていました。
出ていく息は白くても、ねこちゃんのほっぺはほんのりとピンク色。
このさきに待っている彼への思いがほっぺの色にうつっているのでしょう。
ねこちゃんは足をとめました。
朝のきらきら光を浴びて、ころんとひらいたヒナギクが、ゆらゆらゆらゆら揺れていました。
ねこちゃんの淡いココロみたいに、ころんとかわいく揺れています。
今日のおしゃれはこれにしよう。
ねこちゃんはそっとヒナギクをつみとって、耳にさしました。
ちょっとはかわいくなったでしょうか。
彼はかわいいと思ってくれるでしょうか。
ねこちゃんは近くの家の窓をのぞきこみました。
しっぽがゆらりと揺れました。
ねこちゃんはまた走り出しました。
今日は彼とどこにいこう。
今日はもっとなかよくなれるかな。
そんな『希望』を胸に抱いて、今日もねこちゃんは走ります。
彼と一緒にいるあいだ、どうかこの花が枯れませんように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます