第20話 連戦後の海開き
8月中旬お盆休みを取った一城たちギャンブル課メンバーは茨城県内の海に遊びに行った。
恵・綾乃「海だ~~~~~~!」
一城「おい恵、綾乃。海に入る前に準備運動しろよ。」
葵「まったく、いい年して子どもですよね。」
静流「とか言って葵さんもほんとうは楽しみなんでしょう?その青レースの水着、買っているところ私見ていたよ。」
葵「え、そこにいたんですか!?」
静流「ニコニコして可愛かったな~」
一城「へ~静流。後でその話詳しく教えてくれよ。」
葵「わ、私も遊びに行こうかな・・・・・・」
と砂浜をざっざっと音をたてながら水をかけあって遊んでいる恵と綾乃のところに向かった。
一城「ホントに素直じゃないよな、葵は。」
静流「私たちも行こうか。ここ足元熱いから早く涼みたい。」
一城「赤奈さんも行きましょうよ。そんなパラソルの下で待っていたら熱中症になりますよ。」
赤奈「いえ、私は遊ぶために来たわけではなく皆様の送迎と監視が仕事ですので。」
一城「今日は休みですよ。仕事のことは一度忘れましょうよ。」
赤奈「皆さんで楽しんでください。」
一城・静流「・・・・・・。」
一城と静流は軽く準備運動を済ませ、恵たちのところへ向かった。
静流「きゃっ、冷たっ!」
一城「この時期だと海の水も冷たく感じるな。」
恵「二人とも早く来てください~みんなでビーチバレーしませんか?」
一城「おう、分かった。」
こうして5人でビーチバレーを始めることに
一城「軽く頼むぞ。俺一番歳だから。」
葵「そうやって予防線張るつもりですか。なら逆に一城さんを狙いうちにします。」
一城「ムッ、悪魔め・・・・・・」
葵「何とでも言ってください。」
綾乃「アホ、無表情、ちっぱい!」
葵はビーチボールを上げて右腕を振り上げてボールをスパイクした。そのボールが綾乃の顔めがけて飛んでいき、もろに当たってしまった。
綾乃「ぶっ・・・・・・」
綾乃は水しぶきをあげてその場に倒れた。
綾乃「ぷはっ!何するの!」
葵「ごめんなさい。つい手が滑ってしまって~!」
綾乃「わざとやったでしょ!」
葵「何のことかな~」
綾乃はボールを葵めがけてスパイクした。ボールは葵の体に当たった。ボールを拾った葵は微笑みながらまた綾乃めがけてボールをスパイクした。こうして2人のドッジボールが始まった。
一城「また始まったか・・・・・・これじゃあビーチバレーどころじゃないか。恵、静流。俺たちは向こうで泳ぐか。」
静流「そうね。」
恵「わかりました。」
3人は場所を移動し、しばらく遊泳を楽しんだ。
そして数時間後、沖に上がった3人は赤奈がいるビーチパラソルに向かった。
赤奈「おかえりなさいませ。」
一城「まさかずっとそこで監視していたのか?」
赤奈「仕事ですので。」
静流「まじめだね・・・・・・赤奈さんは。」
恵「ところで葵さんと綾乃さんは?」
赤奈「お二人とも監視員さんに呼ばれていましたよ。」
一城「あのバカども・・・・・・仮にも社会人なんだから羽目を外すなっての。」
恵「まあまあ、連戦後の休日なんですから大目に見てくださいって」
一城「まあ、恵の顔を立てるために許してやるか。」
それからすぐに葵と綾乃が帰ってきた。
葵「全く、あなたのせいで怒られてしまったじゃないですか。」
綾乃「先に手を出したのは葵さんでしょうが!」
一城「よぉ、お帰り2人共。」
葵・綾乃「た、ただいま戻りました・・・・・・。」
2人は怒られると思い目を閉じた。
一城「もう昼だし、ご飯食べに行こうぜ。」
と、2人の肩を軽く叩いた。
葵・綾乃「あれ?」
2人は予想外の反応できょとんとしていた。
6人は海の家でご飯を食べた。
恵「ごちそうさまでした~海の家で食べるご飯ってなんか特別な感じしますよね。」
葵「それはありますね。」
静流「お腹いっぱいになったししばらく動きたくないわね。」
一城「食べてすぐに寝ると牛になるぞ。」
静流「うるさいわね。わかっているわよ。」
綾乃「ねえ、今思ったのだけどお客の回転率悪くない?」
一城「確かに、お客さんを待たせすぎているな。」
静流「キッチンの様子見てみる?」
6人はキッチンの様子を覗きに行った。するとオーナーっぽい男の人が腰を痛めていた。
オーナー「イデデデデ・・・・・・今一番忙しい時間帯なのに腰痛めちまうなんて。」
店員「どうしましょう。ご飯作れる人に回したら今度は注文取る人がいなくなっちゃいますし・・・・・・ただでさえ人手不足なのに。」
一城「(困っているようだな・・・・・・)よし、助けに・・・・・・ってあれ?」
まわりにいる恵たちがいつの間にかいなくなっていた。
静流「私たちでよければお手伝いしてもよろしいでしょうか?」
オーナー「あなたたちは?」
静流「ただのお客様です。でも困っている人を放っておけなくて。」
店員「いいのですか?できればお願いしたいのですが。」
一城「料理できる人はキッチンに後は全員接客しよう。」
綾乃「私は料理ある程度できるのでキッチンいってきます。」
赤奈「私もお手伝いいたします。」
一城「じゃあ俺たちはオーダー取りにいくぞ。エプロンお借りします。」
こうして一城たちはひょんなことから海の家の手伝いをすることに。一城、恵、葵、静流は接客。綾乃と赤奈は料理をすることに。
一城「2番テーブル、ラーメンと焼きそば2つ。一つは紅しょうが抜きで。」
恵「5番テーブル、冷やし中華3つ。6番テーブルにたこ焼き2つ。」
綾乃「たこ焼き上がりました。焼きそばは今作るからちょっと待ってて。」
赤奈「ラーメン作り終わりました。」
綾乃「はや!?さっき作っていたのでは?」
葵「運ぶのは任せてください。みなさんはそのまま注文を続けてください。」
店員「オムライスの注文を待っているお客様がいらっしゃいます!」
静流「綾乃、焼きそばは赤奈さんにまかせてオムライス作るのを優先にお願い!」
綾乃「了解!」
ギャンブル課の6人の息の合った連携は、ごちゃ混ぜになった海の家の回転率が良くなった。
オーナー「あの6人、いったい何者なんだ?」
一城「あともう少しでこのピークも終わる。ラストスパートだ!」
恵・葵・綾乃・静流・赤奈「了解!!」
最後の力を振り絞り6人はお客様が落ち着くまで業務を続けた。
一城「お疲れ様~これで一通り落ち着いただろう。」
静流「は~汗でベトベト・・・・・・」
恵「なら海で洗い流しませんか?」
綾乃「いいね、行こう行こう!」
恵「赤奈さんも行きませんか?」
赤奈「いえ、皆さんで楽しんでください。」
静流「フフフ、いまだ捕まえろ!」
赤奈「へ!?」
赤奈は両腕を葵と綾乃に掴まれた。
赤奈「ちょっ、離してください!!」
葵「ちょっと強引ですけど。」
綾乃「赤奈さんも楽しまないと。」
2人は赤奈を連れて海に入った。そして海に放り投げた。
葵・綾乃「それ~」
水しぶきをあげ赤奈は海に落とされた。浅瀬だから溺れる心配はないが、せっかくの服がびしょ濡れになっていた。
恵「でも中にちゃんと水着着ているんですね。」
赤奈「それは万が一溺れていた時に助けにいけるようにと・・・・・・」
静流「でも遊びに行く用の水着ですよね。」
赤奈「いやっ、それは・・・・・・」
恵「今日は思い切り遊びましょうよ。せっかくの休日なのですから。」
赤奈「はぁ・・・・・・承知いたしました。」
赤奈は濡れた服を脱ぎ捨てた。それを海の家で一城が見守っていた。
一城「よかった。赤奈さんも楽しんでくれて」
オーナー「あの・・・・・・」
一城「オーナーさん。腰はもう大丈夫なのですか?」
オーナー「ええ、少し休めば痛みが和らぎました。ところで、つかぬ事を伺いますが。茨城県知事の一條知事ではございませんでしょうか?」
一城「ハハハ・・・・・・そうです。」
その言葉を聞いた瞬間オーナーはその場に土下座した。
一城「そんな、土下座なんてやめてくださいよ!」
オーナー「いえ、えらい方にウチの店の手伝いさせるなんて本来ならば死刑ものです。」
一城「大袈裟すぎますよ!別に僕たちはやりたくてやっただけですし・・・・・・」
オーナー「でも、それだと・・・・・・あっそうだ!」
一城「?」
オーナーは一城たちにあるものをプレゼントした。それは花火セットだった。
一城「こうして自分で花火をするの何年ぶりだろう。」
一城たちは夜、一度服に着替え全員で花火大会をすることに。
綾乃「キャ~!花火がこっち向かってくる~!」
恵「葵さん。綾乃さんにねずみ花火つけないでくださいよ。」
葵「面白いからいじめてやろうと思って。」
静流「ホントあんたたち仲がいいのか悪いのか。」
一城「打ち上げ花火するぞ。みんな少し離れてろよ。」
一城が導火線に火をつけると花火が打ちあがりきれいな花火が上がった。
静流「きれい・・・・・・本物より迫力はないけどとてもいい思い出になったわね。」
恵「ですね。私、これからの仕事も頑張れる気がします。」
葵「そうですね。次の冬の資金戦も全勝目指して頑張りましょう。」
そう決意を新たにした。一方その頃綾乃はねずみ花火に追われ続けていた。
綾乃「ちょっとみんな助けて!まだ追われているんだけど!」
第20話(完)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます