第15話 VS群馬戦(後編)
第3戦の群馬県チームとの対決で前半は見事勝ち越しをしたが後半2ターンで大逆転をされてしまった茨城県チーム。静流はある作戦を思いついたという。
恵「作戦って何ですか?」
静流「・・・・・・気合よ!」
カジノルームがしーんと静まり返った。
恵「え・・・・・・根性論ってことですか。」
静流「私たちにはそれしかないの・・・・・・」
榛名知事は思いがけない感想で笑ってしまった。
楽太郎「はっはっはっはっは!対策を何もせずに私たちに挑むなんてずいぶんと舐められたものですね。」
8ラウンド目が始まった。
楽太郎「いいでしょう。妙義、5万チップを賭けるのです。」
硬破「は、では5万円ベットで。」{合計:51,000円}
静流は恵の方を向いた。恵は2枚の手札を見て難しい顔をしている。
静流「下ります。」{合計:1,000円}
楽太郎「私はコールします。」{合計:51,000円}
恵はこの試合をフォールドすると思いきや
恵「オールインします!」{合計:50,000円}
楽太郎「ほう、勝負ですか。降りておけばあなたたちの負けを先送りにすることができたのに。オールインをすれば必ず勝負しなければならない。ここで負ければその場で試合終了ですよ。」
恵「ま、負けません!」
赤奈がカードをテーブルに3枚めくった。{❤K・♣K・♣A}が出た。
硬破「チェックします。」
楽太郎「私もチェックです。」
一城「そういうことか・・・・・・」
綾乃「どうかした?」
一城「恵はもうかけられるチップもない。だからといって味方のチップを奪い合うこともないからこのまま互いにチェックすることによって掛け金を増やさないようにしているんだ。」
葵「勉強になりますね。」
一城「そうだな、今回の試合は俺たちの完敗だ。でもここで終わるんじゃなくて次に繋げていこう。」
その会話を聞いていた静流は
静流「ちょっと、何敗北のムードを漂わせているの?私たち、まだ勝負を諦めたわけじゃないわよ。」
一城「は!?勝算あるのか?」
静流「それはやってみないと分からないけど・・・・・・」
4枚のカードは♣10だった。
硬破「チェックします。」
楽太郎「私もチェックです。」
5枚目のカードは♦Kだった。
楽太郎「ではカードをオープンしましょうか。」
榛名知事は手持ち{♠4・♦4}テーブル{❤K・♣K・♦K}のフルハウス
硬破は手持ち{♠K・♠5}テーブル{❤K・♣K・♦K}のフォーカード
一城「な・・・・・・この手札は・・・・・・(ダメだ。こんな強い役、勝てっこない・・・・・・)」
楽太郎「では愛原さん。もう勝負決まりましたかもしれませんが手札を見せてください。」
恵はそっと手札をめくった。
その時、一番声をあげたのは観覧者の一城だった。
一城「ふぁ!?」
恵の手札は{♣Q・🃏}テーブル{♣A・♣K・♣10}の・・・・・・
楽太郎「ロイヤルストレートフラッシュ!!」
恵「まだ、勝利の女神は私たちに微笑んでいるみたいですね。」
恵はペロッと舌を出してかわい子ぶった演技をした。
合計{茨城県:251,000円・群馬県:149,000円}
一城「忘れていた。恵は超がつくほどの強運だったことを。」
静流「そっくりそのまま返してやったわ!」
恵「やりました、静流さん!」
すると榛名知事が血相を変えた顔でディーラーである赤奈の胸ぐらをつかんだ。
楽太郎「バカな!!こんなことがあってなるものか!キサマら、イカサマしているだろう!」
赤奈は顔色一つ変えず真顔で答えた。
赤奈「私たちはそんな卑劣な手は使う気は全くございません。どうしてもというのならトランプに細工をしているか確認してみてください。」
榛名知事はトランプに細工をしているかどうか確認してみた。しかし、何も細工をしていないので結局無実ということになった。
9ラウンド目・・・・・・
静流から始まった。
静流「ベット、4万」{合計:41,000円}
楽太郎「くっ・・・・・・フォールド・・・・・・」{合計:1,000円}
静流「勢いが無くなりましたね。」
恵「コールします。」{合計:41,000円}
楽太郎「(妙義のチップは残り39,000円。このターンは向こうに譲るしかないですか・・・・・・)」
しかし硬破はオールインを宣言した。
楽太郎「なぜです!ここでオールイン宣言するなんて!」
硬破の手は震えていた。
硬破「榛名知事、このラウンドで勝てないと・・・・・・ウチが負けます!」
静流「その通り、次のラウンドで私たちが勝負に降りるからどう足掻いてもこのターンで逆転しないとそっちの負け決定ってこと。」
楽太郎「いつの間にかそんな状況に。」
硬破「安心してください。この試合、必ず勝ちます!」
静流「(すでにペアが揃っているみたいな口ぶりね)」
赤奈がカードをテーブルに3枚めくった。{♠A・♣2・❤2}が出た。
静流「チェック」
恵「私もチェックで」
4枚目のカードは♦2だった。
静流「テーブルカードですでにツーペアが揃っている。最後のカードで運命が決まる。」
ラストカードはまさかのジョーカーだった。
楽太郎「フルハウス確定!?」
硬破「この試合、勝った!」
赤奈「それではカードをオープンしてください。」
静流は手持ち{❤6}とテーブル{♦2・♣2・❤2・🃏}の2のフォーカード
硬破は手持ち{♣A・❤A}とテーブル{♠A・🃏・❤2}のAのフォーカード
硬破「首の皮が一枚つながりました・・・・・・最後のジョーカーに感謝です。」
その時、恵が静かに手を挙げた。
恵「・・・・・・あの~私、2のカード持っていますけど・・・・・・」
全員「え!?」
全員が驚きのあまり恵の方向を向いた。恵の手札は{♠2・❤3}。
楽太郎「・・・・・・・・・・・・ファイブカード(ジョーカー+フォーカード)。ポーカーの中では最強の組み合わせです・・・・・・」
赤奈「これで、妙義様の持ちチップが無くなりましたため、デスサイズゲームのルールにのっとり、この勝負、茨城チームの勝利になります。
楽太郎「・・・・・・負けました。まさか最後の最後で大逆転されてしまうとは・・・・・・」
榛名知事はショックのあまり膝から崩れ落ちるように倒れた。
一城「榛名知事!?」
一城は榛名知事の傍によろうとしたが、ノックして入ってきた赤髪の青年に止められた。
?「心配ご無用です。」
一城「あなたはいったい?」
赤城「群馬県知事、秘書の赤城(あかぎ)と申します。ゲームが終了したと黒瀬様から連絡がありましたのでお迎えにあがりました。」
一城「(いつの間にそんなやり取りが行われていたんだ?)」
赤城「後のことは私に任せてくださいませ。妙義様も群馬に戻りましょう。」
硬破「はい・・・・・・」
こうして群馬メンバーは退室していった。3人が去った後、静流が崩れるようにその場に座った。
静流「{涙目}よかった~勝てて~」
葵「お疲れ様です。」
綾乃「恵ちゃんすごかった!ロイヤルストレートフラッシュからのファイブカードを出すなんて!」
恵「たまたまですよ・・・・・・」
一城「100万分の1の確率を2回連続で出すなんて強運にも程があるだろ。でも、2人のおかげで無事に勝つことができた。榛名知事が本気を出したところから俺は負けると思っていたから。」
葵「普通だったらそう思いますよ。今回は静流さんの強気なプレーと恵の強運のおかげですよ。」
一城「これで無事に資金戦3連勝で終わったな。」
赤奈がスマホでの情報を確認した後、一城たちに報告した。
赤奈「皆様、報告いたします。今回の資金戦により順位が45位に上がりました。」
一城・恵・葵・綾乃・静流「お~!」
茨城県は6年ぶりの最下位脱出をすることに成功した。
第15話(完)
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