第14話 VS群馬戦(前編)

茨城庁前で一城たちギャンブル課のメンバーは今日の対戦相手である群馬のメンバーを待っていた。


一城「確か、群馬の人たちが来るのって何時くらいでしたっけ?」


赤奈「はい、向こうの秘書の方の連絡によると予定では10時となっております。」


恵「初めてのホーム戦・・・・・・緊張します・・・・・・」


葵「恵、そんなに気負いすぎなくてもいいと思いますよ。」


綾乃「そういえば一條知事。今日は震えていないですね。」


一城「俺、いつも震えているわけではないぞ!」


静流「この子たちは緊張感がないわね・・・・・・言っておくけど次の群馬代表は曲者ぞろいだよ。」


一城「曲者ぞろい?強いのか。」


静流は考え込んだ。


静流「強いのは強いけど・・・・・・」


静流が話そうとしたその時、奥から黒色のリムジンが現れた。」


一城「見ろ、来たみたいだぞ。」


静流「まあ、見ればわかるか・・・・・・」


恵「(ゴクリ・・・・・・)」


一人の男がリムジンから降りてきた。


一城「(どんな奴なんだ・・・・・・群馬県知事は・・・・・・)」


?「どうもどうも!皆様出迎えありがとちゃ~ん!」


その男は50代の割に腑抜けた声にテンション高めであったため、身構えていた静流と赤奈以外のメンバーはその場で転んでしまった。


?「どうしたんだいどうしたんだい?そんなところで転んじゃって?」


一城「イデデデ・・・・・・いや、思っていた方と違って。」


?「君が茨城県知事の一條くんだね~まだ若いのに公式戦2連勝なんてやるじゃナイアガラの滝!」


一城「言っていることが意味わからないですけど・・・・・・」


楽太郎「私が群馬県知事の「榛名 楽太郎(はるな らくたろう)」モットーは「楽しければそれでいい」デ~ス!」」


一城「よろしくデ~ス!」


一城は無理やりテンションを上げながら返した。


静流「これよ・・・・・・群馬県知事のやりにくいところが・・・・・・」


恵「イタタタ・・・・・・なんとなく言いたいことが分かりました。」


静流「でもね、強いのには変わりないわ。」


綾乃「とてもそんな感じには見えないですけど・・・・・・単なる陽気なおじさんにしか。」


群馬のギャンブル課のメンバーも車から降りて茨城県庁内にあるギャンブルルームに向かった。


赤奈「それではこれより茨城対群馬の資金戦を開始します。ゲームは「テキサスホールデム」資金は1人10万ずつ、です。」


赤奈は5枚のカードを胸ポケットから取り出した。


赤奈「それでは、ドロータイムといきます。」


楽太郎は申し訳なさそうに手を挙げた。


楽太郎「申し訳ないデ~ス。私たちは2人しかいないのでこのメンバーでお願いしてもよろしいデ~スか?」


赤奈「そうですね、しょうがないですね。」


赤奈は2枚カードをオープンした。


赤奈「カードはハート、スペードです。」


一城「俺は今日休みか。」


葵「よかったです。綾乃さんがいなくて。」


綾乃「なに~!」


一城「お前ら試合前に喧嘩するなよ・・・・・・静流たち、頑張れよ!」


静流・恵「はい!!」


群馬勢は・・・・・・


硬破「群馬県ギャンブル課の「妙義 硬破(みょうぎ こうは)」です。」


一城「妙義さんは落ち着いた感じの人だね。榛名知事とは真逆で・・・・・・」


静流と恵はギャンブルの席に向かった。


一城「本当は俺が出たかったな・・・・・・徳島戦の対策がしたかったからな・・・・・・」


綾乃「え、一條知事同じゲームで挑むのですか?ブラックジャックや、ポーカーにするとかいう選択肢無かったのですか?」


一城「綾乃には分からないかもしれないけど・・・・・・あの時、知事になって初めて敗北を経験したんだよ。俺、すごい悔しくって・・・・・・だからその悔しさを払拭するためには同じゲームでリベンジするしかないんだ。」


葵「プライドってやつですね。」


一城「それもあるけど、たぶん負けず嫌いだと思うけどな。」


メンバーの順番は静流・楽太郎・恵・硬破となった。1ゲーム1,000円でのゲームとなった。


赤奈「それでは剣城様からお願いします。」


静流「ベット1,000円チップ1枚。」{合計2,000円}


すると榛名知事はカードを置いて


楽太郎「Oh~私はフォールドで~す。これじゃ勝てませ~ん。」


フォールド宣言をした。


恵「コールで」{合計2,000円}


硬破「同じくコールで」{合計2,000円}


テーブルには{❤Q・♣3・♠10}が出てきた。


静流「(私のカードは♣のA・5。テーブルに1枚クラブがあるから勝負してもいいわね。)チェックで」


恵「私はベットで」


硬破「私はフォールドします。」


葵「これで群馬県勢は全員下りました。」


一城「ノーコンテストで俺たちの勝ちだ!」


合計:{茨城県:205,000円・群馬県:195,000円}


2ラウンド目・・・・・・


楽太郎「う~ん、今回もフォールドデスね~」


恵「ベット、1,000円」{合計:2,000円}


硬破「コール」{合計:2,000円}


静流「私もコールします。」{合計:2,000円}


テーブルには{♠Q・♣K・♣9}が出てきた。


恵「ベット、5,000円」{合計:7,000円}


一城「動いた!?」


硬破「コール」{合計:7,000円}


静流「コールします。」{合計:7,000円}


葵「榛名知事以外全員勝負した。」


4枚目のカードは♦6だった。


恵「チェックします。」


静流「(もうちょっと・・・・・・待ってみる?)」


硬破「コール、5,000円」{合計:12,000円}


静流「待たせてはくれないみたいね・・・・・・コール」{合計:12,000円}


恵「フォールドします。」


最後のテーブルカードは♦2だった。


硬破「ベット、2,000円」{合計:14,000円}


静流「コール!」{合計:14,000円}


赤奈「それでは、カードを開けてください。」


硬破は手持ち{♦A・❤6}テーブル{♠Q・♣K・♦6}のためワンペア

静流は手持ち{♣2・♦K}テーブル{♠Q・♣K・♦2}のためツーペア


静流「勝った!最後まで耐えてよかった!」


しかし、硬破は顔色一つ変えずゲームを続行した。


硬破「次のゲームに行きましょう。」


綾乃「連勝、いい調子ですね!」


合計{茨城県:216,000円・群馬県:184,000円}


3ターン目・・・・・・


恵「ベット、1,000円」{合計:2,000円}


楽太郎「フォールドデ~ス。」


一城「榛名知事さっきからフォールドばっかりしていないか?」


綾乃「そうですね、きっといい手がないのでしょう?」


一城「そうか?俺なら3枚のフィールドカードを見て確認してもいいと思うけど?」


静流はフォールドし、硬破はコールをした。


テーブルには{♦5・♠K・♦10}だった。


恵はコールをしたが硬破はフォールドした。


合計{茨城県:219,000円・群馬県:181,000円}


楽太郎「さっきからいい手がぜんぜんでないデ~ス。」


一城は榛名知事の手札をチラリと見てしまった。


一城「!!」


一城の疑問を抱きつつ4ターン目も5ターン目も榛名知事はすぐにフォールドをした。


一城「(やっぱりおかしい・・・・・・まるで勝負を捨てているようだ・・・・・・)」


5ターン目を終え、インターバルを迎えた。


合計{茨城県:213,000円・群馬県:187,000円}


綾乃「4勝1敗。合計額ではこちらの勝ちですね。」


恵「うん、この調子ならいけるわね。」


3人は喜んでいるが1人だけ喜んでいない男がいる。その隣で静流も同じく難しい表情をしている。


恵「一城知事、どうしたのです?」


一城「俺は・・・・・・向こうが手加減しているように見える。」


綾乃「え?」


葵「どういうことですか?」


一城「3試合目の時の榛名知事のカードを見たんだよ。10と5のツーペアだった。」


綾乃「は!?じゃあ何で勝負しなかったのですか?」


一城「一番は、前半は勝負を捨てて後半で勝負する。」


恵「それに何のメリットがあるのですか?」


一城「まずは油断を誘うこと。現にみんなは喜んでいただろう。」


そういうと恵たちは黙り込んだ。


一城「俺だったら警戒するかな。以外にあの顔が裏の顔で本性はかなり頭の切れる人かもしれないな。」


後半戦が始まった。榛名知事からゲームスタートした。


楽太郎「やっといい手札が来ましたデ~ス。ベット、10,000円デ~ス。」{合計:11,000円}


一城「ついに榛名知事が動いた!」


恵「(10,000円!?いい手札が来たの?)」


恵は自分の手札を見た。♠A・Qだった。


恵「(強い手札だからここは勝負!)コール!」{合計:11,000円}


硬破はフォールドした。


静流の手札は♠5・7。


静流「(フラッシュ狙いでいくか)私はコールします。」{合計:11,000円}


テーブルには{♣7・♠7・♠8}だった。


楽太郎「ベット、プラス10,000円デ~ス。」{合計:21,000円}


恵はコールを宣言した。


静流「私は・・・・・・下りるわ。(1万無駄にしたわね・・・・・・)」


4枚目のカードは♠9だった。


恵「(やった、フラッシュ確定!)」


楽太郎「ふーむ、ではもう1万足しますか。」{合計:31,000円}


恵「(ええ!ストレートフラッシュでも来たの?)」


恵はしばらく考え込んだ。そして、フォールドした。

オープンした結果、榛名知事の手札は♦2・♣5のノーペアだった。


楽太郎「これは付いていますねー」


恵「(やられた・・・・・・)」


合計{茨城県:181,000円・群馬県:219,000円}


7ラウンド目・・・・・・またも榛名知事は10,000円を賭けた。


恵「(今度は大丈夫!)コール!」{合計:11,000円}


硬破はまたもやフォールドした。


静流「私もフォールド。」


榛名知事と恵の一騎打ちとなった。

テーブルは{❤10・♣6・♦5}だった。


楽太郎「うーん、これはチェックですねー」


恵「ベット!10,000円」{合計:21,000円}


楽太郎「分かりました、勝負します。」


静流「(ん?口調が変わっている?)」


5枚目のカードは❤5だった。


楽太郎「んー、1,000円で」{合計:22,000円}


恵「レイズ!10,000円」{合計:32,000円}


楽太郎「レイズ!?よほどの自信があるのですね。」


恵「もう騙されませんよ。簡単に口車には乗せられませんから!」


楽太郎「分かりました。勝負しましょう。」


赤奈「それではカードを開けてください。」


恵は手持ち{♣3・❤7}テーブル{♣6・♦5・♠4}のストレート

楽太郎は手持ち{♠5・♣5}テーブル{❤10・♦5・❤5}のフォーカード


赤奈「勝者、榛名知事!」


恵「ウソ・・・・・・フォーカード・・・・・・」


楽太郎「ふー危なかった。」


合計{茨城県:149,000円・群馬県:251,000円}


恵のチップは1万チップがすべて無くなり残りチップ合計は50,000円になった。

逆に榛名知事の手持ちチップは合計で161,000円とダントツトップになった。


静流「やっぱり、あなたも人が悪いわね。前半はいい手札でも勝負を捨てる。でもそれは相手を油断させるための作戦。後半は逆にいい手札でも悪い手札でも勝負し、相手のチップを奪い取る。」


楽太郎「何のことでしょー私はただの知事ですよー」


静流「もう一つ、あなた本当はストレートが来てビビったでしょう?」


楽太郎「そりゃあビビりますよーレイズまでされたのですから強い手札でしょうから。」


静流「その時危なかったって言いましたよね。あれ、本音ですよね。てっきりノーペアで突っ込んでくるのかと思ったから。思ったよりいい手札だったから。」


その瞬間、榛名知事の顔が険しくなった。


静流「私だったらオールベットしますけどね。だって恵のチップを0にしたらあなたたちの勝ちだったのに。」


デスサイズゲームのテキサスホールデムやポーカーでは4人で行い、10ラウンドで行い合計金額の多いチームの勝ちになる。そしてもう一つルールがあり、誰かひとり持ちチップが0になると、リードしてもそのチームの負けになるルールがある。


静流「いい加減その胡散臭い喋り方、元に戻した方がいいのでは?」


そう静流に言われると榛名知事はひとつため息をついた。


楽太郎「分かりました。ではここから本気で潰しにかかりましょう。」


その声色はどこか怖い低音ボイスになった。


静流「この3ターンで逆転するわよ。恵。」


恵「私の所持チップ5万ですよ・・・・・・」


静流「大丈夫、私に考えがあるの。」


第14話(完)

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