第12話 交流会を終えて

佐賀との試合を制し、友好関係を築いた一城たちは、伊万里市にある鶏料理店を貸し切り、交流会を開くことになった。


大輔「それでは、佐賀と茨城の今後の活躍に・・・・・・乾杯!!」


全員「乾杯!!」


全員グラスを持って乾杯をした。ちなみに男性陣は生ビール。恵と綾乃は未成年のためウーロン茶。ほかの女性陣は全員カシスオレンジを頼んだ。


大輔「いや~敵わなかったよ。さすが一條くんたち強いな。」


白姫「愛原さんでしたか?4回中3回ブラックジャック出しましたし私は結局1勝もできませんでした。」


恵「そんな、マグレですよ。」


一城「マグレで3連チャンブラックジャックなんて出せるわけないだろう!」


恵「そんな、知事怒らなくてもいいじゃないですか~!」


静流「一城、あんた酒に弱いとか・・・・・・」


一城「そんな訳ない!さあ焼き鳥も食うぞ!」


葵「そんながっつかないでくださいよ。」


静流「一城ちょっと荒れているわね・・・・・・やっぱり今日の試合であまり力になれなかったからかな?」


大輔「それは無いと思うよ。彼の戦い方は間違いなく勝つために全力だと思うから心配しなくてもいいよ。」


白姫「それに、ここずっと落ち込んでいた旦那がここまで明るくなっていたのは間違いなく皆様のおかげです。」


静流「彼は単なるお人好しですよ。」


大輔「分かるかもしれない。」


一城「は!?おい静流!何俺の悪口言ってんだ!」


静流「はいはい、酔っ払いはあっち行って。」


大輔「今日はもう遅いから近くの旅館にでも泊まって行ってくれ。」


綾乃「ありがとうございます。」


紗季「今日は盛大に楽しみましょう。皆様の話も聞いてみたいですし。」


こうして、みんなは鶏料理に舌鼓を打ちながら閉店時間まで楽しく過ごしていた。帰り。酔いつぶれ、爆睡している一城は静流と葵に肩を組まれながら店を出て行った。


静流「もう、酔うまで飲んで挙句の果てには寝るなんて・・・・・・」


恵「こんな一條知事見るの初めてですね。」


葵「ほんとう、後のことを全然考えないんですから・・・・・・」


綾乃「タクシーは呼んでおいたのでそろそろ来ると思います。」


恵「三葉さんありがとうございます!」


数分も経たないうちにタクシーがやってきた。乗り込んだ静流たちは予約の取れた旅館に向かった。一城は部屋に敷いている布団に置き、女子は酔いを醒ますためにお風呂に入ることに。


恵「わ~広いお風呂!」


葵「夜だからあまり入りに来るお客様もいないですし、実質貸し切り状態ですね。」


綾乃「黒瀬秘書も来ればよかったのにもったいないですね。」


静流「赤奈さんは一城が起きたときに状況を説明するためにいるって言っていたから後から来るんじゃない?」


4人は体を洗った後、外にある露天風呂に入った。


葵「・・・・・・気持ちいい。」


静流「菱川さん随分色っぽい声出すね。」


葵「色っぽ・・・・・・何言っているのですか!気持ち良すぎて頭沸いたのですか!?」


静流「いつもの毒舌もキレが悪いわね~」


恵「三葉さん・・・・・・」


綾乃「え、なに?」


恵「バストアップ方法を教えてもらえないでしょうか?」


綾乃「ん~よく食べてよく寝ることかな?」


恵「お~なるほど・・・・・・」


葵「本当、運悪い癖に何でそんな無駄に大きい胸をしているのでしょうか?」


綾乃「なんですか、運と胸の大きい小さい関係ないでしょう!!」


静流「(三葉さん相手だと毒舌は好調ね・・・・・・)でもさ、私みんなとこうして戦えて嬉しいよ。」


恵「どうしたのですか、藪から棒に?」


静流「だって私が入社してからずっと最下位のままで勝つこともほとんどなかったのに、今や2連勝。この快進撃を続けていけたのもみんなのおかげよ。」


葵「剣城さん。感謝するにはまだ早すぎませんでしょうか。」


恵「そうですよ、私たちの目標は序列1位なのですから。」


綾乃「2連勝と言わず3、4連勝目指していきましょう。」


静流「・・・・・・うん、そうだね。」


一方、赤奈と一城は


一城「アタタタタ・・・・・・頭が痛い。飲みすぎた・・・・・・」


赤奈「お目覚めですか、一條知事?」


一城「赤奈さん。あれ、ほかの奴らは?」


赤奈「今お風呂に入っています。」


一城「そうか、ということは誰もいないな。」


赤奈「知事?」


一城「・・・・・・くそっ、何もできなかった・・・・・・」


赤奈「そんなことはございません。一條知事はよく頑張ってくれました。」


一城「同情はよしてくれ。強気で攻めて結局勝てたのは最初の1戦だけだった。最後は愛原の強運で勝つことができたけど俺は差を詰めることすら出来なかった。リーダーとして今日の試合はいろいろと課題の残る試合だった。」


赤奈「しかし、勝つことはできました。どんなに汚かろうが綺麗だろうが勝ちは勝ちです。」


一城「・・・・・・ギャンブル恐みたいな回答だな。」


一城の顔色が悪くなった。


一城「・・・・・・悪い、トイレ行ってくる。」


一城は一目散にトイレに向かった。そして・・・・・・


一城「オエ~~~~!!!」


赤奈「(吐いてしまいましたか・・・・・・)」


ドアが開き、浴衣姿の静流たちが戻ってきた。


静流「戻りました。」


恵「黒瀬さん一條知事の様子は?」


赤奈「トイレで・・・・・・吐いています。」


葵「飲みすぎのつけが出ましたね。」


綾乃「これが二日酔い・・・・・・」


次の日・・・・・・


一城「ふわ~俺いつの間に・・・・・・トイレからそのまま布団にダイブしたのか。」


一城は周りを見た。そこには枕が散乱して全員倒れているように眠っていた。


一城「なんでこの状況に・・・・・・」


一城は静流を起こした。


一城「静流、おい起きろ!何があったんだいったい!?」


静流「ん~?あ~一城だおはよ~」


一城「静流?」


静流は一城を押し倒した。


一城「ちょっと待て、何しているお前!周りの人もいるだろ!」


静流「そんなこと気にしないよ、ね?」


静流はおもむろに浴衣を脱ぎだしたが、脱ぐ途中で一城が止めた。


一城「コラッ、女性がそんなことしちゃいけません!」


静流「そう・・・・・・一城は私に興味がないんだ・・・・・・」


一城「そうじゃなくて!」


恵「もう、うるさいですよ・・・・・・」


一城「愛原、助けてくれ!静流がなんか変なんだ?」


恵「静流さんが変・・・・・・ですね。そういえば私のことは下の名前で呼んでくれないのですね。」


一城「そんな、今そんなこと言っている場合じゃ・・・・・・」


恵「ねえ、私を・・・・・・恵って呼んでください・・・・・・」


恵は一城に近づいた。


一城「(どうした、愛原も静流もこんな調子で・・・・・・もしかして2人とも朝に弱いのか!?)」


葵「一條知事・・・・・・」


一城「菱川!愛原と静流がおかしいんだ!何とかしてくれ!」


葵「知事はおモテになってさぞ嬉しいでしょうね。」


一城「菱川?何を言って・・・・・・」


葵の目から涙がこぼれた。


一城「わ~!頼むから泣くな!」


葵「私、女として最低ですよね。いつも毒舌を吐くから男なんて寄ってこないですし、皆さんのことを傷つけていますし・・・・・・」


一城「気にするなって、それがお前の個性なんだから!」


葵「やっぱり知事は愛原さんみたいなかわいい女性が好みなんですか?それとも三葉さんみたいなおっぱい大きい人が好みなのですか?もしくは剣城さんみたいな大人っぽい女性が好きなのですか?」


一城「そ、そんなの決められるわけないじゃないか!」


綾乃「一條知事~会いたかったっ!」


綾乃は背後から一城に抱きついた。


一城「三葉!?(胸当たってる!!)」


綾乃「ねえ、知事。私のおっぱい好きなんだ。変態さんだね~」


一城「違うわ!勝手に話に脚色を加えるな!」


綾乃「私ね~運には自信ないけどおっきいのには自信あるんだ~」


葵「やっぱり、おっぱい星人なんですね・・・・・・」


一城「(ダメだ、菱川も三葉も寝ぼけている・・・・・・)」


静流「コラ~私を放っておいて何話しているのよ~」


恵「知事~名前で呼んでくださいよ~!」


一城「赤奈さ~ん!助けてくれ~!」


明かりがついた。


赤奈「皆様、おふざけが過ぎますよ。」


一城「え、おふざけ・・・・・・」


恵「ちょっと、黒瀬さんばらさないで下さい!」


一城「ばらす・・・・・・ごめん理解が追い付かない・・・・・・」


葵「あのですね・・・・・・黒瀬さんから知事が落ち込んでいるとのことなので誰が知事を元気づけられるか勝負していたのですが・・・・・・剣城さんがいきなりド直球な行動をしたので・・・・・・」


一城「じゃあ、この散乱した枕たちは?」


綾乃「枕投げで勝った人から順番を決めるということにしたのですが、熱中しすぎて誰が勝ったか正直覚えていません。」


一城「お・ま・え・ら~!!」


一城は恵、葵、綾乃、静流の4人を正座させた。


一城「お前らな、もうちょっと自分の身体を大切にしろ!そんなことしても俺は嬉しくない!」


恵・葵・綾乃・静流「ごめんなさい・・・・・・」


一城「まあ、でも。元気づけてくれたのは嬉しかったよ。ありがとう。」


恵「知事・・・・・・」


一城「後さ、愛原が言っていた下の名前で呼べって言うやつ。それは採用しようと思う。」


恵「やった!」


綾乃「なんかチームメイトって感じより家族ってなった感じですね。」


一城「家族・・・・・・そうだな。」


一城のスマホに連絡が、相手は出水からだった。


一城「はい、阿波美知事ですか?」


出水「ごめんね~朝早くから連絡して今大丈夫かしら」


一城「はい、ちょっと待ってください。」


一城はマイクを切り、正座させられている4人に言った。


一城「お前たちは先にご飯食べに行ってこい。俺は阿波美知事との電話を済ませて行くから。赤奈さん、静流たちを食堂に案内してくれないか?」


赤奈「承知しました。」


赤奈は4人とともに食堂に向かった。全員がいなくなったことを確認するとマイクの電源を再び入れた。


一城「はい、お待たせしました。」


出水「保留は30秒まで、これは社会人としての常識よ。」


一城「すいません。ところで話って?」


出水「昨日の試合どうなったかなって?」


一城「無事に勝てました。後、佐賀との友好関係も築けました。」


出水「そうか、両方とも達成したのか。さすが一條くん。」


一城「阿波美知事たちはどうでしたか?」


出水「あ~聞いちゃうか・・・・・・」


一城「え?」


出水「昨日は負けました・・・・・・やっぱり鳥取は強かった。」


一城「負けた・・・・・・本当ですか?」


出水「まあDランクの中で一番強いからね。負けたのもしょうがないよ。負けを引きずっても仕方ないし、来週の埼玉との試合に集中するだけよ。」


一城「俺たちは来週群馬との試合です。初のホームでの試合ですが。」


出水「群馬は・・・・・・知事には気をつけなさいね。」


一城「気を付けてってどういう?」


出水「じゃあ私は唐津知事と電話してみるからこの辺で。」


出水は電話を切った。


一城「俺の質問に答えてくれなかった・・・・・・」


第12話(完)

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