第11話 VS佐賀戦(後編)

佐賀との資金戦「ブラックジャック」で勝負することになった。しかし、12ラウンドが終わり現在、茨城:6万2000円,佐賀:13万8000円となった。


綾乃「ぐすっ、足引っ張ってしまいました・・・・・・」


葵「いつものことではないですか。」


綾乃「・・・・・・・・・・・・。」


葵「あれ、反応が来ない。」


一城「菱川、年下だからってあまり三葉をいじめるなよ。」


恵「一條知事もまあまあひどいこと言ってましたけど。」


一城「・・・・・・・・・・・・。 さ~て次は俺の番だな!」


恵「(逸らした。)」


葵「(話を逸らした。)」


静流「頼むからこれ以上差を広げないように。愛原さんにいい形に繋げられるようにね。」


一城「あいよ、リーダーとしての責務を全うするだけさ。」


一方佐賀サイドでは


白姫「紗季、よくやりました!」


紗季「そうなのですが・・・・・・相手の方が弱くて。」


真帆「確かね、ヒットすればバーストするし。スタンドでも合計16とかだったから楽勝だったかもね。」


祥太「なんで、チップを大量に賭けなかったのだ?」


紗季「あのね、もしものことを考えて大量ベットをしなかっただけですわ。」


インターバルを終え、一條一城知事対唐津大輔知事との知事対決となった。


伊万里「13ラウンド目を始めます。」


一城「1万チップ1枚。」


大輔「5千円チップ1枚。」


伊万里はカードをオープンで配った。一城は♠10。大輔は♠Qとなった。


一城・大輔「(互いに数字が10・・・・・・)」


2枚目のカードを引き・・・・・・引いた瞬間、一城は大輔の表情が少し変わったところを見逃さなかった。


一城「ダブルします。」


大輔「(10でダブル?ということは2か3が出たということか?)僕はスタンドします。」


一城が3枚目のカードを受け取った。


一城「(よし、ダブルが功を奏した!)」


大輔「(一條知事の表情が、変わった?)」


伊万里「それでは、互いにオープンしてください。」


一城「合計21です。」{手札:♠10・❤9・♠2}


大輔「合計、20・・・・・・」{手札:♠Q(10)・♣Q(10)}


白姫「ダブル成功!?」


伊万里「一條知事、ダブル成功により報酬が2倍になります!」


第13戦スコア 茨城:10万7000円,佐賀:9万3000円


静流「まさか、合計21にするために2狙いのダブル選択!?」


葵「バーストしたら2万がパーになりますよ!」


綾乃「一か八かの大博打ってことですね・・・・・・」


静流「でも、この試合でウチが逆転。一城の作戦勝ちってことよ。」


しかし第14ラウンド・・・・・・


伊万里「一條知事、ダブルを選択するも3枚目でバースト。2万チップを大輔知事獲得です。」


第14戦スコア 茨城:7万7000円,佐賀:12万3000円


静流「あのバカ・・・・・・何ダブルでバーストしているのよ。」


葵「味を占めて失敗するなんて恥ずかしいですね。逆転してまた逆転されるなんて」


綾乃「どっかの誰かさんも同じことしていましたよね。」


葵「黙ってもらえないですかね。全敗さん。」


綾乃と葵が取っ組み合いの喧嘩が始まった。


恵「(あ~また喧嘩が・・・・・・)」


大輔「まさかの2連続ダブルですか?随分と強気な策だね。」


一城「当然ですよ。1回勝っても結果で負けては意味がないですからね。それに、強気でいかないと勝てる勝負も勝てないですから。」


大輔「強気でいかないと勝てる勝負も勝てない・・・・・・か。本当にそうだな。」


大輔は首を鳴らした。


大輔「よし、ならこっちもいつまでも逃げ腰じゃあダメばい。」


伊万里「15ラウンド目を始めます。」


一城は1万チップを1枚置いた。


大輔「ここは確実に突き放す。1万チップ2枚!」


伊万里はカードをオープンで配った。一城は♣9。大輔は❤Aとなった。


大輔「(ブラックジャックのチャンス!)」


2枚目のカードを引いた。大輔の表情を見て、一城はここで勝負を賭けた。


一城「(・・・・・・切り札は、見えた!)インシュランスを使用します!」


伊万里「それでは、保険金(賭け金の半額)5千円チップ1枚お願いします。」


一城は保険金である5千円チップ1枚を置いた。


一城「たぶん、ブラックジャックですよね?」


大輔「・・・・・・・・・・・・ふっ、バレちゃったか。」


大輔の手札は❤Aと♦Kとブラックジャックだった。


伊万里「ブラックジャックで賭け金2.5倍ですが、インシュランスが成立したため、デスサイズゲームのルールにより賭け金が0.5倍に変更になります。」


一城「合計で2万5000円ですね。」


大輔「でも、顔に出してなかったけどどうしてバレちゃったんだ?」


一城「なんとなくスけど、いい手が来ると鼻をヒクヒクさせていますよね。」


大輔「え、そうなの?」


一城「さっき首鳴らしているとき鼻をヒクヒクさせていたのが気になったので。もしかとは思いましたが予想的中しました。」


大輔「一條知事すごいね。表情で相手の心を読むだなんて。」


一城「まあ、それが私の長所ですから。」


白姫「この子、ギャンブルの素質ありありですね。相手の表情を見て戦術を考え多少無理でも勝負をする。そして道を開く。」


第15戦スコア 茨城:5万2000円,佐賀:14万8000円


16ラウンド


伊万里「それでは第4戦最終戦を行います。」


一城「1万チップ2枚。」


大輔「同じ数賭けます。」


伊万里はカードをオープンで配った。一城は♦5。大輔は♦Jとなった。


2枚目を配り、


一城「ダブルで。」


大輔「またダブル!?」


一城「最後ですし。」


大輔「私もダブルで行きます!」


伊万里「それでは、互いにオープンしてください。」


一城「合計19です。」{手札:♦5・♠4・♦Q(10)}


大輔「19です。」{手札:♦J(10)・♣8・♠A(1)}


真帆「同点・・・・・・でも18からダブルで行くなんて攻め方変えてきましたね。」


紗季「一條知事に毒されたかもしれませんわ。」


白姫「そうね、でも私は嬉しいよ。今まで弱気な勝負が多かったかから。本気になっているところを見るとね。」


第16戦スコア 茨城:5万2000円,佐賀:14万8000円


一城「悪い、逆転できなかった。」


静流「菱川さんの時のデジャヴ感がすごいね。」


一城「ところでさ・・・・・・集中して全然気付かなかったけど。なんで菱川と三葉はそんなにボロボロなんだ。」


恵「この二人、さっきまで喧嘩していました。」


一城「俺が真剣に試合しているときに・・・・・・お前ら何やってんだ!!」


葵と三葉はその場で正座させられた。


葵・綾乃「申し訳ございません・・・・・・」


一城「いいか、お前らの仲が悪いのは認める。でも今は大事な資金戦なんだ。喧嘩して相手に迷惑かけるのは社会人としてどうかと思うぞ。」


大輔「僕たちは気にしてないけど・・・・・・」


伊万里「それでは、最終戦を始めたいと思いますが。」


大輔「さすがにこの点差で勝つのは難しいよね。どうする、リタイアするかい?」


一城「いえ、俺たちは簡単にリタイアしませんよ。それに」


一城は恵の横に立つと。恵の肩をポンッと叩いた。


一城「彼女がこの状況を打破してくれると信じているので。」


葵・綾乃・静流「(プレッシャーかけてどうするの!?)」


恵「まか、任せて・・・・・・任せてくだしゃい!」


白姫「(とても打破できるような子でもなさそうよね・・・・・・)」


緊張で言葉が震えている恵に一城は耳元でこう囁いた。


一城「愛原、好きなようにやってこい。」


恵「好きなように?」


一城「ああ、負けてもお前のせいにはならない。だからお前の全力で戦ってきてくればいい。」


恵「はいっ。」


恵は一城のアドバイスを聞いた後。


恵「大変失礼しました。もう大丈夫です!」


白姫「一條知事の一言で緊張を解いた!?」


大輔「姫、あと少しなんだ。この試合を耐え抜いて勝とうぜ。」


白姫は頷き真ん中のテーブルに向かった。


伊万里「それでは残り4戦。愛原恵様対唐津白姫様との試合を始めます。」


恵は1万チップ1枚。白姫は千円チップ1枚を出した。


伊万里はカードをオープンで配った。恵は♠K。白姫は❤5となった。


2枚目のカードを受け取った。白姫の2枚目のカードは♠Qだった。


恵「あっ。」


伊万里「どうなさいましたか?」


恵は2枚目のカードをオープンした。カードは


♣Aだった。


伊万里「ブラックジャック・・・・・・成立です。」


白姫「・・・・・・・・・・・・。」


大輔「切り替えていけ!最初だししょうがないぞ。」


第17戦スコア 茨城:7万8000円,佐賀:12万2000円


第18ラウンド・・・・・・


白姫「千円チップ1枚。」


恵「5千円チップ1枚。」


一城「愛原、2連続のブラックジャックがないと予想してベット金額を下げたか。」


静流「私、予想だけどまたブラックジャック出ると思う・・・・・・」


伊万里はカードをオープンで配った。恵は❤10。白姫は♣8となった。


2枚目のカードを配ると。


恵「あの・・・・・・」


恵が引いたカードは、♦Aだった。


伊万里「ブラックジャック成立です・・・・・・」


第18戦スコア 茨城:9万2000円,佐賀:10万8000円(ちなみに500円分は繰り上げになるため1000円になります。)


紗季「2連続!?」


祥太「初めて見たぞ、2連続ブラックジャックなんて。」


真帆「茨城にあんな隠し玉がいたなんて・・・・・・」


白姫「はははは・・・・・・」


大輔「姫!!正気に戻れ!」


一城「まあ、そうなるよな・・・・・・」


静流「なんだか相手の選手が可哀そうになってきたわね。」


第19ラウンド


チップは前と同じチップ額を互いが賭けた。


伊万里はカードをオープンで配った。恵は♠Q。白姫は♠10となった。


白姫「(またブラックジャック・・・・・・の可能性があるわね。質が悪いのはAが出てこないからインシュランスが使えないのよね・・・・・・)」


2枚目のカードを配ると


白姫「(来た、❤A!)ブラックジャックです!」


恵「はい、ブラックジャックです。」


伊万里「ブラックジャック同士のためドローになります。」


第19戦スコア 茨城:9万2000円,佐賀:10万8000円


一城「ブラックジャックのドロー!?」


大輔「相手のハート、強運すぎる・・・・・・」


白姫「(よかった~ブラックジャック出てきて・・・・・・もし出なかったら逆転負けしていたわ・・・・・・)」


伊万里「最終ラウンドを行います。」


第20ラウンド


一城「これで勝負が決まるな。」


葵「でも、金額ではこちらの方が負けています。」


一城「4連続は・・・・・・さすがにないか。」


白姫「ここは・・・・・・やはり勝ち逃げを狙うしかない・・・・・・千円チップ1枚。」


恵「5千円チップ1枚で行きます。」


伊万里はカードをオープンで配った。恵は❤A。白姫は♠Jとなった。


2枚目のカードを配ると。


白姫「来た、インシュランス使います!」


白姫は保険金の千円チップ1枚を出した。(500円は繰り上がるため)


しかし・・・・・・


恵「ダブルで行きます。」


白姫「(ブラックジャックじゃない!?)」


恵は3枚目のカードを受け取った。


白姫「(ダブルということは大した手札ではなかったということか・・・・・・)」


白姫は考え込んでいた。


白姫「(2枚目のカードは5・・・・・・合計で15。ダブルで行くべきか・・・・・・でもバーストしたら負けが確定してしまう。このカードでスタンドしても勝ち目ないし・・・・・・ヒットして様子を見るか・・・・・・どうしよう。)」


白姫はあまりの緊張から頭が真っ白になった。


大輔「め・・・・・・姫・・・・・・姫!」


白姫「はっ!」


白姫は大輔の声で我に返った。


大輔「考えすぎはよくない!確かに考えることも大事だがここは運を天に任せることも大事だぞ!」


白姫「(運を天に任せるって・・・・・・今まで聞いたことのないアドバイスね。でも、ここは直観に任せて)私も、ダブルで行きます。」


白姫はカードを引いた。


白姫「・・・・・・そうか、このカードが来たか。」


伊万里「それでは白姫様からカードを出してください。」


白姫「私は・・・・・・21超えたからバーストよ。」{手札:♠J(10)・♣5・❤10}


伊万里「愛原様、手札を出してください。」


恵「私は14です。」{手札:❤A(1)・❤4・❤9}


白姫「14・・・・・・ということはスタンドしていたら私の勝ちだったってこと・・・・・・」


白姫は椅子にもたれかかった。


白姫「あ~あ、最後まで運は彼女の味方ってことね。」


伊万里「最終スコア、茨城県:11万4000円,佐賀県:8万6000円よって勝者。茨城県!」


静流「恵!お疲れ様。よくここまで頑張ったね。」


葵「正直に言って私たちは誰一人最終的に勝ち越すことができなかった。愛原さんがいなかったら私たちは負けていました。」


一城「今日のMVPは愛原だな。」


恵「いいや、私の力だけではないですよ。一條知事が緊張をほぐしてくれたおかげです。」


綾乃「なんて言ったのですか?」


一城「まあ、内緒だ。」


大輔「一條知事、いや~負けましたけどとてもいい試合でしたね。」


一城「今日はありがとうございました。それと、友好契約のことですが・・・・・・」


大輔「はい、ぜひとも協力させていただきます。これからよろしく!」


こうして、ブラックジャック対決は無事に茨城の勝利で幕を閉じた。


第11話(完)

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