第10話 VS佐賀戦(前編)

大輔との和解も済み、一城たちはカジノルームに戻った。すると、そこには綾乃と赤奈の他にスーツ姿の見知らぬ茶髪のポニーテールの女性が・・・・・・


一城「ただいま。」


赤奈「お待ちしておりました。一條知事。」


一城「三葉、体調は大丈夫か?」


綾乃「ええ、酔い止めの薬も飲みましたのでなんとか。」


一城「(それって普通乗る前に飲むものでは・・・・・・)」


白姫「伊万里さんごめんなさい。ずいぶん待たせちゃって。」


伊万里「大丈夫ですよ。いつものことではないですか。唐津知事がまたすねたのでしょう?」


大輔「げっ・・・・・・」


伊万里「{ニコリ}ですよね。」


真帆「全部お見通しみたいですね。」


祥太「伊万里さんには敵わないな~」


恵「もしかして、この方が佐賀の秘書さん?」


伊万里「はい、今回この試合のディーラーを任されました秘書の伊万里と申します。今日はよろしくお願いします。」


一城「こちらこそ、よろしくお願いします。」


伊万里「では、本日のゲームを行いましょう。ゲーム内容は「ブラックジャック」。1枚目は公開しますが2枚目からは非公開となります。所持金は両チーム10万円ずつ。ルールは1対1で4本勝負。それを5ゲーム続けていき、ゲーム終了後、予算の多いチームの勝ちです。」


伊万里は5枚のカードをくる。


伊万里「まずは茨城の順番決めを行います。1枚目、スペード「剣城様」。2枚目、ダイヤ「菱川様」。3枚目、クラブ「三葉様」。4枚目、ジョーカー「一條知事」。5枚目、ハート「愛原様」この順番になります。」


静流「先陣は私か。」


恵「ラスト私だ!緊張する・・・・・・」


一城「そうか、お前ら今日が初めての試合か。」


葵「剣城さんは経験者だから大丈夫だと思いますが愛原さんは初めての挑戦。しかもいきなりアンカーなんて心配ですね。」


一城「俺は心配していないぞ。だからあまり気負いするなよ。」


伊万里「次に佐賀の順番決めを行います。1枚目、クラブ「鳥栖様」。2枚目、スペード「鹿島真帆様」。3枚目、ダイヤ「鹿島紗季様」。4枚目、ジョーカー「唐津知事」。5枚目、ハート「唐津白姫様」この順番になります。」


静流「・・・・・・鳥栖って誰?」


祥太「俺のことですよ!」


一城「鹿島って・・・・・・2人は姉妹なのかい?」


紗季「そうですわ。」


真帆「私が姉で、紗季が妹よ。」


伊万里「それではブラックジャックを開始致します。第1試合、鳥栖様対剣城様。」


静流「よろしくね、モブ男くん。」


祥太「誰がモブ男くんだ!」


伊万里「チップの額を決めてください。」


祥太「千円チップ一枚。」


静流「5千円チップ1枚で」


一城「(静流は相変わらず強気だな・・・・・・)」


伊万里は互いにカードを表にした。静流は♠9、祥太は♠5となった。


静流の2枚目のカードの手札は❤2だった。


伊万里「ではアクションをお願いします。」


祥太「ヒットします!」


静流「私は・・・・・・※ダブルをします!」


※ダブルとは、賭け金をゲーム開始時の倍にして3枚目のカードを引く宣言のこと。

しかし、ダブルの宣言を行うと3枚目以上のカードを引くことはできなくなり、手札3枚の合計数値で勝負することになる。


静流の3枚目のカードは♠のJだった。


鳥栖は2回ヒットをして、スタンドした。


伊万里「それでは互いにカードをオープンしてください。」


静流「合計21です。{手札:♠9・❤2・♠J(10)}」


祥太「バーストしました・・・・・・{手札:♠5・♣K(10)・❤Q(10)}」


伊万里「静流さん1万×2倍で勝利したため勝ち金2万円分相手から奪います。それと負けた千円チップ1枚と共に出してください。」



静流「合計2万1000円獲得だね。」


スコア 茨城:12万1000円,佐賀:7万9000円


伊万里「続いて第2ゲームを行います。」


祥太「次は絶対に勝つぞ!」


静流「弱い犬ほどよく吠えるっていうけどね。」


祥太「言ったな!その言葉言ったことを後悔させてやる!」


白姫「(やれやれ・・・・・・)」


大輔「(また負けるかもな。鳥栖のやつ。)」


大輔の予想通り次の試合は静流がスタンド2枚で合計18{手札:♦10・♣8}。祥太は3枚目で21を超えてバーストしたため2戦目も静流が勝利した。


2戦目までのスコア 茨城:12万6000円,佐賀:7万4000円


3戦目・・・・・・


静流「今回も5千円チップ一枚。」


祥太「俺も5千円チップ一枚だ!」


伊万里はカードを一枚ずつオープンで出した。静流は♣3、祥太は♠Aが出た。


祥太「(よし、この手ならブラックジャックの可能性も・・・・・・)」


祥太の2枚目のカードは♣2だった。


祥太は真顔で黙った。


伊万里「剣城様、※インシュランスを使用しますか?」


※インシュランスとは1枚目のカードがAだった場合、ディーラーにブラックジャックになるかどうかに対して保険金(賭け金の半分)を賭けるという宣言です。インシュランスが的中すると保険金の2倍額が獲得できます。(ちなみにデスサイズゲームではブラックジャックの賭け金2.5-インシュランス的中2.0=0.5の賭け金。ブラックジャックを出したプレイヤーに渡します。)


静流「使わないわ。ブラックジャックは無いと思いますから。」


祥太「はっはっは!それはどうかな?ブラックジャックかもしれないぞ!」


静流「あの真顔見てブラックジャック出たって言ったら相当なおバカさんね。」


祥太「そっ、それが作戦かもしれないだろう!」


静流「私、保険無しのヒットをするけどあなたはどうするの?」


祥太「・・・・・・ヒットで」


恵「スタンドしていないとのことはブラックジャックじゃないわね。」


葵「それにブラックジャックだったらインシュランスの契約を交わした後に出さなくてはいけないから。」


恵「え、そうなのですか?」


葵「(ほんとう、ルールは無知のくせしてなんで運が強いのかしら・・・・・・)」


恵「{首を傾げながら}ん?」


静流は3枚目のカードを受け取ると


静流「スタンドします。」


祥太「俺もスタンド」


伊万里「それではカードをオープンしてください。」


静流「合計17です。{手札:♣3・♣6・♠8}」


祥太「しゃっ!合計19!{手札:♠A(11)・♣2・♦6}」


静流「あれ、負けちゃった。」


3回までの合計スコア 茨城:11万6000円,佐賀:8万4000円


大輔「やっと勝てたか。」


白姫「全敗するかと思ったわよ。」


祥太「俺の味方誰もいないじゃないか!」


伊万里「それでは、最後のゲームを始めます。」


祥太は泣きそうな表情で


祥太「(伊万里さん相変わらず冷たい・・・・・・)」


静流「最後だし、1万円チップ一枚」


祥太「同じく!」


伊万里はカードをオープンした。静流は♦5。祥太は♠9となった。


祥太「(2枚目は・・・・・・♣4。合計13。ここは一か八か)ダブル!!」


静流「私もダブルで!」


互いに3枚目のカードを取った。


伊万里「それではカードをオープンしてください。」


静流「合計20です。{手札:♦5・❤8・♣7}」


祥太「俺は、21だ!{手札:♠9・♣4・♦8}」


一城「負けた。これで負けたということは合計4万マイナス!?」


4回までの合計スコア 茨城:7万6000円,佐賀:12万4000円


祥太「唐津知事!見ましたか?俺勝ちましたよ!」


大輔「・・・・・・まさか勝つとは。」


祥太「まさかなんて・・・・・・みんなヒドイっスよ・・・・・・」


白姫「次真帆ちゃんの番ね。」


真帆「はい、負けないように頑張ります。」


祥太「俺が稼いだ分無駄にするなよ。」


真帆は祥太の言葉を無視してテーブルに向かった。


大輔「お前も勝ったからって調子に乗るなよ。ブラックジャックなんて運ゲーみたいなものなんだからな。」


祥太「勝ったのにみんな冷たい・・・・・・」


一方茨城サイドでは


静流「ごめん、負けちゃった。」


一城「お疲れさん。まあ最初のターンだし、しょうがないだろ。」


綾乃「知事、剣城さんに甘くないですか?」


一城「そ、そんなことないって!」


綾乃「あっ、大声出さないで・・・・・・頭が・・・・・・」


一城「すまんすまん、まだ体調が完全じゃなかったな。」


葵「しょうがない、剣城さんの尻拭いは私がしますので。」


一城「頼んだぞ、葵。」


伊万里「それでは2回戦、5ターン目からは菱川様対鹿島真帆様との試合となります。」


真帆「千円チップ1枚で。」


葵「もう少し賭けてもいいのではないのですか?」


真帆「煽っても私は乗らないわよ。」


葵「しょうがないですね・・・・・・1万チップ2枚。」


真帆「!!」


葵「どうします?今ならまだ変え利きますよ。」


真帆「・・・・・・そのままでいきます。」


葵「(煽りは失敗ですか。では、勝つしかないですね。)」


伊万里はカードをオープンにして出した。葵は❤K。真帆は♣10となった。


2枚目のカードを捲り互いにスタンドを選択した。


伊万里「それでは、カードをオープンしてください。」


葵「18です。{手札:❤K(10)・♠8}」


真帆「17です。{手札:♣10・♣7}」


恵「ギリギリ葵さんが勝てました!」


葵「(勝てたのはいいけど千円か・・・・・・)」


5回までの合計スコア 茨城:7万7000円,佐賀:12万3000円


6回戦目。5回戦と同じ金額に設定した2人。葵に♦Aが現れた。


伊万里が2枚目のカードを渡した。カードを手元に加えると葵は少し微笑んだ。


真帆「どうしたのですか?いい手が来たのですか?」


葵「ええ、ブラックジャックが。」


真帆「(わざわざ報告するということは・・・・・・きっとイカサマだろう。彼女の目的はインシュランスの保険金もろともすべて奪う作戦だろう。)」


伊万里「真帆様。インシュランスは使用しますか?」


真帆「使いません。」


葵「・・・・・・・・・・・・。」


伊万里「菱川様。」


葵「ありがとうございます。私の手はブラックジャックです。{手札:♦A・♦10}」


真帆「!!」


一城「よし!」


葵「せっかく答えを教えたのに聞かないから。」


真帆「(くっ・・・・・・くやしい・・・・・・)」


伊万里「菱川様。ブラックジャックで勝利したため賭け金×2.5倍。2万5000円と真帆様が賭けた1000円合計2万6000円獲得です。」


6回までの合計スコア 茨城:10万3000円,佐賀:9万7000円


静流「逆転しちゃったよ。」


葵「これで、ハンデは終わりです。本気の勝負と行きましょう。」


第7ラウンド


葵「5千円チップ1枚」


真帆「1万円チップ1枚」


紗季「真帆姉(まほねぇ)勝負に出ましたわ」


祥太「俺が勝った保険が無くなった・・・・・・」


大輔「ここからが正念場だな。」


第7ラウンドこの試合は葵が3枚目でバーストしたため。合計17の真帆が勝利した。


7回までの合計スコア 茨城:9万8000円,佐賀:10万2000円


綾乃「や~い、逆転も1回だけだったわね~」


一城「三葉、楽しそうだな・・・・・・」


葵「次は、絶対に勝ちます。」


第8ラウンド、葵たちの最後のゲームとなった。


葵「1万チップ1枚。」


真帆「私は1万チップ2枚で」


真帆は葵の顔を見て


真帆「まあ、最初はあんな啖呵を切って1枚なんて随分自信なさげなのね。」


葵はにこりと笑顔をみせると。2つの1万円チップを出した。


真帆「そうこなくっちゃ」


一城「(菱川が、相手の挑発に乗った?)」


伊万里は互いに2枚目のカードは渡した。


葵「ダブル。」


真帆「ダブル・・・・・・負けたら倍取られる。」


葵「さて、どうしますか?あなたもダブルにしますか?あ、もしかして根性ないとかですか?」


真帆「・・・・・・スタンドします。」

葵は3枚目のカードをもらった。


伊万里「それでは、カードをオープンしてください。」


真帆「合計18です。」{手札:♣10・♣8}


葵「合計18です。」{手札:♠4・♣6・♦8}


伊万里「同数のため、賭け金をバックします。」


8回までの合計スコア 茨城:9万8000円,佐賀:10万2000円


一城「差額は4,000円ほどか。三葉は本調子じゃないしもう少しリードを広げてほしかったな。」


葵「申し訳ございません。せっかく勝負したのに・・・・・・」


一城「でも、あのブラックジャックがあったからここまで差を詰めることができたんだ。」


葵「ほっ、褒めないでください・・・・・・」


恵「葵さん・・・・・・褒められ慣れてないから反応に困っていますね。」


綾乃「よ~し、せっかく頑張って縮めたのですから私も頑張ります!」


一城・葵・静流「・・・・・・・・・・・・。」


恵「みなさん、綾乃さんをそんな哀れみの目で見ないでくださいよ・・・・・・かわいそうじゃないですか。」


綾乃は涙を流しながら恵に


綾乃「恵ちゃん!あなただけよ私の味方をしてくれるのは~!」


3回戦目三葉綾乃対鹿島紗季戦。


綾乃「(私が、勝って少しでも貢献しないと)」


9回から12回が終わったあと・・・・・・


一城「全敗・・・・・・」


葵「想定内にもこれはひどいですね。」


静流「総額3万6000円の損・・・・・・」


綾乃「うわ~ん!」


伊万里「ここで10分間のインターバルをとります。」


第10話(完)

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