第8話 イカサマを打ち破れ!
前半戦終了後のインターバル。埼玉メンバーの控室では。
洋一「ジョーカーをせっかく渡してやったのに勝てないとはどういうことだ!」
出口「申し訳ございません!まさかAのスリーカードが出てくるとは思わなかったので」
洋一「しかし、ジョーカーの手は全然バレていないようだ。所詮若造よ。大人の世界は勝てばいいのだからね。」
羽場「知事、悪いお方ですね。」
茨城サイドでは・・・・・・
綾乃「え、相手チームがイカサマ!?」
一城「あぁ、あいつらジョーカーを意図的に出しているように見えた。」
葵「たしかに、5戦中4回ジョーカーが出ていますね。そして3回とも埼玉サイドと多い・・・・・・」
一城「それで変だと思いディーラーの柊さんの配っているときの手を見ていたんだ。その時、ジョーカーを出すとき一番下から出していた。回収するときもジョーカーが一番下になるよう手札を集めていた。ジョーカーはどんなカードにもなる切り札。捨てることはまずありえないからね。」
綾乃「それで、ジョーカーをどこから出していたのか見ていたのですね。」
静流「だけど、いくら何でも相手のイカサマが分かったとしても勝負に勝てなければ意味はないわよ」
一城「正直こちらもイカサマをしようと思ったけどあいにくそんな技術も準備もしていない。だからこそ、先週の特訓の成果をここで発揮するんだ!」
恵「つまり?」
一城「菱川、三葉、用意はいいか?」
葵・綾乃「承知しました・・・・・・埼玉サイドの奴らにイカサマの報いを受けてやりましょう。」
静流「3人の目が怖い・・・・・・」
恵「頑張ってくださ~い」
第6ターン
柊がカードを配った。
一城「(ジョーカーは楠知事が持っているな)」
一城が手札を持った手でさりげなく1を出した。
葵・綾乃「(ジョーカー持ちは楠知事!)」
数分前・・・・・・
一城「いいか、2人は自分の仕事に集中しろ。ジョーカー持ちは俺がさりげなく合図を出す。1を出したらジョーカー持ちは楠知事。2は出口さん。3は羽場さん。0は誰も持っていない。これが合図だ。もし、お前らのうちジョーカーを持っていたら溜息をついてくれ。」
葵「いいですけどバレませんか?コイツどれだけ溜息ついているんだってばれたら終わりですよ。」
一城「な~に、あと5ターンしかないんだ。それにジョーカーは向こうに来ることが多いからバレる可能性は極めて低い!」
三葉からゲームが再開した。
柊「それでは三葉様からお願いします。」
綾乃「ベット、5000円チップ2枚。」{賭け金:5,000円×2 合計10,000円}
葵「10000円チップ出せばいいのに、馬と鹿なの?」
綾乃「遠回しに馬鹿って言うな~!」
洋一「早速チーム内抗争が起こっていますね。それで勝てるのですか?」
一城「分かりません。この二人の喧嘩はいつものことですから。」
洋一「レイズ、10000円チップ2枚。」{賭け金:10,000円×2 合計20,000円}
一城「(ジョーカーあるし勝負してきたか・・・・・・俺の手札あまり強くないし・・・・・・)フォールド」{合計1,000円}
出口と葵はフォールドした。{共に合計1,000円}
綾乃「レイズ!10000円チップ5枚!」{賭け金:10,000円×5 合計60,000円}
羽場「・・・・・・俺・・・・・・降りる」{合計1,000円}
洋一「(・・・・・・ここでレイズ。)コール。」{賭け金:10,000円×4 合計60,000円}
綾乃と洋一は2枚チェンジを行った。
洋一「(キングのスリーカード・・・・・・この手なら勝てる。でもここはひとまず・・・・・・)チェックをします。」
綾乃は少し微笑んだ。
綾乃「オールベットで」
綾乃は約17万もある自分のチップを全て賭けた。
一城「は~~~~~!?綾乃、正気か?」
洋一「よほど強い手が出たのだろう・・・・・・私は降ります。」{合計:60,000円}
柊「ノーコンテストにより勝者、三葉様!」
洋一「ちなみにどんな手札でしたか?」
綾乃「はい、ハイカードです。{手札:♣6・♣4・♠10・♦7・♦2}」
洋一「ブタでオールベット!?私が勝負していたら負けているではないか!」
葵「騙されましたね。まさか強い手を持っているのに勝負を捨てるなんてこれ程屈辱的なことはありませんね。」
洋一「(コイツ、強い手だって分かっていた?)」
茨城県:62万6000円,埼玉県:57万4000円
葵「それに今のターンで私たちが合計額を超えました。」
綾乃はドヤ顔した。
綾乃「(やっぱり、どんなに弱い手でも戦略次第で勝つことができる。一條知事の言ったとおりです。)」
一城「(綾乃、楽しそうだな。言ったとおりだろ。ハイカードで勝つのが一番気持ちいいってな。)」
第7ターン
柊がカードを配った。
一城は手でさりげなく3を出した。
葵「(今回は羽場さんがジョーカーを持っているのか・・・・・・)」
洋一「フォールド」{合計:1,000円}
一城「私もフォールドです。」{合計:1,000円}
出口「ベット。1000円チップ1枚。」{賭け金:1,000円×1 合計:2,000円}
葵「レイズ、10000円チップ1枚。」{賭け金:10,000円×1、1,000×1 合計:12,000円}
羽場「コール」{賭け金:10,000円×1、1,000×1 合計:12,000円}
綾乃「フォールド」{合計:1,000円}
出口もコールをした。{賭け金:10,000円×1、1,000×1 合計:12,000円}
3人とも2枚チェンジをした。
出口「チェックで」
葵「ベット、10000円チップ2枚。」{賭け金:10,000円×2 合計:32,000円}
羽場「・・・・・・コール」{賭け金:10,000円×2 合計:32,000円}
葵「あ~あ、コールしちゃっていいのですか?私勝ちますよ。今なら降りても大丈夫ですけどどうしますか?」
羽場「レイズ!3枚だ!」{賭け金:10,000円×3 合計:42,000円}
出口「フォールドします。」{合計:12,000円}
葵「後悔しても知りませんよ。コールします。」{賭け金:10,000円×1 合計:42,000円}
柊「それでは手札オープン!」
葵「私、フルハウスです。{手札:❤A・♠A・♣A・❤Q・♦Q}」
羽場「くっ・・・・・・フラッシュで負けた・・・・・・「手札:🃏・♠3・♠5・♠8・♠K」」
葵「だから勝負しない方がいいって言ったじゃないですか。ジョーカー持っていて負けるとかダサいを通り越して哀れですね。」
羽場「(クソっ、青髪の奴乗せるのがうまい・・・・・・)」
茨城県:72万5000円,埼玉県:47万5000円
控え席では・・・・・・
恵「でもすごいですね。一條知事ジョーカー全部当てていますね。」
静流「私も何とか分かったわよ。あれは相当鍛えた手つきね。あんなイカサマするとは最初は思わなかったわ。」
恵「え、私分からない・・・・・・」
静流「一城の動体視力がおかしいのよ。」
羽場「楠知事、どうしましょう!?50万切りました!」
洋一「くっ・・・・・・」
一城「どうします?あと3ターンありますけどワザと負けてあげましょうか?」
洋一「バカを言うな!最下位県に同情などいらない!」
一城「(少しずつ化けの皮が剥がれてきているな。)」
第8ターンはジョーカーなしの試合で羽場がAとKのツーペアを出し、葵と綾乃から3万ずつ取ることに成功した。
茨城県:63万2000円,埼玉県:56万8000円
第9ターン
一城「(ジョーカーは楠知事か。8ターン目で出さなかったのはずっと出さないようにしているためか。)」
出口「ベット、10000円チップ1枚。」{賭け金:10,000円×1 合計:11,000円}
葵「コール」{賭け金:10,000円×1 合計:11,000円}
綾乃「同じくコール。」{賭け金:10,000円×1 合計:11,000円}
羽場「俺もコール」{賭け金:10,000円×1 合計:11,000円}
一城「コール。」{賭け金:10,000円×1 合計:11,000円}
洋一「コール。」{賭け金:10,000円×1 合計:11,000円}
柊「全員勝負するのは珍しいですね。それではチェンジをお願いします。」
洋一は2枚。残りの5人は3枚チェンジをした。
洋一「出口、羽場。勝負を降りろ。」
羽場「楠知事!?」
出口「どうしてですか?私たちも加勢します!」
洋一「黙れ!これは知事の命令だ!」
羽場「・・・・・・・・・・・・フォールドします。」{合計:11,000円}
葵「ベット。1万チップ2枚。」{賭け金:10,000円×2 合計:31,000円}
出口「フォールドです・・・・・・」{合計:11,000円}
綾乃「う~ん、私もフォールド。」{合計:11,000円}
一城「フォールドだな。」{合計:11,000円}
洋一「コールする!」{賭け金:10,000円×2 合計:31,000円}
柊「それではカードをオープン!
菱川様。ツーペア{手札:♠6・♣6・♠9・❤9・♣2}
楠知事。ストレート{手札:♦7・♠8・♦9・🃏・♣J}
勝者、楠知事!」
茨城県:52万6000円,埼玉県:67万4000円
洋一「ククク・・・・・・勝ったぞ!俺の勝ちだ!これで形勢逆転だ!お前ら最下位県には負けるのがお似合いだな!」
綾乃「埼玉県の知事、性格が変わった・・・・・・」
葵「二重人格の域を超えていますわね。」
一城「でもかわいそうだな。逆転したのは8ターン目で羽場さんが勝ったからなのに。出口さんも5ターン目で勝とうとして負けて怒鳴られるし。」
一城がこぶしを握り締めた。
一城「楠洋一・・・・・・最後のターンで一泡吹かせてやる。」
柊「それでは最後のターンです。」
洋一「このまま降りても構わないけど最後だし勝負してあげましょうか。」
一城「(と言いつつ最後のターンもちゃっかりジョーカー持っていやがる・・・・・・)」
一城が配られたカードを見ると
一城「・・・・・・え?うそ、何この手札?」
洋一「羽場、出口。この試合もフォールドしろ!」
羽場「はい・・・・・・」
出口「仰せのままに・・・・・・」
一城「いくら何でも横暴が過ぎませんかね。楠知事?」
洋一「なんだ、弱い最下位県の知事が出しゃばるところじゃない。」
一城「さっきから最下位県最下位県とバカの一つ覚えみたいに言って・・・・・・」
一城は声のトーンを低くして
一城「いい加減頭にきた・・・・・・」
洋一「怒っても状況は変わらない。お前たちは俺に負けるんだ。」
一城「なあ、俺知っているんだよ。あんたがイカサマでジョーカー出しているの」
洋一「は、イカサマ?フッハッハッハッハッハ!!負けるからって嘘をつくのはやめたまえ。私がいつイカサマしたって?証拠はあるのか証拠は!」
一城「そのセリフ吐く人って主犯が多いんだけど。じゃあイカサマの報いを今ここで受けてもらおうか。」
洋一「報い?何を言っているのかね?」
一城「綾乃、葵、オールベットをしよう。」
綾乃・葵「!?」
洋一「ふっ、勝負を捨てたか!」
一城「捨てた?俺は勝ちに来ているだけさ。それ以外は何もいらない」
洋一「いいだろう、オールベットと行こうではないか!」
何と降りた羽場と出口を除く4人が場にあるチップを全てかけることになった。
柊「それではカードチェンジと行きます。」
葵は4枚、綾乃は1枚チェンジをした。しかし一城は・・・・・・
一城「ノーチェンジで」
洋一「ノー、チェンジ・・・・・・?」
洋一はお腹を押さえながら笑った。
洋一「なんだ、何か仕掛けると思っとったがまさかノーチェンジとはな!こりゃあ面白い!」
洋一は2枚チェンジをした。
洋一「残念だったな。もう君の勝ちはない。諦めてフォールドしたらどうだい?」
一城「洋一さん。あなたの手札では俺の役には勝てないよ。」
洋一「は?」
一城「ノーチェンジには3つの意味がある。1つは勝負を捨てるやり方。2つ目は強い手がすでにあると見せかけるやり方。3つ目は・・・・・・・・・・・・
すでに手札に強いカードがあるということ。」
洋一「どういう意味だ?」
一城「さ~て、どんな結末が待っているのかな?」
洋一「簡単だ。お前たちが負けて場にある60万ほどの大金を私が得るのだ!」
柊「全員コールでよろしいですね。それではカードをオープン!」
葵と綾乃、洋一はカードを出した。
柊「菱川様、ハイカード{手札:♣4・❤7・♠9・♠J・♦A}
三葉様、ハイカード{手札:♦2・♦7・♦9・❤5・♦10}
楠知事、フォーカード{手札:🃏・❤10・♠10・♣10・♣9}」
葵「フォーカード!?」
綾乃「フラッシュでも勝てなかったか・・・・・・」
洋一「一條知事。どうした?出さないのか?」
一城はカードを持ちながら肩を震わせていた。
洋一「もしかして勝てると思ったけどフォーカードの前に恐れをなしたか!フルハウスだろ?」
一城「フフッ、俺の勝ちだ。」
一城はカードを表に出した。
葵・綾乃・洋一「!!」
柊「・・・・・・一條知事の役は ・・・・・・ストレートフラッシュ(ストレートとフラッシュが出たときにおこる約)です。{手札:♠A・♠2・♠3・♠4・♠5}」
洋一「ストレートフラッシュ?嘘だろ?お前、どんなイカサマを使った?」
一城「イカサマでも何でもない、俺の実力さ。一番下の札にジョーカーを隠すような奴にイカサマなんて言われたくないな」
洋一「!!」
柊「総合結果。茨城県:83万6000円。埼玉県:36万4000円。勝者、茨城県!」
一城「勝負ありだ。あんたの敗北はただ一つ、仲間を信頼せず自分の力で勝とうとしたところだ。」
洋一はその場に座り込んで動かなくなっていた。
一城「帰るぞ。1千万貰ったし今日はパーティーだ~!」
恵・葵・綾乃・静流「やった~!」
茨城県ギャンブル課、初陣、初白星。
第8話(完)
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