第7話 茨城初陣
一城たちがリムジンで移動している間。埼玉県庁では・・・・・・
出口(いでぐち)(埼玉県のギャンブル課メンバー)「今日から資金戦ですね。でも、相手があのワースト1の茨城ですよ。あっさり終わってしまうのではないですか?」
羽場(はば)(埼玉県のギャンブル課メンバー)「確か前の剣城知事が自殺して、今は20代前半の男が新知事に抜擢されたという話だぜ。さらにギャンブル課のメンバーも前知事の剣城の娘を除く3人は新メンバーだという話も聞いた。油断禁物だと思うぞ。」
?「な~に、そんなに深く考える必要はないぞ。」
出口・羽場「楠(くすのき)知事!」
やってきたのは序列第44位、埼玉県知事の「楠洋一(くすのき よういち)」である。年齢は60歳で白髪にサンタクロースみたいな髭を生やし、体格はふっくらしている。
洋一「私についてくればどんな試合でも勝つことができる!簡単にあのワースト1に負けることはない。・・・・・・そう、負けなければよいのだ。」
柊「楠知事、茨城の一條知事が到着した模様です。」
洋一「柊(ひいらぎ)秘書ご苦労さん。すぐに向かおう。」
楠知事は出口と羽場を連れ、停まっている水戸ナンバーのリムジンに向かった。
洋一「ようこそ、埼玉県へ。君が噂のゴールデンルーキー一條知事かね?」
一城は一礼をした。
一城「茨城県知事の一條一城です。」
洋一「(若いですね・・・・・・これが最年少知事。)」
楠知事は右手を出し、握手を求めた。
洋一「よろしく。(楽勝ですね)」
一城は応じ、握手を交わしたが手の握力が強く楠知事が叫んだ。
洋一「イデデデ!」
一城「あ、すいません。つい力が。」
一城は手を離した。
楠知事「(このガキ・・・・・・わざと強く握ったな)」
挨拶が終わり、柊に連れられ埼玉県庁に入った一城たち。
静流「あんた、楠知事に何しているのよ。」
一城「ごめん、親父のことを思ったらつい力が入っちゃって。」
恵「埼玉県の知事さん。一條知事のこと睨んでいましたよ。」
一城「わざとって思われちゃったかな。」
柊「こちらになります。」
連れてこられた部屋は資金戦にのみ使われるカジノルームである。
一城「こんな場所があったなんて。」
静流「ウチの県庁にもあるわよ。でもこの部屋が使われるのは資金戦の時だから普段は使われないのよ。」
葵「普段のお手入れはどうなっていますの?」
静流「大丈夫、県庁の清掃員が毎週掃除しているから安心よ。」
綾乃「それなら安心ですね。」
一城「よし、とりあえず円陣を組むか。」
恵「円陣?」
一城「士気を高めるためだよ。みんなは今までそんなことしないか。」
葵「今時円陣なんて組みませんよ。」
綾乃「私やりたいです!」
静流「私も、恵は?」
恵「やりま~す!」
静流「これで反対派はお前だけだぞ。」
葵「・・・・・・やりますよ。空気読めないKY女子にはなりたくないですし。」
一城「赤奈さんも入りましょうよ。」
赤奈「いえ、私は結構です。」
綾乃「まあまあ。」
綾乃は赤奈の腕を掴んで円陣に引きずり込んだ。
6人は円陣を組んだ。
一城「いいか、この試合は俺たちにとって公式戦初試合だ。勝てるとは思えないがせめていい結果で終われるよう6人の力を合わせていこう。俺にとってみんなはウチのA{エース}だ。自信を持っていこう!」
恵・葵・綾乃・静流「お~!」
赤奈「では、行きましょう。」
円陣を放し。5人は向かいの席に座っている楠知事たちの方向を向いた。
一城「お待たせしました。資金戦を始めましょう。」
洋一「では、こちらも始めましょう。」
柊「それでは、僭越ながら私、柊がディーラーを担当いたします。
改めてルールをご説明いたします。資金戦のゲームは3対3の「ポーカー」1ゲーム千円チップ一枚。勝敗は10ターンを行い、終了後に合計チップの多いチームの勝利です。参加費は1ゲーム千円。勝利チームは今回の合計チップ額+勝利報酬千万を差し上げます。それではメンバー決めのトランプドローとさせていただきます。」
洋一「私たちは今回用事でいない2人がいるから。出口くんと羽場くんと私の3人で行かせてもらうよ。」
一城「いいでしょう。」
柊「それでは、ドロータイムといきます。」
ドロータイムとは4枚のAとジョーカーの計5枚のカードの中から上から人数分引き、出てきたマークの選手が出る「デスサイズゲーム」のルールのことである。ちなみに茨城県の担当マークは・・・・・・ハート{愛原恵}・ダイヤ{菱川葵}・クラブ{三葉綾乃}・スペード{剣城静流}・JOKER(県知事){一條一城}である。
柊「一枚目は・・・・・・「JOKER」一條知事。2枚目、「ダイヤ」菱川様。3枚目、「クラブ」三葉様。以上になります。」
一城「よし、やるか。」
葵「三葉さん、せいぜい足を引っ張らないように。」
綾乃「言われなくても分かっているわよ!」
静流「大丈夫か、アイツらで?」
恵「みなさん、頑張ってください!」
静流と恵は後ろの待機席に座り。一城、葵、綾乃の3人は真ん中のカジノフィールドの席に座った。席順は洋一・一條・出口・菱川・羽場・三葉の順番である。
柊「それではゲームを始めていきたいと思います。」
柊は6人のプレイヤーにカードを5枚ずつ配った。
柊「楠知事、アクションをどうぞ。」
洋一「ベット。千円チップ1枚。」{賭け金:1,000×1 合計:2,000円}
一城「コール。」{賭け金:1,000×1 合計:2,000円}
出口「フォールド」{合計:1,000円}
葵「コール」{賭け金:1,000×1 合計:2,000円}
羽場「コール」{賭け金:1,000×1 合計:2,000円}
綾乃「フォールド」{合計:1,000円}
柊「皆様、チェンジをお願いします。」
洋一「1枚チェンジ」
一城「2枚」
葵「3枚お願いします。」
羽場「4枚変えます。」
恵「(マトリョーシカ・・・・・・)」
全員のチェンジが終わり洋一のアクションとなった。
洋一「フォールドで」{合計:2,000円}
一城「ベット、千円チップ2枚」{賭け金:1,000円×2 合計:4,000円}
葵「私はフォールドで」{合計:2,000円}
羽場「コールします。」{賭け金:1,000円×2 合計:4,000円}
手札をオープンした。
柊「一城知事スリーカード{手札:🃏・♠J・♦J・♦9・♠Q}
羽場様ワンペア{♦A・❤A・♣2・♣10・❤K}
第1ゲーム勝者一條知事!合計金額1万4千円獲得です。」
スコア 茨城:61万4000円・埼玉:58万6000円
静流「やった、初戦勝利だ!」
綾乃「よかった、勝てて」
洋一「いきなりジョーカーを引くとは運がいいですな。」
一城「でも最初だけ勝っても後が全部負けたら意味ないですから。それに、もうけも1万円ぐらいですし。」
洋一「そうです。どんなに勝っても最後に大どんでん返しだってあり得る。それがギャンブル、それがこの「デスサイズゲーム」です。」
柊がカードを回収した。その時、一城に違和感が。
葵「知事?」
一城「いや、何でもない・・・・・・」
第2ラウンド
柊がカードを配った。
柊「それでは一條知事からどうぞ。」
一城:ベット千円(1枚)合計:2,000円→出口:コール。合計:2,000円→葵:フォールド。合計:1,000円→羽場:フォールド。合計:1,000円→綾乃:コール。合計:2,000円
洋一「レイズ、1万チップ1枚。」{賭け金:10,000円×1 合計:11,000円}
一城「(ここでレイズ・・・・・・まあ1万あるし勝負してみるか・・・・・・)コール。{賭け金:1,000円×9 合計:11,000円}
出口は降りた。{合計:2,000円}
しかし綾乃はコールをした。{賭け金:1,000円×9 合計:11,000円}
一城「は!?レイズを受けた?」
綾乃「いいカードが出たのでレイズを受けただけですけど?」
葵「(悪い予感しかしない・・・・・・)」
一城と綾乃は3枚チェンジ。洋一は2枚チェンジをした。
一城「ここは一度「チェック{最初のターンの人が使える。次の人にベットを委ねる。}」
洋一「ベット、1万チップ5枚。」{賭け金:10,000円×5 合計:61,000円}
一城・綾乃「5万円分!?」
綾乃「・・・・・・フォールド」{合計:11,000円}
一城「俺もフォールドで。」{合計:11,000円}
柊「ノーコンテストにより楠知事の勝利です。合計獲得金額8万7,000円です。」
2回戦目のスコア 茨城:53万7000円・埼玉:67万3000円
洋一「私の手札はフルハウスです。{手札:🃏・♠4・♣4・❤9・♦9}」
一城「(勝てるわけない・・・・・・俺はワンペアだから{手札:♠A・♦A・♣3・❤5・❤J})」
綾乃「勝てないよ、フルハウスだと・・・・・・」
葵「ちなみに手札は何でしたの?」
綾乃「私はワンペアですけど{手札:♣K・❤K・♣6・❤7・♠8}」
葵「そんなカスみたいな手札でよく勝負しようとしましたね・・・・・・」
綾乃「ムカッ、キングがペアでそろったんだから勝負すべしでしょう!」
一城「おい、公式戦で喧嘩するな!負けは負けだ!」
柊がカードを集めた。
一城「(やっぱり、カードを集めているときに違和感が・・・・・・)」
3ラウンド目は葵が唯一のツーペアを出し、茨城チームが1万8000円勝ちをした。3回戦目のスコア 茨城:55万5000円・埼玉:64万5000円
4ラウンド目は洋一がジョーカー有りの3のスリーカードを出し、2万6000円勝ちをした。4回戦目のスコア 茨城:52万9000円・埼玉:67万1000円
綾乃「せっかくツーペア来たのに!1万2000円負けた!」
葵「下手くそですね。今までの特訓の成果全然ないではないですか。」
綾乃「うるさいうるさい!」
一城「(ここのところ柊知事にジョーカーが来たのはこれで2回目。偶然かもしれないがやっぱり相手の秘書のカードの集め方に何か引っかかるところがあるんだよな。)」
柊「前半戦最後の試合を始めます。」
柊は全員にカードが5まいずつ配られた。カードを配っているところを一城はジッと見ていた。
一城「(次のジョーカーは・・・・・・出口さんか?)」
羽場「ベット。千円チップ1枚」{賭け金:1,000×1 合計:2,000円}
綾乃「フォールドです。」{合計:1000円}
洋一「私もフォールドです。」{合計:1000円}
一城「(ということはやっぱり楠知事はジョーカーを持っていない!)」
葵「一條知事、早くコールかフォールドを選んでください。」
一城「そうだった。コールで。」{賭け金:1,000×1 合計:2,000円}
出口「レイズ、千円チップ3枚!」{賭け金:1,000×3 合計:4,000円}
葵「コールです。」{賭け金:1,000×3 合計:4,000円}
羽場「コール。」{賭け金:1,000×3 合計:4,000円}
一城「コール」{賭け金:1,000×3 合計:4,000円}
・カードチェンジターン
一城と羽場は1枚チェンジ。と出口葵は2枚チェンジした。
羽場「俺は降りる。」{合計:4,000円}
一城「ベット。5000円チップ1枚。」{賭け金:5,000×1 合計:9,000円}
出口「コール」{賭け金:5,000×1 合計:9,000円}
葵「コール」{賭け金:5,000×1 合計:9,000円}
柊「カードオープン!
一條知事、ツーペア{手札:♠6・♦6・♦9・♣9・♦7}
出口様、スリーカード{手札:🃏・❤Q・♠Q・❤A・♣10}
菱川様、スリーカード{手札:♠A・♦A・♣A・♦K・♠J}勝者菱川様!」
葵「無事に勝てました・・・・・・」
出口「負けたのかよ!せっかくジョーカー出たのに!」
柊「これで前半戦終了です。10分間インターバルを取ります。
中間成績は「茨城県:56万2000円,埼玉県:63万8000円」と埼玉県がリードしています。」
一城「(やっぱり。これでトリックが解けた!)」
第7話(完)
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