第6話 作戦会議
前回の試合で阿波美に徳島県との友好関係を築くこととなり、これからの次の試合に向けて作戦を練ることとなった。
出水「じゃあ改めて、茨城県は借金を返したことにより資金は0円。これからの資金源はとりあえず百万貸しておくから。利息を含めて返してもらうね。」
一城「・・・・・・分かりました。ありがとうございます。」
出水「次に資金戦だけど。私たちワースト組は言わずもがな最低ランクのDランクで戦わなくちゃいけないの。」
恵「ちなみにその資金戦ってなんですか?」
出水「デスサイズゲームの中で毎年夏と冬に行われる賞金を集める大会なの。全部で5つのクラスに分けられていてそのうち3チームと戦い、資金を上げるゲームなの。41位から47位、つまり私たちの順位をDクラス。31位から40位がCクラスのように上に行くほどランクが上がっていき、1位から9位をSランク。通称「死神ナイン」と呼ばれているわ。」
綾乃「物騒な名前ですね・・・・・・」
一城「まあ、デスサイズは日本語訳すると「死神の鎌」って意味だからあながち間違っていないだろう。」
葵「Dクラスは私たちのほかにどんな県代表が出るのですか?」
出水「45位の佐賀県。44位の埼玉県。43位の栃木県。42位の群馬県。41位の鳥取県そして、46位の私たち徳島県と最下位の茨城県の合計7チームね。」
海斗「改めて見ても、関東にDランカー多いですね・・・・・・」
出水「じゃあ、どこの県と戦いたい?」
一城「だったら、埼玉と栃木かな。同じ関東には負けない!」
出水「じゃあ私たちは近場で佐賀と鳥取を倒そうかしら。」
一城「確か、申請書を書いて送るんでしたよね?」
赤奈「今まで借金のせいで資金戦に参加することができなかったのですが阿波美知事のおかげで助かりました。」
一城「ありがとうございました。」
出水「うふふ、でももしこの資金をゼロにしたら・・・・・・分かっているよね。」
出水は笑顔で一城の方を向いた。
一城「は・・・・・・はい・・・・・・全力で頑張ります。」
出水「では、私たちはこれで。」
出水たちは机に置いてある申請書を2つ取り、屋上に置いていたヘリコプターに乗り込み去った。
一城は近くの郵便局に申請書を速達で提出した。それから3日が経ち、申請書が3通届いた。
恵「知事!申請書が届きました!」
一城「で、どこの県から届いた!?」
恵「埼玉県からと・・・・・・群馬県から挑戦の申請をいただきました!」
一城「群馬からか・・・・・・受けるということで大丈夫か?」
恵「あと・・・・・・佐賀県から・・・・・・」
一城「え、栃木じゃなくて佐賀?佐賀は阿波美知事の担当だろ? 」
一城は教えてもらった出水の番号に電話をした。
出水「はいはい、一條知事ですかい?」
一城「どういうことですか!何で佐賀から挑戦受理の紙が届いたのですか?」
出水「いや~実は私が持って行った申請書が鳥取と栃木だったのよ・・・・・・佐賀と間違えて出しちゃった・・・・・・てへっ!」
一城「てへじゃないだろ!知事がそんな初歩的なミスをしちゃダメだろ!」
出水「そんなことでいがらんでもいいでしょう。」
一城「いがらん?徳島弁ですか?」
出水「阿波弁で怒鳴るなってこと。そ・れ・に、忘れてない?反論はするなって。」
一城は前回の試合で負けたことにより反論するなという命令が下されたのであった。
一城「そうですね・・・・・・分かりました。」
一城は電話を切った。
出水「{二ヤリ}計画通り。」
海斗「悪い顔ですね・・・・・・」
出水「佐賀も今大変な状態なのよね。そこでワースト1の力を見せてくれれば変われると思うの。」
出水の思惑通りだというのに気づいていない一城たち茨城県チームは来週の埼玉戦に向けて作戦を考えていた。
一城「よし、来週は俺たち茨城県の初陣だ。そのためにはやっぱり作戦を練らないといけない。」
葵「そうですね。しかし、今の私たちの実力ではボロクソにやられて一文無しになるのは火を見るよりも明らかですからね。」
一城「菱川はキツイことを堂々と言えるな・・・・・・」
綾乃「だったらどうするの?私の運の悪さは折り紙付きだし・・・・・・」
一城「そこは大丈夫だ。」
静流「大丈夫って・・・・・・」
一城「まず、愛原と静流はとにかく強い役職を作ることを重点的に考えろ。あとは、愛原はいい役職が出たからって喜ぶのは無しだ。それでバレてせっかくのチップチャンスを逃したら意味ないからな。それほどお前の強運は大事な戦力なんだ。その能力を生かすも殺すもお前の表情にかかっているんだ。」
恵「そこまで言うのですか?」
一城「次に菱川だけど、お前はその毒舌を最大限に生かせるよう相手を挑発していけ。」
葵「私って毒舌ですか?」
一城「自覚ないんだな・・・・・・でもそれで怒って相手のペースを乱すのは大事なことなんだ。大体どのチームにも短気な奴は1人いると思うしな。」
葵「そう、ですか?」
一城「最後に三葉、お前が来週までにやっておくべき課題は・・・・・・」
綾乃「課題は・・・・・・」
一城「ズバリ、演技力だ。」
綾乃「演技力!?」
一城「そうだ、幸い三葉はまだ不運の持ち主だって思われていない。だからこそその能力を逆手に取るって寸法さ。」
静流「ウチのメンバーにもかつていたけど運の悪さは演技力でカバーしろってね。」
綾乃「演技か・・・・・・できるかな?」
一城「「切り札は自分で作れ」ってね。その演技力を使えばたとえハイカードでも勝つことができる。ハイカードで勝つのは強い役職で勝つよりも気持ちいいぞ。」
綾乃「分かりました。演技力を鍛えます!」
一城「よし、残り一週間。それぞれの武器を作って鍛えるように!」
恵・葵・綾乃・静流「はい!」
こうして、ギャンブル課のメンバーはそれぞれの武器を作り上げるために特訓を開始した。
{恵と静流でポーカー模擬戦}
恵「こ、この手札!」
静流「恵、声に出ているぞ!」
恵「あ、ごめんなさい!」
{葵と綾乃で模擬ポーカー戦}
葵「私はレイズで1万チップ3枚。もしかして掛けられない?まあいいけど、このままいけば勝てそうだし♪」
綾乃「何!?だったらやってやろうじゃないの!{3万円分賭けに乗る}」
赤奈「三葉様、挑発に乗ってはなりません。」
綾乃「しまった、つい・・・・・・」
葵「でも私、フルハウスですし{手札:♠J・♦J・♣J・♣4・♠4}」
綾乃「・・・・・・ハイカード{手札:❤3・❤5・♠K・♣Q・♦9}」
一城「まあ・・・・・・いきなりうまくなるわけないか・・・・・・」
赤奈「ところで一條知事。資金がある程度たまりましたら修繕費などにお金をかけることをお願いしたいのですが。」
一城「そうか、そういう指示をするのも知事の仕事か・・・・・・確かに、街はさびれているし、借金の返済のためにお金を使っていたから県民の給料も上がらないしな。埼玉の連中から金をたんまりふんだくってやる!親父の敵討ちでもあるしな。」
赤奈「では、知事。そろそろ大量の資料を済ませてはもらえないでしょうか?」
一城「ん? あ~!忘れていた!知事の仕事を!」
そして、資金戦初陣の日。ギャンブル課のメンバーは朝早くから茨城県庁に集合した。
一城「す~は~{深呼吸}」
静流「一城、震えているけどもしかしてビビっているの?」
一城「まさか、これは武者震いだ。それを落ち着かせるために深呼吸しているだけだ!」
恵「私たちの力を全国に知らしめる初めての試合ですからね。」
葵「100万もって一文無しになったら私たち本当の金食い虫になってしまいますからね。」
綾乃「葵さん。そんな物騒なことを言わないで!」
赤奈「では、皆様揃いましたでしょうか。今から埼玉県庁に向かいます。」
ギャンブル課一同「おお!」
一城「ところでさ、移動手段はどうするの?ヘリ?」
赤奈「私たちの資金でそのような高価なものは買えません。なので、あちらのリムジンをご用意しました。」
赤奈の用意した車は白色のリムジンであった。
恵「すご~!リムジン乗るの生まれて初めて。」
綾乃「中にテーブルがありますね。」
一城「つまり、移動中にでもポーカーの勉強をしろってことか・・・・・・」
赤奈「運転は私が致します。それでは皆様、ご乗車を。」
ギャンブル課一同はリムジンに乗り込み埼玉に向けての移動が始まった。
一城「とりあえず、特訓の成果を見せてもらうためにポーカーで勝負するか。」
恵「いいですね。」
一城「じゃあ俺からディーラーをするぞ。参加費は1ゲーム千円チップ1枚だ。」
一城は自分を含む5人にカードを5枚ずつ配った。そして全員、ゲーム開始用に参加費の千円チップを1枚テーブルに置いた。全員自分の手札を見ながら。
一城「(・・・・・・この手札で勝てと。)」
恵「(あ、いい手。いかんいかん顔に出ちゃう)」
葵「(この手札なら勝てるかも、でも愛原さんが脅威ね・・・・・・)」
綾乃「(え~ペアがない・・・・・・いつものこと、いつものこと)」
静流「(・・・・・・・・・・・・。)」
一城「俺は下りる。フォールド」{合計:1,000円}
静流「ベット、1万チップ2枚。」{掛け金:10,000円×2 合計:21,000円}
葵「コール。」{掛け金10,000円×2 合計21,000円}
綾乃「フォールド。」{合計:1,000円}
恵「そうか・・・・・・ なら・・・・・・」
恵は1万チップを5枚取った。
恵「レイズ、1万チップ5枚。」{掛け金10,000円×5 合計51,000円}
葵・静流「(は?この子正気?)」
葵「・・・・・・フォールド。」{合計21,000円}
静流「私は乗るよ。」{掛け金10,000円×3 合計51,000円}
カードチェンジのターンになった。
恵「私ノーチェンジで」
静流「はい!?」
恵「静流さんどうぞ。」
静流「・・・・・・2枚チェンジで。」
恵はベットで1万チップ2枚を出し、静流はその賭けに乗った。{掛け金10,000円×2 合計71,000円}
静流「私、ツーペア{手札:❤Q・♦Q・♣7・❤7・♦・5}」
恵「私、フォーカードです。{手札:❤A・♣A・♠A・♦A・♠K}」
一城「初手フォーカード!?」
葵「降りてよかった・・・・・・」
静流「すごい運だよお前は・・・・・・」
葵「挑発をもはねのけてしまうほどの強運ですね。」
恵「イエ~イ、私の勝ち!合計16万5000円ゲット!」
静流「今のゲームで7万1000円失った・・・・・・」
一城「一人所持金20万しかないんだから大切に使えよ。」
葵「もしかしてルール理解していないのですか?」
静流「理解しているわよ!これはあくまで模擬戦なんだから。 愛原ちゃん。もう一回勝負よ!」
恵「はい!」
次の試合はスリーカードで静流が勝った。総額は1万3000円勝ちとなった。
次のターン、ディーラーの葵は自分を含む5人にカードを5枚ずつ配った。そして全員、ゲーム開始用に千円チップを1枚テーブルに置いた。
葵「・・・・・・フォールド。」{合計:1,000円}
綾乃「ベット、5000チップ1枚。」{掛け金:5,000円×1 合計:6,000円}
恵「フォールドで。」{合計:1,000円}
一城「(愛原が珍しく降りた!)なら、コール。」{掛け金:5,000円×1 合計:6,000円}
静流「コール。」{掛け金:5,000円×1 合計:6,000円}
綾乃と一城は1枚、静流は3枚チェンジした。
綾乃「(これは・・・・・・勝てる。)」
綾乃は1万チップを2枚とる。
綾乃「ベット、1万チップ2枚。」{掛け金:10,000円×2 合計:26,000円}
一城「コール、乗った。」{掛け金:10,000円×2 合計:26,000円}
静流「フォールド。」{合計:6,000円}
一城の手札はストレートだった。{手札:♠3・♣4・♠5・🃏・❤7}
綾乃「私の勝ちだ!」
一城「嘘っ!?」
綾乃「はい、クローバーのフラッシュ{手札:♣A・♣8・♣J・♣2・♣K}合計金額6万もらいです!」
葵「三葉さん、ここで運使ってどうしますの?本番で運を空っぽにしたら役立たずと変わりないですよ。」
綾乃「勝ったのに何その言われよう!」
第6話(完)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます