第5話 新たな出会い


 一ヶ月もあれば、人は変わる。

 新しい環境であればなおさら。



 

 クラス委員などの係も決まり、先輩達が部活の勧誘している声が聞こえ始めた高校生活一ヶ月を過ぎたころ。


だんだんと過ごす時間が長くなっていった太陽の光を浴びる廊下を移動する。


いつも通り、あちこちで聞こえる会話を無視しながら、桜葉のいる教室に少し顔を覗かせる。







 そこにあったのは俺にとって初めて見るかもしれない光景だった。

それは本当に普通に何気ない高校の風景なのに、目を奪われた。

 


 ああ、出来たんだね。 柚菜にも。




 見たのは机に座っている桜葉がクラスの子に話しかけられていたところだった。


桜葉が普通の会話をしている。

係とかの業務連絡みたいな内容じゃない(たぶん)。


「少し見ていたな」という気持ちが一瞬出たが、桜葉の邪魔をしないように立ち去る。





 小学生の頃は周りと喋らなかった。


中学になった時は一年で俺とクラスが一緒になった。

同じ学校の人は柚菜が喋らないことを知っているし、俺もいたからか喋りかける人はいなかった。


正直、俺がいなければ状況が変わったのではないか?

と、後からだが思うこともあった。


俺は自分から話しかけるような人じゃない。

桜葉も同じだった。



 でも、桜葉に話しかけてくれる人が出来た。


それは自分のことのように嬉しかった。

勝手に申し訳なく思っていたから。



 桜葉のことだから「俺が待ってるかも」と思うかもと考えた。

「用事があるから、先に帰るね」と連絡しようかとも思った。


だが、その優しさは今はあの二人の邪魔にしかならない。





 外に出ると、太陽の光はまだこの街を照らしていた。


いつもならちょうど真正面に来た時は眩しくて邪魔だと思うこともあるが、今日は堂々と浴びていた。


 俺の気持ちは太陽のように晴れやかだった。







柚菜視点


 「うん、また明日」


わ、私、ちゃんと話せてた……かな?


最初に出てきたのは話しかけられた喜びではなく、ちゃんと会話が出来てたかの不安だった。

同年齢の人と話すのは君島くん以外ほとんどいないから、久しぶりになる。


それに話したといっても、相槌を打って、聞かれたことに答えていただけ。

会話も他愛ないこと。


ほとんど聞いているだけだったけど、相手は楽しんでいた。

ように見える。


私は楽しかった。




昇降口まで会話しながら来たけど、君島くんは見当たらなかった。




 きっと、君島くんのことだから気を使って先に帰ってくれたのだろう。




 何年ぶりかの一人の下校なった。

 














あとがき


二人の名前です。

主人公の男の子が君島きみしまくんです。

女の子が桜葉さくらば柚菜ゆずなちゃんです。


二ヶ月ぶりの更新となった五話でした。

お読みいただきありがとうございました。



このお話なんですが更新頻度でお察しのとおり、モチベが浮き沈みして進んでいます。


なので書き方が違ったり、おかしなところがあったりします。


あまりにも目に余る場合は応援コメントなどのどこかに書いていただけると幸いです。

(目に余るところしかないと思いますが)


では、失礼します。
















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