2年生編第23話(第48話)「修学旅行2日目」
修学旅行二日目、今日はホテル近くのスキー場でスキーをすることになった。勉たちの班で集合してスキーを始めることにしたが。
勉「ぎゃっ!」
勉はスキーの練習中にすべってしりもちをついた。
寝待「はっはっはっ!お前が苦戦のを見るのは気持ちがいいものだな!」
勉「お前、わざと適当に教えてないか。」
寝待「……何言ってんだ。そんなわけないぞ。」
少し棒読み感があったのが気になったが・・・・・・寝待の言葉を信じることにした。
勉「もう一回だ。寝待頼む。」
勉は再び立ち上がった。そして、別のところでは・・・・・・
華「きゃっ!」
華もすべってしりもちをついた。
ミミ「大丈夫ですか。」
華「スキー難しいね。ミミちゃん。もう一回お願い!」
ミミ「承知しました。」
華もミミに指導されながら練習していた。
華「アタタタ・・・・・・また転んじゃった。」
団子「頑張るね~スキーやるのも今日だけなのに〜」
華「だって滑れたらかっこいいじゃん。それに、冬休みとかに一緒にスキー行けたらなって思って。」
団子「なるほど〜先のことを考えているわけか。」
華「だからこうして最低限滑れるように頑張っているけれど……ギャ!」
とても女性が発する声ではない声をあげて華はまた尻もちをついてしまった。
ミミ「一度休憩致しましょう。」
華「ありがとう……イタタタ……お尻が……」
華は痛くなったお尻をさすりながら休憩所のロッジに向かった。
華たちがロッジに入ると中に勉と寝待が同じように休憩していた。
華「あれ、勉と果報くんだ。」
勉「華、みんなも休憩か?」
ミミ「はい、百合根様がスキーで尻もちをついてしまい……」
華「キャー!ミミちゃんストーップ!」
寝待「恥ずかしがらなくても、勉も同じようなもんだぞ。」
勉「どうも上手くいかなくてな。スキーって難しいな。」
ミミ「真面野様にスキーを教えているのは果報様なのですか?」
寝待「一応経験者なんで。」
団子「ちょっと〜それ初耳なんだけど〜」
寝待「言う場面ねえだろ。」
団子「じゃあ私にスキー教えてよ。」
華「あれ、さっきまでやる気無いって言ってたのに?」
団子「急にやる気が出たので〜」
寝待「悪いな、今日は勉の講師としてやるつもりだから。」
団子「え〜せっかくやる気だしたのに〜」
その時、勉と華は顔を見合わせた。
勉「寝待、僕のことはいいから団ちゃんにスキー教えてやってくれないか?」
華「うん、それがいいと思う。」
寝待「そうか、悪いな。」
寝待は団子を連れてスキー場に戻って行った。
勉「さて、僕たちもそろそろスキーに戻るか。」
華「うん、そうだね。」
しかし、そんな平穏な日常は終わりを迎える。複数の男子生徒が華の下に集まったのだ。
男子生徒A「百合根さん。俺がスキーを教えますよ!」
男子生徒B「いーや、俺が教えます。」
華「えっ、いや私……」
外から勉とミミがその様子を見ていた。
勉「うわ……中に入れない……」
結果、華は男子生徒に教えてもらうことになり、ロッジを出てしまった。
勉「……せっかく会えたのに行っちゃった。」
ミミ「タイミングが悪かったですね。」
ミミはこれからどうしようと考えていたら。
勉「壁山さんもスキー滑ったら?」
ミミ「え、ですが……」
勉「僕のことは気にしなくていいからさ。」
ミミ「承知いたしました。」
ミミはその場を去ろうとした時。
勉「そうだ、画竜なら今初心者コースで脛梶にスキー教えてると思うから。」
ミミ「!」
ミミは勉にお辞儀をした。ロッジを出た時のミミの足取りが軽やかになった気がした。
勉「さて、僕もそろそろ初心者コースに戻るかな。」
?「じゃあ私と一緒に滑ろうよ。」
後ろの声に気付き振り返ると、水色のジャケットを着た蓮乃の姿が。
勉「中泥さん!?なんでこんなところに。」
蓮乃「私も休憩していたの。まさかこんなところで会えるなんて偶然だね。」
勉「うん……本当偶然。」
勉は昨日の蓮乃の話を聞いたせいか目を合わせづらくなっている。
蓮乃「なんで目を逸らしているの?」
勉「いや、別に。」
蓮乃「さ、早く行こうよ。」
勉「ちょっと待て!中泥さんと一緒にいた人たちはどうしたんだ。」
蓮乃「みんな別のところに行ったわよ。」
勉「そうか、でも。僕は一人で滑るから気にしないで。」
と勉はロッジを走って出ていった。
蓮乃「あれ……私、避けられている?」
勉は初心者コースに戻っていった。
勉「はぁはぁ……なんとか撒いたか。中泥さんに罪はないけど一緒にいたら何されるか分からないし、このところを華にでも見られたら……」
勉は頬を叩いて気合いを入れ直した。
勉「(周りに誰もいない。久しぶりに一人になったな)」
勉が高校に入るまでは一人でいるのが当たり前になっていた。しかし、今はたくさんの仲間に恵まれていたので一人が寂しいと初めて思ったのだった。その後、勉は一人でスキーの練習をしていたのであった。
夕方4時になり生徒が続々と宿舎に戻った。
寝待「あれ、勉まだ帰ってないのか?」
練磨「珍しいな、勉が時間通りに戻ってこないなんて。」
乱麻「班長がいないと連帯責任になるかもしれないし、手分けして探すぞ。」
点睛「あの、寅之助様はスキーで体を痛めていまして・・・・・・」
練磨「うっす、じゃあ4人で探すか。」
4人は手分けして勉を探し始めた。しかし、勉はすぐに発見された。初心者コースは宿舎の近くだったため、そこに探しに行っていた点睛が見つけた。
点睛「おい真面野、もう時間だぞ!」
勉「画竜、もうそんな時間か?」
点睛「どんだけ集中してんだよ。早く帰るぞ。」
勉「ごめん、すぐに戻るよ。」
勉はスキーを滑って宿舎に戻った。
点睛「(そういえば、真面野。今日スキー初めてだよな。普通に滑れるようになっているな。)」
勉「そうだ画竜。壁山さんそっちに来たか?」
点睛「おう、お前が俺のいるところを教えてくれたんだよな。」
点睛は軽く会釈をした。
点睛「あんがと。」
勉「画竜・・・・・・お前いいやつだな。」
点睛「うっせえ、寅之助様たち待ちわびてるから早く行くぞ。」
勉たちは無事に時間ギリギリで集合することができた。晩ご飯が終わった後、勉たちは入浴することに。
寅之助「全く、リーダーが遅刻とか大丈夫かね~」
乱麻「さっきまで動けないやつが何言ってんだ。」
寝待「そういえば画竜から聞いたけど勉、スキーできるようになったんだよな。」
点睛「真面野、一人で初心者コースの端で練習してたんだよ。」
勉「うるさいな・・・・・・出来たから別にいいだろ。」
練磨「なんで俺たちに話さなかったんだよ。一緒に滑ることもできただろうに。」
勉「ごめん。」
寝待「勉、中学の時に戻ってるじゃないか。」
勉「そうだな。初めて一人がさみしいって思ったよ。」
寝待「勉・・・・・・やっぱ昔とは違うな!それと、一人がイヤなら俺たちを呼べ!遠慮すんな!」
勉「うん、ありがと。」
一方その頃、女湯では華たちも入浴していた。
華「はあ・・・・・・ひどい目に遭った。」
ミミ「あの男子生徒の集団と時間いっぱいまでスキーをしていたのですね。」
華「そうだよ・・・・・・おかげでスキーは上手くなったけど。」
団子「災難だったね~」
華「メアリーちゃんたちは何していたの?」
メアリー「私は能美ちゃんとリフトに乗ったりしました~!」
能美というのは同じグループの鷹爪能美のことだ。ボブロングのベージュ髪につり目が特徴の生徒だ。A組ではあまり目立たない子ではあるが・・・・・・
能美「メアリーさん、常にハイテンションでずっと日光を浴び続けている感じだった・・・・・・」
団子「ミミちゃん。ずっと一緒にいて大変だったでしょ~」
能美「ほんと、壁山さんよく着いてこれたわね。」
団子「確かに~お嬢様の御守は大変だろうね~」
メアリー「私のこと赤ちゃんだと思っていません!?」
三八「それに近しいところはあるけど・・・・・・危なっかしいし。」
メアリー「も~三八ちゃん!!」
そんな感じで話しているとブクブクと泡立つ音が聞こえた。よく見ると湯舟の端いる子が湯舟に浮いていた。
華「大変!誰かが浮いている!」
華は急いで端まで向かった。そこで浮いていたのは・・・・・・
華「中泥さん!?」
華は蓮乃を抱え脱衣所に向かった。バスタオルを巻いてバスタオルを敷いてそこに蓮乃を寝かせていた。
華は団扇を仰いで熱を冷ましていた。
団子「スポーツ飲料買ってきたよ~」
メアリー「厨房から氷貰ってきました!」
能美「どう、中泥さんの様子は?」
華「うん、熱は大分引いたと思うけどまだ目を覚ましていないのよね。」
三八「そう・・・・・・ところで華ちゃん。いつまでその状態でいる気?」
華「?」
華は素っ裸の状態で看病していたのだ。自分の今の姿を見て思わず、大事なところを腕で隠していた。
ミミ「着替えを用意します。」
団子「全く破廉恥な・・・・・・」
華「団ちゃん!!」
華は旅館の浴衣に着替え、蓮乃にスポーツ飲料を少しずつ飲ませながら看病を続けた。数十分後、蓮乃はゆっくりと目を開けた。
蓮乃「あれ・・・・・・ここは・・・・・・」
華「よかった、目が覚めた。」
蓮乃「あれ・・・・・・百合根さん。何でここに?」
華「中泥さんお風呂でおぼれていたのよ。」
蓮乃「お風呂・・・・・・あっ、そうだ。私考え事してて。」
華「考え事?」
蓮乃「・・・・・・百合根さん。相談があるの。」
華「相談?」
蓮乃「とりあえず、着替えさせてくれないかな?」
蓮乃は浴衣に着替え、休憩室に向かった。二人は椅子に座った。
蓮乃「実は私、B組の真面野くんのことが好きなんだ。」
華「う、うん・・・・・・」
華は昨日の話を聞いていたため、華はすでに分かっている。
蓮乃「それで今日。ロッジにいた真面野くんを誘ったのですが、避けるように出て行ったの。もしかして、私嫌われること言ったかなって思って。」
華「・・・・・・さあ。でも勉くんはそんなことで嫌われたりしないと思うけど。」
蓮乃「え・・・・・・百合根さん。名前で呼んでるの?」
華「うん。同じ生徒会だからみんな下の名前で呼んでるんだよ。」
蓮乃「そっか、真面野くん生徒会だったよね。じゃあお願いがあるんだけど。明日、真面野くんと二人きりになるよう協力してくれないかな?」
華「え、何で!?」
蓮乃「明日は長野で自由行動だよね。班行動が終わった後でいいからお願い!」
華「え・・・・・・えっと。」
蓮乃「ダメ・・・・・・かな?」
華「いや、ダメではないけど・・・・・・。」
蓮乃「じゃあお願いね!」
蓮乃は立ち上がって駆け足で休憩室から出て行った。
華「あ、中泥さ・・・・・・行っちゃった。」
華は休憩室に一人になってしまった。その後、メールが来た。
華「あ、勉からだ。」
勉のメッセージは勝手口に来てくれとのことだった。
華「しょうがない・・・・・・勉にこの事を話すか。」
華は裏の勝手口にいる勉と合流し、蓮乃に言われたことを話した。
勉「そうか・・・・・・中泥さんがそんなことを。」
華「ごめん、本当は断りたかったけど秘密のこともあるし言えなくて。」
勉「ううん。こっちこそゴメン。秘密にしなければこんな事にはならなかったから。」
華「どうしよう・・・・・・中泥さんに本当のことを話すべきか・・・・・・」
勉「・・・・・・なら、僕が本当のことを言おう。」
華「え!?」
勉「だってこのままだと中泥さんに悪いし。」
華「それは・・・・・・そうだけど。でも、今言って中泥さんがやけを起こしてみんなにばらすこともあるだろうし。」
勉「ほかにいい方法がないのか・・・・・・」
華「なら、明日は中泥さんに付き合ってあげて。」
勉「え!?でもそうなると華とは・・・・・・」
華「長野ぐらい別の日に一緒に行こうよ!」
勉「そうか・・・・・・分かった。そうしよう。」
こうして明日の自由行動は蓮乃と行動することになった。はたして、3日目やいかに・・・・・・そしてこの男も。
寅之助「(明日、百合根嬢に告白・・・・・・一世一代の大勝負だ!)」
第48話(完)
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