2年生編第22話(第47話)「トラブルトラベラー」
前回のあらすじ、双子沢学園高校は修学旅行で長野に行くこととなった。ところが勉と蓮乃は人助けをし、集合時間に大きく遅れてしまった。そこで、追いかけて新幹線に乗り、無事に名古屋駅に着いたものの・・・・・・
蓮乃「まさか電車が止まるとはね・・・・・・」
勉「僕たちが名古屋駅に着いた直後に線路に大木が倒れて復旧するまで時間がかかるって・・・・・・タイミング悪いな。でも、先に行った人たちに影響なくてよかったよ。」
2人は名古屋駅内のベンチに腰かけていた。
勉「どうするか。このまま待つのもいいが、いつ終わるか分からないからな。」
蓮乃「え~せっかくの修学旅行なのにそんなのいやだよ~」
勉「でも、ほかに方法がないしな・・・・・・いや待てよ。」
蓮乃「どうしたの?」
勉「時間はかかるかもだけど高速バスで行くことならできるのじゃないか。」
蓮乃「高速バス・・・・・・そうだその手があった!さっすが成績優秀者!」
勉「別に、そのくらい考えて当然のことだよ。」
蓮乃「よし、善は急げ。バス乗り場に向かおうよ。」
勉「そうだな。」
こうして2人はバス乗り場から長野行きの高速バスに乗ることに。バスに乗りこんだ2人は並んで席に座った。キャリーバッグはバスの荷物入れに入れてもらった。
蓮乃「ハプニングが起こったけどこれで無事に長野に行けるね。」
勉「その割には楽しそうだよな。」
蓮乃「そう?だったら当ててみてよ。私の気持ち。」
勉「中泥さんの・・・・・・気持ち。」
勉は蓮乃の顔をじっと見た。蓮乃は顔を背けた。恥ずかしくなったのか頬が赤くなった。
勉「ダメだ。全然分からない・・・・・・」
蓮乃「やっ・・・・・・やっぱり真面野くんは人の心は読むのには時間がかかるわね。」
蓮乃は内心好きな人に見つめられて、にやけるほど喜んでいた。
勉「そうか、やっぱり中泥さんはすごいな。人の心が読めるなんて。」
その時、蓮乃の表情が一瞬曇った。
蓮乃「そう・・・・・・ね。」
勉「?」
バスはパーキングエリアに停車し、トイレ休憩をすることに。勉はトイレを済ませ、
パーキング内で買った食べ物を食べながらバスが出発するのを待っていた。しかし、時間になってもバスは発車しない。
勉「変だな、もう出発時刻すぎているのに・・・・・・」
蓮乃「何かトラブルかな?」
すると、バスの運転手が車用マイクを持って。
運転手「バスのエンジンが止まってしまい、しばらくこのパーキングエリアで待機することになりました。」
勉・蓮乃「(ええ~~~~~~!)」
運転手「お急ぎの場合はタクシーを手配いたします。もちろん代金は無料でご案内いたします。」
蓮乃「真面野くんどうする?」
勉「このまま待ってもいつ復旧するか分からないし、ここは確実性を見てタクシーで行くことにしよう。」
蓮乃「分かったわ。私もそうだろうと思った。」
勉と蓮乃はタクシーを手配してもらい目的地の長野の旅館に向かうことに。
勉「しかし、電車も通行止めでバスもエンジントラブルで動けなくなるとは・・・・・・」
蓮乃「もう何が起きても驚かないわね。」
勉「二度あることは三度あると言うし、また何か起きなければいいが。」
しかし勉の予感は的中した。高速道路を降り、山道に入っているときにタクシーが急に止まったのだ。
タクシー運転手「あ・・・・・・ガス欠だ。」
蓮乃「うそ!?」
勉はスマホを取り出し、電波が届いてるか確認した。
勉「スマホも県外か。」
タクシー運転手「どうすっかね。近くにガソリンスタンドはねえし。」
勉「だったら近くに公衆電話が無いか調べてみます。」
勉は公衆電話を探し、周りを探索していると携帯の着信音が鳴った。
勉「(通知が来たということは電波が通っているのか)」
勉がスマホを確認すると微弱だが電波が通っていた。そこですぐにガソリンスタンドに連絡を入れ、何とか事なきを得た。
タクシー運転手「助かったよ。君たちのおかげだよ。」
勉「あと少しでタンクローリーが来るとのことなので。」
蓮乃「でもよかった。これで遭難せずに済んだわね。」
勉「だな。」
勉はスマホに送られてきたメールを見た。相手は華だった。
華「(勉、無事に長野に着いたかな?私たちは旅館に着いて、明日のスキーの準備をしているよ。なかなか連絡ないから心配してメールしました。このメールに気づいたらメール返してくれてくれたら嬉しいな。)」
勉は華のメッセージに嬉しくて思わず口元が緩んだ。
蓮乃「真面野くん。タクシー動くようになったからそろそろ行くよ~」
蓮乃は遠くから勉を呼んだが勉の初めて見た表情にこちらは表情が強張った。
蓮乃「(なに、この表情・・・・・・真面野くんの笑った顔・・・・・・初めて見た。)」
数時間後・・・・・・無事に2人は長野の旅館に到着をした。
タクシー運転手「お客さん。着きましたぜ。」
勉は眠気眼を擦りながら起きた。タクシーに揺られながらいつの間にか眠っていたのだった。さらに驚くことに勉の肩を枕代わりに蓮乃がスースー寝息を立てて眠っていた。
蓮乃「ん・・・・・・あれ、もう着いたの?」
蓮乃は目を開けると肩枕をしている勉と目が合った。
蓮乃「!?」
蓮乃は勉からすぐに離れた。好きな人の肩枕で寝ていたのか心臓のバクバクが止まらなかった。
タクシーを見送った2人は旅館の中に入った。入るとすぐにA組の担任の赤井先生がいた。
赤井先生「よかった、2人とも無事についたのね。」
勉「ご心配おかけしました。」
赤井先生「いいのよ、実は学校から2人がそれぞれ助けた方からお礼の電話があったらしくてね。双子沢の生徒は優しくていい人ばかりですねと称賛をいただいたのよ。先生誇らしいわ。」
蓮乃「いえ、人として当然のことをしたまでです。」
と、答えたが。
蓮乃「(でも本当にラッキー!まさか真面野くんと一緒に修学旅行に行けるなんて。)」
内心はニヤニヤが止まらなかった。夕食に間に合った2人は他の生徒と合流を果たした。
寝待「勉、聞いたぜ。行く先々でトラブルがあったんだろ。大変だったな。」
勉「ほんと大変だったよ。僕、何かに呪われたかと思ったよ。」
練磨「無事に間に合ってよかったよ。それに今日の晩飯は信州そばだぜ。」
勉「信州そば!寒い季節にピッタリのあったかいそばが食べられるなんて!」
クラスに合流した勉はあったかい信州そばや長野の美味しい料理に舌鼓を打った。その後、お風呂を済ませ浴衣姿の生徒たちは就寝時間まで自由行動となった。勉たちの班では・・・・・・
寅之助「やっぱ女子の部屋に行かねえか!?」
寝待「バカか、男子が女子の部屋に行くのは禁止だってしおりに書いてあっただろ。」
寅之助「何を言うか!逆に考えてみろ!女子は男子の部屋に行くのは禁止じゃないだろ!」
乱麻「お前、こういうことには頭が働くのな・・・・・・」
寅之助「当然だ。俺は決めたんだ。今回の修学旅行で百合根嬢に告白するんだと!」
寝待「あのさ、いい加減諦めたら。さすがに百合根さんにも彼氏はいるだろ。」
寅之助「何を言う!どんなことでも挑戦するのが男ってもんだろ!それに、もし彼氏がいるならその男を血祭りにあげてやる!」
寝待「やめろよ・・・・・・犯罪者になるぞ。」
そんな話をしているとドアをノックする音が聞こえた。
点睛「俺が行ってきます。」
点睛がドアを開けると・・・・・・
団子「お邪魔しま~す。」
点睛「花寄様。」
寝待「何でお前来てんだよ。」
団子「暇だったから遊びに来た~でも、来たのは私だけじゃないよ~」
団子の後ろには三八とメアリーとミミがいた。
寅之助「百合根嬢は!?」
団子「ざんね~ん、華ちゃんは先におやすみしてま~す。」
寅之助「そんな!?」
寅之助は分かりやすいようにその場でへたり込んだ。
寝待「そうだ、暇ならトランプでもするか。人数多いなら7ならべしないか?」
メアリー「いいですわね。大人数でやってみたいですわ。ところで、真面野くんはどこへ行ったのですか?」
メアリーは周りをキョロキョロと見回していた。
寝待「そういえばトイレから戻ってきてないな。」
練磨「うっす、なら俺見てくるよ。」
練磨はトイレを確認したが・・・・・・
練磨「あいつ、トイレにいなかったぞ。」
乱麻「飲み物でも買いに行ったか?まあアイツが戻ってくるまで8人でやるか。」
団子「よ~し、じゃあさっそくやろっか。」
8人はトランプで7ならべをすることになった。一方・・・・・・勉はというと。
勉「確かこのあたりだよな。」
旅館の非常階段にいた。非常階段のドアが開き、そこにいたのは・・・・・・
華「勉、こっちだよ。」
ドアの隙間から華がひょっこりと顔をのぞかせた。
勉「まさか非常階段に集合するなんて思わなくて。」
華「ここ使う人全然いないからね。基本みんなエレベーター近くの階段使うから。」
華は非常階段のドアを閉じた。華も旅館の浴衣姿だった。
華「今日は大変だったね。なかなか来ないから心配したよ。」
勉「ホントだよ。行く先々でトラブルがあって、たどり着けなくてよかったよ。」
華「でも無事についたじゃん。よかったよかった。」
勉「まあ、ある意味いい思い出にはなったな。」
華「それでさ・・・・・・一緒にいた中泥さんとはどうだったのかなって。」
勉「え、別に何ともないよ。」
華「いや・・・・・・そうなんだけど。やっぱり別の女性と一緒だと勉に惚れないか心配しちゃって。」
勉「まさか・・・・・・でも確かに告白は何回かあったな。」
華「ほら!」
勉「でも、それだと華もそうだろ!」
華「それはそうだけど・・・・・・でも勉がかっこいいから心配で。」
勉「カッコイイって・・・・・・言われるとちょっと照れるな。」
華「そうだ、話変わるけど。明日はのスキーは男女別になるけどその次の日の長野観光は自由行動だよね。どっかで会えないかな?」
勉「そうだな、でも脛梶とかいるし・・・・・・難しいかもな。」
華「そっか・・・・・・せっかくの修学旅行なのに・・・・・・」
勉「どこかで抜け出せるように寝待や練磨に相談してみるよ。」
華「ホント!?やった!」
華は満面の笑みを浮かべた。勉はあまりの可愛さに顔を背けた。その時、廊下から女子の声が聞こえた。
勉「マズイ!非常階段の扉開けられたらばれてしまう!」
華「どうしよう!」
非常階段の扉の前で足が止まった。
女子生徒A「はっすー、大変だったね。修学旅行で遅刻して遅れて現地到着とかさ。」
勉「(はっすー?)」
蓮乃「ううん。これはこれでいい思い出になったよ。」
勉「(中泥さんだったのか!)」
女子生徒B「でも一緒にいたの真面野くんだったよね。」
蓮乃「そう、とっても頼もしかったの!」
声色からしてとても嬉しそうだった。
女子生徒A「そうだ、そういえば・・・・・・真面野くんのこと好きなのよね。」
勉・華「(え!?)」
蓮乃「もう!絶対ナイショだからね!」
女子高生B「でも真面野、何人かに告られていたわよね。全員フッたらしいけど。」
蓮乃「だから、積極的にアピールする!アピールして真面野くんに必ず振り向いて見せる。そして3日目の夜、告白する!」
そう話した蓮乃たちは話し終えた後。部屋に戻った。3人の気配が去った後。
華「どうするの、中泥さんに告白されるって!」
勉「そんなの、振るに決まっているだろ。」
華「そうなんだけど!あの声色からして本気よ!」
勉「いや、だから振ればいいだけで・・・・・・」
華「振られた人の気持ちになって考えてみてよ!」
勉「そんなのでいいの?」
華「それは彼氏が取られるのは嫌だし、勉はそんなことしないのは分かっているけど。」
果たして、蓮乃の告白はどうなるか。そして、7ならべをしている人たちは。
寝待「誰だ!スペードの6止めてるやつ!」
団子「誰だろ~私分かんな~い。」
寝待「絶対お前だろ!」
ミミ「あ、パス使い切ってしまいました。」
団子「次、ねーくんの番だけど。」
寝待「ぐっ・・・・・・俺もパスを使い切ったから負けだ。」
7ならべを楽しんでいた。次回、スキー編に続く。
第47話(完)
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