2年生編第21話(第46話)「波乱だらけの修学旅行」

時はさかのぼり9月の2学期の入学式。始業式が終わった後、体育館に残った2年生。これは双子沢学園名物のとあるイベントが行われるのである。


勉「あ~お腹痛い・・・・・・」


寝待「お前も大変だな。修学旅行の行き先がお前のくじ運にかかっているもんな。」


勉「ほんと、すごいプレッシャー。」


そのイベントとは2年生の修学旅行であり行き先は次期生徒会長である勉が引くことになっている。体育館に全員集合した後、壇上に青菜先生が上がった。


青菜先生「今日は今年の修学旅行の行き先を決めるくじ引きを行う。くじ引きの担当はB組の真面野にしてもらう。」


青菜先生に呼ばれ勉が壇上に上がった。


男子生徒A「真面野、俺東京行きたい。」


男子生徒B「僕は京都で」


女子生徒A「私、沖縄行ってみたいな。」


勉「(くっ・・・・・・みんな好き放題言ってからに・・・・・・)」


勉はくじの箱に手を入れた。ガサゴソと混ぜながら一枚紙を取った。勉は取った紙を青菜先生に渡した。


青菜先生「それじゃあ発表する。今年の行き先は・・・・・・」


青菜先生は紙を開いた。


青菜先生「長野県になった!」


生徒全員が微妙な雰囲気が漂った。


男子生徒C「長野ってなんか有名なところあったっけ?」


男子生徒D「そばが美味いのは知ってるけどな。」


男子生徒E「別荘地とか?」


こうして修学旅行決めのくじ引きは終了した。それからは当日まで帰りのホームルームで行き先などを話すことになった。出発は11月の上旬。3泊4日ということになった。そして10月にクラスで班決めを行うことになった。


寝待「勉、一緒の班にならないか?」


勉「いいよ。」


寝待「6人で1グループだから後4人だな。」


勉と寝待は練磨を誘うことにした。


練磨「ありがと。それとさ、乱麻も誘っていいか?」


勉「うん。これで後2人だな。」


練磨が乱麻を誘い残りが二人になった。他のところがいろいろ班が決まりだしていた。そこに寅之助の姿もあった。寅之助が勉たちの方向をじーっと見ていたので仕方なく声をかけることに。


寅之助「え~ボクちゃんをグループに入れるのかい?しょうがないな~どうしてもって言うのなら・・・・・・」


勉「じゃあいいや。画竜だけで。」


寅之助「うそ!冗談だって!ボクちゃんもグループに入れて~!」


こうして勉のグループは勉、寝待、練磨、乱麻、寅之助、点睛の6名となった。


そして修学旅行前日、勉は華と電話でやり取りをしていた。


華「そう、2日目の自由行動は神社巡りなんだ。」


勉「うん、なかなか長野に行くことはないからな。歴史の文化に触れておきたくて。」


華「勉らしいね。でも他の人たちは反対しなかった?」


勉「脛梶が問題だったけど意外に受け入れてくれたぞ。」


華「私たちは長野の美味しいものを食べに行くんだ。もちろん団ちゃんの案だけど。」


勉「だと思った。ところで華たちはどんなメンバーなの?」


華「私と団ちゃんと三八ちゃんとメアリーちゃんとミミちゃん。あと勉は知らないだろうけど同じクラスの「鷹爪 能美(たかつめ のうみ)」ちゃんの6人だよ。」


勉「なんだか楽しそうだな。華は。」


華「だって最初で最後の修学旅行なんだもん。精一杯楽しみたいもん。」


勉「そっか、小中学生の時は行けなかったのか。」


華「行けなかったというか行かなかったのよ。学校でいじめられてたから。」


勉「なんかごめん。」


華「いいって気にしないで!でも勉は何回か行ったことあるんでしょ?」


勉「いや、僕は修学旅行行ったことないよ。」


華「え、そうなの!?」


勉「修学旅行は全部欠席していたんだ。だから僕も今回が最初で最後。」


華「じゃあお揃いだね。お互いいっぱい思いで作ろうね♡」


華の嬉しそうな声色に勉の表情も緩んだ。


勉「だな。でもその間ぼくたち会えないよな。クラスの人たちの目が常にあるわけだし。」


華「そのことなんだけどさ・・・・・・夜、私たちで抜け出さない?」


勉「は?」


華の二人っきりになるための作戦とは・・・・・・それは次の回のお楽しみ・・・・・・

そして修学旅行当日になった。


兼備「勉、忘れ物はない?時間大丈夫?」


勉「大丈夫だって、今から行っても集合時間の30分前には鳥取駅に着くし。」


兼備「そう、初めて修学旅行に行くと聞いたときお母さんびっくりしたわよ。あのイベント嫌いの勉が。やっぱり華ちゃんの影響かしら。」


勉「うるさいな、いいだろ別に。じゃあ行ってくる。」


兼備「行ってらっしゃい。楽しんできてね。」


勉「うん、ありがと。」


勉は旅行用のキャリーバッグを引きずりながら集合場所の鳥取駅に向かうことに。


勉「でも楽しみか・・・・・・今までこんな感情芽生えたことなんてなかったな・・・・・・」


勉も自分が修学旅行を楽しみにしているのを感じていたのである。


?「あの~ちょっとよろしいかね。」


勉は謎のおばあちゃんに声を掛けられた。


おばあちゃん「このお店に行くにはどうすればいいかね。」


勉「このお店はこの町じゃないですね。隣町ですね。」


おばあちゃん「はて、それってどこかね?よければ案内してもらえんかね?」


勉「え、でも今から学校が・・・・・・」


おばあちゃん「そうかい・・・・・・それじゃあ仕方ないね。」


おばあちゃんはトボトボとまた歩き出した。前を見ていないのか右折してきた自転車にぶつかりそうになった。


勉「あぶないな・・・・・・どうしよう。先生に訳言って遅らせてもらうか。でもせっかくの修学旅行を遅らせたらみんなに迷惑がかかる。それはマズい・・・・・・。」


勉はスマホを取り出し、先生に連絡し、訳を話した。


青菜先生「そうか、分かった。だったらお前の分は駅員に渡して後で合流してくれ。」


勉「すみません。」


青菜先生「それにしても不思議なもんだな。同じようなことが2回起こるとは。」


勉「どういうことです?」


青菜先生「実は10分前に落とし物を探すのを手伝うから遅れるって連絡があってさ。その子と一緒に目的地まで来てくれ。」


勉「分かりました。」


勉はおばあちゃんのもとまで向かい、隣町まで案内をすることにした。1時間後・・・・・・無事に目的地に送った勉はタクシーで鳥取駅まで戻った。


勉「まさかこんなことになるとは・・・・・・最初で最後の修学旅行でなぜこんなことに・・・・・・」


?「あれ、真面野くん?」


背後から女性の声が聞こえた。勉が振り返ると・・・・・・


勉「中泥さん!?」


文化祭ではロミオとジュリエットの親役で共に出たC組の中泥蓮乃だった。


蓮乃「もしかしておばあちゃんを送ってたのって真面野くんだったの?」


勉「落とし物を一緒に探してたのって中泥さんだったのか。」


蓮乃「最初は素通りしようと思ったけど困っている人を見たら放っておけなくなっちゃって。メガネ無事に見つかってよかったよ。」


勉「じゃあ僕は切符もらっていくからそこで待っていて。」


勉は先生が駅員さんに預かっていた切符をもらった後2人で岡山行きの電車に乗り込むことに。


勉「中泥さんは窓側がいい?」


蓮乃「そうね、そうするわ。」


蓮乃は窓側の席に座り隣に勉が座ることになった。


蓮乃「でもまさか修学旅行でこんなハプニングが起こるなんて思わなかったわ。」


勉「自慢のエスパー能力でもか?」


蓮乃「そっ。それに私の能力は何回かあったことある人限定だから。」


勉「そうなのか。」


蓮乃「でも、ラッキー真面野くんとこうして一緒になるなんて。{小声}」


勉「何か言ったか?」


蓮乃「別に、それよりも岡山に着くまでの間、なんかゲームでもしない?」


勉「ゲーム?」


蓮乃「そっ。じゃあ何を言っても「静岡(しずおか)」と返してね。」


勉「それだけ?」


蓮乃「じゃあいくよ。東京」


勉「静岡」


蓮乃「北海道」


勉「静岡」


蓮乃「大阪」


勉「静岡」


蓮乃「福岡」


勉「静岡」


蓮乃「塩漬け」


勉「静岡」


蓮乃は頬をプクーと膨らませた。


蓮乃「引っかからなかった・・・・・・」


勉「え、ひっかけるゲームだったの?」


とゲームを楽しんでいた。その頃、華たちは新幹線で名古屋駅に向かっていた。


華は窓をボーっと見ていた。グループ全員でババ抜きをしており華は一番に上がったのだ。


華「(勉、無事に向かっているかな。)」


三八「華ちゃん。ボーっとしてるけど大丈夫?」


華「え、大丈夫だよ!」


三八「ならいいけど。もしかして勉くんの事考えていたの?」


華「まあね・・・・・・」


三八「大丈夫だって、道に迷うタイプでもないし。信じて待ちましょう。」


華「そうね。」


団子「あー!!ジョーカー引いちゃった!」


団子はジョーカーを引かれることはなく負けてしまった。


そして寝待たちは大富豪をしていた。


寝待「5のトリプル。」


乱麻「マジか、もう3枚は持ってないぞ。」


寅之助「ぐぬぬ・・・・・・ボクちゃんもパス。」


寝待「はい、3であがり!また平民か・・・・・・」


乱麻「まっ、俺の勝ちだろうな・・・・・・」


寅之助「そんなことないだろ!まだ勝負は分かんないだろ!」


乱麻「だって、6の上あるのか?」


寅之助「・・・・・・ない。」


乱麻「はい、これで脛梶が8連続大貧民。大体ルール把握してんのか?一番強い2やエース先に出して。」


寝待「ようするに見栄っ張りなんだろ。」


練磨「うっす。じゃあ大富豪として罰ゲームをするか。何か一つヒミツを暴露しろ。」


寅之助「しょうがないな・・・・・・じゃあボクちゃん。この修学旅行でやることがある!」


寝待「なんだ、また女子風呂覗いて強制帰宅するのか?」


寅之助「そんな昔のことは忘れろ!」


と1年前のことをいじられた寅之助。咳払いをして改めて・・・・・・


寅之助「ボクちゃん。脛梶寅之助は3日目の夜。百合根華に告白をする!」


乱麻「ほ~強気に出たな。」


点睛「さすがです。寅之助様!」


と寅之助をほめる2人に対し、寝待と練磨は内心焦っていた。


寝待「(おいおいおい本気か!?もしそれで断られて勉との関係がばれたら・・・・・・)」


練磨「(どうすんだよ・・・・・・)」


さて、波乱ではじまった修学旅行編。スタート!


第46話(完)

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