2年生編第4話(第29話)「真の友達」
4月も中旬を迎えたある日・・・・・・
寝待「はあ・・・・・・ようやくバイト終わった・・・・・・日曜日忙しすぎるだろう・・・・・・」
寝待がぐったりしながら帰っているとデパート前に見覚えのある顔が。
寝待「あそこにいるの・・・・・・真面野・・・・・・だよな。 もう一人は・・・・・・」
勉と一緒にいるのはブルーのニットに白のスカート姿と赤縁眼鏡をかけた見知らぬ女性(変装した華)だった。
寝待「あいつ、いつの間に彼女ができたのか。」
勉「じゃあね。」
華「うん、また明日ね。」
寝待「(でも、あの女性どこかで会ったような気がするよな・・・・・・)」
2人が別れた時、寝待は女性の後を追う事にした。すると女性は真っ先にトイレに向かった。
寝待「トイレ・・・・・・さすがに一緒に行くわけにはいかないよな・・・・・・考えすぎか。」
寝待が帰ろうとするとその女性はすぐにトイレから出てきた。眼鏡とウィッグを外した百合根華として。
寝待「!」
華はそのまま奥の方に姿を消した。
寝待「(ちょっと待て、少し頭を整理しよう。さっき入った人と数分経たずに出た百合根さんとその子の服が全くいっしょ・・・・・・なんて偶然なんだ~ ・・・・・・なわけあるか!)」
寝待はがっくりと肩を落とした。
寝待「まさか・・・・・・真面野が百合根さんと付き合っていたなんて・・・・・・まあ、俺も誘う度胸が無かったからそれもいけないけど・・・・・・でも・・・・・・」
寝待は携帯に電話した。電話の相手は。
勉「はい、真面野です。」
寝待「よお、今どこにいるんだ?」
勉「ん?今家だけどどうした。」
寝待「おかしいな、俺の前にお前と同じような人がいるけど。」
勉は振り返った。
勉「あ・・・・・・なんだよ。いるならいるって言えばよかったのに。」
寝待「お前さ、今時間いいか?ちょっとお茶していかないか?」
勉「う、うん。別にいいけど。」
2人は喫茶店に入った。(前に練磨と三八が初めてデートした喫茶店である)2人は店員にコーヒーを注文した。
寝待「それでさ、お前にいくつか質問したいことがある。」
勉「どうぞ・・・・・・」
寝待「何で電話の時お前嘘ついたんだ?」
勉「別に、お使いに行っていただけだよ。その時に電話でお使いに行っているって言えるか?」
寝待「俺なら言える。」
勉「・・・・・・まあ、人それぞれってことだよ。」
寝待「それは別にいいんだよ。本題はこれだ。お前、約10分前に女の人と会っていただろう?」
勉「あぁ、従妹のことだな。」
寝待「従妹?」
勉「そうそう、美咲さんと言うんだけど。僕と同い年なんだよ。」
寝待「そうか従妹か。お前、何か隠しているだろう?」
勉「そんな、僕が隠し事なんて。」
寝待「俺、見たんだよ。お前と別れた女の子の正体を。トイレで全くいっしょの服装だった百合根さんをね。お前、隠れて百合根さんと付き合っていたんだろ?」
勉「・・・・・・・・・・・・。」
寝待「どうした?何とか言ってみろよ!」
勉「・・・・・・そうか、ついにばれたか。」
寝待「お前・・・・・・」
勉「分かった、正直に話す。 そうだよ、僕と百合根さんは付き合っているよ。」
寝待「やっぱり・・・・・・! 何で今まで黙っていたんだよ!」
勉「言うつもりだったさ。でもね、言えなかった。」
寝待「言えなかった!?」
勉「思ったほど百合根さんの人気がすごくて言い出したくても言い出せなかった。」
寝待「だからと言って俺にはせめて言ってほしかった。俺たち友達じゃないのかよ!」
勉「友達・・・・・・」
寝待「俺はずっとそう思っていた!でも、お前は何も言ってくれなかった。」
勉「・・・・・・当たり前だろ。それは友達とも思っていなかったから。果報もただ口に出しているだけだと思って。」
寝待「そんなわけないだろう!どれだけ人間関係下手くそなんだよ!」
勉「それは・・・・・・昔、友達と思った人に裏切られて、それ以来かな。」
寝待「あ・・・・・・・・・・・・ごめん。そんな過去があると思わなかったから。」
勉「いや、いいよ。元々は僕が引き起こした問題なんだから。華にも申し訳ないと思っているよ。」
寝待「(コイツ、しれっと華って呼んでいたな)」
勉「後、このことも黙っていてゴメン。」
寝待「じゃあさ、いつから付き合い始めたんだ?」
勉「入学式の日、だよ。」
寝待「早すぎないか!?」
勉「実は、入試試験の時に一回会ったんだよ。」
寝待「入試って・・・・・・確か2月だよな。それでも2回目だろ?」
勉「どうやら華の初恋の相手が僕らしくてな。」
寝待「真面野が?百合根さんも変わっているな。」
勉「でも、僕と付き合っているのが分かったら華だって学校で何されるのか分からないだろう。危険な目には遭わせられないんだ。」
寝待「そうか、そうだったのか。なんか頭ごなしに怒って悪かったな。でも、俺はそんなことを簡単に言うほど口は軽くないぞ!」
勉「自分で言うと胡散臭さ倍増だな。」
寝待「そんなこというなよ・・・・・・大丈夫、このことは他言無用にしておくからさ。」
寝待は椅子にもたれかかった。
寝待「あ~あ、でも真面野も彼女持ちになったか~何でこう差が開いたんだろうな。」
勉「でも、ほかにいい人はいっぱいいるだろう?」
寝待「そうだな・・・・・・百合根さん以外の女性か・・・・・・」
ウエーター「お待たせしました。ブレンド珈琲でございます。」
勉「ありがとうございます。」
寝待「じゃあここの代金俺が払っておくから。」
勉「サンキュー」
寝待「おいおいちょっと待て。」
勉「何?」
寝待「そこはふつう「いやいや、悪いよ。」とか言ってくれてもいいのにな。」
勉「だって、このコーヒー500円するし払ってくれたら大助かりだよ。」
寝待「ケチなのは相変わらずだな・・・・・・。」
勉「ケチとは失礼だな。僕は無駄なお金は使わないだけだよ。まあでも今回は。」
勉は伝票を引き寄せた。
勉「いろいろ心配させたから今日は僕が払うよ。」
寝待は驚きのあまり口がポカーンと開いていた。
寝待「お前がおごるって・・・・・・まじか。明日雨でも降るんじゃないか!?」
勉「雨も槍も降らないよ。それに合格祝いの時のお返しもまだできていなかったし。」
寝待「え? あ~そんな昔のこと覚えていたのか。じゃあお言葉に甘えてゴチになりま~す!」
コーヒーを飲み終わり、勉がお金を支払うと。
寝待「じゃあ俺用事あるから先帰るな。」
勉「じゃあな。」
寝待「じゃあな、親友。{去る}」
勉「親友・・・・・・か。」
勉は少し微笑んだ。
寝待「アイツ、色々変わったよな。やっぱり彼女がいると人間って変わるものなんだな・・・・・・」
寝待の腹が鳴った。
寝待「はらへった・・・・・・そういえば喫茶店でコーヒーしか頼んでなかったな。予定まで時間あるしあの店にでも行くか。
寝待は行きつけのラーメン屋に向かった。
店長「へいらっしゃい! おお、果報くんじゃないか!」
寝待「店長どうも、いつものやつね。」
店長「毎度!とんこつ醤油、チャーハン付きね。」
寝待はいつも座っている席に向かおうとするとその席に座っている1人の女性がラーメンをすすっていた。
寝待「(高校生だよな、しかもコアなとんこつ醤油を頼んでいる。でもビッグサイズだしサイドメニューに半チャーハンと餃子も頼んでいる。いったい誰だ・・・・・・)」
寝待が聞こうとしたその時。
寝待「(いや、俺知っているぞこの子を、ピンクのショートヘアに座っても分かるちっこい体、それにその豊満なむ・・・・・・)」
女性が寝待のほうに向いた。
団子「ムゴッ!」
寝待「はっ、花寄さん!?」
団子は口に含んでいるラーメンを飲み込んだ。
団子「あれ~こんなところで何しているのかな~半蔵くん?」
寝待「相変わらず俺の名前は覚えてないんだな・・・・・・それはこっちのセリフだよ。何で花寄さんがこの店に?」
店長「団ちゃんはこの店の常連さんなんだよ。」
寝待「しっ、知らなかった・・・・・・」
店長「はい、とんこつ醤油とチャーハンね。」
寝待「ありがとうございます。」
寝待は団子の隣の席に座った。
団子「よく食べるね~」
寝待「花寄さんのほうがよく食うだろう・・・・・・」
団「でもこのお店知っているなんて君もなかなか通だね~」
寝待「このお店はな。中3の時に初めて来たんだよ。全然いい点数が取れなくて逃げるようにこのお店に来たんだよ。」
団子「へ~私と一緒だね~」
寝待「でも今まで、何で会わなかったんだろう? あ~そういえば1人反対の席に女子学生が来ていたことがあったな。ロングヘアーの子だったけどかわいかったな~」
団子「へ~。私も見たよ、髪の毛ぼさぼさで目にクマができていた学生が。確か中学生ぐらいだと思うんだけどあの子今大丈夫なのかな~?あれ以来全然来ていないけど。」
店長「何を話しているんだい君たちは。」
寝待「いやいや、ほかにこのお店に来ている学生は誰だったって話していただけで」
店長「俺は今まで学生で来ているのは君たちだけだと思うぞ。このお店ってあまり目立たない場所だし、客も基本仕事帰りのサラリーマンか酔い覚ましに来る人が多いからな。」
寝待「ふ~ん・・・・・・。・・・・・・ちょっと待てよ、花寄さん。今まで髪の毛伸ばしたことはないの?」
団子「ううん、中学まではセミロングだったよ。入試試験の前日に髪をバッサリ切ったの~」
寝待「へ~」
団子「じゃあさ、私も一ついいかな~? その女性に会った時どんな状態だったの?」
寝待「たしか、3日間満足に眠れていなかった時だよ。髪の毛も3カ月ほど切ってなかったからボサボサだったはず。」
団子「へ~そうなんだ。」
寝待と団子は互いにあの時の記憶を思い出した。
寝待・団子「え、あの時の人!?」
店長「(この子たちの反応かわいいな~)」
第29話(完)
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