2年生編第2話(第27話)「新聞部員障司メアリー」
入学式も終わり約1週間、勉と三八の会計課は部活の予算資料を読み合わせていた。
勉「今年の部活の予算、合わないな~どこか抜けていないか?」
三八「そんなことないわよ。ちゃんと数字は完ぺ・・・・・・あ、茶道部の金額一桁ゼロが無い・・・・・・」
勉「それだ!早く計算をやり直そう!」
その様子を見ていた広報課の華と団子はのんびりコーヒーを飲んでいた。
華「会計は大変だね。2人があんなに忙しいなんて。」
団子「からかったりして遊ぼうかな~」
華「やめたら・・・・・・さすがに今やると怒られるわよ・・・・・・」
そんな話をしていると生徒会室の扉が勢いよく開いた。
団子「なんだ!?」
メアリー「失礼しま~す!」
華「メアリーさん!?どうして生徒会室に?」
メアリー「もちろん用があって来たのですわ!」
勉「{目線は資料}あ~今それどころではないので別の時間に出直してください。」
メアリー「そうは問屋がおこそとですわ!」
勉「{目線は資料}そうは問屋が卸さないだろ、何て言ったんだ?」
メアリー「私、あなた方を取材しに来たのですわ!」
華「取材?」
メアリー「この腕章を見てくださいませ!」
団子「それって・・・・・・新聞部の腕章?」
メアリー「YES!団ちゃんさすがですわ!私、障司メアリーこの春から新聞部に入部することになりましたわ!」
華「え~!メアリーさん新聞部に入部したの。でもなんで新聞部?」
メアリー「私みんなの噂話を聞くのが大好きなのですわ。こう見えても中学時代では地獄耳のメアリーちゃんと言われていたのですわ。」
三八「{目線は資料}それってあだ名っていうより悪名よね・・・・・・」
メアリー「そこで今月号はあなた方生徒会の皆さんに密着取材と言うわけですわ!」
団子「ところでミミちゃんは?いつも一緒にいるじゃない?」
メアリー「壁山なら新聞部の隣の茶道部に入部しましたわよ。」
三八「{目線は資料}(さっき、計算ミスした部活だ・・・・・・)」
メアリー「と言うわけで早速取材ですわ~!」
華「でも、許可が必要でしょう?」
メアリー「すでに生徒会長には許可を得ていますわ。」
団子「(会長~!)」
メアリー「では、真面野くんと三八ちゃんは別の用事があるから後回しとして。団ちゃんから行きますか?」
団子「え!?いやいやいや、何で私から?」
メアリー「すいません、椅子をお借りできないでしょうか?」
華「じゃあ、これを。」
メアリーは華が用意した椅子に腰かけた。
団子「でも、みんなが聞いて面白いことなんかないわよ。」
メアリー「じゃあ・・・・・・今気になっている男子とかいますでしょうか?」
団子「う~ん・・・・・・」
華「(そうね、団ちゃんまだ彼氏いないみたいだし、私も気になる・・・・・・)」
団子「ご想像にお任せします。」
華「え・・・・・・もしかして好きな人が・・・・・・」
団子「な・い・し・ょ❤」
華「気になる~」
メアリー「では、好きな人はいると{メモ帳に記入する}」
団子「もういいでしょう。じゃあ私の質問はこれで・・・・・・」
メアリー「では、もう一つ・・・・・・スリーサイズを教えていただけませんか。」
団子は動揺のあまり椅子から滑り落ちた。
団子「な、なんで!?」
メアリー「だって、胸大きいですし、ボディもしっかりしていますし。」
団子「そんなの教える訳ないでしょう!それに今勉くんもいるのよ!」
勉は資料に集中してそんな話をしているのを全然聞いていない。
団子「質問するならもっと別の話にしてちょうだい!」
メアリー「仕方ないですわね~では、今まで食べた料理でオススメを教えてください。」
団子「それならなんとか~」
メアリー「学校近くにある小さい店のとんこつ醤油ラーメンですか?」
団子「え!?なんでそんなこと知っているの?」
メアリー「だって、1人で店に入るのを私見ていたのですわ。」
団子「この子は・・・・・・恐ろしいわ・・・・・・」
メアリーは団子にいろいろと質問をしてまわった。
団子「はぁはぁ・・・・・・もう、イヤ・・・・・・」
メアリー「ありがとうございましたわ~では次・・・・・・」
三八は自分の作業を終えたのか、メアリーたちのインタビューに入ってきた。
三八「さっきから何をしているのかな?」
メアリー「では三八ちゃんどうぞですわ!」
三八「え、ちょっ・・・・・・」
メアリー「最近急蒲くんと付き合っているみたいですが今はどこまで行きましたか?」
三八「どこまでって?」
メアリー「キスまで行きましたか?」
三八「なっ・・・・・・そそそそんなわけないじゃない!まだ付き合い始めて3か月ぐらいしか経ってないのよ!」
メアリー「え~さすがにその時期になるとキスはしてもよろしいのでは?」
三八「メアリーさんはまだ付き合ってもいないでしょう!」
メアリー「華ちゃんはどうですの?最初にキスしたのは?」
華「え、私は・・・・・・」
華は顔を赤らめながらよそを向いた。
団子・三八「(え、キスしたことあるの?)」
華「さあ~分からないな~?」
団子と三八
三八「怪しい・・・・・・」
団子「どこまでいったのかお姉さんに教えなさいよ~」
華「味方がいない!!」
メアリー「次はそんな華ちゃんに質問ですわ!」
華「別にいいけどたいした話題は・・・・・・」
メアリー「では、真面野くんと付き合っていることでもばらしましょうか?」
華「待ってそれはダメ!!」
メアリー「だってまだ分かっていないのですわよね?」
華「いや・・・・・・そうなんだけど・・・・・・」
勉「メアリーさん。これは全て僕のせいなんだよ。」
資料を整理し終わった勉が話に入ってきた。
華「勉・・・・・・」
勉「隠すように伝えたのは僕なんだ。もしこのことがばれてしまえばきっと学校にいられなくなってしまうかもしれないから・・・・・・そんな自分勝手な理由で隠したんだ・・・・・・」
メアリー「そうなんですの・・・・・・何か事情があるのですの?」
勉「これは僕がまだ小学5年生の時に転入生が来たんだ。クラスは別だったから僕は見たことないけど噂ではかなりの美人だったらしい。」
華「(そういえば聞いたことなかったな、詳しい話を。)」
勉「それから1カ月ぐらいに彼氏ができたらしいんだ。あまり目立たない人だったけど、でもその子がいじめを受けていたんだ。理由はなんでお前みたいな人がその子と付き合っているのか気に食わないって。」
華「そんな・・・・・・ヒドイ。」
勉「結局その二人は自然消滅する形になって男子生徒は不登校。転入生は数か月後に父の仕事の都合ですぐ転校したけど、噂によればその女性から男性に告白したらしく彼に悪いことをしたって後悔したんだと。」
華「それってつまり・・・・・・」
勉「そう、僕たちの関係と同じことだよ。華には同じ過ちを犯してほしくない。・・・・・・いつかは覚悟を決めていずれかは話すつもりだ。でも今じゃないと思う。」
メアリー「分かりましたわ。このことは伏せておくことにしますわ。」
そんな勉の過去話が終わった後、生徒会室のドアが開いた。
大和「失礼します。」
勉「あぁ、大和くん。」
メアリー「彼は・・・・・・新入生ですか?」
大和「こんにちは。(金髪の美人だ・・・・・・)」
メアリー「初めましてですわ。私新聞部2年の障司メアリーですわ!」
大和「1年の塵積大和です。よろしくお願いします。」
メアリー「ところで塵積くんは好きな人はいますか?」
大和「いえ、今のところいませんが?」
メアリー「なんだ、つまらないの。」
大和「え~そんなことでいちいちへこむのかよ・・・・・・」
勉「大和くん口!」
大和「あ、すいません!{口を手で塞ぐ}」
メアリー「別に大丈夫ですわよ。でもなかなかいい性格ですね。」
大和「良くはないですよ・・・・・・これが原因で友達がいなかったので・・・・・・」
メアリー「でも正直なのはいい事ですわ。」
大和「そんなことないですよ。それのせいで今・・・・・・」
大和が話している途中で生徒会室のドアが開いた。
哀羅「先輩、少し聞きたいことが。」
メアリー「まあ!彼女も1年生ですか? あ、あなたは新入生代表の。」
哀羅「新聞部の方ですか?初めまして、1年A組の喜藤哀羅です。」
メアリー「ではまずあなたから聞きたいことがありますわ。」
哀羅「はい、何でしょう。」
メアリー「確か、あいさつの時に階段で転びましたよね。その時の気持ちを教えてもらえないでしょうか?」
哀羅「そ、それですか!?そんなの恥ずかしいに決まっているじゃないですか!おまけにスカートがめくれてパンツが見えたんですよ!」
メアリー「でも、そのおかげでみんなから名前を覚えられたのでしょう?」
哀羅「まあ、そうですが。」
メアリー「なら、結果オーライではありませんか。」
哀羅「どういうことです?」
メアリー「いくらいい噂だろうと悪い噂だろうとも名前を覚えられるのはいいことだと私は思いますわ。 私、こう見えて中学時代はあまり名前を覚えられなかったのですわ。」
勉「へ~意外だな。メアリーさんみたいにカタカナの名前を覚えられないなんて。」
メアリー「だって、女子でも世界各国から優秀な生徒が来ていたのでほとんどの人がカタカナでした。」
勉「その環境の中だと確かに覚えにくいかも。」
メアリー「そこで私は噂やいろいろな人たちと話して名前を覚えてもらえたのですわ!」
華「だから名前の時にメアリーって呼んでって強調したのね。」
メアリー「Yes!では、仕事も落ち着いたということで真面野くん最後の質問と行きましょう。」
勉「僕か、緊張するな・・・・・・」
メアリー「ズバリ、この学校に来て自分が変わったことはございませんか?」
勉「それは・・・・・・この学校のおかげで僕の人生が180度変わったといっても過言ではないよ。感謝してもしきれないくらいだよ。優しいクラスメイトや同級生。先輩後輩もいい人ばかりで毎日が楽しいと思っているよ。」
メアリー「そうですか、とてもいい話を聞けましたわ!」
メアリーは椅子から立ち上がり
メアリー「さっそく記事にしたいと思いますわ!」
メアリーは生徒会室を後にした。
大和「嵐が来て、嵐が去った後みたいですね・・・・・・」
勉「メアリーさんはいつもあんな感じだから。」
数日後、男女共有の下駄箱前の掲示板に新聞部の記事が書いてあった。題名は「生徒会役員の秘密・・・・・・」
男子生徒A「見ろよ、百合根さんまだ彼氏いないって!」
男子生徒B「ラッキー!でも花寄さんって意外と大食い系なんだな。」
女子生徒A あ、喜藤さんの記事もある。
哀羅 な、何でこの記事使っているんですか!
女子生徒B あ、噂をすれば喜藤さん。
団子 よかった・・・・・・スリーサイズのことは書いていない・・・・・・
華 みんないい笑顔だね。
男子生徒C でも、真面野の記事が一番心にしみるな。この学校に来て人生が変わったって、みんなに感謝しているって。
女子生徒C 確かに、そう言われると私たちもうれしいね。
この新聞をきっかけに勉たち生徒会役員の好感度がかなり上がりました。
第27話(完)
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