第22話 秘密のプレゼント大作戦

3月13日 双子沢学園は卒業式を迎えた。


勉「門松先輩、友呼先輩、卒業おめでとうございます。」


笑福「ありがとうもろこし~」


類「うれしいたけ~」


卯円「友呼先輩までダジャレを言うなんて・・・・・・」


団子「最後まで門松先輩のおやじギャグは面白くなかったですね~」


笑福「花寄、俺泣くぞ~!」


団子「どうぞどうぞ♪」


華「団ちゃんあまりいじめると本当に泣き出すよ。」


白矢「現に門松先輩涙目になっているし。」


三八「でも、先輩はこのままの性格でいてほしいですね。」


笑福「桃垣~!」


勉「それで先輩たちは卒業後どうするつもりですか?」


類「実は、私たち京都に引っ越すことになったの。」


勉「京都ですか?」


笑福「俺、来年度から京都の国立大生になるからな。」


生徒会メンバーズ「国立!?」


笑福「忘れてないか?俺だって特待生なんだから。」


華「そうでしたね・・・・・・」


団子「すっかり忘れてました~(笑)」


笑福は本当に泣き出した。


団子「ごめんなさい!本当に泣かないでください!」


類「まあまあ。」


勉「ということは2人で京都に住むということですか?」


類「もちろんよ、だって私たち恋人同士なんだから。」


勉「そう・・・・・・ですよね。」


笑福「じゃあ俺たちはそろそろ行くな。矢立会長、後のことはよろしくな。」


白羽「はい!任せてください。」


卯円「彼で本当に大丈夫でしょうかね?」


白羽「おい卯円、それはどういうことだ。」


卯円「言葉通りの意味よ。不安ってことよ。」


白羽「なんだと!」


類「やれやれ、この2人の喧嘩は相変わらずね。」


勉「すいません・・・・・・」


笑福「真面野が謝ることはないだろう。」


類「そろそろ時間ね。じゃあみんな、この学園のことは頼んだわよ。」


華・団子・三八・勉「はい!」


こうして卒業式が終わった。

そして、終わった後。勉と団子は教室の隅で話し合っていた。


勉「あのさ、団ちゃん。聞きたいことがあるんだけどさ。」


団子「情報料は1人5000円で~す。」


勉は財布から5000円出した。


団子「嘘だって!もう冗談が通じないんだから~!」


勉「そうか。{お金をしまう}」


団子「で、話って何なの?」


勉「それは・・・・・・その・・・・・・」


団子「何よ。」


勉「華の誕生日っていつ?」


団子「はあ~!?今まで分からなかったの!」


勉「明日ホワイトデーだろ。その時にお返しと思った時にね。それと学年末テストを乗り切れたのも合わせて3個分を1つにまとめて豪勢なものを渡そうと思ってね。」


団子「やれやれ・・・・・・」


団子はため息をつきながら答えた。


団子「・・・・・・たよ。」


勉「え、今なんて?」


団子「だから華ちゃんの誕生日は明日なの!」


勉「あ、明日!!」


団子「間違えるわけないでしょう。ホワイトデーが誕生日って分かっているんだから。」


勉「どうしようどうしよう! 明日までにプレゼントを用意しないと!」


団子「焦ってもしょうがないでしょう。」


勉「やっぱり・・・・・・ぼくはダメダメな彼氏だ。彼女の誕生日すら把握していないし。」


その時団子の顔をしかめた。


団子「私、そんなこと言う男子って嫌いよ。」


勉「な!!」


団子「自分のことを蔑んでもなにもいいことなんて無いわ。」


勉「そう言われても。」


団子「じゃあ華ちゃんと別れたらどう?」


勉「それは・・・・・・それは嫌だ!」


団子「ならもうそういう事を言うのはやめなさい。{微笑む}あなたは、華ちゃんの彼氏なんだからさ。」


勉「そうだ、何を弱気になっているんだ!」


勉は両頬を強く叩いた。


勉「じゃあさ、今からプレゼント買いに行くから買い物付き合ってくれないかな。」


団子「え~面倒くさいからパスで」


勉「そういえば団ちゃんにもホワイトデーに何か返さないといけなかったな~クッキーだからその辺のスーパーで買ったクッキーでいいかな?」


団子「(うぇ!そういう作戦を使うなんて汚いわね・・・・・・でも、それなら付き合ってもいいかも)分かった買い物に付き合ってあげる。お礼はデパートの高級クッキーで」


勉「いいぜ、交渉成立だ。」


一方、華と卯円は処遇品を買いにデパートに向かっていた。


華「えっと、確かコピー用紙が切れていたのですよね?」


卯円「そうだよ。後は、ガムテープとビニールシートと他には・・・・・・」


卯円は足を止めた。


華「塞翁副会長、どうしたのですか?」


卯円「あそこにいるの、真面野くんと花寄さんじゃない?」


華「え!?どこですか?」


華が卯円と同じ方向に目をやると勉と団子が楽しそうに買い物をしていた。


卯円「へ~あの二人付き合っていたんだ。」


華「へっ、へ~そうなんですね・・・・・・」


卯円「顔引きつっているわよ。」


華「ここだと声聞こえないですね・・・・・・」


卯円「え、もしかして聞くつもりなの?」


華「(まさか、勉と団ちゃんが・・・・・・)」


卯円「2人に聞いてみようっと。」


華「副会長ストップ!」


華は卯円の制服を引っ張って止めた。


卯円「なによ、気になるじゃない。」


華「もう少し様子を見ましょう。」


卯円「別にいいけど、どう考えても恋人同士のデートにしか見えないけど。」


華「あ、2人が別の場所に!」


卯円「ついて行く気なの!?」


勉たちは次の店まで歩きながらこんな話をしていた。


勉「たしか、華はアクセサリー作るのが趣味って言ってたよな。」


団子「そうだね、最近アルバイトとかしたりとかね。」


勉「ちょっと待って!生徒会ってアルバイト禁止だったろ!」


団子「あの子の家貧乏でしょ。だから学長が特別に許可もらったのよ。ただし、家の中でできるバイト限定って言われたからアクセサリー作りの仕事を始めたってことよ。」


勉「あいつ、そこまでして・・・・・・」


団子「でも、楽しいって言っているわよ。」


勉「まあ、華がそういうなら僕は止めないよ。」


華「(あの2人、何を話しているのかしら)」


卯円「まだ、追尾するの?」


勉と団子は時計屋に向かった。


華「時計屋?なんで?」


勉「時計か・・・・・・」


団子「華ちゃんが今使っている時計が壊れたって言ってたからきっと喜ぶと思うよ~」


勉「今、どんな時計使っていたんだ?」


団子「確か、100円ショップの白の時計を使っていたよ。」


勉「さすがに100円ショップ系はすぐ壊れるよ・・・・・・」


華と卯円は2人に気付かれないように向かいで時計とにらめっこしていた。


華「(ここじゃあ2人の会話は聞こえにくいな。)」


卯円「私も時計買おうかな? いちいちスマホで時間確認するの面倒くさいし。」


華「そう言えば私最近時計壊れちゃって。」


卯円「でも、安くても約1万するから今時の高校生には手が届かないよな。」


団子「勉くんはどっちが好きなの?」


華「え、今好きなって?」


勉「僕はやっぱり丸っこい方が好きかな。」


華「まる・・・・・・この方が・・・・・・好き・・・・・・」


華はショックでガクッとなった。


卯円「百合根さん!?」


勉「やっぱりシンプルだし携帯連動のウォッチみたいな四角い形は落ち着かないだろう。」


団子「だよね~どれくらい好きなのよ?」


勉「それは・・・・・・大好きだよ・・・・・・ものすごく。」


華「(団ちゃんの事ものすごく好きって!)」


団子「でも彼女の誕生日忘れているなんて彼氏としての自覚ないよね~」


勉「掘り返すなよ!華にはもちろんこのこと言っていないよな。」


団子「当たり前じゃない。他の人には言わないって約束覚えているわよ。」


華「(そんな・・・・・・2人にしか分かってないってこと・・・・・・){華は誕生日忘れているところの話は聞いていないです。}」


勉「話を戻すけど、このデザインいいと思わない?値段もお手頃だし。」


勉はユリの花がデザインされている白の時計を指差した。


団子「あ~いいわね。私もこういうの好きよ。」


華「(うそ、もしかして団ちゃん用の時計を買いに・・・・・・)」


団子「早速これを買いに・・・・・・っあ!副会長と華ちゃん!」


団子は卯円と華を見つけた。


卯円「あ、真面野くん。花寄さん。百合根さんが倒れて」


勉「大丈夫か!」


勉が手を貸そうとしたが。


華「やめて!」


華が勉の手を払った。


勉「!」


華は一目散にその場を逃げた。


勉「待て!おい華!」


団子「勉くん、時計は!?」


勉「財布渡すから会計済ませておいてくれ!」


勉は財布を団子に向かって投げた。団子はその財布をキャッチした。


勉「おい、華待てって!」


勉は華の手を掴んだ。


華「離して!私のことなんてどうでもいいんでしょう!」


勉「は?何言ってるんだ?」


華「とぼけないで!団ちゃんと勉は付き合っているんでしょう?」


勉「何で!?そんなことはないから!」


華「嘘言わないで!さっき団子の方が好きって言ってたじゃない!」


勉「それって、丸っこい方が好きの勘違いじゃないのか?」


華「そんな苦し紛れの嘘つかないで!」


勉「本当だって!僕が好きな人は華以外いないから!」


華「嘘よ!」


勉「嘘じゃない!」


団子と卯円が勉たちのところに来た。


団子「華ちゃん、どうしてすぐ逃げたの?」


華「だって・・・・・・勉と付き合っているって聞いたから」


団子「え!? そ、そんなわけないじゃない~」


華「でも!」


卯円「百合根さん、彼女たちの言っていることは本当よ。2人はただ単に買い物をしていただけなの。」


華「そうなのですね・・・・・・」


勉「でも、聞かれたならしょうがないな・・・・・・」


華「え?」


勉は団子に箱を受け取り華に渡した。


華「この箱は?」


勉「本当は明日に渡したかったんだよ。」


華「明日?」


勉「・・・・・・華の誕生日だろ。」


華「あっ、そういえば忘れてた!」


勉「それで団ちゃんと一緒に相談しながらプレゼント選んでいたんだよ。」


団子「いや~まさか華ちゃんがいたなんて私もびっくりだよ~」


華「2人ともごめん!私の勘違いだった!」


勉「とにかく誤解が解けてよかったよ。」


華は勉にもらったプレゼントの箱をカバンにしまった。


卯円「あれ?開けないの。」


華「はい、中身は明日開けます。 では、私はこれで。」


卯円「うん、じゃあね。」


団子「また明日~」


勉「じゃあな。」


団子「ところで副会長たちはここで一体何を?」


卯円「ん?それは学校の備品を買いに・・・・・・あ~!忘れてた!」


勉「華はもういない・・・・・・」


団子「大丈夫ですよ、ここに荷物持ちがいるじゃないですか~」


勉「え、僕!?」


こうして勉は卯円と団子と共に備品買いに付き合うことに。

次の日、学校の1年B組の教室では。


勉「なんか教室が騒がしいな。」


練磨「今日は百合根さんの誕生日らしいからな。そのプレゼントを渡す人が多すぎるんだよ。」


勉「へ~(全員華の誕生日知っていたんだ・・・・・・)」


練磨「三八が言うには教室に入ってきたら百合根さんにガンシューするらしいぞ。」


勉「ガンシュー?ゲームか何かか?」


練磨「違うって、顔面にシュークリームをぶつけることを「ガンシュー」っていうらしい。女子クラスでは誕生日のクラスには必ずやるらしいぜ。」


勉「そんなことしたら顔がクリームまみれになるじゃないか。」


勉は去年のパイ投げ祭りで同時に顔にパイをぶつけ顔がクリームで真っ白になった華の顔を思い出すと肩を震わせ静かに笑い出した。


練磨「大丈夫か、急に笑い出すから何かあったのか?」


勉「いや、あの姿になると想像したら面白くて」


練磨「あの事?(てか勉の笑ったところ初めて見た・・・・・・)」


勉の笑いが治まったところで練磨は話題を変えた。


練磨「で、勉は何をプレゼントしたんだ?」


勉「腕時計。」


練磨「腕時計!?」


勉「声がでかい!」


一方、A組教室では華がドアを開けた瞬間目の前にシュークリームが飛んできた。


華「おはよ・・・・・・きゃあ!」


A組クラスたち「百合根さん、お誕生日おめでと~う!!」


華は目の周りのクリームを少し拭いた。


華「ありがとう、あ~あ、ちょっと制服汚れちゃった。」


三八「これがこのクラスの恒例行事だからね。それと学園の人たちからのプレゼント、ロッカーの中に入れておいたから。」


華「ありがとう、うわ!何この量!?」


ロッカーの中はプレゼントがあふれて押し込んでもすぐにこぼれるほどの量だった。


華が顔についたクリームを水で洗い流し、席に着いた。席に着くなりにっこにこで左腕を見ていた。


女子生徒A「百合根さんご機嫌だね。」


女子生徒B「プレゼントが多くて、上機嫌なのかな?」


団子「それはないと思うよ~」


女子生徒B「どういうこと?」


団子「だって上機嫌の理由はあれだからさ。」


女子生徒A「あれって、腕時計?」


団子「うん、大切な人からのプレゼントだからね~」


女子生徒B「それって好きな人!?」


団子「なんてね、お母さんかららしいよ。」


女子生徒B「な~んだ。」


華は、勉からもらった白の腕時計を見てニコニコしていたのであった。


華「(勉からの誕生日プレゼント、すごく嬉しい~!)」


第22話(完)

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