第18話 吹雪のお泊り会

前回のあらすじ。勉と華は勉の部屋でクリスマスパーティーを開いていた。花が帰ろうとしたその瞬間、猛吹雪が襲い帰れない状況に・・・・・・


華「このまま強くなるみたいだから。勉の家の人に言って泊めてもらいなさいって。」


勉「え・・・・・・。」


華「やっぱり困るよね。私帰るよ。」


勉「待て待て、今外に出たら危ないって!」


華「でも風は吹いていないよ」


その時、突然窓がガタガタ揺れ始めた!


華「急に吹いてきた!」


勉「それに吹雪だからどこもかしこも雪だぞ。泊まったほうがいいって。」


兼備「{ドアを開ける}話は聞かせてもらったわ!」


勉「わっ!」

{同時に言う}

華「きゃあ!」


兼備「百合根さん。うちに泊まりなさいな!」


勉「と言うかいつから聞いていた!?」


兼備「う~んと、華ちゃんが勉のほっぺを手ですりすりしていたところかな?」


勉「結構前じゃないか!後、すりすりって言うな!」


華「いいのですか?ならお言葉に甘えて。」


こうして華が真面野家に泊まることになった。 華はリビングにいる真面野の父「優斗」に挨拶をした。


華「初めまして。私、双子沢学園1年生の百合根華と申します。」


優斗「ちゃんとあいさつするのは初めてでしたね。勉の父、真面野優斗です。」


優斗は華の顔をジーとみている。


華「あの・・・・・・私の顔に何かついていますか?」


優斗「いや~整形しているって母さんが言っていたけど、治療後も目立ってないし今の治療法はすごいものだな・・・・・・」


勉「ちょっと父さん! ごめんね。父さん医療関係になると話聞かないから。」


華「そうなんだ・・・・・・」


兼備「華ちゃん。お風呂沸かしたから先に入っちゃいなさい。」


華「御母様ありがとうございます。」


勉「(そういえば、いつの間にか名前で呼んでいる・・・・・・)」


華はお風呂に入った。


華「は~気持ちいい・・・・・・(足の伸ばせるお風呂に入れるのって何ヶ月ぶりだろう。ウチのお風呂、五右衛門風呂みたいに狭いからな・・・・・・)」


洗面所から


兼備「華ちゃん、湯加減はどう?」


華「ちょうどいいです。」


兼備「着替えここに置いておくから。」


華「ありがとうございます。」


同じころ勉の部屋では。


勉「えっと、いい箱作ろう鎌倉幕府1185年。へ~昔は1192年だったんだ。」


ドアが開き、華が入ってきた。


華「あっ、お風呂お先にいただきました。」


勉「あぁ華か・・・・・・って、何だその恰好は!」


華「これ?」


華は着ているドレスっぽい白いパジャマをその場で回ってなびかせた。


華「これはネグリジェっていうパジャマだって。勉のお母さんのものらしいよ。」


勉「あの人はそんなものまで持っているのかよ!今時着ている人いるか!?」


華「あの人って・・・・・・」


勉「全く・・・・・・」


華「勉もお風呂入ったら?」


勉「そうだな、僕も入るか。」


華「私ここで待っているから。」


勉「頼むわ。」


勉はお風呂入りに部屋を出た。


その数十分後 お風呂から上がった勉。


勉「華、風呂から上がったぞ。」


華は勉の犬の抱き枕を抱きながらベッドで寝ていた。


勉「何だ、寝ているのか。」


華「スースー」


勉「起こすのも悪いし、そのまま寝かせておくか。」


華「う~ん。誰?」


華は寝ぼけた目をこすりながら起きた。


華「あっ、勉。」


勉「おはよう。」


華「しまった、つい抱き枕の誘惑に負けて眠ってしまった。」


勉「華もやられたか、その枕に。」


華「この抱き枕、私が最初に来た時なかったけどいつ買ったの?」


勉「{目をそらしながら}えっと、覚えてないな~」


華「嘘つき。今目をそらしたでしょ。」


勉「・・・・・・華の影響だよ。」


華「私?何で?」


勉「だから、ここでギュってしたじゃないか。」


華はその話を聞いた瞬間顔が赤くなった。


華「なるほどね・・・・・・ なんか恥ずかしくなった。 夜遅いし、私寝るね!」


勉「僕も寝るか。」


勉は部屋に敷いた敷布団に入ろうとする。


華「え、勉はベッドでしょう?」


勉「いや、華が寝ていたしそのままでいいよ。」


華「そんな、悪いよ。」


勉「いいから、じゃあおやすみ。」


華「・・・・・・ありがと、おやすみなさい。」


2人はそのまま眠りについた・・・・・・と思いきや。


勉・華「(・・・・・・寝られるわけないでしょう!)」


勉「(羊でも数えるか。 羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、羊が・・・・・・)」


勉は羊を数え続けた。


勉「(羊が345匹、羊が346匹・・・・・・眠れない)」


華「{小声}執事が342匹、執事が343匹・・・・・・」


勉「華、羊じゃなくて執事になっているぞ。」


華「え!?勉起きていたの?」


勉「なんか眠れなくてな。」


華「私も。お泊りするの久しぶりだから緊張しちゃって。」


勉「久しぶりってことは昔どこか泊まったの?」


華「団ちゃん家に何回かね。受験勉強とかしていたの。」


勉「勉強合宿か。面白そうだな。」


華「うん、楽しかったよ。一緒にお風呂に入ったり、夜からお菓子食べたり、なんかイケないことをしているみたいで。」


勉「団ちゃんらしいな・・・・・・夜からお菓子食べるのって。」


華「でも、男性の家に泊まるのは初めてだから。眠れないしこのまま起きていようかな・・・・・・」


勉「いや、徹夜は体に毒だ。ちゃんと寝よう。」


華「うん分かった。目をつむっていたらいつかは寝られるよね。」


そう話していた2人は約5分後、泥のように眠っていった。


次の日・・・・・・吹雪はいつの間にか去っていった。


勉「ふぁ~いつの間にか眠っていたな。 華、起きているか?」


しかし、ベッドに華の姿がない。


勉「あれ、アイツどこ行ったんだ?」


勉は華を探しに家を回った。


勉「もしかして帰ったか? いや、それなら手紙ぐらい書き残すだろ。」


するとキッチンからお味噌汁のいい匂いが。


勉「そうだ、母さんに聞いてみよう。」


勉はキッチンに向かった。そこで料理していたのは母親ではなく。


華「あ、勉おはよう。よく眠れた?」


勉「華、お前、何しているの?」


華「何って、朝ご飯作っているの。御母さんには許可もらっているから。」


勉「へ~、そういえば華の料理しているところ見たの初めてかも。」


華「そうだね。あ、ちょっと味見してみて。」


華は勉にみそ汁の出汁が入った小皿を渡した。


勉「ズズッ{啜る} うん、うまい。」


華「よかった。じゃあ盛り付けるから食器出してくれないかな。」


勉「おお、分かった。」


勉は棚からお茶碗などを出した。


兼備「あら、華ちゃんおはよう。」


華「御母様おはようございます。」


勉「母さんおはよう。」


兼備「勉おはよう。後、お誕生日おめでとう!」


勉「あっ、そうか。今日僕の誕生日だったか。」


兼備「これで勉も17歳か。」


勉「あまり誕生日は嬉しくないな・・・・・・」


兼備「もう、お爺さんみたいなこと言わないの。ねえ華ちゃん。」


華は驚きで口が開いていた。


華「え?今日、勉の誕生日なのですか?」


勉「え、あぁ。華には言っていないしな。」


華「言ってほしかったな・・・・・・」


勉「何で?」


兼備「も~ごめんなさいね。ウチの息子こういうのに鈍感だから。」


勉「鈍感は関係ないだろ。」


兼備「あなたは真面目過ぎるのよ。誕生日というのは年を取るだけの残念なイベントじゃないのよ。」


勉「でも嬉しくないだろ。誕生日祝われるのって。」


兼備「あんたそんなこと言っていると華ちゃんに嫌われるわよ。」


勉「何で!?」


華はご飯とみそ汁を継ぎ終わった後何かをひらめいた。


華「あ、そういえば!ちょっと席を外します。」


華は急いでその場を後にした。


兼備「あんたがあんなこと言うからどっか行ったじゃない。」


華はすぐに戻ってきた。


華「これ、クリスマスに渡そうとしてすっかり忘れていたわ。」


華は小箱を勉に渡した。


勉「これって?」


華「開けてみて。」


勉が箱を開けてみると中には銀色のリングが2つあった。


勉「これって・・・・・・」


華「ペアリング。普段つけるのは無理だと思うけど。デート中とかだったら大丈夫でしょ?」


勉「要するに両手の薬指にはめればいいのか?」


華「1個は私の!」


勉「そうだった!」


勉はリングを華に1つ渡した。


華「それから、お誕生日おめでとう。」


勉「あっ、ありがとう・・・・・・」


兼備「朝からいいもの見せてもらったわ~」


勉「って母さん!?まだいたの?」


兼備「うふふ、ごちそうさま。」


優斗「お~い、朝飯まだか?」


華「あ、すぐに持ってきます。」


優斗「百合根さんすまないね。朝から。」


華「いえ、私も好きでやっているので。」


優斗「いい人を彼女に持ったな。勉。」


勉「もー父さん!」


こうして真面野家の騒がしい朝が終わった。朝食を済ませた後、勉と兼備は華を見送りに(ちなみに優斗は仕事で先に挨拶を済ませている)


勉「忘れ物はないか?」


華「うん、全部あるから大丈夫。」


勉「その、次はいつ会えるかな?」


華「私明日から東京のおばあちゃんのところに行くから次に会えるのは来年かな?」


勉「ということは今年はこれでお別れってことか?」


華「そんなわけないでしょう。電話やメールもできるし。」


勉「そうか、それもそうだな。」


兼備「お味噌汁と玉子焼きおいしかったわ。お父さんも喜んでいたわよ。」


華「ありがとうございます。では、私はこれで。」


勉「華!」


華「ん?」


勉「良いお年を、また来年な。」


華「うん。よいお年を。」


華は勉の家を出て、自分の家に帰った。 そんな帰宅途中。


団子「あれ?華ちゃんだ~」


華「団ちゃん。それに三八ちゃんとメアリーさんにミミさんも。」


メアリー「メリークリスマスですわ!」


華「みんなも今帰り?」


三八「さっきまでみんなでカラオケに行っていたのよ。」


団子「ミミちゃんすごくうまかったよ~まるで本物の歌手みたいで。」


ミミ「誉めすぎですよ、花寄様。」


メアリー「ところで華ちゃんも朝帰り?」


華「え!?あ~うん。そんなところ・・・・・・」


三八「もしかして勉くんの家に泊まったの?」


華「吹雪が強かったからそのまま泊めてもらったの。」


ミミ「そういえば4時間ほど吹雪いていましたね。」


華「よ、4時間?」


団子「あれ~華ちゃん。その右手の薬指にはめている指輪は何?」


華「うふふ、ナ・イ・シ・ョ。」


団子「後、首にかけているペンダントも!五葉のクローバーだ!」


三八「まさか・・・・・・ペアリングってやつじゃ。」


メアリー「ペアリングって何ですの?」


そんなたわいもない話をした女子たちであった。


第18話(完)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る