第15話 決戦パイ投げまつり(前編)

生徒会室では謎の緊迫な雰囲気に包まれていた。


白羽「みんな、ついにこの日が来たな。」


勉「今日って何の日ですか?」


白羽「今日じゃなくて1週間後だよ。」


勉「23日ですか?」


華「もしかして勉くん、知らないの?{白羽と卯円にはまだ付き合っていることを言っていないのでくんづけで読んでいます}」


勉「だから何だよ?」


三八「本当に知らないの?双子沢学園の中で最も大変なイベント・・・・・・」


勉「もったいぶらずに教えろよ。」


団子「来週は「パイ投げ祭り」だってことだよ~」


勉「ん?なんだその祭りは。」


卯円「まあ知らなくても当然よな。この祭りのことは学校説明会でも口外にもされていない祭りだから。」


白羽「まあ要するに今年のうっ憤をパイ投げで発散するイベントってこと。まあ何でこの祭りができるようになったかは知らないけどさ。」


勉「それって強制参加ですか?」


白羽「1,2年生は全員参加だからね。3年生はサポーターをやったり、それ以外の人は休みになっている。」


勉「あの、ルールというものは?」


白羽「う~ん。少し長くなるけどいいか?」


勉「はい、お願いします。」


白羽「簡単に言うと1時間の間とにかく人にパイをぶつけまくること。場所は屋内限定。屋外でやるとクリームの後片付けが大変になるからな。屋内にはブルーシートがひいてあるからいくらでも汚して大丈夫。

次にこの祭りはポイント制になっており、当てた場所によってポイントが変わる。足に当てると2点。体に当てると5点。頭は7点。そして一番得点が高いのは顔で10点だ。ちなみに腕はカウントされないからブロックするときは腕を使うと効果的だぞ。

次にパイの作り方だけど全員に紙皿とクリームスプレーを2缶渡す。紙皿にクリームを乗せてぶつけるのがルールだ。スプレーで直接攻撃するのはルール違反になるからな。

後は、ハンデだけど女子はポイントが当てると本来のポイントとプラス2点ということになる。例にすれば顔に当てると本来のポイント10点とハンデポイントとしてプラス2点になるから合計12点ということになる。後男子は女性に当てた時は5秒間その場にじっとしていないといけないんだ。それと、同じ人に何度も当てるのもだめだ。1度当てたらもうその人には当ててはいけない。まあ大まかなルールはこんなところかな。最終的にポイントが多い人が優勝というわけだ。」


華「順位を決めるということは優勝者には何か商品が出るのですか?」


卯円「もちろん。優勝するとあのスイーツ1つ星シェフ「甘居 吸汁(あまい きゅうじ)」の特性イチゴのショートケーキを1ホールでプレゼントされるぜ。


団子「甘居さんと言えばスイーツ界では知らない人がいない超有名人じゃないですか!?」


卯円「ちなみにその甘居さんも双子沢のOBらしいぞ。」


団子「そうなんですか!」


三八「団ちゃんすごい興奮しているわね。」


団子「よ~し、優勝狙っちゃうぞ!」


勉「みんなやる気だな(僕は適当に時間をつぶして・・・・・・いや、まてよ。祭りの次の日はクリスマスイブ。つまり、ケーキを買うお金を浮かすチャンス!)」


次の日から昼休みの間、屋上でパイ投げ祭りのための特訓していた。その特訓とは、ドッジボールだ。


勉「おりゃ!」


勉はボールを三八に向かって投げた。投げたボールが三八の胸元に当たった。


三八「痛っ!」


勉「三八さん大丈夫!?」


三八「平気よ、勉くん。もう一回同じ速度で投げて。」


勉「いいの?結構速い速度で投げるように言われたから投げたけど。」


三八「これは腕でパイをガードする特訓よ。腕はポイントにならないからね。」


勉「分かった、じゃあ今度は足元狙うぞ。」


三八「お願い。」


団子「勉くん意外に運動神経いいのよね~」


勉「意外には余計だ。この運動神経は多分母親の遺伝だと思う。」


華「ハイスペックだね。」


勉「でも普通だろ。」


団子「じゃあ三八ちゃんの次は私が相手だよ~」


三八「団ちゃん元バレー部だから運動神経いいわよね。」


勉「よし、相手になってやる。」


それから1週間、4人はひたすらドッジボールを続けた。全員考えは同じで優勝するために。

そしてついにパイ投げ祭りが始まった。


寝待「よっしゃあ!今日は何としてでも優勝するぞ!」


勉「果報、ずいぶん張り切っているな。」


寝待「当たり前だろ! なんてったって優勝賞品はあの甘居シェフのホールケーキなんだぜ! 今や予約4ヵ月待ちの人気商品なんだよ。そして、そのケーキを彼女と一緒にフフフ・・・・・・」


勉「果報って彼女いるのか?」


寝待「・・・・・・いるわけないだろ。ただの妄想だよ。でもその妄想を現実にするために俺は頑張るぜ。そういう真面野も手や足にあざなんかできちゃってよほど本気なんだな。」


勉「別に・・・・・・」


寝待「まあいいさ。1位は俺のものだ!」


1,2年生は全員汚してもいいように学校が用意した体操服とジャージに着替えて、体育館に向かった。


勉たちが体育館に向かっていると笑福先輩がやってきた。


勉「先輩、どうしてここに?今日3年生は休みなはずですけど?」


笑福「俺たちはサポーターだよ。俺はみんなの得点を出す記録係だ。 そうだ、真面野、これを付けてくれ。」


笑福は勉に緑色のミサンガを渡した。


勉「これは?」


笑福「祭りが面白くなるアイテムだ。 よし、俺がつけてやろう。」


笑福はミサンガを勉につけた。


勉「面白くなるアイテムって何だろう?」


笑福「それはルールの時に説明してやるよ。じゃあな。」


笑福は体育館に向かった。


体育館では校長の鶴野一声のあいさつによる開会式が始まった。


一声「え~みなさん。今日は今年のストレスを思いっきり発散してください。その代わりほかの生徒にケガさせてはいけないですよ。特に男子生徒は。」


男子生徒たち「はい!」


一声「それじゃあルールについては前会長門松くんに説明してもらう。」


校長と交代で笑福がステージに上がった。笑福がくだらないダジャレとルールを説明した後。


笑福「それと今年から新しいルールを説明する。実は何人かにこの緑色のミサンガを渡した。」


勉「これか。」


寝待「お前、いつの間にそんなものを。羨ましい・・・・・・」


笑福「このミサンガを結んだ人にパイを当てるとなんとポイント倍にサービスする!」


勉「(なっなに!)」


男子生徒A「おい、真面野に当てるとボーナスがもらえるって。」


男子生徒B「ということは顔に当てたら合計20ポイント!」


男子生徒C「よし、最初のターゲットは真面野で決まりだな。」


寝待は勉の肩をポンッと叩いた。


寝待「真面野、俺たち友達だろ。顔に当てていいか?」


勉は苦虫を噛み潰したような顔で


勉「お断りだ。第一僕たち友達じゃないし。」


笑福「それじゃあ5分後に試合開始だ。それまで準備やルート確認などを行ってくれ。緑ミサンガのやつらは狙われるから気を付けろよ。」


勉「(逃げよう・・・・・・)」


笑福の説明が終わり生徒たちは5分後の試合に向けてそれぞれの場所で準備を始めた。


勉「(とにかく急いで人気のないところに行かないとな。学校は全部で4階あるからどこに隠れたらいいかな?)」


勉は4階の端の教室に向かった。


勉「(ここなら大丈夫だろう。)」


放送{笑福}「それでは1時間パイ投げ祭りスタート!」


勉「始まった!」


すると10秒も満たず足音が近づいてきた。


勉「(もう来たのか!)」


男子生徒D「いたぞ、緑ミサンガの男だ!」


男子生徒E「男なら手加減なしでいいだろう!」


勉「(赤ジャージということはこの人たち2年生かよ!)」


男子生徒D「後輩覚悟~!」


男子生徒が勉の顔面にパイを投げた。しかし、勉はとっさの判断で腕を使って顔を守った。


男子生徒D「ちっ!ガードされた!」


男子生徒E「俺に任せろ!」


男子生徒の1人が勉に向かってパイを投げようとした瞬間。


男子生徒E「!」


男子生徒の景色が真っ白になった。勉の投げたパイが投げてないほうの男子生徒の顔に当たった。


男子生徒D「左腕でガードしながら右で後ろ目掛けて投げたのか。」


勉「先輩も当てていますよ。頭に。」


男子生徒D「いつの間に!」


男子生徒E「真っ白で何も見えない!」


男子生徒D「せめて一矢報いてやる!」


男子生徒が投げたパイが勉の体にヒットした。


勉「さすがに避けられないか・・・・・・」


勉はそのまま逃げた。


勉「今ので10点か。逆転するのはかなり大変だな。」


男子生徒F「いたぞ!」


勉「バレた!」


勉は別の方向に逃げた。


勉「マズイ!これじゃあ回り敵だらけじゃないか!」


女子生徒A「あ、緑ミサンガの人いた!」


勉「(今度は女性かよ!)」


勉は女性の投げたパイをわざと足に当てた。


女子生徒A「やった。」


勉「すいません。」


勉は女子生徒の背中にパイを当てた。


女子生徒A「冷たっ!」


勉はその場でじっとした。


女子生徒A「しめた!この子は5秒間動けない!今がチャンス・・・・・・あっ!もう投げちゃった!」


勉「(このルールの最大の弱点は先にぶつけたら意味がないということだ。緑ジャージだからこの子は1年だな。)」


女子生徒A「あっちゃ~次からは気を付けないと。じゃあ真面野くんお先に!」


勉「(ん?普通に僕のことを名前で・・・・・・どこかで会ったっけ?)」


勉が悩んでいると目の前にいきなりパイが飛んできた。


勉「危ね!」


勉は条件反射で避けた。


?「外れちゃったか。」


超えのした方向へ振り替えると


勉「その声は・・・・・・三八さん!?」


三八「まさかガードじゃなくて避けるとはね。」


勉「危ないな、いきなり投げてきて。」


三八「不意打ちは基本でしょう?」


勉「すごいな。そこまでやるんだ。」


三八「もちろん、優勝するためにはね。」


勉「さすがだな、えらいえらい。」


勉は三八の頭を撫でた。


三八「ちょっと・・・・・・{照れる}」


勉「・・・・・・・・・・・・。{その場でじっとしている}」


三八「どうしたの?」


勉「別に、じゃあがんばれよ。」


勉はその場を去った。


三八「うん。 あれ・・・・・・頭に違和感が・・・・・・」


三八が髪の毛を触るとそこにはべっとりとクリームが。


三八「あ~!やられた・・・・・・」


勉「(三八さんには悪いことをしたかな・・・・・・)」


団子「あ、勉くん見っけ~!」


勉「げっ!団ちゃん!」


勉はその場から逃げた。


団子「あ、待ちなさ~い!」


勉「団ちゃんと一緒にいるとろくなことが起こらないから!」


団子「なに~!」


勉「え、団ちゃん足速い!?」


団子「捕まえた!{勉の腕を掴む}」


勉「やっ、やられる・・・・・・」


団子「そんなすぐ攻撃する訳ないでしょう。」


勉「くそっ、放せ!」


団子「そんなことより、華ちゃん見てない?」


勉「いや、三八さんなら見たけど?」


団子「ふ~ん。どこ行ったんだろう?」


勉「一緒じゃなかったのか?」


団子「最初は一緒だったけど何人かに襲われてね、後で合流しようといったけど・・・・・・


男子生徒G「いたぞ!」


勉「マズイ!団ちゃん速く逃げ・・・・・・ぶぐっ!」


勉は団子にパイを顔面に食らわされた。


団子「ポイントは貰っていくよ~」


勉「ぶはっ!こら、待て!」


団子は逃げるようにその場を避けた。


勉「くそっ!やってやら~!」


勉は男子生徒数人と乱闘の末・・・・・・勉は階段の下で身を潜めていた。


勉「ハアハア・・・・・・(何とかポイントは稼げたものの、このままじゃあ優勝なんて難しいぞ。せめて誰か僕と同じポイント倍のミサンガを持ってるやつがいれば・・・・・・)」


勉はそんなことをつぶやいていると、遠くから人気が・・・・・・


勉「誰だ・・・・・・」


勉は紙皿にクリームをのせた。


勉「(見た感じ髪が長いし女性か?それにしても真っ白だな・・・・・・これは、かなりやられているな・・・・・・)」


そんなクリームまみれの女性がこちらを向いた。


?「勉!?」


勉「その声は・・・・・・華か?」


華「良かった~怖かったよ~!」


勉「わっ、こっちくるな!クリームがつく!」


華は勉からタオルを受け取り、顔に付いたクリームを拭いた。


華「ふぅ・・・・・・」


勉「大丈夫か?その恰好からするとだいぶやられてるな・・・・・・」


華「そうなの、ほら、私もミサンガを付けているからいろんな人に狙われたの。」


勉「やっぱりこのミサンガが原因か・・・・・・」


華「どうしよう・・・・・・このままじゃ優勝なんて・・・・・・」


勉「華も優勝狙っていたのか。」


華が目にうっすらと涙を浮かべた。


勉「華・・・・・・大丈夫だ。1位は僕がとってやるから。」


華「そんなの・・・・・・悪いよ。」


勉「う~ん、華をそのままここに置いていくわけにもいかないし・・・・・・」


華「私も一緒に行かせて。」


勉「え!?」


華「このままじゃいやだ。私も優勝を狙えるぐらいになりたいの!」


勉「(確かに一緒に行動した方が優勝は狙いやすいな。元々優勝したら華にケーキをプレゼントするつもりだったから)・・・・・・分かった。一生に優勝を目指そう!」


こうして勉と華の協力戦が始まった。果たして優勝はできるのだろうか?


第15話(完)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る