第5話 臨海学校(後編)

ビーチボール大会が終わり、夕飯を済ませた学生たちはお風呂に向かっていった。そこでこの男は怪しい行動に出ていた。


寅之助「おい、例の物を用意できたか?」


点睛「はい、準備できています。寅之助様。」


寅之助「よし、なら今日が本番だ!」


お風呂にて


勉「は~生き返る。運動した後の露天風呂は格別だな。」


寝待「なあ真面野、準優勝の景品ってなんだよ?優勝者は記念トロフィーだったよな。」


勉「カゴいっぱいのお菓子だよ。4人で分けろと言われたけどな。」


寝待「いいな~百合根さんたちと試合できるなんて夢みたいじゃないか。」


勉「そんないいものか?」


寝待「お前知らないのか?百合根さんだけではなく花寄さんや桃垣さんも人気があるんだぞ。」


勉「え!?それは知らなかった・・・・・・」


寝待「だってさ。3人ともかわいいじゃん。」


男子生徒A「俺は花寄さんかな、可愛いし小さいしな。おまけにおっぱいがでかい!」


男子生徒B「ビーチバレーの時ずっと花寄さんの胸ばっかり見てたしな。」


男子生徒A「バカっ!言うなよ!」


男子生徒C「俺は桃垣さんだよ。あのスレンダーな体形にクールな眼差し。たまんないぜ。」


男子生徒D「でも、たしか桃垣さんて男嫌いで有名なんだよな。」


勉「桃垣さんの男嫌い、かなり噂が広がっているんだな。」


寝待「へ~桃垣さん男嫌いなんだ。じゃあ何でこの学校に来たんだろう?」


勉「僕と同じでルールのことを理解していないだけでは?」


寝待「いや、それはないだろう。面接で聞かれるわけだし。」


寅之助「やれやれ、君たちいつまでそんなつまんない雑談に花を咲かせるんだい?」


男子生徒C「なんだよ脛梶、お前入ってくるまで遅いじゃないか。どこで油を売ってたんだよ。」


寅之助「隣には女子の笑い声が聞こえるだろう。お前たちはあの桃源郷を見たいとは思わないのかい?」


男子生徒D「でもよう、塀を上ったらばれるしどうやって見るようにすればいいんだよ。」


寅之助「やれやれ、それでもお前たちは双子沢学園の生徒なのかい?頭を使いたまえ。」


男子生徒D「(こいつ、発言一つ一つがムカつくな・・・・・・)」


寅之助「要するに音を出さずに女子風呂を除けばいいんだろう。そこで俺はこれを用意した。点睛、持ってこい。」


点睛「は!」


点睛が持ってきたのはラジコンカー、しかし、壁を進める最新型のラジコンカーだった。


男子生徒A「まさか、それを使って女子風呂を覗こうとしているのか!」


寅之助「その通りだ!」


勉「・・・・・・脛梶、覗くのは勝手だけどバレても僕は知らないぞ・・・・・・」


寅之助「ふん、お前には見せないもんな。ビーチバレーでいい思いをしたお前にはな!」


勉「はいはい、ご勝手にどうぞ。」


寅之助はラジコンのスイッチを入れた。カメラを乗せたラジコンは壁を伝って女子風呂に向かって走り出した。


寅之助「あと少し、あと少しで我々の桃源郷が見える!」


寅之助のリモコンモニターに男子たちは釘付け、そしてラジコンカーが女子風呂に入った瞬間。シャンプーのボトルがラジコンカーに直撃。ラジコンカーはお風呂に沈んだ。


女子生徒A「今男湯からラジコンがここに入ってきたんだけど!」


女子生徒B「早く先生に通報しないと!」


寅之助「まずい!先生にチクられる!」


女子生徒C「その声は脛梶くんね!犯人はアイツだ!」


男子生徒A「脛梶、あっさりバレたじゃねえか!」


男子生徒B「俺たちゃし~らね」


寅之助「真面野~助けてくれよ!」


しかし、風呂場に真面野の姿は見当たらなかった。


寅之助「あれ、真面野は?」


寝待「アイツならとっくに出て行ったけど。」


団子「サイテー!真面野くんに罪を擦り付けようとしたのね!」


寅之助「なぜバレた!」


団子「全部丸聴こえなのよ!」


寝待「終わったな、脛梶。」


女子風呂では


団子 私、先生に通報してくる。


華「私も行ってくるよ。」


三八「私も。」


生徒会三人が先生に通報しようと湯船を出た。急いで着替えて出たためか。


団子「ちゃんと拭いてないから体が気持ち悪い・・・・・・」


暖簾をくぐった後、目の前にお風呂上がりのジャージ姿の勉の姿が。


勉「お~お前たちもう上がったのか。」


華「真面野くん!」


三八「え、もう出たの?」


勉「なんか騒がしいけどどうしたんだ?」


団子「聞いてよ真面野く~ん。脛梶くんが女子風呂覗こうとしてカメラ付きのラジコンカーを使ったのよ。」


勉「(バレるの早すぎるだろう・・・・・・)」


団子「今から先生に通報しようと思うのだけど。」


勉「・・・・・・・・・・・・。{顔を赤らめ、目線をそらす。}」


三八「真面野くんどうしたの?」


勉「その・・・・・・先生に言うのはもう少し後でもいいんじゃないか?」


団子 なによ!脛梶くんの味方をするつもりなの?


勉「いやーこんなこと言うのは男としてどうかとは思うけど。」


華「大丈夫、私たちはこんなことで怒らないから。」


三八「ハッキリ言ってよ。」


勉「その・・・・・・三人とも服が、透けてる・・・・・・」


団子・華・三八「あっ・・・・・・」


勉・華・団子・三八「・・・・・・・・・・・・。」


三八「い、急いでいたからちゃんと拭いてなかった・・・・・・」


団子「そうね、確かに急いでやることじゃなかったわね。」


華「じゃあ私たち拭いてくるからまた後でね!」


3人は女子風呂の暖簾を急いで潜った。


勉「・・・・・・3人ともいい匂いだったな。」


その後、寅之助は先生に説教を食らい強制帰宅をされたらしい。


次の日。1日中男子は勉強合宿、女子は料理合宿が行われた。


寝待「や、やっと勉強合宿が終わった・・・・・・」


勉「今回の内容分かりやすかったな。」


寝待「(こいつ頭脳バケモンだ・・・・・・今回の問題難関大学レベルの問題なのに) 女子は料理合宿らしいし楽でいいよな。」


勉「でも生徒会の子が言ってたけれど、今回京都の老舗料亭の板前さんが指導するらしいよ。」


寝待「ウ、ウチよりも厳しいかもな・・・・・・」


勉「あ、メールだ。」


寝待「珍しいもんだな。お前にメールなんて。誰からなんだ? 」


勉「百合根さんから」


寝待は勉の胸ぐらをつかんだ。


寝待「お前!いつの間に百合根さんと連絡先交換したんだよ!」


勉「同じ生徒会役員なんだから当たり前だろ。」


寝待「俺も欲しい!」


勉「だったら今日の肝試しの時に交換してもらえればいいじゃないか?男女一緒に行動できるのはその時だけだし。」


寝待「お前、そんなことできるわけないだろ。」


勉「何でだよ?」


寝待「だって、あの百合根さんだぞ。俺みたいな凡人相手にしてくれるわけないだろ。」


勉「じゃあ百合根さんに聞いてみようか?」


寝待「それもなんか違う!」


勉「面倒くさいな・・・・・・」


寝待「それに肝試しはくじでペアが決まるんだろ。百合根さんと一緒になる確率は150分の1。倍率が高すぎるよ・・・・・・」


勉「あ、そろそろ行かないと肝試し間に合わなくなるって。書いてあった。」


寝待「まずい、早く行こう!」


勉は顔を赤くした。その理由は文章の最後にこう書いてあったからだ。

P・S 肝試しのペア、一緒になれたらいいね。


夜7時、肝試しが始まった。


一方そのころお化け班は


お化け班委員長「よし、配置はこんなところでいいかな。みんなで協力して驚かしてやりましょう!


役員「お~!」


団子「じゃあ私はこっちだね。」


女子生徒D「花寄さんそこは任せたよ。」


団子「OK~!」


女子生徒は自分の配置場所に向かった。


団子「(しかし、まずいことになったわね・・・・・・まさか三八ちゃんが真面野くんに告白しようとするなんて、さすがに彼女がいるなんてあの時は言えなかったしどうしよう・・・・・・。今携帯あるし真面野くんに連絡するか?いや、ダメだ。あの鈍感な真面野くんのことだからすっぱり断りそう・・・・・・そうしたら三八ちゃんがかわいそう。でも、このまま放っておくわけにはいかないし・・・・・・ )」


団子はしばらく考えたが


団子「(もういいや、後はあの子たちに任せよう。その方が面白そうだし~)」


肝試し大会が始まった。


青菜先生 よし、じゃあ男女1人ずつくじを引いてもらうぞ。まずは女子から


男子生徒A「ついに始まったぞ、この時が!」


男子生徒B「百合根さんは何番だろうな?」


勉「(確かに、華さんが何番なのか気になるな)」


華がくじを引いた。


華「あっ、私34番だ。」


勉「(オイオイ、言うのかよ!)」


男子生徒C「34番だ!」


男子生徒D「34番来い!


青菜先生「次は男子だ。」


男子は次々とくじを引いていった。しかし、34番は出なかった。


青菜先生「次、真面野。」


勉「(もう半分以上引いている。これで約75分の1の確立になった。つまり、引ける可能性は・・・・・・ある!)」


勉はくじを引いた。


勉「(来い、34番。いや、34番以外はありえない。ここで運を使い果たしてもいい、お願いします!)」


勉はくじを開いた。番号は、3・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・1番だった。


勉「(まあ、仕方ないか・・・・・・)」


寝待「やった~!34番当てた~!」


男子生徒A「果報が百合根さんの番号を当てたぞ!」


男子生徒B「うらやましすぎる!」


勉「(まあ、果報ならまだ安心か。さて、31番の相手は・・・・・・)」


三八「真面野くん、何番だった?」


勉「あ、桃垣さん。いや、僕は31番だったけど。」


三八「・・・・・・じゃあ、私と一緒だね。」


三八は恥ずかしそうに31番の紙を見せた。


勉「つまり、僕の肝試しの相手って。」


三八は顔を赤らめながら


三八「はい、私です。」


勉「うん、よろしく。(なんか、顔赤いよな・・・・・・もしかして、風邪でも引いたか?)」


三八「どうしたの?」


勉「桃垣さん。体調は大丈夫?」


三八「大丈夫だけどどうしたの?」


勉「いや、顔が赤いから風邪でも引いたかなと思ってさ。」


三八「顔赤かった!?気のせいじゃないかな?私はこの通りピンピンしてるから!」


勉「そうか、ならよかった。(あれ、桃垣さんってこんなキャラだっけ?)」


三八「(焦るな、平常心でいこう。大丈夫、あなたならできる。勇気を出して、桃垣三八!)」


一方、華と寝待のペアは


華「果報くん。いつも真面野くんと一緒にいるけど仲いいの?」


寝待「あっ、ああ!もう仲良しも何も親友だよ!アイツとは中1からの付き合いなんだよな。」


華「へ~そうなんだ。」


寝待「百合根さん。話変えますけど、今付き合っている人はいませんか?」


華「へ!?{声が高くなる}いや、いないけど。」


寝待「じゃあさ、どんな人が好きなの?」


華「う~ん。やっぱり、優しくて頼りがいのある人がいいかな。 後は、一緒にいて楽しい人かな?


寝待「なるほどね。(やっぱり、頼りがいのある男がいいのか。よ~し、ここでお化けに怖がる百合根さんを俺が守ってやる!)

百合根さんもし怖かったら僕に言ってくださいね。俺がアナタを守ってみせますから。」


華「うん、ありがとう。」


勉、三八ペアは


勉「あの・・・・・・桃垣さん。そんなに腕をつかまれたら僕動けないんだけど。」


三八「暗い、怖い・・・・・・」


勉「もしかして、お化けとかニガテ?」


三八「ま、まさか!怖いなんてそんなこと・・・・・・」


お化け役「うらめしや~!{貞子みたいなお化けが驚かす}」


三八「キャ~!お、お化け~!」


三八は勉の腕をほどき走り去った。


勉「待って桃垣さん!」


お化け役「あれ、脅かしすぎたかな・・・・・・」


華、寝待ペアは


お化け役「見たな~!{山姥みたいなお化けが包丁{レプリカ}を持って振り向く}」


寝待「ぎゃ~!出た~!」


華「果報くん大丈夫!?」


寝待「あの山姥、クオリティ高すぎるよ・・・・・・」


華「確かにクオリティ高いよね。」


寝待「百合根さんは怖くないの!?」


華「私、妖怪とかは信じないたちなの。」


そんな話をしていた時、遠くでは三八が泣きながら逃げていた。


三八「わ~ん!」


寝待「あれ、今いたのって」


華「桃垣さんだよね。」


勉「待って桃垣さん!」


寝待「真面野!?」


華「もしかして桃垣さんとペアになったのかな?」


寝待「なんか大変な状況になってるけど大丈夫なのか?たしか桃垣さんって男嫌いじゃ・・・・・・」


華「大丈夫よ、真面野くんなら何とかしてくれるよ。」


寝待「(アイツ、百合根さんに凄い信頼されてるな・・・・・・)」


三八「助けて~!」


勉「危ない!その先は崖だ!」


三八「え?」


三八は崖に足を滑らせた。


三八「キャ~!」


勉は三八の腕をつかんだ。


勉「桃垣さん。すぐ助けるからね!」


三八「あ、ありがとう。」


勉は三八を引き上げようとしたが地面がぬかるんで足を滑らせ2人とも崖に落ちてしまった。


そのまま肝試し大会は終了を迎えた。


寝待「その、ありがとう! 俺と番号交換してくれて!」


華「こちらこそ、話してとても楽しかったから。」


寝待「(ええ子だ・・・・・・)」


団子「華ちゃ~ん!」


寝待「ぎゃ~!」


団子の格好は全身血だらけの雪女のコスプレをしていた。


団子「あ、たしか君は・・・・・・砂層くん。」


寝待「ああ、花寄さんか。一瞬誰かと思った。後、俺は果報だ!」


団子「そんなことはどうでもいいの。真面野くんと三八ちゃん見なかった?」


華「ああ、あの2人なら数分前に見たけどどうしたの?」


団子「それがまだ帰ってきてないのよ。先生に報告して今総出で探しているけど。」


寝待「アイツらが迷子!? 早く探さないと。」


団子「私は森を探してみる。2人は会ったところをもう一度探してみて」


寝待「分かった。百合根さん、行こう。」


華「うん。」


一方そのころ勉たちは


三八「真面野くん!真面野くんしっかりして!」


勉が目を覚ますと目の前には体操服が泥でぐちょぐちょになった三八の姿が。


勉「あれ?ここは・・・・・・どこ? うわっ、服がドロドロ!」


三八「よかった・・・・・・目が覚めて。」


勉「あ、思い出した。確か桃垣さんを助けようとしたけど今日の夕立の影響で地面がぬかるんで足を滑らせたんだった。」


三八「そこまで理解しているから頭の方は大丈夫ね。」


勉「さすがに上るのは無理そうだな。スマホも宿に置いたままだし。おとなしく助けが来るのを待つしかないか。」


勉が三八の方向を見ると三八は体操服を脱ぎ始めた。


勉「チョット!何やっているの!」


三八「いや、服が張り付いて気持ち悪いから脱ごうとしただけなんだけど。」


勉「そうじゃな・・・・・・」


三八「あ・・・・・・」


勉は三八の背中にある古傷を見つけた。


勉「ねえ、桃垣さん。その傷は何?」


三八は脱ごうとした服を再び着た。


三八「真面野くん。何で私が男嫌いになったかわかる?」


勉「えっと・・・・・・たしか男は野蛮だとか言ってなかったっけ?」


三八「私は、小学生の時に父親から毎日のように暴力を受けていたのよ。


勉「!!」


三八「背中の傷はその時にできたの。だから水着も背中の露出がないのを着たってわけよ。」


勉「そうだったのか・・・・・・」


三八「父はそのまま蒸発して母はそんな父のストレスを受けて自殺してしまったわ。だから今は鳥取の母方の祖父母の家に住んでいるの。」


勉「そんなことが・・・・・・」


三八「それから、両親がいないという理由でクラスメイト、特に男子にいじめられていたわ。男嫌いが始まったのはそこからだったわね。でも、このままでは一生男嫌いのまま生活しなくてはならない。そこで学校の先生に相談すると双子沢学園を薦められたわ。彼氏ができないと卒業が出来ないということだけど。そこまでしないと私の男嫌いは卒業できないと思って私はこの学校に入ることに決めたって事よ。」


勉「なるほど、僕にそっけない態度をとったのはそういうことだったんだね。」


三八「でも真面野くんは他の男子とは違った。私のことを1人の女性として接してくれた。今までそんなことされたことなかったから本当にうれしかったわ。それと同時に、あなた事を好きになった。」


勉「え!?」


三八「真面野くん、私と、付き合ってくれないでしょうか?」


勉「・・・・・・嬉しいよ。今まで勉強しかしていなくて女性はおろか友達も誰一人いない僕なんかをそこまで好きになってくれるなんて。本当にうれしい。」


三八「じゃあ・・・・・・」


勉「でもゴメン、付き合うことはできない。」


三八「どうして・・・・・・? 」


勉「僕は今、付き合っている人がいるんだ。だから君の気持ちに答えることはできない。」


三八「その付き合っている人って?」


勉「・・・・・・・・・・・・百合根さん。」


三八「!」


勉「本当にごめん。せっかく勇気をもって告白をしてくれたのに。でも桃垣さんは僕なんかより数倍すごいよ。ちゃんとニガテを克服して男嫌いを克服できたんだから。」


三八「そう、やっぱり真面野くんは優しいね。」


三八は大粒の涙を流しながら


三八「あ~あ、初めての告白、失敗しちゃった・・・・・・」


勉「桃垣さん・・・・・・」


三八「なら真面野くん。一つお願いしてほしいことがあるのだけど。」


勉「何?」


三八「恋人ならダメでも、友達ならなっても大丈夫でしょ? だから、これから私のことは三八って呼んでくれないかな?」


勉「いいの、こんな僕のために友達になっても?」


三八「真面野くんは自分のことを過小評価しすぎ。私と百合根さんが認めた男なんだからもっと自信持ちなさいよ。」


勉「わ、分かったよ・・・・・・三八・・・・・・さん。」


三八「じゃあ私も勉くんって呼んでいいかな?」


勉「う、うん・・・・・・いいけど・・・・・・」


三八「勉くん、大好き!」


三八は止まらない涙を抑えながら思いを伝えた。


寝待「お~い、真面野、桃垣さん。いたら返事しろ~!」


勉「あ、果報の声だ。」


勉は崖の上にいる寝待たちを呼んだ。


勉「お~い!僕たちはここだ!」


寝待「真面野の声が崖の下から聞こえるぞ!」


華「よかった、桃垣さんもいた。」


三八「ぐすっ、百合根さん・・・・・・」


華「え、なんで泣いているの?」


寝待「真面野お前、なに桃垣さん泣かせてんだ!」


勉「誤解だ!」


無事に発見された2人は救助され、事なきを得た。しかし三八は落ちた衝撃で足をくじいてしまい補助として華が肩車をした。


三八「百合根さん。」


華「どうしたの?」


三八「そうじゃないけど 実はね、私、真面野くんに告白したの。」


華「ふ~ん・・・・・・え!? 真面野くんに告白した!?」


三八「でも断られた。百合根さんがいるからって。」


華「そうなんだ・・・・・・ その、私のことを恨んでいる?」


三八「恨み?ううん。思ってないから大丈夫。 でも悔しい気持ちはあったよ。もう少し早く告白したら変わっていたかもしれないのにってね。」


華「そうなんだ。」


三八「でも、これを通して私、成長したと思う。もっといい彼氏を見つけてみせるんだ。だから、勉くんを泣かせたら承知しないんだから。」


華「うん、ありがとう。桃垣さん。」


三八「私のことは三八って呼んでよ。華ちゃん。」


華「三八ちゃん。私、勉くんの彼氏として頑張るよ。必ず彼を幸せにしてみせる!」


一方男性たちは


寝待「お前も災難だったな。よりにもよって男嫌いの桃垣さんと一緒になるなんて」


勉「あのさ、もうその噂を信じるのはやめた方がいいんじゃないのか?」


寝待「噂って・・・・・・」


勉「三八さんは確実に進んでいるよ。いずれは僕よりいい男に会えるさ。」


寝待「え、どう言うことだよ。それに今三八さんて!」


こうしていろいろあった臨海学校が幕を閉じた。このイベントを機に勉たちは着実に一歩ずつ前進していくだろう。


第5話(完)

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