第4話 臨海学校(前編)

6月 生徒会室にて本日の会議が終了した。


笑福「よし、今日の生徒会はこれで終了だ。みんなお疲れサンタクロース。」


役員「お疲れ様です。」


笑福「無視するなよ~時期外れだろとか突っ込みいれてくれよ~!」


類「そうだ、明日から1年は2泊3日の臨海学校だっけ。」


勉「そうですね。」


笑福「そうだ、真面野にいいこと教えてやろう。2日目の夜は肝試しがあるんだよ。」


三八「{ビクッ}」


団子「私、肝試しの実行委員会に選ばれました~」


卯円「私もやったやった。脅かす方がたのしいからさ。」


白羽「コイツの幽霊姿が怖いと言われてな。ためしに見てみたらそこまでだったのを覚えているよ。」


卯円「何おう!」


華「でも楽しそうですね、肝試し。」


笑福「意外だな、百合根さんだったら「きゃ~お化け怖~い」とか言いそうかと思った。」


華「そんなに驚かないですよ。」


勉「まあ、僕は臨海学校には行かないですけど。」


華・団子・卯円「え、行かないの!?」


勉「ビックリした・・・・・・(冗談なんだけどな・・・・・・)」


華「行こうよ。せっかくの臨海学校なのに・・・・・・」


卯円「そうだぞ、せっかくの出会いのチャンスをつぶすつもりかお前は。」


勉「・・・・・・分かりましたよ。僕も行きます。」


白羽「まあ、肝試しは男女1組になるからさ。ここから恋が実ることも結構あるらしいからさ。お前らも早く恋愛して遊んどかないとだめだぞ。」


三八「・・・・・・・・・・・・。」


笑福「まあ、長話もなんだから早く帰りましょ。」


白羽「あ、そういえば会計の仕事まだ終わっていなかった!すまん、真面野くん、桃垣さん。少し残って手伝ってくれないかな。」


勉「分かりました。」


三八「はい。」


生徒会室は会計のみ残り、時刻は7時を越えた。


白羽「いや~無事に終わったよ。2人ともお疲れさん。鍵は俺が片づけておくから2人はもう帰っても大丈夫だよ。」


勉「分かりました。では失礼します。」


三八「では、私はこれで。」


勉「ちょっと待って!こんな時間に1人は危ないよ。」


三八「真面野さんには関係のない事ですから。」


白羽「桃垣ちゃん。本当のことを話してくれないかな。なんでそんなに真面野くんのことを嫌うのかい?」


三八「・・・・・・・・・・・・。」


勉「僕、何か桃垣さんに悪い事をしたかな。その、理由を教えてくれないかな?」


三八「・・・・・・私、男の人が嫌いなの。すぐに暴力で解決する野蛮なところが。」


勉「そんな偏見な・・・・・・」


白羽「そうか?とても真面野くんはそんなふうには見えないけどな。」


三八「男なんて信用できないわ。」


三八はそのまま帰って行った。


白羽「これは・・・・・・なかなか厄介だな。」


勉「偏見だ・・・・・・編け・・・・・・」


白羽「お~い、真面野く~ん。」


意識を取り戻した勉はそのまま帰宅した。


勉「はぁ・・・・・・桃垣さんとも同じ生徒会のメンバーとして親交を深めていけたらと思うんだけど、どうすればいいんだろうか?」


すると勉のスマホから連絡が


勉「あ、華さんからだ。 もしもし?」


華「あ、やっと繋がった。もしかしてまだ学校にいたとか?」


勉「ああ、やっと終わった。それから華さん。ちょっと話しておきたいことがあるんだけど・・・・・・」


勉は華に今日あった桃垣のことについて話した。


華「そっか、桃垣さんは男嫌いだったんだね。どうりであまりしゃべらないわけだ。」


勉「何とかして仲直りできないかな。」


華「明日の臨海学校で何か変わればいいんだけどね。 私たちもしばらくは合えないけどね。」


勉「大丈夫だよ。海と肝試しは男女一緒だし、臨海学校といっても勉強合宿みたいなものだし寂しくはないよ。」


華「む~{頬を膨らます}」


勉「もしもし、どうした?」


華「いいよもう、おやすみ!」


勉「ちょっと、華さん!? 切られた。なんだよ急に怒って。」


団子「あんたが怒らすことしたんでしょうが~!」


団子は勉の頭にチョップを入れた。


勉「痛い!なにするんだよ。花寄さん!」


団子「あんた女心が全然分かっていないんだから。」


勉「どういうことだよ?」


団子「華ちゃん。寂しかったんじゃないの?しばらく真面野くんに合えないから。」


勉「寂しい?」


団子「もう~ほんとに鈍感!なんで男ってこんなに鈍感なのかしら。」


勉「鈍感なのか、僕は?」


団子「そういうのを鈍感というのよ。じゃあね。」


勉「ちょっと待って!何で花寄さんこんなところにいるの?華さんと一緒に帰ったのではないの?」


団子「さっき、ラーメン屋で大盛り4玉ラーメンを食べてきたの~」


勉「(やっぱり花寄さんの胃袋はどうなっているんだろう・・・・・・)」


次の日 バスに乗った1年生は目的地の島根県に到着した。


寝待「ふわぁ~やっと到着か・・・・・・鳥取から島根まで何時間かかるんだよ。」


勉「8時に出発したから到着まで3時間半ぐらいかな。」


寝待「真面野、お前ずっと起きてたのか?」


勉は参考書を片手に・・・・・・


勉「バス内でも勉強は欠かせないからな。」


寝待「真面目か・・・・・・」


バスから降りた生徒は更衣室で水着に着替えてふもとの海に向かった。


男子生徒A「お~見ろよ。女子の水着がこんなところで拝めるなんて夢のようだ・・・・・・」


男子生徒B「俺、生まれて一番幸せだよ。」


寅之助「やれやれ、ひもじい奴らだな。」


男子生徒A「なんだよ、だったらお前は見るなよ。」


寅之助「俺が期待してるのは百合根嬢ただ一人さ! 他の女には興味はないね!」


男子生徒B「遠いから聞こえてないだろうけど、それをみんなの前で言うなよ・・・・・・」


寝待「おい、見ろよ真面野。百合根さんの水着!」


百合根の水着は圧倒的に目立つ白のフリルのついたビキニを着ていた。


勉「ふーん(かわいい・・・・・・)」


寝待「なんだ真面野、その態度は。興味なさそうだな。」


青菜先生「よしお前ら!4時まで自由行動とする。明日は夜まで男女で行動することはないから今のうちに名前や顔を覚えてもらえるように頑張れよ。」


生徒たち「は~い!」


先生たちが話し終わった後生徒は早速


男子生徒C「百合根さん! おれ、○○って言います!よろしく」


男子生徒D「俺は・・・・・・!」


華「あっ、うんよろしく。」


団子「華ちゃ~ん。あっちでビーチバレーやろうよ~」


団子はピンクのビキニを着ていた。


華「あ、うん。」


男子生徒C「じゃあ俺たちも!何なら次のビーチバレー大会一緒に出ませんか?」


団子「男子はごめんね~もう一人決まってるから。」


男子生徒D「え~!」


一方そのころ勉は放れの木陰で読書をしようとした。


勉「(さてと、僕は日陰で読書でもしようかな。誰もいないところで読む読書は最高だからな)」


団子「真面野く~ん!」


団子は胸を揺らしながら勉のもとに向かった。


勉「(げ、邪魔が入った!)どうしたの、花寄さん?」


団子「一緒にビーチバレーやらない?」


勉「僕今から読書をしたいんだけど・・・・・・」


団子「君に拒否権はないよ~」


勉「いやだよ、なんで?」


団子「じゃあ華ちゃんと付き合っていること、みんなに喋ってもいいのかな~?」


勉「待て待て!言わない約束だろ!」


団子「だから言ったでしょ。君に拒否権はないよって。」


勉「何で僕を呼んだんだよ。華さんや桃垣さんだっているだろ。」


団子「話聞いてなかったの?昼からビーチバレーの大会があるんだよ。4人1チームなんだけど男女それぞれ1人以上必ず入れなくちゃいけないのよ。正直言って男子で話せるのが真面野くんしかいなくてね。2人にはもう許可もらったから。」


勉「2人って誰だ?」


団子「華ちゃんと三八ちゃん。」


勉「え、桃垣さんから許可もらったの!?」


団子「イヤイヤだったけど他の人よりはマシだって言ったから。」


勉「まだ嫌われているのか・・・・・・」


団子「ほら、早く行くよ!練習時間が無くなる。」


勉「はいはい・・・・・・」


勉は団子に連れられてビーチに向かった。


華「あ、こっちだよ真面野くん。」


三八「・・・・・・・・・・・・。」


三八の水着はオレンジのワンピースの水着を着ていた。


男子生徒E「おい、今真面野の名前呼んだぞ。」


男子生徒F「あいつが百合根さんのチームに入るのか。」


男子生徒G「いくら同じ生徒会だからといって調子に乗っているな。」


男子生徒H「百合根さんたちのチームになったら真面野にボール当てようぜ。」


勉「(周りの視線が痛い・・・・・・)」


団子「ほら、真面野くん。ボールをここまで打ってみて。」


勉「(しょうがない。ここは花寄さんの指示に素直に従うか)」


勉は団子に向かってスパイクを打った。


団子「うまいうまい、真面野くん何かスポーツやってたの?」


勉「いや、特にやってないけど。」


団子「はい、じゃあ次三八ちゃん。{三八にボールをパスする}」


三八「はい、百合根さん。{華にボールをパスする}」


華「よし、真面野くん。スパイク!{勉にスパイクを打つ}」


勉「ぶぐっ!{ボールが顔面に当たる}」


華「きゃ~!ごめんなさい!」


団子「真面野くん大丈夫!?」


勉は鼻血を垂らしながら


勉「大丈夫。」


三八は自分のカバンからポケットティッシュを取り出し勉に渡した。


勉「あ、ありがとう桃垣さん。」


三八「別に、ただ鼻血を出したままやられても困るし。」


練習が終わり、ビーチバレーの試合が行われた。真面野たち4人はBチームになった。


三八「なんか男子が私たちのチームを見て睨んでいるけど・・・・・・」


華「しかも目線は全員真面野くんに向けているし。」


団子「こんな男子たちに負けちゃだめだよ!私たち4人でがんばろう!」


勉「(帰りたい・・・・・・)」


1回戦はAチームとBチームの試合となった。


寝待「お前と対決することになるとはな。」


勉「果報、お前も出ていたとは。」


寝待「お前のチームには絶対負けない! たとえチームに百合根さんがいてもな!」


華「Aチームの皆さん、よろしくお願いします。」


Aチーム男子たち は~い!


三八「でも、いきなり当たるなんて私たちもついてないわね。」


団子「そうね、Aチームの女子はバレー部の「起師 回生(きし かいせい)」さんがいるからね。


回生「悪いわね。この試合私たちが勝たせてもらうからね。果報くんだっけ・・・・・・入ってくれないかな?」


寝待「いいぜ!俺の実力見せてやるぜ!」


団子「じゃあ最初は私が出るわ。真面野くんも来て。」


勉「あぁ。」


回生のサーブで始まった。


団子「真面野くん、トスお願い!{レシーブをする}」


勉「花寄さん頼む!{トスを上げる}」


団子は勉の上げたボールをスパイクした。しかし、寝待にブロックされてボールの威力が弱くなった。


回生「よし、この球なら取れる!果報くんトス挙げて!」


寝待「まかせろ!」


回生の打ったボールは勉たちの間を通過して落ちた。


回生「やった~先制点!」


寝待「やったな!」


しかし、団子たちは


団子「よし、先制点いただき~」

{ハイタッチしながら}

勉「相手がミスしてくれて助かったな。」


回生「私たちが取ったのよ!なにミスしたみたいに言ってるのよ!」


審判「Bチーム1点」


回生「は!? 何で、私たちちゃんと相手のコートにボール落としたわよ!」


審判「ビーチバレーは普通のバレーと違ってブロックもワンタッチに入りますよ。つまり4回触って相手コートに入れたわけ。」


回生「そうだったの!?」


寝待「知らなかった!」


その後、Bチームの得点と、相手のミスが響き。見事勝利することができた。


勉「(向こうがルール理解してなくて助かった・・・・・・)」


回生「負けた、悔しい!」


団子「じゃあ私たちは先に行っているからそっちはビリにならないように頑張ってね~」


勉「(花寄さん楽しそうだな・・・・・・)」


そして、4人の活躍もありBチームは決勝戦に進んだ。


審判「では決勝戦、Bチーム対Hチームの試合を始めます。」


寅之助「よ~真面野、お前も決勝戦に残っていたのか。」


勉「えっと・・・・・・誰だっけ?」


寅之助「脛梶寅之助だ!同じクラスだろうが!」


点睛「そうだぞ!寅之助様、こんなやつ軽くひねってやってください!」


勉「だから、誰だよお前。」


点睛「俺の名前は「画竜 点睛(がりょう てんせい)」だ!人の名前ぐらいは覚えろよ。」


勉「覚える気ないし」


寅之助「もういい、お前たちを倒して優勝をもらう!」


華「よろしくね。」


寅之助「ゆ、百合根嬢!なんで真面野のチームに!?」


華「(嬢・・・・・・?)」


団子「ほら、華ちゃんと真面野くん。早く集合して~」


華「あ、はーい。」


寅之助「アイツが、アイツが百合根嬢と一緒のチームだと・・・・・・」


点睛「寅之助様・・・・・・?」


寅之助「この試合必ず勝つぞ!」


試合が始まった。


寅之助「お前だけは、お前だけには絶対に許せない!」


勉「(なんかすごい恨みを持ってるな・・・・・・)」


団子「三八ちゃん。真面野くんと出てくれない?」


三八「・・・・・・分かった。」


勉「頑張ろうな。」


三八「うん・・・・・・」


勉「(うーん、まだ距離感があるな)」


Hチームのサーブで始まった。勉はトスをしたがミスをして相手のコートに入った。


勉「しまった!」


寅之助「チャンスだ!トスを上げてくれ!」


点睛「決めてください!寅之助様!{トスを上げる}」


寅之助はスパイクをした。そのボールが三八の顔面に向かってきた。


三八(「まずい、顔に当たる!)」


三八は目をつむった。しかし三八の顔にボールが当たることはなかった。顔にあたる前に勉が腕でボールをトスして相手のコートに返した。


三八「あ、危なかった・・・・・・」


寅之助「よかった、当たらなくて・・・・・・」


勉「おい脛梶! 桃垣さんに謝れよ!顔に当たったらどうするんだよ!」


三八「!」


寅之助「あ、そうだな。桃垣さんごめんなさい・・・・・・」


三八は顔を赤らめながら


三八「大丈夫です・・・・・・」


勉「あれ、顔赤いけどもしかして病気?」


三八「違う違う、そうじゃなくて。 後、助けてくれてありがとう。」


勉「いいって、女の子を守るのは当たり前のことじゃないか。」


三八「う、うん・・・・・・」


勉「ごめん、どっちか桃垣さんの代わりに入ってくれないかな?」


華「じゃあ私が入るよ。 団ちゃん、桃垣さんのこと頼むね。」


勉「頑張ろうぜ、百合根さん。」


華「うん、この試合絶対に勝とう!」


華と勉はハイタッチをした。


寅之助「あいつ、何百合根嬢とハイタッチしているんだ・・・・・・」


点睛「寅之助様、試合に集中しましょう。」


寅之助「真面野・・・・・・つくづく俺の神経を逆なでするな・・・・・・」


試合は膠着状態で進み、Hチームがマッチポイントを迎えた。


寅之助「真面野、死ね~!{サーブを打つ}」


勉「マズい!」


勉のレシーブは乱れてボールがコート外に


勉「クソっ、負けか・・・・・・」


華「諦めてたまるか!」


華はボールに食らいつきながらボールを上げた。


勉「上がった!」


華「真面野くん決めて!」


勉「任せろ!」


勉は渾身のスパイクを決めた。しかし判定は


審判「アウト、優勝はHチーム!」


寅之助「ざま~せっかく挙げてもらっても決めなきゃ得点にならないっての!」


勉「ちくしょう!」


団子「真面野くん・・・・・・」


華「・・・・・・・・・・・・。」


勉「百合根さん?」


華「・・・・・・あ~あ、負けちゃった。悔しいな!でも、負けたのは真面野くんのせいじゃないから。」


勉「でも、僕がミスして負けたことに変わりはないから。」


華は体についた砂を落としながら


華「負けたのは私たち全員の力不足が原因。だから真面野くんだけの責任じゃないってこと。」


三八「そうよ、よく頑張ったと思うよ。対して運動能力のない私たちが準優勝できたんだから。」


勉「桃垣さん・・・・・・ありがとう!」


三八「{顔を赤らめる}」


団子「あれ、三八ちゃん。もしかして男性嫌い治ったの?」


三八「い、いや、そうじゃなくて・・・・・・」


寅之助「なんだ、この勝ったのに負けた感じは・・・・・・」


ビーチバレー大会は真面野たちBチームが準優勝を決めた。


そして、海開きはおわり、三八は団子にあることを伝えた。


三八「花寄さん。真面野くんって彼女とかいるのかな?」


団子「え、どうしたの三八ちゃん!?」


三八「いや、どうなのかなと思ってさ。」


団子「い、いや~いないんじゃないかな?」


三八「そっか、なら・・・・・・告白しちゃおうかな。」


団子「え!も、もしかして真面野くんの事が!」


三八「うん、だから、明日までに真面野くんに告白する。」


第4話(完)

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