第3話 初めてのデート

デート当日 真面野家では


勉「う~ん。どんな服を着て行けばいいんだろう?デートはおろか外へ出て遊んだ事すらないからな。」


優都{勉の父}「勉、お前朝から何してるんだ?」


勉「父さん!?いや、これはその・・・・・・」


優都「はは~ん。さてはデートかな?」


勉「そっ、そんなんじゃ・・・・・・!」


優都「まあまあ恥ずかしがるな。お前は今まで勉強ばかりだったからな。デートの一つ二つ行ってきてもいいんだぞ。」


勉「あー!もういいから出て行ってよ!」


真面野は待ち合わせ場所についた。


勉「待ち合わせは正午だけど1時間早く来ちゃったな。どうしようかな?」


?「あの~」


勉に声をかけてきた人は同い年のベージュ髪のショートボブで赤縁眼鏡をかけた女子であった。


勉「はい?」


?「真面野勉さんですよね?」


勉「はい!? 何で僕の事を知っているのですか?」


?「それはね・・・・・・」


謎の女性は眼鏡とウィッグを外した。


華「私でした~!」


勉「って、え~!」


華「ビックリした?」


勉「いや、ビックリしすぎてあごが外れそうになった・・・・・・」


華「フフッ、何その表現。」


勉「でもその眼鏡とウィッグはどこで手に入れたの?」


華「眼鏡は近くの100円ショップで買ってウィッグは昔お母さんが使っていたやつを借りてきた。」


勉「本当に最初は誰か分からなかったよ。」


華「これで誰か分からないでしょ。じゃあ行こうか。」


勉「おう。(あれ、もしかして華さんも早く来すぎたのか?)」


華「(どうしよう、つい話しかけちゃった・・・・・・早めに来てびっくりさせようとしたけど私より早く来ていたからちょっと焦った・・・・・・でも結果オーライかな?)」


勉「じゃあどこに行こうか?」


華「あっ、そういえばどこに行こうか決めてなかった!」


勉「そうか、じゃあとりあえず・・・・・・」


生徒A「あれ?あそこにいるの真面野じゃないか?」


生徒B「本当だ、こんなところにいるなんて意外だな。」


生徒C「おい、見ろよ。アイツ女といるぞ。」


生徒D「まじかよ! おい真面野!」


勉「え!?」


生徒D「お前その子誰だよ? 双子沢の生徒か?」


勉「えっと・・・・・・この子は・・・・・・」


華「{小声}勉くん、ここは任せて。」


勉「え?」


華「初めまして、勉くんの従妹の「真面野美咲(まじの みさき)」です。双子沢の生徒ではないですけど勉くんと同じ高1です。


生徒A「あ、よろしく・・・・・・」


生徒B「ウソだろ、あの真面野にこんなかわいい従妹がいるなんて。」


生徒C「じゃあ俺たちも行くか。」


生徒D「じゃあまたね~美咲ちゃん。」


華「バイバ~イ」


生徒組は帰って行った。


勉「すごいな・・・・・・僕どうすればいいのか分からくなったのに。」


華「あの人たち、私って分かってなかったしたぶん大丈夫でしょう。じゃあ私たちも行こうか。」


百合根は真面野の手を引っ張った。


勉「なっ、ちょっと待って華さん!」


華「待たないよ~」


2人は近くの映画館に寄った。


華「私映画館で映画見るの初めてなの」


勉「僕もあまり無いかも、じゃあ何を見る?」


華「じゃあね・・・・・・「男女100年純恋愛物語」見たいな。」


勉「そっ、それって今泣けるラブコメ映画ってやつじゃ・・・・・・」


華「あれ、もしかしてこういうジャンル苦手?」


勉「いや、これを見に行こう。」


華「よし、じゃあ行こうか。」


2人はチケットを買いシアターに向かった。


華「いいの?私の分のチケットまで出して。」


勉「別に大丈夫だよ。(お金とかは男が出すのが基本だって本に書いていたしな)」


華「ありがとう。」


勉「ふ~どっこいしょっと」


華「や~だ~勉くんおじさんみたい~」


勉「え!?」


華「だってどっこいしょって。」


勉「僕そんなこと言ってないって!」


華「ハイハイ分かった分かった。」


勉「分かってないでしょうが!」


お客「すいません静かにしてもらえませんか?」


勉・華「あっ、すいません。」


映画が始まった。


清志「春嘉(はるか)さん。君のことを100年先でも愛してる!」


春嘉「清志(きよし)さん・・・・・・私も一生愛します!」


勉「(いい話だな・・・・・・中学時代は接点もなんも無かった2人だけど職場でばったり遭遇。そして実はお互いの初恋の相手だったという衝撃的な事実。衝突もあったりしたけど最後はハッピーエンドで終わった・・・・・・この映画を見て本当によかった。そうだ、華さんはどうなんだろう?)」


勉が隣の華を見ると


華「{涙を流しながら}ぐすん、うぅ~よかった、よかったよ~!」


勉「(ものすごく感動している!?)」


映画が終わり・・・・・・


勉「華さん大丈夫?はいティッシュ。」


華「{鼻をかむ}ありがとう。」


勉「いや、本当に大丈夫?」


華「この映画すごくよかったよね。私感動しちゃって、あっまた涙出そう。」


勉「え~!」


華は映画館を出た後も思い出し泣きしていた。


勉「まずいな、このままだと僕が泣かしたみたいになるじゃないか・・・・・・」


華「・・・・・・よし、泣いてスッキリした。」


勉「よかった・・・・・・」


華「何がよかったの?もしかして映・・・・・・」


勉「よし、この話はやめよう!次、どこに行きたい?」


華「私、はどこでもいいけど。勉くんに任せるよ。」


勉「・・・・・・図書館とか?」


華「いやいや、デートに図書館ってテスト前じゃないんだから・・・・・・」


勉「そうか、これはデートか・・・・・・次どこ行こうか?」


華「じゃあ・・・・・・行きたいところがあるんだけど。」


勉「どこに行きたいの?」


華「・・・・・・この近くに公園とか二人きりになれる場所とか無い?」


時刻は夕方4時、勉は家の近くにある公園に華を連れて行った。


勉「ここは僕が昔よく行っていた公園だ。」


華「こんなところに公園なんてあったんだね。私知らなかった。」


勉「あれ?何年も住んでいるのに分からなかったの?」


華「私元々東京に住んでいたの。鳥取に引っ越してきたのは中学3年の夏辺りかな。」


勉「という事はまだここに住んで1年も経ってなかったのか。 ちょっと待てよ。ここに引っ越してきたのが今年なら分かるけど何でそんな中途半端な時期に引っ越してきたんだ?」


華「それは・・・・・・私・・・・・・」


勉「言いにくいんだったら別にいいんだけど」


華「私ね、昔いじめられていたの」


勉「え!?」


華「私、それが怖くて東京から逃げ出したの。毎日のように石を投げられ、教科書をドブに捨てられたり、もう耐えられなかった・・・・・・」


華は怯えているように震えだした。


華「鳥取で新たな始まりを切ろうと思ったんだけど、昔のトラウマが蘇って話すこともできなかった。またいじめられるのではないのかって。そのときに話しかけてくれたのが団ちゃんだったの。」


勉「花寄さんのこと?」


華「うん、私は団ちゃんのおかげで学校生活を楽しく過ごすことができたし同じ双子沢学園に行くために勉強したり面接の練習をしたりして、合格したときは嬉しかったなあ。」


勉「(そうか、華さんは僕の知らない間にそんな大変なことがあったんだな)」


華「ごめんね、こんな暗い話しちゃって。」


勉「いいよ。僕も華さんのことを少しは知れたからさ。だからこれからは自分で溜めこまず、隠し事なく話してほしい。約束だよ。」


勉「(まあ、僕が言う事ではないけどね・・・・・・)」


華「うん、勉くんありがとう。 あっ、そうだ。勉くんに渡したいものがあるんだった。」


華がカバンから取り出したのは赤紙のプレゼント包みだった。中身は青色の四葉のクローバーのついたネックレスだった。


勉「これって・・・・・・華さんが選んだの?」


華「チェーンは買ったけど、クローバーは自分で作ったの。」


勉「すごい!そんな特技があったなんて、ホント・・・・・・ホントにすごいよ!」


華「勉くん語彙力が無くなっているよ。 そのクローバーに埋め込まれている石ってなんだか分かる?」


勉「青の石・・・・・・サファイアとか?」


華「違うよ、「ラピスラズリ」って宝石なんだけど。効果は目標達成と継続力らしいよ。」


勉「・・・・・・・・・・・・」


華「ん、どうしたの?」


勉「華さん。言いにくいんだけど、それって「ソーダライト」って石じゃない?


華「え・・・・・・ 間違えた!」


勉「ちょっとラピスラズリの効果を見てみるね。{スマホで調べる}あ~なるほどね。」


華「その・・・・・・石を間違えてごめんなさ・・・・・・」


勉「どうやらこの石も勉強に効果のある石らしいよ。幸運、自己成長に効果があるらしい。」


華「そ・・・・・・そうなのよ!私最初から分かっていたもんね!」


勉「・・・・・・まあいいか、ありがとう。大事に使うよ。


華「よかった。喜んでくれ・・・・・・イタッ!」


勉「どうした!?」


華は痛みが出た頬を手で覆った。


勉「大丈夫?怪我したとか」


華「いや、もう引いたから。心配しなくても大丈夫だよ。」


勉「ならいいんだけど。」


華「あっ、そろそろ夕食の買い物に行かないと。じゃあ私はこれで、デートたのしかったよ!」


勉「うん、気をつけてね。」


華は走ってその場を去った。しかしすぐに戻ってきた。


勉「あれ、忘れ物?」


華「{息を弾ませて}いや・・・・・・その・・・・・・電話番号とアドレス交換するの忘れてて・・・・・・」


勉「そういえば・・・・・・あの時は言質で約束したからな。 分かった。」


華「赤外線通信できない?私ガラパゴスだから・・・・・・」


勉「ガラケーなのか、今時珍しいな。」


こうして2人は電話番号を交換した。


次の日、通学路にて


寝待「よ~真面野おはよう。」


勉「なんだ果報か」


寝待「なんだよ、俺で悪かったな。」


勉「用は何だ?」


寝待「別に用は無いんだけどさ・・・・・・あれ?お前、ネックレスしているのか。」


勉「え、あぁ。昨日親戚からもらったプレゼントだよ。」


寝待「なんだよ親戚かよ。てっきり彼女とかのプレゼントかと思った。でもお前彼女のかの字もないからな。」


勉「うん・・・・・・(言えないよな・・・・・・華さんからのプレゼントなんて)」


団子「あれ、真面野くんおはよ~」


華「おはよう。」


寝待「あ、百合根さん!おはようございます!」


華「果報くんもおはよう。」


寝待「(俺の名前覚えてくれたのか~!嬉しすぎて昇天してしまいそうだぜ!)」


団子「火葬くんなにボーとしてるの?」


勉「果報な。」


団子「じゃあ私たちは日直があるからお先に~、行こう華ちゃん。」


華「うん、じゃあ真面野くんまた放課後にね。」


勉「ああ、2人とも気をつけて。」


団子が先に学校に向かったとき華は後を追いながら勉の耳元でこう呟いた。


華「ネックレス、つけてくれてありがとう。」


勉「!」


寅之助「あ~麗しの百合根嬢。あなたはどうしてそこまで美しいのだろうか。 あれ、あそこで果報がボーとしてて、真面野が頬を赤らめてる。まさかこいつら百合根嬢のことを!」


勉「あ、脛梶か。」


寅之助「お前、いやまさか百合根嬢のことが好きなのか?」


勉「別に、ちょっと熱っぽいだけだから。果報、ほら学校行くぞ。」


寝待「ははははは・・・・・・百合根さ~ん。」


第3話(完)

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