第2話 秘密の交際

華「真面野くん待って!」


勉「ん、百合根さんどうかした?」


華「あの、私大したお礼もできなくて。親御さんにも怒られるでしょう。あんな大金」


勉「いいって、あの300万実は僕の通帳から出したやつだから。」


華「え!?」


勉「だから返すのは大丈夫だから。」


華「私、こんなんじゃ納得できないよ!」


勉「う~んそんなこと言われても困るな。」


勉はいろいろ考えた結果


勉「・・・・・・何にも思いつかない。」


華「じゃあ・・・・・・」


華は少しモジモジしながら


華「私を・・・・・・彼女にしてくれないかな?」


勉「お~なるほど・・・・・・・・・・・・ってはぁ!?」


華「だって双子沢学園の卒業条件って恋人を作ること。だから・・・・・・」


勉「冷静になって考えて、百合根さん少しは自分の事を大切にしろよ!僕は嬉しいけど百合根さんはそれでいいの?僕みたいな奴の彼女になってもいいの?」


華「・・・・・・鈍いよ。勇気をもって告白したのに。」


勉「はい?」


華「私の初恋の相手はアナタなのよ!」


勉「なっ!どうして?」


華「あの時ハンカチ拾ってくれたでしょう。でもあのハンカチだいぶ色褪せているし正直ボロ雑巾に見えてもしょうがないでしょ?」


勉「まあ、確かにね・・・・・・」


華「前に落としたときはごみ箱の中に入っていたのよ。私ショックだったわ。」


勉「かわいそうに・・・・・・」


華「それに私たちを助けるために借金取りに向かって行った。その勇気だけで私は嬉しかったの。お金はどうにもできたし殴られるのも慣れているし。」


勉「それは慣れちゃダメだろう。あいつらそんなに殴っていたの?」


華「今まで守られたこと無かったし、あんなことされたら惚れるに決まっているじゃない!」


勉「あんまり考えずに飛び込んじゃったから実感わかないな。」


華「じゃあ改めて言います。真面野勉くん。あなたの事が好きです。私と付き合ってください!」


華は頭を下げてお願いをした。


勉「顔を上げてよ。」


勉は頬をポリポリ掻きながら。


勉「あの、その、本当はこの学校に行くのを辞めようと思っていたんだよ。僕に彼女が出来る訳ないし、3年間頑張っても意味ないかなと思って。でも僕の事を認めてくれる人がいることが分かったよ。その、百合根さん。」


勉は頭を下げた。


勉「僕でよければよろしくお願いします。」


華「う、嬉しい・・・・・・生まれて初めての告白が成功したから。」


勉「ちょっ、泣かないで!ハンカチで涙拭いて!」


華「じゃあ、これから下の名前で呼ぶことにしない?」


勉「そうだね、ゆりね・・・・・・華さん。」


華「うん、勉くん!これからよろしくね。」


こうして勉と華は付き合う事となった。しかし、学校内では付き合う事を黙らなければならないことになるとはこのときの2人は知りもしなかった。


次の日。B組教室内にて


寝待「よっ、真面野おはよう。」


勉「おはよう。 果報、昨日のサッカー部の見学どうだったんだ?」


寝待「正直期待外れだったよ。女の子にモテるスポーツだと思ったけどここの学校弱小チームだった。」


勉「ハハハ・・・・・・」


寝待「お前はどうだったんだ?生徒会は?」


勉「まあ、雰囲気良いし入ろうかなと思う。」


寝待「そうなんだ。話変わるけど百合根さん今日来てるかな?」


勉「へ!?さぁ?どうなんだろう?」


寝待「なんだ、変な声出しちゃって。」


勉「それで、どうしてはな・・・・・・百合根さんの事を?」


寝待「俺、告白しようかなと思うんだ。」


勉「そっ、そうなんだ・・・・・・(マズイな、実は僕たち、付き合っているとは言えないな)あっ、あのさ・・・・・・実は僕・・・・・・」


勉と寝待の会話にクラスの男が割り込んできた。


?「貴様!百合根譲に告白することは絶対許せないぞ!」


寝待 あ、お前は同じクラスの「脛梶 寅之助(すねかじ とらのすけ)」どういうことだよ!


寅之助「お前は分かってないかもしれないけど百合根嬢は今誰と付き合うかと揉めているんだ。別クラスのやつが昨日百合根嬢に告ろうとした奴を見つけてボコボコにされたらしいぜ!お前もそのうちの一人なら覚悟しておけよ!」


寝待「物騒だな・・・・・・じゃあお前は百合根さんと付き合えるという保証はあるのか?」


寅之助「もちのろんさ!僕ちゃんはそんな脅しは通用しない!後は百合根譲と二人っきりになればこっちのものだ!」


寝待「真面野、何か言いかけていたがどうした?」


勉「えっ、百合根さん人気だなって思って・・・・・・」


寅之助「真面野はどうなんだ!?まあ、お前みたいな勉強しか能のない奴が百合根嬢と釣り合える訳ないだろうけどな。」


勉「そっ、そうだよ! 僕はまだ恋人はまだいいかな。(ますます言いづらい・・・・・・)」


寝待「どうしたんだ真面野?顔色が悪いけど。」


勉「いや、別に。」


寅之助「まあそうだろうな!あっ、ホームルームが始まる!」


放課後・・・・・・


寝待「じゃあな。俺は帰るけどお前は生徒会だろ?」


勉「ああ、じゃあな・・・・・・」


寝待「(あいつ、一日中顔色が悪かったけど。大丈夫か?)」


勉「(結局言えなかったな・・・・・・)さてと、じゃあ生徒会室に行くか。」


共有棟の2階で華と出会った。


華「あ、勉く~ん!」


勉「わぁ~!」


勉は華の口を手で押さえた。


華「もごもごもご!(何!?)」


勉「あ、ごめん。」


勉は華の口を塞いだ手を放した。


華「ぱぁ! びっくりしたー!どうしたの?」


勉「華さん、歩きながらでいいから聞いてくれないかな?」


華「どうしたの?」


真面野は百合根に学校では恋人同士であることを隠すように言った。


華「そ、そんなに話題になったんだ・・・・・・」


勉「悪い、せっかく勇気をもって告白してくれたのに。」


華「ううん、いいよ。それでいじめられて勉くんが学校辞めちゃったら私も悲しいからさ。その気持ちよく分かる・・・・・・」


勉「やばっ!もうこんな時間!」


華「急がないと遅刻しちゃう!」


2人は急いで生徒会室に向かった。


笑福「おいおい、新入生が入部早々遅刻ギリギリなんて大丈夫か?」


勉「申し訳ありません・・・・・・」


類「大丈夫、大丈夫。失敗は誰にでもあることだから気にしないで。」


笑福「それじゃあ全員揃ったところで改めて自己紹介と行こうか。あそこにいるのは昨日いなかった2年生の優秀者だ。」


白羽「初めまして、この生徒会の会計の課長をしている2年B組「矢立白羽(やだて しらは)」と言います。これからよろしくね。」


卯円「2年A組の「塞翁 卯円(さいおう うまる)」書記課長だ。よろしくな。」


笑福「それと、実は今年から学園主席のメンバー以外にも生徒会に入れることにした。」


白羽「そうなんですか。いったいどんな人が?」


ドアをノックする音がした。入ってきたのは2人の女性だった。


?・?「失礼します。」


華「あれ、団(まる)ちゃんと桃垣さんどうしてここに?」


団子「あ~華ちゃんだ~」


笑福「えっと、自己紹介を・・・・・・」


団子「はい!1年A組「花寄 団子(はなより まるこ)」です。書記をすることになりました。」


団子は身長150cmも満たない小柄な体系。しかし胸の大きさは爆弾級の大きさを誇る女子高生である。髪はピンクのショートヘアに左上の歯には可愛らしい八重歯が生えている。


三八「同じく1年A組「桃垣三八(ももがき みや)」です。会計を担当します。」


三八はオレンジ色のロングヘアの表情がどこかドライな感じに見える。身長は165㎝ほどでスレンダーな体格をしている。


勉「もしかして同じクラスメイトなのか?」


華「うん。桃垣さんはこの学校で初めて会ったんだけど団ちゃんは中3からの友達なの。」


笑福「じゃあ次は真面野、自己紹介だ。」


勉「僕ですか?1年B組真面野勉です。未熟者ですがよろしくお願いします。」


華「1年A組百合根華です。初めて生徒会に選ばれたので分からないところが多いですがご指導よろしくお願いします。」


類「うん、これで全員の自己紹介は終わりね。じゃあ百合根さんは書記の仕事を、真面野くんは会計の仕事をお願いします。」


白羽「よし、なら真面野くん。桃垣さん。仕事内容を説明するからこっちに来てくれないかな。」


矢立は真面野、桃垣に会計の仕事を教えた。


白羽「・・・・・・ということだ。二人とも理解できたかな?」


勉・三八{うなずく}


白羽「じゃあ毎週水曜日に活動するからその時はよろしくな。話は終わりだ。」


勉「さてと、僕もそろそろ帰るか。そうだ、桃垣さんこれから同じ会計なわけだしよろしくね。」


三八「・・・・・・・・・・・・。」


勉「えっと、桃垣さん?」


三八「・・・・・・じゃあ私はこれで。」


桃垣は帰ってしまった。


勉「帰っちゃった・・・・・・」


華「真面野くんどうしたの?」


勉「いや、桃垣さん先に帰っちゃって・・・・・・」


団子「あれあれ~三八ちゃんもう帰っちゃったんだ~」


勉「普段からあんな感じなの?」


団子「クラスでは普通に話しているよ。あんなに黙っているの初めて見たかも~」


華「あのさ、真面野くん。私たちこれからファミレスに行くんだけどよかったら3人で行かない?」


勉「え、僕は大丈夫だけど花寄さんは大丈夫なの? その、僕がお邪魔じゃ・・・・・・」


団子「そんなことないよ~それに私も・・・・・・」


花寄は真面野の耳元で


団子「華ちゃんの彼氏のこと聞きたいしね~」


勉「!」


男子生徒A「百合根さん!僕と一緒に帰りませんか!?」


男子生徒B「いや、俺と一緒に!」


男子生徒C「オイラと帰ってくだせえ!」


華「ゴメンねー私友達と帰る約束していて・・・・・・」


男子生徒A「そっ、そうですよね・・・・・・」


華「本当にゴメンね。」


団子「相変わらずいろんな男にモテるね~」


華「そんなことないよ。私昔は顔がコンプレックスだったし。」


団子「何よ!自分が可愛いからってそういう事を言うか!」


華「いやいやそう言うつもりで言ったつもりじゃないよ!」


一方その頃勉は・・・・・・


勉「華さんたちは遅れて来るから先に席取っておいてねと言われたけどまあまあ時間がかかってるな・・・・・・それにまさか花寄さんに恋人同士だってバレたし。」


{モノローグ}

団子「華ちゃんの彼氏のこと聞きたいしね~」


勉「なっ、なんでそのことを・・・・・・」


笑福「真面野、どうしたか?」


勉「いっいえ、なんでもないです!」


団子「まあまあ焦らないでよ。誰にも言ったりしないからさ。それよりファミレス行くんだったら先に席を取っておいてよ。私たち遅くなるからさ。」


勉「分かりました・・・・・・」

{モノローグ終わり}


華「真面野くんお待たせ。」


勉「大丈夫だったか?なんか変な人に声を掛けられたとか。」


団子「声を掛けられたのは変なウチの生徒だよ。」


勉「なるほどな・・・・・・」


団子「まあ華ちゃんに手を出す輩がいたら私が許さないんだけどね{ニコリ}」


勉「{ビクッ!}」


華「もう団ちゃん!」


勉「とりあえず何か注文するか。2人は何がいい?」


華「私はチーズケーキを」


団子「私はデラックスチョコレートパフェタワーを」


勉「いや、花寄さんこれ結構量あるけど食べられる?


団子「甘いものは別腹よ。こんなもの数十分でペロリだって~」


勉「じゃあ僕はドリンクバーで」


勉は呼び出しボタンを押した。


寝待「はいはい、それじゃあ注文を・・・・・・って真面野!?」


勉「果報!?」


寝待「俺はここで今日からバイトしているんだよ。」


華「真面野くん。この人は?」


寝待「え!なんで百合根さんがいるんだ!?」


団子「もしかしてキミも双子沢の生徒さん?」


寝待「はい!1年B組の果報寝待です!真面野の友達です!」


勉「いや、友達じゃ・・・・・・」


寝待「そうだ真面野!注文はなんだ!?」


勉「えっと・・・・・・チーズケーキとデラックスチョコレートパフェタワーとドリンクバー全部1つずつお願い。」


団子「ドリンクバー私も頼むよ~」


華「じゃあ私も」


寝待「ドリンクバー3つ、チーズケーキ、デラックスチョコレートパフェタワーを1つね。少々お待ちを。」


果報は席を後にした。


団子「へ~あの子が真面野くんの友人か~なんか性格は真逆だね。」


勉「ほっとけ。」


華「あっ、私ちょっとお手洗いに。」


百合根は席を後にした。


団子「じゃあ真面野くん。華ちゃんとなんで付き合うようになったのか説明してもらえないかな?」


勉「いや、なんで説明しなきゃいけないんだよ。」


団子「じゃあこのことをあの友達にでも話そうかな~」


勉「分かった!分かったから話すから!」


真面野は花寄に2人が付き合った出来事を話した。


勉「と言うわけなんだ。」


団子「・・・・・・嘘よ。」


勉「はい?」


団子「華ちゃんがそんなこと言うわけないじゃない!」


勉「え、でもそう言ったって・・・・・・」


団子「あの子言っていたのよ。私は男の人を好きになることはないと思うって。」


勉「だったら何でこの学校に入ったんだ?」


団子「そっ、それは・・・・・・」


華「ごめんおまたせ~何話してたの?」


団子「い、いや~生徒会一緒に頑張ろうって思ってさ~」


勉「そっ、そうだよ。」


華「そうなんだ。」


寝待「お待たせしました~ご注文の品です。」


勉「そうだ今からドリンク注ぎに行くけど二人は何がいい?」


華「私はコーヒーで」


団子「私はコーラ!」


勉「はいはい。」


真面野がコーヒーを注いでると寝待が勉に近づき、質問をした。


寝待「そうだ真面野、ちょっといいか?」


勉「何だよ?」


寝待「なんでお前が百合根さんたちと一緒にファミレスに来てるんだよ。俺びっくりしちゃったよ。」


勉「別に、同じ生徒会メンバーなんだよ。あの2人。」


寝待「何!?お前そんな目的で入ったわけじゃないだろうな!」


勉「たまたまだよ!」


寝待「それと、あの隣のチンチクリンどっかで見たことあるような・・・・・・」


勉「中学の知り合いとか?」


寝待「そんなわけないだろ。・・・・・・あっ思い出した。一緒にファミレスに行ったときいた奴だ! そっか、もう一人は百合根さんだったのか。」


勉「あ~お前が可愛い奴がいるとかなんだか言ってたやつか。」


寝待「くそっ!俺は必死に学費と生活費を稼ぐためにバイトしてるのにお前はのほほんと女子と一緒に飯食いやがって!」


勉「それに、生徒会はバイト禁止なんだよ。」


寝待「・・・・・・まじで?」


勉「今日生徒会長に聞いたけど生徒会に集中してほしいからバイトはできないんだって。」


寝待「そうなのか~」


店長「おい果報!こんなところで油を売ってんじゃねぇぞ!」


寝待「まずい!店長に怒られる。じゃあな真面野!」


勉「おお、じゃあな。 さてと、僕も戻るか。」


真面野が席に戻るとさっき届いたはずのデラックスチョコレートパフェタワーが空っぽになっていた。


勉「おっ、おい・・・・・・このパフェ一人で食ったのかよ。」


団子「真面野くん遅いよ~早くちょうだい~」


勉はコーラを団子に渡し「ありがと~」とお礼を言った。


華「本当にあっという間だったよ。」


勉「(花寄さんの胃袋はどうなってんだよ・・・・・・)」


それから数十分は生徒会の先輩の事や中学時代はどういう風に過ごしていたのかについて話していた。


団子「あっ、そろそろ帰る時間だ。じゃあ私先に帰るね~」


華「うん、またね。」


団子は自分の食べた分のお金を置いてファミレスを去った。


勉「はぁ・・・・・・疲れた。」


華「ゴメンね勉くん。団ちゃんは話し出したら止まらないから。」


勉「へ?」


華「あの、もう誰もいないわけだし下の名前で呼んでもいい・・・・・・よね?」


勉「あっそうか。なんか慣れないな。僕今まで下の名前で呼ばれたのは家族しかいなかったからさ。」


華「あの・・・・・・さ。明日って暇?」


勉「え、明日は特に予定はないけど。」


華「2人でどっか遊びに行かない?」


勉「・・・・・・・・・・・・。」


華「いや、あのね!無理だったんならいいけど、どう・・・・・・かな?」


勉「僕は別に構わないよ!でもさ、他の人にばれたら面倒くさくなるし・・・・・・」


華「あ~それなら大丈夫。私にいい考えがあるから?」


勉「?」


第2話(完)

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