がり勉くんと百合根の華さん
白絹照々(しらぎぬてるてる)
第1話 入学の出会い
1月ここは、日本の第二の経済県「鳥取県」
勉「(今日は双子沢の入試だ。今まで頑張ってきたことをここで全部出すんだ)」
眼鏡をかけた少年がこの物語の主人公「真面野 勉(まじの つとむ)」は鳥取県最難関高校「私立双子沢学園高校」の入学試験を受けに学校に向かった。勉が学校に向かっている途中、道端にボロボロになったピンク色のハンカチが落ちていた。
勉「なんだこのボロ布?いや、ハンカチか。誰のハンカチだろ?まあ近くに交番があるだろうし届けるか。」
歩き始めて数分後。勉はブレザー姿の女子学生が探し物をしているのが見えた。
女性「あれ~おかしいな?」
勉「(あいつ、何探してるんだ?)」
女性「私のハンカチどこ行ったんだろう?」
勉「(ハンカチ・・・・・・あっ、もしかして)」
勉はさっき拾ったハンカチを彼女に返した。
勉「あのーもしかして、探し物はコレですか?」
女性「あ、私のハンカチ!」
女性はハンカチを受け取った。
女性「ありがとうございます!このハンカチ、父にもらった大切なものなんです。」
勉「それはよかったです。では僕はこれで、今から入試があるので。」
女性「もしかしてあなたも双子沢学園を?」
勉「ということはあなたも?」
女性「はい!」
「鳥取私立双子沢学園高等学校(とっとりしりつふたごさわがくえんこうとうがっこう)」この学校は普通の学校とは少し違う特殊な学校だ。男性は偏差値が67以上で合格に対し、女性の合格対象は偏差値50以上と学長による面接に合格した者のみ入学することができる学校なのである。これには理由があり、鳥取では長年人口最下位というワースト記録を持っていた。その悩みを解決すべく、双子沢学園を設立した。「男性は成績優秀者による一流企業の就職」を「女性はその男性をサポートする専業主婦になるために」を校風としている。そのまま鳥取県内で就職する人も増え大企業も集まり、鳥取県は東京都と同じくらいの大都会へと成長したのである。後に双子沢学園は「勝ち組学校」とも言われ、全国から受験生が集まるという。
華「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私「百合根 華(ゆりね はな)」って言うの。よろしくね。」
勉「真面野勉です。こちらこそよろしく。まだ合格したわけでもないのにこんなこと言っても仕方ないですけどね。」
華「あの、ハンカチの件、どうもありがとう。」
勉「別にどうってことないですよ。ほら、もう学校に着きますよ。」
華「あっ、本当だ。じゃあね真面野くん、お互い頑張ろうね!」
華はそういった後、教室に向かって走り出した。
勉「さてと、僕も頑張るか。」
それから双子沢学園の入試試験が始まった。男子は筆記試験のみ、女子は筆記試験と面接が行われた。
一週間後、結果発表のときがやってきた。
勉「えっと、番号は・・・・・・・・・・・・あった。よかった、無事に合格できた。」
?「真面野~俺双子沢に受かったぞ!」
勉「痛い痛い!抱き着くな!」
?「お前も受かったんだろ?」
勉「そうだけど・・・お前誰だよ?」
寝待「は!?忘れたのかよ!中学3年間同じクラスだった「果報 寝待(かほう ねまち)」だよ!」
勉「あ~あ~思い出した~(棒)」
寝待「絶対覚えてないだろ!」
勉「そうだ、あの人は受かったのだろうか?」
寝待「誰のこと言っているんだよ?」
勉「いや、お前は知らないだろう?」
寝待「そんなこと言うなよな。そうだ、せっかく合格したんだしお祝いしようぜ!」
勉「いや、僕お金そんなにないし・・・・・・」
寝待「奢ってやるからさ。」
勉「{即答}よし、じゃあ行こうか。」
2人は学校近くのファミレスに向かった。
勉「じゃあ、サイコロステーキ、親子丼セット、ドリンクバー、食後にスペシャルイチゴパフェをお願いします。」
寝待「どんだけ頼むんだよ!やっぱりおごりは無しでいいか!?」
勉「いやいや、もう言質取ったしな。」
寝待「お前、医者の息子だろ・・・・・・金はたくさん持っているだろ!」
勉「あんまり金は使いたくないんだよ。じゃあ僕飲み物取ってくるから。」
寝待「(意外にアイツケチだな・・・・・・)」
寝待たちの後ろの席では・・・・・・
?「華ちゃ~ん。そろそろ帰ろうよ~」
華「そうね。」
寝待「(後ろの席の女の子たちも双子沢に受かった人かな?かわいいな)」
勉「お待たせ、まだご飯は来てない?」
寝待「今すれ違った人たち双子沢の生徒かな?」
勉「そうなの?全然気づかなかったけど?」
寝待「周りを見てないな~お前は」
勉「そんなことより早くご飯を」
寝待「花より団子か・・・・・・」
その後、2人はファミレスで中学の出来事や高校に入ったらどんなこと彼女と付き合いたいかなどを話していた。しかし、勉は・・・・・・・・・・・・
勉「僕?僕は結婚する気は無いよ。」
寝待「は!?」
勉「僕がこの学校を受験した理由は地元でも最難関の高校だし、一流大学を卒業して、親父の後を継ぐために進学を決めたんだよ。」
寝待「え?という事はあのルール知らないの?」
勉「ルール?」
寝待「双子沢学園は、恋人ができないと卒業できないんだよ。」
勉「へ? ・・・・・・なんだって!?どういうことだよ!?恋人ができないと卒業できないなんて。」
寝待「この学校の独特なルールなんだけど生徒は恋人ができないと卒業できないんだよ。この高校で結婚相手を決めて卒業と同時に結婚。大学生でも大学卒業と同時に結婚しないといけないらしいよ。」
勉「そんな、僕は知らないぞ・・・・・・そんなルール・・・・・・」
寝待「嫌なら別の学校に行ったら?公立の入試ならまだ受けられるだろう?」
勉「そうだな・・・・・・そうす・・・・・・」
勉の携帯が鳴った。
勉「もしもし、あっ母さんどうしたの?」
兼備(けんび){勉の母}「勉、さっき学校から連絡があったんだけど成績優秀者として学費がタダになるらしいよ。すごいわね~」
勉「そっ、そうなんだ・・・・・・ うん、報告ありがとう。」
勉は電話を切った。
寝待「母親からか?なんて電話だ?」
勉「学費タダになるらしい・・・・・・」
寝待「でも志望校変えるんだろう?」
勉「タダなら入学する!私立でタダなんて逃す手はない!」
寝待「お前って奴は・・・・・・」
ご飯を食べ終わり2人はファミレスを後にした。
寝待「トホホホ・・・・・・」
勉「ゴチになりました。」
寝待「(コイツ、後でたんまりふんだくってやるからな・・・・・・)」
それから数ヶ月が過ぎ入学式の日がやってきた。この学校はA・C・E組が女子クラス。B・D・F組が男子クラスとなっている。勉と寝待はB組となった。勉が教室に入ると寝待が呼んでいた。
寝待「お~い真面野こっちだ。」
勉「おっ、おはよう。」
寝待「今から入学式だから体育館に集合だとよ。全くかったるいよな。」
勉「そうか、なら今すぐ体育館に行こうぜ。」
全校生徒が体育館に集合した。
勉「それにしても生徒がけっこういるな・・・・・・」
寝待「知らないのかよ。今回の新入生は男女合わせて約100人。先輩たちも同じくらいだから合計でも300人ぐらいだぞ。」
勉「そんなにいるのか・・・・・・」
寝待「楽しみだよな~いったい誰と付き合えることができるのだろう?」
勉「しまった、完全に忘れていた・・・・・・」
寝待「真面野はがり勉だから中学の時モテなかったんだろう?他の奴らを避けていたような。」
勉「いや、ただ単に勉強の邪魔だったから。」
寝待「まあ勉強も大切だろうけど今回は友達を作ってみるのもどうだろうか?」
勉「そんなこと言われても・・・・・・」
一声「全校生徒の諸君おはよう!私がこの学校の学長の「鶴乃一声(つるのいっせい)」だ。これから君たちは私立双子沢学園の生徒として3年間、勉強に部活に恋愛に頑張ってくれたまえ。」
それから校長特有の長い話が終わり
男子生徒A「それでは、新入生のあいさつを行います。新入生総代1年A組「百合根華」さん。」
華「はい。」
勉「(百合根さん!)」
寝待「おい!見ろよ真面野!めちゃめちゃかわいい子がいるぞ!」
勉「おっ、おう。そうだな・・・」
入学式を終え、勉たちは教室に戻った。
男子生徒B「なあなあ、あの新入生総代の子めちゃ可愛くねえか!?」
男子生徒C「俺、あの子狙ってみようかな?」
男子生徒D「バカ!お前なんかと釣り合えるわけないだろう!」
勉「それにしてもすごいな。もうB組全員が虜になってるよ。」
寝待「なんで男子と女子は別のクラスなんだよ!俺も百合根さんと会って話したいよ!」
勉「この学校のルールでは男子が女子棟、女子が男子棟に入れるのは昼休みと放課後だけだからな。」
寝待「て言うかお前は何でそんな平然としてるんだ?新入生総代という事はA組の中でも学長に認められた生徒なんだから!彼女こそ「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」って言葉が似合うな・・・・・・」
勉「そうなんだ・・・・・・僕にはよく分からないよ。」
寝待「お前、しばらく恋愛は無理だろうな・・・・・・」
男の先生が教室に入ってきた。
青菜先生「お~い、真面野って奴はいるか?」
勉「真面野は僕ですけど。」
青菜先生「そうか、じゃあホームルーム終わったら生徒会室に行ってくれないか?」
勉「分かりました。」
青菜先生「よしお前ら席に着け!今日からお前たち1年B組の担任をすることとなった「青菜 潮(あおな うしお)」だ。いいか、この双子沢学園はエリート学校だってことを忘れるなよ!明日からみっちり授業だから気を抜いたら即退学だからな!」
男子生徒E「そんな~!」
男子生徒F「恋愛もしなきゃいけないし大変だな。」
寝待「真面野、生徒会に呼ばれたってどういうことだよ?お前なんか悪いことしたのか?」
勉「僕に言われても知らないって。」
青菜先生「そこ、私語を慎め!」
勉・寝待「はい、すいません!」
放課後となり・・・・・・
寝待「じゃあ俺はサッカー部見てくるからな。じゃあな真面野!」
勉「おう、じゃあな・・・・・・ さてと、僕も生徒会室に行くか。」
一方そのころ華は共有棟{男女共にいつでも入ることが許される棟。職員室や食堂、図書室などがある。}の職員室でA組担任の「赤井 咎酒(あかい とがしゅ)」に勉と同じく生徒会室に行くよう伝えられた。
赤井先生「それじゃあ百合根さん。放課後生徒会室に行ってちょうだいな。」
華「はい、報告ありがとうございました。」
華は職員室を出た。
華「よし、じゃあ生徒会室に・・・・・・」
職員室前の廊下で勉と華が逢った。
勉・華「あっ。」
勉「やっぱり、百合根さん。」
華「真面野くん・・・・・・だよね?」
勉「まさか、百合根さんも生徒会室に呼ばれたんですね。」
華「タメ口でいいわよ。私たち同い年なんだから。でもなんで呼ばれたんだろう?」
勉「何か悪い事でもしたのか?」
華「いや、そんなことした覚えはないけど。」
2人は共有棟3階の生徒会室前に着いた。ドアをノックする。
勉「1年B組真面野勉です。」
華「1年A組百合根華です。」
類「は~いどうぞ。」
勉・華「失礼します。」
笑福「君たちが今年の優秀学生の2人だね。ようこそ生徒会へ。私が生徒会長3年B組の「門松 笑福(かどまつ えふ)」だ。」
類「副会長の3年A組「友呼 類(ともこ るい)」です。これからよろしくね。」
華「よろしくお願いします・・・・・・」
勉「ところで用というのはどういう事です?」
笑福「この生徒会には男女の優秀者を生徒会に誘うのが学校の決まりなんだ。もちろん私たちもそのうちの一人だよ。」
類「まあ入るかどうかは君たちしだいだけど今入っている優秀生徒は全員生徒会に入っているんだけど、どうかな?」
勉「そうですね・・・・・・ 分かりました。」
華「私も生徒会に入ります。」
笑福「そうかそうか、これで今年も楽しくなりそうだな。いや、本当に入ってくれてアリが10匹でありがとう!」
生徒会室に冷たい風が吹いた。しかし類はお腹を押さえながらバンバンと机を叩きながら笑っていた。
類「あっははは!ここでしょうもない親父ギャグ言ってどうするのよ!あーお腹痛い!」
勉「あっ、あの~」
笑福「あ、入部届はあとで渡すから明日放課後また生徒会室に来てくれ。」
華「はい、失礼しました・・・・・・」
2人は生徒会室を後にした。
華「賑やかな生徒会室だったね。」
勉「僕、本当に入って大丈夫だったのかな?」
華「大丈夫よ。私も1人だけだったら入るかどうか考えていたと思うから。」
勉「じゃあ僕はこれで。」
華「うん、また明日生徒会室で。」
勉はそのまま家に帰った。勉の家は「真面野内科」という市内では有名な内科病院である。勉の家は病院の裏にある2階建ての一軒家に住んでいる。
兼備「あっ!大根買うのを忘れた!勉帰ってきてすぐ悪いけど大根買ってきてくれないかしら。」
勉「全く、買いに行ってくるからお金はあとで返してよ。」
勉は隣町のスーパーで大根を買い自転車で帰ろうとした瞬間。男の人が荒げた声が聞こえた。
おばさんA「あら、何かしらこの声?」
おばさんB「またあそこの家に借金取りが来ているのかしら。」
勉「(怖い世の中だね。隣通るけどあんまり関わらないようにしないと)」
勉は怒鳴り声のした場所を横切ろうとした。場所は2階建てのボロのアパート。1階では借金取り2人と40代の女性1人が話し合っていた。
借金取りA「ちょいちょい奥さん。もう期限過ぎているんだけどまだ返してくれないんですか?」
女性「まだ用意できてないんです。あと1ヶ月待ってもらえないでしょうか・・・・・・」
借金取りB「何回その言葉使えば気が済むんだよ!こっちは早くカネを用意しないといけないんだよ!いいからとっとと出せ!」
華「お母さん!」
華の母「華!」
勉「(なっ!なんだって!)」
華「あの本当にすいません。お金はすぐにお返ししますのでもう少しだけ待ってもらえないでしょうか・・・・・・必ず、必ずお返ししますので!」
借金取りの1人が華のお腹を殴った。
華の母「華!大丈夫かい!?」
華「・・・・・・痛い。」
借金取りB「いいから早く用意しろ!さもなくばお前の娘を連れて行く!」
華の母「そんな・・・・・・」
勉「おい!そこまでにしろ!」
借金取りB「誰だ!」
華「真面野・・・・・・くん!?」
勉「そこの百合根さんのご学友のものだ!お前女性を殴るなんて男として最低だぞ!」
借金取りB「お前には関係ないだろ!邪魔者は引っ込んでろ!」
借金取りは勉を一発殴った。
勉「ぐはっ!」
華「真面野くん!」
借金取りA「じゃあ家に上がらせてもらう。金目のものは差し押さえてもらうぞ。」
華「そんな・・・・・・」
勉「ちょっ、ちょっと待て・・・・・・」
借金取りB「何だよ!」
勉「その借金額っていくらなんだ・・・・・・」
借金取りB「何で貴様に教えなきゃいけないんだよ!」
借金取りA「300万だよ。」
勉「・・・・・・分かった。少しだけ時間をくれ。」
と言うと勉はどこかに向かった。
借金取りB「時間をくれってどうしたんだアイツ?」
数十分後、勉が紙袋を持って戻ってきた。
勉「ほい。」
借金取りA「何だこれは?」
勉「その紙袋の中に300万入っている。これで文句ないだろ?」
借金取りB「たしかに、全部本物だ・・・・・・」
借金取りA「・・・・・・よし、撤収するぞ。」
華「いいのですか?」
借金取りA「金をちゃんと返したらもう用は無い。ちゃんとそこの兄ちゃんにお礼言うんだぞ。」
借金取りの2人は紙袋を持って帰って行った。
華の母「あの、ありがとうございました!あの、この借金は必ず返します!」
勉「いえいえ、そんな必要はないですよ。それじゃあ僕はこれで」
華「・・・・・・真面野くん待って!」
第1話(完)
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