第6話 女子のお弁当代特訓

臨海学校が終わりあと1か月で夏休みを迎える。しかし、その前に生徒たちを待ち構えた関門が、そう、期末テストである。


4限目の授業が終わり、お昼休みに入った。


勉「(メールが来ている。三八さんからだ)」


メールの内容は華と団子と3人でお昼を食べるらしくもしよかったら勉もどうかということらしい。


勉「(まあいいか、いつも食堂で一人ご飯だし)」


寝待「おい、どこ行くんだ?」

勉「いや、たまには気分を変えて別の場所で食べようかと」


寝待「お前は一人が好きだな・・・・・・そのままの状態じゃ彼女なんてできないぞ。」


勉はお弁当箱を持って待ち合わせ場所の屋上に向かった。


華「あ、いたいた。真面野く~ん」


勉「ごめん、遅くなっちゃって。」


三八「いやいや、呼んだのは私たちだから勉くんが謝らなくてもいいって。」


勉「そうか。」


華「え!? 今、三八ちゃん真面野くんのことを名前で・・・・・・」


団子「じゃあ揃ったことだし鍵開けるよ~」


勉「その鍵って。」


団子「生徒会役員限定のヒミツの鍵。といってもただの屋上の鍵なんだけどね。」


勉「そんなものがなぜ花寄さんが持っているんだ?」


団子「副会長にもらったのよ。」


勉「いつから先輩たちとそんなに仲良くなったんだ。」


4人は屋上で座ってお弁当を広げた。


華「あ、団ちゃんのお弁当ミートボールが入ってる。」


団子「これ手作りなんだよね~三八ちゃんの玉子焼きすごいおいしそ~」


三八「私の玉子焼きは出汁醤油で味付けしているのよ。あ、華ちゃんのウインナータコさんだ。」


華「そうそう、作るのけっこう苦労したのよ。」


勉「へ~みんな手作りしているのか。僕のは親の手作り弁当だけどな。」


3人はおかずを蓋に乗せて


華・団子「じゃあ真面野くん食べてみて」

{一緒に言う}

三八「じゃあ勉くん食べてみて」


勉「え?」


三八「実はね、次の期末テストの内容が男の人が喜ぶ弁当を作ることなのよ。」


勉「もしかしてそのために僕を呼んだのか?」


華「まあ、それだけではないんだけどね・・・・・・」


団子「という事だから感想聞かせてね~」


勉「うん、分かった。」


勉は3人からもらったおかずを食べた。


勉「うん、どれもおいしかった。」


団子「そんなありきたりの感想はいいから!もっと細かく言って。」


華「これはテストなんだから!」


三八「私たちには正直に言ってほしいの。」


勉「じゃあ、本当のことを言うね。まずは花寄さん。」


団子「はい!」


勉「ミートボールは確かにうまかったけどちょっとボロっとしているのが気になったかな。タレも甘ったるかったし、それにお弁当の中身が揚げ物などの茶色系統が多かったかな。やっぱり旦那さんに弁当を作るなら野菜などの色物系を入れるのもいいかもしれないな。

 三八さんの出汁巻き卵おいしかったよ。でも少ししょっぱかったかな。そこの調整はすぐできると思う。後はお弁当のおかずの種類が多過ぎるかな。料理得意なのはいいけど毎日これだけ作ったら予算がなくなると思うな。テストだからと言ってその日だけ張り切らずに低予算で食べられるお弁当を作るのがいいかもな。

 最後に華さん。逆におかずが少な過ぎかな。たこさんウインナーを作れる技術があるんだからもっと料理を作れると思う。まあ予算や栄養バランスのことを考えるなら一番いい弁当だと思うよ。」


華・団子・三八「・・・・・・・・・・・・。」


勉「えっと・・・・・・言い過ぎたかな?」


団子「まあ確かにそうかもしれないね。」


三八「そうだね、私張り切り過ぎていたから」


華「図書室でお弁当のおかずの本探そうかな。」


勉「みんなの目の色が変わった・・・・・・」


団子「ありがとね、見直したよ。さすが三八ちゃんと華ちゃんを惚れさせた人だね。」


華「え!団ちゃん私たちのこと知っていたの!」


団子「まあね~」


華「なんだ、隠していた私たちがバカみたいじゃない・・・・・・」


団子「本当は真面野くんのことをあまり信用していなかったんだよね。これなら華ちゃんのことも任せられるね。」


勉「花寄さん・・・・・・」


団子「でもどうしよう~テストまでちょっとなのにこのままじゃあ・・・・・・」


三八「じゃあ、私の家でやらない?」


華「え、三八ちゃんの家?」


三八「まあ祖父母の家でよければ。」


団子「行きたい!」


華「私もいい?」


三八「もちろん。3人で頑張りましょう。」


勉「3人とも頑張れよ。」


三八「何言っているの?勉くんも来るのよ。」


勉「え、僕は必要ないんじゃ・・・・・・」


団子「味見や審査役としてね。予定はないでしょ?」


勉「まあないけどさ。」


華「じゃあ決まりだね、勉くん。」


勉「はい・・・・・・」


土曜日、三八の家の前に集合した。


華「ごめん、遅れちゃった。」


団子「大丈夫だって、ね、真面野くん。」


勉「まあ、大丈夫だよ。」


華「勉くん、どうしたの?」


勉「いや、変装していなかったから一瞬華さんじゃないかと思った。」


団子「普段の2人はどんななのよ・・・・・・」


勉「いや、他の生徒にばれないように華さんには変装してもらっているんだよ。」


団子「やれやれ、普通にデートするだけでも大変だね~」


玄関のチャイムを鳴らした。ドアが開き三八と祖母が現れた。


三八「3人とも来たね。早く上がって。」


勉・華・団子「お邪魔します。」


三八祖母「あらあら、お客さんいらっしゃい。」


華「初めまして、百合根華です。」


団子「花寄団子です。」


勉「真面野勉です。」


三八祖母「あら、男の人が来るなんて珍しいわね。もしかして三八ちゃんの彼氏?」


三八「ちょっと、おばあちゃん!」


三八祖母「ふふふ、それではごゆっくり。」


三八「もう、おばあちゃんてば・・・・・・」


勉「なんか楽しそうなおばあちゃんだな。」


三八「久しぶりに家に友達呼んだから嬉しかったんだろうね。」


勉「へー」


三八「あ、キッチンはあっちだよ。それと、勉くんはリビングで待機ね。できたら教えるから。」


勉「わ、分かった・・・・・・」


華たちはキッチンでお弁当作り。


団子「よし、じゃあ今から真面野くんをぎゃふんと言わせるお弁当を作るわよ!」


華・三八「お~!」


勉はリビングでお弁当が出来上がるのを待っていた。勉は三八の家にある本を読んで時間をつぶしていた。


三八祖母「あの~ちょっとよろしいでしょうか?」


勉「え、あ、僕ですか?」


三八祖母「その、三八ちゃんとはどういう関係なのでしょうか?」


勉「えっと・・・・・・・・・・・・友達です。」


三八祖母「そうなのですね。実はあの子、父親に暴力を振るわれてそれ以来男性恐怖症になったみたいで。」


勉「はい、その事は三八さんから伺いました。」


三八祖母「そんな三八ちゃんが男性を連れて来るなんて生まれて初めてで。あの子も高校に入って変わったのだと思うと涙が・・・・・・」


勉「そんな、顔を上げてください・・・・・・」


三八祖母「すみません・・・・・・」


三八「お弁当出来た・・・・・・よ・・・・・・っておばあちゃん!? 」


団子「あ~真面野くん泣かせた~」


勉「誤解だ!」


華「大丈夫ですか?今、ティッシュ用意しますね。」


団子「華ちゃんは冷静ね・・・・・・」


おばあちゃんをなだめた三八。


三八「おばあちゃんは落ち着いたから。」


勉「なんか、すまなかったな・・・・・・」


三八「いいって別に。 じゃあ勉くん、味見お願いします。」


勉「お~みんな最初より見た目がいいな。」


華「どう?おかずの量も増やしたりしたけど。」


勉「うん、いいと思うよ。後は味だな。」


勉は3人のお弁当を食べた。


勉「こっ、この味は・・・・・・」


華「どうかな?」


勉「うまい・・・・・・いや、お世辞じゃなく本当に美味しい!」


団子「やった~」


三八「よかった~」


勉「でもこんな短期間でよくここまで成長できたね。」


華「それは・・・・・・」


勉「華さん?」


華「勉くんのことを想って作ったからに決まっているに決まっているじゃない。言わせないでよ!」


勉{顔を赤らめる}


団子「ごちそうさまです。」


三八「なんか2人を見ていると応援したくなる気持ちになるね。」


団子「三八ちゃんもきっといい彼氏に出会えるよ。」


三八「え、急にどうしたの?」


団子「なんでもないよ~じゃあ真面野くん。他に直したらいいと思ったところあるかな~?」


勉「そうだな、後は・・・・・・」


この後夜遅くまでお弁当作りは続いた。


次の日


勉「くっ、苦しい・・・・・・お弁当食べすぎた・・・・・・」


寝待「おっす、真面野おはよう・・・・・・お前、太った?」


勉「すまん、果報。運動に付き合ってくれないか?今日は生徒会の仕事無いからさ。」


寝待「いいけどさ・・・・・・どうしたんだよ、そのお腹。」


勉「ちょっとご飯食べすぎた。」


寝待「ストレスが原因で食べすぎか?」


勉「違うって・・・・・・」


寝待「それに来週からテストだろ。大丈夫かよ?」


勉「運動してくれるかわりに勉強教えるから。」


寝待「そうか、それなら俺に任せろ! いや~お前が友達で本当によかったよ!」


勉「いつから友達になった・・・・・・」


勉と寝待は放課後勉強を教える代わりに1時間の運動を行った。しばらくご飯も最小限にした。 そしてテスト当日をむかえた。


青菜先生「それじゃあテスト開始!」


テスト終了後 生徒会室にて


勉「みんな、テストどうだった?」


華・団子・三八「満点でした!」


笑福 ほ~すごいじゃないか。今回の採点の先生辛口評価で有名なのに。


類「まあ、私も満点だったけどね。」


卯円「私は赤点ギリギリ・・・・・・」


笑福「赤点ギリギリとはあかんな~なんちゃって」


生徒会室に冷たい風が吹いた。


類「あっはっはっは!もう、急にギャグを飛ばさないでよ!おもしろ~い!」


勉「(友呼先輩のツボがよくわからない・・・・・・)」


白羽「そういえば聞いたぞ、真面野。全教科100点満点みたいじゃないか。」


華・団子・三八・卯円・類・笑福「え~!」


勉「そんな、偶然ですよ。」


笑福「偶然で採れる点数ではないだろう。俺の時も平均点70ぐらいだったぞ。」


類「笑福くん、そんなに難しい問題なの?」


笑福「ああ、1学期のテストは難関私立大学レベルの問題なんだよ。それを満点とは・・・・・・」


勉「まあ、今回の問題は先生の話をちゃんと聞いていれば解ける問題なので。」


白羽「(とんでもない記憶力だな・・・・・・)」


無事に期末試験を突破した真面野たちであった。


第6話(完)

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