145話 コラクル国入国とビキニアーマー




------(テンタ視点)------☆




 西支部の転移魔法円に着くと、俺達はそのままギルドと教会


西支部の建物裏にあるチーム『バンダム』のチームハウスである


『ホワイトキャッスル』へと向かう。


 チーム『バンダム』のチームハウスの前に立って、かりゅうの背中


に載る三毛猫オトアと俺は驚いた。


「えっ!」


「デカイ!」


と驚く。


そして、かりゅうの背中に載る三毛猫オトアがポツリと呟く。


「これって……お城だよね」


その言葉に俺は、


「ああ、……」


と答えたが心の中では、


(まぁ、お城にしたら小さいけどね)


と思った矢先だった。


\\ガラガラガラ//


と言う大きな鎖を引きずるような音がしたかと思ったら、跳ね橋状に


なった門が開く。


「えっ、」


「なに何ナニ」


その大きな音に驚いた三毛猫オトアと俺の前に門から1人の人が


現れ、俺達に声を掛けてきた。


「バルバン様ですか?」


その問いに俺が驚きながらも、


「ええ、バルバンです」


と答えると、その人はニッコリ笑って、


「どうぞこちらへ、皆様がお待ちです」


と俺達を城の中へと案内するのだった。














 入り口を入るとすぐそこは、まるで巨大ロボットの格納庫のような


場所だった。


(スゲーな、こんなのアニメや特撮でしか見たことないぞ)


「さぁさ、こちらへ」


その格納庫らしき場所の一角にあった、転移魔法円へと案内される。


そして、その魔法円に案内役の人と共に俺達が乗ると……。


 次の瞬間、、四方をぐるりとガラスで囲まれた部屋に着いた。


(ここはいったい……)


 部屋の中央には、一段高くなった所に、王様の椅子に掛けた、


中世の騎士のような服を着た人がおり、その傍らに舵輪だりんを持った


女の人が立っており、また王様の椅子の後ろには3人掛けのソフ


ァーとその後ろにはさらに4人掛けのソファーに、アロム(ルーク)


さん達が座ている。


因みにアロム(ルーク)さん達は、アニメ『機動戦記バンダム』に


出てくるそれぞれの軍服のようなものを着ていた。


俺達がその部屋に転送するや否や俺達の方を一斉に見て立ち上がる


とまず、王様の椅子に座っていた人が俺達の所にやって来て、


「よくお越しくださいましたテンタさん、オトアさん、私はこの


ホワイトキャッスルのキャプテンを務めておりますブライです」


と握手を求めてくるので、俺はブライさんと握手を交わしつつ、


「初めまして、テンタです……で、こっちがオトアです」


かりゅうの背中に載っている三毛猫を紹介する。


するとブライさんが、


「はじめましてでちゅオトアちゃん」


とにこやかに赤ちゃん言葉で、オトアに挨拶をし、三毛猫オトア


右前足を手で持ち挨拶をすると、三毛猫オトアも少し困ったような


顔で、


「初めましてブライさん、オトアです今回はお世話をおかけします」


と答えると、ブライさんが目を”ぱちくり”して驚きながら、


「えっ、あっ、しゃべった!?」


と驚き固まると、それを見たアロム(ルーク)さんが、笑いながら


固まるブライさんに声を掛ける。


「その子は、人間の言葉をしゃべるん猫なんだよw」


と答えると、ブライさんは、そう言うアロム(ルーク)さんの方を


見て、


「そうなんですねw、ますますかわいいですね」


再度三毛猫オトアの頭を撫でる。


そして、今度は三毛猫オトアを背中に載せているかりゅうを見て、


「このワンちゃんのお名前は?」


と聞いてくるので俺は、


禍龍かりゅうです」


と答えると、ブライさんはかりゅうの頭をワシワシ触りながら、


「はじめまして、かりゅうちゃん」


と挨拶するが、かりゅうは、そんなブライさんを見て、


”フン”


と鼻息を漏らし、”プイ”とそっぽを向く。


その時、サー(キャスバル)さんが、ブライさんに冗談ぽく


「気を付けろよ、それ、犬に見えるけど元はドラゴンだからな」


と言うと、その言葉に”えっ”って顔をして、一瞬ビク着く


ブライさんに、俺が、


「大丈夫ですよ、こいつは人なれしてますから」


と一言言うと、”はぁ~”って言う顔で”そーと”かりゅう


の側から離れるのだった。


そんな様子にアロム(ルーク)さん達が爆笑した後、アロム(ルーク)さん


が、”こっちこっち”と自分達が座るソファーの前にある3人掛けの


ソファーに俺達を手招きするので、俺はそのソファーに座り、かりゅう


の背中から三毛猫オトアを下し自分の膝の上に座らせたんだが……。


その時、何故かかりゅうが、まるで中年の親父のように俺の隣に


どっかと腰を下ろした。


(お前ねぇ~犬なんだろう)















 キャプテンのブライさんが王様の椅子(キャプテンシート)に座り、


「ホワイトキャッスル浮上!」


と号令をかけると側に居る舵輪だりんを操作する女性……名前を


ミラさんと言うらしいが、その彼女が、


「ホワイトキャッスル浮上します」


と復唱しながら城の操舵をすると、”ズズズズ”っと言う振動の後、


『ホワイトキャッスル』が浮いた。


「進路コラクル国!」


とブライキャプテンが号令をかけると、


「ホワイトキャッスル進路をコラクル国へ向けます」


とと復唱しながら城の操舵をするミラさん、俺達が乗るホワイトキャ


ッスルは、一路コラクル国へ向け飛び立つのだった。













 今回の西方4ヶ国の旅で一番初めに訪れるのは、コラクル国で、


チーム『バンダム』のフレヂー・ヴァルカス冒険者名【スレンダ


ー・ハイ】さんの出身国になる。


 ヴァルカス(スレンダー)さんは、何とそのコラクル国の子爵


家の生まれだそうで、今回その実家が所有するコラクル国王都の


お屋敷を俺や三毛猫オトアに宿代わりに提供してくれている。


 なんでも、そのお屋敷は年1回の諸侯会議の時にしか使わない


そうで、俺達が使って構わないと言うことだ。


使っていない屋敷と言ってもそこを管理するための執事やメイドが


おり、常に万全な状態らしい。


 今回の旅行では、コラクル国のヴァルカスさんのお屋敷をはじめ、


次のバーン王国では、ルーク(アロム)さんのお屋敷、ドゥブ国では、


ゲルト(ダンバ)さんのお屋敷、そして極め付きはルベル国で、何と


キャスバル(サー)さんのお屋敷……ってかルベル国王城となっている。


(いや~この『バンダム』ってチーム全員が元貴族……しかもキャス


バル(サー)さんに至っては、元王子なんだもんなぁ~驚きだわ)


 ってことで、そう言う事情を踏まえ、俺は今回いつもの服装ではなく


先日仕立てた正装フロッグコートを着ていると言う訳だが……。


 そうこう考えている間に、『グロルの森』からコラクル国内に入った


ようだ。













-----(第三者視点)------☆




 一方、テンタ達が居る大陸とは別の大陸の南端にある


周りは岩だらけの荒野が広がる場所の地下にダリウス率いる


悪魔軍団が居る。


 因みに、ここから数キロ北東に行ったところには、ドラゴン


や巨獣が住む森が広がっており、また、ここから数千キロ北西


に行ったところには、数千人程度の人間が住む街がある。


 ここの大陸がイディアの世界の人達に認識されていないのは、


秘密の御前会議で、光の精霊エードラムがいっていたように、


数千年前、太古の魔王に対抗させるため、この世界の神がこの世界


を救うメシアとして、召喚したダリウスによって、『無限障壁』


なる神の権化を使ってこの大陸全体を覆うように張られた障壁が


原因で、かの精霊たちでさえ感知できない存在になっている。


最も、そのおかげで太古の魔王はこの地に封印されている訳だが


……。


その大陸の荒野が広がる場所の地下のダリウス率いる悪魔達の


居城のいくつもある王の謁見の間の中でも、一番地下深くで、一番


大きな王の謁見の間にそれらは居た。


 王の謁見の間の一段高くなった王の椅子がある側に、転生前の


オトアの姿をしたダリウスと、その横で控えるミノカサゴの頭で


体は蟹の甲羅状で覆われた男の姿の悪魔公爵ヤブーだ。


「ダリウス様いかがでしょう」


とダリウス(オトアの体)が自身がまとうビキニアーマー着て


自身の動きをチェックしている所にそう声を掛ける悪魔公爵ヤブー


(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状で覆われた男の姿)。


「動きは問題ない……しかしこれであの忌々しい猫から受ける


体のコントロールを防げるのか?」


と自身がつけたビキニアーマーをまじまじ見て言うダリウス。


その言葉に、悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状


で覆われた男の姿)は自身を持って言う。


「大丈夫でございます」


その言葉にダリウス(オトアの体)は、


「まぁ、帥が言うのであらば大丈夫なのであろうな」


と言うと、改めて悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の


甲羅状で覆われた男の姿)は、


「はっ」


と深々とダリウス(オトア体)に頭を下げる。


そんな悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状で覆


われた男の姿)に、ダリウス(オトア体)が、


「して、準備の方は整ったのかヤブー」


と聞くと悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状で覆


われた男の姿)は、頭を上げ言う。


「はっ、かの人間により『巨大魔導騎兵』なるゴーレムもどきは


完成し、いつでも出れますが……ただ、」


「ただ、!?なんじゃ」


言い淀む悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状で覆


われた男の姿)に、ダリウス(オトア体)が聞き返すと、


「はっ、ピッポリトが製作しておりますカ・カイジュウと申す


巨獣達の製作が少々難航しておりまして……出撃させるのには


もう少々お時間が掛かるかと……」


その言葉にダリウス(オトア体)が”うーん”と少し考えた


様子で、


「まぁ、この世界にない物を作っておるのじゃ、その辺は仕方ない


かのう~」


その言葉に悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状で覆


われた男の姿)は、


「はっ、申し訳ございません、ピッポリトにはなるべく早急に製作


するよう申し伝えます」


と深々と頭を下げる悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲


羅状で覆われた男の姿)に、再びダリウス(オトア体)が尋ねる。


「それはそうと、例の方はいかがいたした」


その言葉に悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状で覆


われた男の姿)が、頭に?を浮かべるような顔して、


「はっ……どの件でしょう」


と聞き返してくるので、ダリウス(オトア体)が少しイラッとした


顔で、


「儂が封印した魔王じゃよ」


と言うと、悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状で覆


われた男の姿)は、”ハッ”とした顔でで、ダリウス(オトア体)


を見て、


「はっ、太古の魔王はなかなか強情な奴で、我等に協力すれば


この牢獄のような場所から出してやると言うダリウス様の言葉を


受けても頑として、拒否しておりまする」


その言葉にダリウス(オトア体)は、側にあった玉座にどっかと


座り、


「だろうな……」


とため息交じりで呟くのだった。


そこに突然、\ボワ/っと現れるメフィレス(黒い梟の顔で体が


狼の毛で覆われ尻尾が蛇の男)。


それを見て、悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状


で覆われた男の姿)は怪訝そうに現れたメフィレス(黒い梟の顔


で体が狼の毛で覆われ尻尾が蛇の男)に言う。


「何じゃ突然」


すると現れたたメフィレス(黒い梟の顔で体が狼の毛で覆われ尻


尾が蛇の男)は、ダリウス(オトア体)と悪魔公爵ヤブー(ミノ


カサゴの頭で体は蟹の甲羅状で覆われた男の姿)に向かって一礼


し言う。


「恐れながら、その件わたくし目にお任せ下さいませんか?」


その言葉にダリウス(オトア体)が、


「んっ、何か帥に名案でもあるのか」


尋ねると、メフィレス(黒い梟の顔で体が狼の毛で覆われ尻


尾が蛇の男)は、


「はっ」


と頭を下げてから言う。


「わたくし目が、開発した洗脳装置がございますそれを使います」


その言葉に、


「洗脳装置!?」


と悪魔公爵ヤブー(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状で覆われた


男の姿)は少しイラついたように言うが、


「ほう、洗脳装置のう~、して、それで、奴(魔王)を洗脳できると


言うのかメフィレス」


と興味心身に聞きかえすダリウス(オトア体)にメフィレス(黒い梟


の顔で体が狼の毛で覆われ尻尾が蛇の男)は、自信満々な顔で、


「はい」


と答えた。


それを見たダリウス(オトア体)は、


「相分かった、では奴(魔王)件は帥に任そう」


と言うと、その言葉を受けたにメフィレス(黒い梟の顔で体が狼


の毛で覆われ尻尾が蛇の男)が、膝をつき一礼して、


「ははっ、お任せあれ」


と言い残したかと思うと再びダリウス(オトアの体)達の前から、


\ボワ/っと姿を消すのだった。















------(テンタ視点)------☆




俺達を乗せた『ホワイトキャッスル』は、コラクル国の上空に


入り、王都から数十キロ手前の草原地帯に着陸した。


『ホワイトキャッスル』が着陸すると、俺と三毛猫オトア


かりゅうは、ヴァルカス(スレンダー)さんに連れられ、


『ホワイトキャッスル』の外に出ると、そこには2台の馬車の


前に3人の騎士らしき人いる。


その1人の騎士に早速、ヴァルカス(スレンダー)さんが声を掛ける。


「よう、久しぶりだなウッディ―w」


「はい、お久しぶりでヴァルカス様」


とその騎士と挨拶をかわしながら握手をすると、


「おいおい、ヴァルカス様はよせやい、もう俺は平民になったんだから、


ヴァルカスで良いぜ」


そう言うヴァルカス(スレンダー)さんに、


「滅相もない、国を救ってくれた英雄にそのような言葉遣いはできませんよ」


と恐縮しながら言い返すが、


「そんな御大層なもんじゃないぜ俺は」


とおどけて言い返すヴァルカス(スレンダー)さん。


すると、そのウッディ―さんの隣に居た騎士が俺に声を掛ける。


「あの~、バルバンさんですか?」


「はい」


俺に声を掛けてきた騎士に俺はそう返事を返すと、


「恐れ入りますが、小槌をここに」


とタブレット状の板を俺に見せてくる。


「あっ、はい」


俺はそのタブレット状の板に開いた小槌状の窪みにフロッグコート


の内ポケットから出した小槌を置くと……。


\ピロリロリン♪/


と音が鳴り、その板の上に俺のデーターが浮かび上がる。


「はい、結構です確認が取れました」


と言って俺に小槌を返す。


「あっ、はい」


俺はその騎士から小槌を受取りフロッグコートの内ポケットにしまうと、


「おいおい、俺は出さなくていいのか?」


とヴァルカス(スレンダー)さんが、真ん中の騎士のウッディ―さん


に聞くと、ウッディ―さんは、懐から小槌を出そうとするとヴァルカス


(スレンダー)さんを手で制し、


「いえ、この国の英雄たるヴァルカス様は必要ないです」


と言い、


「我々はこれで」


と、3人の騎士達は俺達に一度頭を下げ、そのまま止めてある馬車の


1つにそのまま乗り込み去っていった。


「おいおい、いいのか?俺はもう平民に戻ったんだがな……」


と去っていく馬車を見ながらそう呟くヴァルカス(スレンダー)さん。


すると、残った馬車の御者が馬車の扉を開け、俺達に言う。


「ささ、どうぞ乗ってください」


その言葉に、ヴァルカス(スレンダー)さんが俺達に言う。


「まぁ、なんだ、ここで突っ立ってるのもなんだから、とっとと


馬車に乗って屋敷に向かうかテンタ」


その言葉に、


「はい」×2


と答える俺と三毛猫オトアだった。


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