144話 ガンブレイブ北へ、テンタ西へ
------(テンタ視点)------☆
お昼のお客さん達がひと段落したころ、俺と
ヴィクセン(狐人)さんは、店で”まかない”(売れ残った
商品)を食べている時だった。
店の前で、馬車らしきものが停まったと思ったら、何やら
にぎやかな声がした……思った次の瞬間。
\ガチャ/
”カランコロンカラン”
と店の扉が開き、
「ただいま~w」×2
と元気に店に入って来るシェリーさんとタミーさん。
「おかえり~w」×3
その声に、ご飯の手を止め返す俺と
(狐人)さん。
元気に店に入って来たシェリーさんとタミーさんに続いて、
「ただいま」
「けぇーったべ」
と続いて店の中に入って来るミリー(トム妻)さんとアナ
(ガイゼル妻)さんに、
「おかえりなさぁ~い」×3
と再び言葉を返す俺と
さんだったが、
「あれ?ボスは」
とその中に居るはずのトム(バルジャン)さんの姿がないのに
気づき、ミリー(トム妻)さんに尋ねるヴィクセン(狐人)さん
にミリー(トム妻)さんが、
「ああ、あの人ならもう少ししたら帰って来るわ」
と答えると、その横からアナ(ガイゼル妻)さんが、
「なんか、グランドマスターに呼ばれたんだべよ」
とミリー(トム妻)さんの言葉に着けたし言う。
「何でですか?」
とアナーさんの言葉に驚き聞き返すヴィクセン(狐人)さん
に、
「わかんないべ?」
とあっさり返すアナ(ガイゼル妻)さんに絶句するヴィクセン(狐人)さん
だったが、そんなヴィクセン(狐人)さんにミリー(トム妻)
さんは、
「ホント、急に声が掛かったみたいで、私達はおろか、たぶん
トムにもわからないんじゃないかな」
とほほ笑んで答えた。
そして、その隣に居たアナ(ガイゼル妻)さんが、
「まぁ~トムがけーって来たらわかるべよ、そんなことより、
今日は宴をするから買い物を手伝ってけろ」
と言うと、
「えーっ、宴って何のですか!」×3
と俺と俺と
声をそろえて聞くと、それにシェリーさんが含み笑いで
「あのねぇ、ゴブリンの巣を見つけてねぇ……」
と言いかけるとすぐさまその続きをタミーさんが言う。
「宝物がいっぱいあったのでそれを換金したのよw」
と言うと、ヴィクセン(狐人)さんがすぐさま聞く、
「い・いったいいくらぐらいですか?」
すると今度はシャリーさんが、ニマニマしながら、
「いくらぐっらいだと思うぅ~」
とヴィクセン(狐人)さんに聞き返すと、
「さぁ~250万クリスタル(約5千万円)……ぐらいでし
ょうか?」
と答えると、その言葉にタミーさんは人差し指を立て横に
”チッチ”と振りながら、
「いやいや、ズバリ500万クリスタル(約1億円)w」
との言葉に、
「え――――っ500万クリスタルゥ~(約1億円)!」
と俺と
驚き声をそろえて言う。
それをニコニコしながら見ていたミリー(トム妻)さん
が、
「と言う訳で、今日はお店は早じまいしましょう~、
悪いけど、テンタ君とオトアちゃんそれにシェリーとタミー
は、店じまいをしてくれるぅw」
「はいw」×2
「はーい」×2
俺と
すると、
「表にレツとダイを待たせているから、ヴィクセン(狐人)
は、アナ(ガイゼル妻)と2人で買い出しに行って来てちょ
うだいw」
とミリー(トム妻)さんが、ヴィクセン(狐人)さん
に言うと、
「わかりました」
とヴィクセン(狐人)さんは答えアナ(ガイゼル妻)さんと
共に店の外へと出て行くのだった。
(1億とはすごいな~道理でみんなテンションが高いと思っ
ていたんだよな……なるほどねぇ)
◇
”トントントントン”
店の厨房で、ミリー(トム妻)さんとアナ(ガイゼル妻)さん
が、俺と
料理を作っていく中、俺と
タミーさんが、店の前の札をCLOSEDに変え、テーブルの
レイアウトを変えて行く。
そんな中、ミリー(トム妻)さんが俺に、
「で、私達の留守中お店はどうだった?」
と料理の手を止めずに聞いて来た。
それに俺が答えようとしたら、横からヴィクセン(狐人)さん
が、
「それがですね、オトアちゃんのおかげで、毎日私達のまかない用
の分以外、すべて完売で……ミリー(トム妻)さん達が余分に
2日分作ってくれていたからよかったもののすべて完売だったん
ですよ~」
と俺より先に答えた。
するとミリー(トム妻)さんが俺の顔をちらっと見るので、
「ええ、殆ど完売です」
と俺が頷くと、シェリーさんとタミーさんが、目を丸くして
「完売!?それはすごいね」×2
と俺の横で言って来るが、そんな2人にヴィクセン(狐人)さん
がまるで自分のことのように自慢げに、
「そうでしょ~、なんせ空飛ぶ猫がいる店って評判でw」
その言葉に、ミリー(トム妻)さんの隣のアナ(ガイゼル妻)さん
が、
「空飛ぶ……ってなんだべ?」
と不思議そうに言うが、ミリー(トム妻)さんは何のことか
察しがついたようで、そんなアナ(ガイゼル妻)さんに、
「多分……オトアちゃんがお誕生日にもらった魔法のサーフボード
のことじゃなぁい」
と説明すると、アナ(ガイゼル妻)さんも思い出したのか、
「ああ、あの浮遊する板だべか」
と納得したようだ。
すると、ミリー(トム妻)さんが笑顔で、
「なら、これからもオトアちゃんが手が空いてるときに店の
手伝いをしてもらおうかしらw」
と言うと、俺の肩の上に乗る
「はい、是非是非お手伝いさせてくださいw」
と答えた。
そんなやり取りの中、
「あ――――っ!」
と急に大きな声をあげるヴィクセン(狐人)さん。
皆の視線がヴィクセン(狐人)さんに集まった中、
「どうしたのそんな大きな声を出して」
とミリー(トム妻)さんが、ヴィクセン(狐人)さんに聞く。
「えっ、あっ、もう一つ報告が」
とヴィクセン(狐人)さんが言うと、
「なに何ぃー」×2
「何だべ」
「何なのヴィクセン(狐人)」
とシェリーさんやタミーさんにアナ(ガイゼル妻)さん、
そしてミリー(トム妻)さんが聞く。
その言葉にヴィクセン(狐人)さんが胸を張り、
”コホン”と咳ばらいをして、
「皆さんの留守中に、テンタ君がまた感謝状を教会から
受けられましたw」
とさも自分がもらったように自慢げに言う。
「え――――っ」
「それって悪魔の討伐で?」
と驚くシェリーさんとタミーさんのシェリーさんが聞く。
「ええ」
と短く答えるヴィクセン(狐人)さんに、シェリーさん
とタミーさんは俺と
「本当?テンタ君オトアちゃん」
と聞くので、俺と
「はい」
「ええ」
と答えると、タミーさんが少し声を張り上げ、
「えっ、えっ、でも私達も少しだけ悪魔退治に協力し
たのに~」
と少々不満気味に言うと、それを聞いたミリー(トム妻)
さんが、少々呆れた顔で、
「あれはトムの救出クエストだったでしょ、あれはうち
(ガンブレイブ)がだしたクエストだから、たぶんノー
カンよ」
と言うと、それでも納得できないのか、
「何で、なんで、ナンデ」
と何でを連呼するタミーさんをほっといて、シェリーさんが
俺と、
「でっ、副賞って今回も出たんでしょ」
その言葉に俺が、
「何でも西方4ヶ国1周旅行だそうです」
と答えると、先ほどから”何で”を連発していたタミーさんが
急に黙り、俺と
「それって、前回みたいに私達も一緒に行けるのかなぁ~」
と聞くので、俺は、
「たぶん……行けると思いますよ」
と言った時だった。
\ガチャ/
”カランコロンカラン”
と喫茶ゴンの扉が勢いよく開くと同時に、
「それは無理だぞ」
と言いながらトム(バルジャン)さんが入って来た。
俺の方を向いて話していたシェリーさんとタミーさんが、
入り口の方を振り返り、
「あっ、パパ!」
「パパおかえり~」
と返すと続いて、俺と
さんが、
「おかえりなさい」
「おかえりなさいトムさん」
「ボス、おかえりなさい」
とトムさんに向かって言うと、それに反応したミリー(トム妻)
さんとアナ(ガイゼル妻)が、料理の手を止め、入り口を覗く
ように、
「おかえりあなたw」
「おかえんなさい、早かったなべさ」
とトムさんに向かって言うのだった。
◇
「パパ、それは無理ってどういうこと?」
とシェリーさんがトム(バルジャン)さんに聞く。
すると、タミーさんも、
「ひょっとして、私達がテンタ君達と旅行に行くのが
無理……ってこと?」
2人の問いにトム(バルジャン)さんは、短く答える。
「ああ」
その答えにタミーさんが噛みつく。
「なんでよ!パパ」
すると、シェリーさんは、トム(バルジャン)さんの顔を
伺うように聞く。
「それって、今回のテンタ君の副賞には私達の分はないって
こと?」
その問いに、トムさんが言う。
「いや、ないってことはないが……丁度テンタが出発する
ころに、俺とシェリーとタミーは別の所に向わなきゃいけ
ないことになった」
その言葉にタミーさんがまたもや
「向かうってどこよ」
と不服そうに言うと、トム(バルジャン)さんは、
「北支部の応援だよ」
と答えると、シェリーさんとタミーさんは驚いたように声を
そろえ
「き・北支部~!!」×2
と声をあげる。
「何で北支部なのよパパ」
とシェリーさんがトム(バルジャン)さんに尋ねると、
「何でも北支部では、最近死霊らのモンスターが大量発生して
いてな、北支部では元々冒険者の登録数が不足してる上、光系や、
浄化系の魔法師も不足していて、対応に追われているとでそれら
の魔法師や、死霊系モンスターに対応できる冒険者の応援を北支
部の支部長のシスタームーン達からギルド本部に要請があったら
しい」
と、説明をしていると、タミーさんが口を挟む。
「でも、何で私やお姉ちゃんにパパなの?」
その言葉に、トムさんが、
「それは、俺達の武器のほとんどが光系(ビーム)だからだよ
タミー」
と付け足し説明すると、今度はシェリーさんが、
「でも、死霊系モンスターって殆どお金にならないじゃない
~パパ」
と口を挟むとタミーさんも、
「そーよ、倒したモンスターのほとんどの遺骸は素材にならないし、
せいぜい体にある魔晶石くらいじゃない、その魔晶石でもスケルトン
やゾンビなんかは、それを破壊しないと死なないし……ほとんど
お金になんないじゃないパパ」
と不満を口にすると、それを聞いたトム(バルジャン)さんは、
ニッコリ笑うと同時に2人にウインクをして言う。
「だがな、シェリーとタミー、今回はギルド本部から特別に
死霊討伐クエストに特別ボーナスが付くんだよw」
と言い返すと、シェリーさんとタミーさんは、ふくれっ面で、
「いくらよ~」×2
と声をそろえて言うと、再度ニヤリと笑ったトム(バルジャン)
さんが言う。
「ズバリ、500万クリスタルゥ~(約1億円)だよ」
その金額を聞いたな、シェリーさんとタミーさんは、
「え――――っ500万クリスタルゥ~(約1億円)!」
「やる!」
「やる、やる、やりますとも」
と急に目の色を変えて叫ぶのだった。
◇
この日の夜は、盛大にゴブリン討伐の宝物で得た500万ク
リスタル(約1億円)のお祝いを皆で祝う。
そして、次の日からは、ミリー(トム妻)さんとアナ(ガイ
ゼル妻)さん、それにヴィクセン(狐人)さんに
通常の喫茶ゴンを営み、俺は西方4ヶ国一周旅行の準備に取り
掛かり、トム(バルジャン)さん、シェリーさんとタミーさん
達3人は北支部に向けての準備に取り掛かった。
4日後、注文していた礼服を『オーダー服のバリバリー』に
取りに行った次の日、それぞれの目的地に向かうためギルド本部
の転移魔法人へと向かう。
レツさん、ダイさんの引く馬車に乗ったトム(バルジャン)さん、
シェリーさん、タミーさんは北支部へ転移し、俺と
に何故かついて来た
のだった。
◇
-----(第三者視点)------☆
少し時間は戻って、テンタ達がゴブリン討伐の宝物で得た500
万クリスタル(約1億円)のお祝いを皆で祝っているころ、ここ
テンタ達が居る大陸の西にある『グロルの森』の北側では、ゲル
(モンゴルにある簡易住宅)が4つ立っていた。
その4つのゲルは一番大きいゲルを中心に囲むように3つの
ゲルが立っていた。
その一番大きなゲルの中では……。
ゲルの中心に置かれたテーブルに、この森の地図を広げ、それを
4人の人間が囲み何やら話をしていた。
一人は、『クリスタルマンエメラルド』ことガレン(表向き
風来坊)。
一人は、20代後半で、中世ヨーロッパ貴族風の姿の『ルペン
四世』ことエドガー・ド・カリオストロ。
一人は、同じく20代後半で、中世ヨーロッパ貴族風の姿で、
その妻の『ルペン四世の彼女の峯山ふみ子』こと、ミーア・レム
・カリオストロ。
一人は、10代の中世町娘風の姿の『サイバティック・ジェ
イミー』こと、ソマーズ・ワグナー。
『クリスタルマンエメラルド』以外は全員聖クリスタル国
CIC(クリスタル中央情報局)のメンバーである。
ガレン(クリスタルマンエメラルド)の横に立つエドガー
(ルペン四世)が『グロルの森』の地図を見ながら言う。
「この森一体に俺がテレポートして、悪魔レイダーを200
個設置している」
その言葉に、ガレン(クリスタルマンエメラルド)が、
「それでいいだろう」
と返し、今度は『グロルの森』の地図を指さしながら、
「この森にそれぞれ俺の持つカード怪獣を待機させている
。東にウインタム(怪鳥)、西にミラタウロス(ウシ型怪獣)
、南にアキュラ(トリケラトプス風)」
と言う。
その言葉に
「北に我々が居るので、これでこの森のすべてはカバー
できますわね」
とエドガー(ルペン四世)の妻ミーア(峯山ふみ子)が、
言うと、ガレン(クリスタルマンエメラルド)が、
「そうだな、後は待つだけだな」
と言い、
「それまで、各自のゲルで待機してくれ」
と他のメンバーに告げると。
「了解した」
「かしこまりました」
「はい」
とエドガー(ルペン四世)に妻ミーア(峯山ふみ子)
にソマーズ(サイバティック・ジェイミー)が返事を返し、
全員この中央の大きなゲルから出て、各自それを囲む小さな
ゲルに戻っていくのだった。
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