131話  門



------(テンタ視点)------☆




 しかし、しかしである。


俺とデーモンレディー(マヤ)さんは残りの197頭の


デーモンケルベロス(3悪魔+3頭狼)に囲まれてしまった。


(やばい、やばいぞ!)


 その時、俺のヘルメット内の左モニターに映るエードラム


様が、


『しかたないねぇ~、テンタ君、あれ使うよ』


(えっ、連ちゃんか……)


と思ったが、


「あっ、はい」


と俺が答えるなり、俺の体が赤い光に包まれると同時に俺は


腰の後ろのカムイさんを抜き、スカイバリアンから


飛び降りる。


「チョー!」


俺が飛び降りると共にスカイバリアンはゆっくりと地上に


降りる。


(そういう設計だからね)


 俺の体は光の速さで動き、197頭のデーモンケルベロス


(3悪魔+3頭狼)達の魂とそれに憑依するレッサーデーモン


達の魂を次々に刈って行く。


\シュパッ/、\シュパッ/、\シュパッ/、\シュパッ/


\ドサッ/、\ドサッ/、\ドサッ/、\ドサッ/


「えっ、なに・何ナニ!」


俺が光の速さで、デーモンケルベロス(3悪魔+3頭狼)達


を倒して行く中、それが見えないデーモンレディー(マヤ)


さんは首を左右に振りながら驚き言う。


\サッ/


俺を包む光が消え、俺が姿を現すと、


「あっ、テンタ君だったのか、脅かさないでよ」


と胸を撫でおろすデーモンレディー(マヤ)さんだった。


「痛てててて」


俺の体がきしむ……。


「大丈夫、テンタ君!?」


とデーモンレディー(マヤ)さんが心配して駆け寄るのだった。












 一方、テンタ達のいる所から少し離れた場所では、


クリスタルマンルビー(カラン)さんと禍龍かりゅうが、フェンリル


(ゾル将軍)と対峙していた。


「今だ!」と言いながら自身のブランチスキル『理』(コトワリ)


を発動させながら、


「ルビーニューム光線!」


と自身の必殺光線をフェンリル(ゾル将軍)目掛け放つ。


”●ピシュー”===


放たれた赤い光弾をフェンリル(ゾル将軍)をその大きな口を開け


\パクッ/


と食べられてしまった。


「なに!」


その光景に驚くクリスタルマンルビー(カラン)さん。


そして、気のせいかフェンリル(ゾル将軍)の体が一回り大きく


なった気がする。


(ひょっとして、奴は魔力エネルギーを吸収して……)


と思った時だった。


隣に居た禍龍かりゅうが、口から火球を放つ。


\バシューン/


 しかし、その火球も\パクッ/とフェンリル(ゾル将軍)に


食べられてしまった。


そして、またまたフェンリル(ゾル将軍)の体が一回り大きくなり


……。


\ミシミシミシッ/


体が通路いっぱいになり、フェンリル(ゾル将軍)は身動きできな


くなった。


「んっ、しまった!」


焦るフェンリル(ゾル将軍)に禍龍かりゅうが再び火球を放とうとする


のを、


「やめろ禍龍かりゅう!これ以上奴を大きくしたらこの通路が崩れる!」


と止めるクリスタルマンルビー(カラン)さん。


フェンリル(ゾル将軍)は大きな口を開け頭を下げたり上げたリし


て、威嚇するが……。


そこへ、エードラム様に回復魔法を掛けてもらった俺と、デーモンレ


ディー(マヤ)さんが駆け付ける。


「柱、どうなってるんです?」


とデーモンレディー(マヤ)さんがクリスタルマンルビー(カラン)さん


に聞くと、


「私にもよくわからないが……恐らく奴は相手の魔力エネルギーを吸収して


体が巨大化するタイプのようだ」


と答える。


それを聞いたデーモンレディー(マヤ)さんが、少しあきれ気味に


「ばっかじゃないの!?で身動き取れなくなるなんて」


と言うとそれを聞いたフェンリル(ゾル将軍)が怒って、


「何じゃと!」


目から光線を出した。


それを見たクリスタルマンルビー(カラン)さんが、咄嗟にバリアー


を張るが……。


”カチンコチン”


クリスタルマンルビー(カラン)さんが張ったバリアーが、何と!


石化した。


「えっ!」


「あっ、」


「なに!」


石化したバリアーを見て驚くデーモンレディー(マヤ)さん、俺に


クリスタルマンルビー(カラン)さん。


\ガオー/


すると、フェンリル(ゾル将軍)が吠え、石化したバリアーを粉々


にする。


\バリバリバリ/


\ゴロゴロゴロ/


その時、俺のヘルメット内の左モニターに映るエードラム


様が、


『このままでは皆石化させられる、テンタ君、あれ使うよ』


(えっ、3連ちゃん……)


と思ったが、


「あっ、はい」


と俺が答えるなり、俺の体が赤い光に包まれると同時に俺は


腰の後ろのカムイさんを抜き、光の速さでフェンリル


(ゾル将軍)に迫り、体を斬りつけるが……奴の魂を奪えない。


『やっぱり、こいつも中からでないと……』


というエードラム様の言葉を聞いて、俺は一旦しゃがみこみ


両ふくらはぎ外側に3つづつ縦に並んでいる銀色の手裏剣を


左右から1つづつ取り出し、奴が大きくあけている口から出


ている舌に向け、それを投げた。


”(((((シュルシュル~)))))”


\バシュッ/


見事手裏剣はフェンリル(ゾル将軍)の舌に刺さると、☆型の


手裏剣の中央部にある赤い石が点滅し、奴の悪魔核破壊の波動が


流れ出す。


「ぬっ、がっ、……」


と声を出したと思ったら、フェンリル(ゾル将軍)は頭を地面に


叩きつけ……死んだ。


「ふぅ~」


俺は赤い光の球から解放され一息つくが……。


「痛ててててて」


体中の筋肉の痛みで、その場に倒れこむのだった。













 すぐさま、エードラム様が回復魔法を掛けてくれたので、


痛みは引いたが、なんだか体が”ふわふわ”する感覚と、


体全体が”どー”って感じで重たく感じる。


取り合えず、フェンリル(ゾル将軍)に放った手裏剣を


回収すると、さっき、気を失っていたチーム『デビライザー』


のエディー(ザマタン)さん、ジェシー(イマタン)さん、


チャド(ガマタン)さんの3人が気が付いたようだ。


「うっ……」×3


気が付いた3人にデーモンレディー(マヤ)さんが、


「ようやくお目覚め?」


と声を掛けると、


「あっ、で、デーモンケルベロス(3悪魔+3頭狼)達や


フェンリル(ゾル将軍)はどうなった!?」


とデーモンレディー(マヤ)さんに聞くと、


「テンタ君がやっつけてくれたわ」


とあたりを振り返り言うと、エディー(ザマタン)さん、


ジェシー(イマタン)さん、チャド(ガマタン)さんの


3人は、同じようにあたりを見回し、


「そうか、ありがとうテンタ」


とエディー(ザマタン)さんが俺の方にお礼の言葉を


告げる。


「いえいえ」


俺はそれに愛想返事を返すと、クリスタルマンルビー


(カラン)さんが、3人に近寄り、


「で、君達のブランチレベルは?」


と尋ねた。


それにエディー(ザマタン)さんが、


「レベル10です」


と答えると、


「レバルMAXだからライフ5か……で、再変身ブランチは何分か


かる?」


とクリスタルマンルビー(カラン)さんが、再び尋ねると、


「えーと、エネルギー切れではないので、約10分くら


いで」


と答えると、クリスタルマンルビー(カラン)さんが、


俺達全員に向かって、


「じゃ、ここで10分休憩としよう」


と言ってくれた。


(やれやれ)


と俺が思う中、チャド(ガマタン)さんが、


「しっかし、先に進むにしてもこれが邪魔でないか?」


と通路を塞ぐフェンリル(ゾル将軍)を見て言うと、


嬉しそうにニコニコしながら、


≪俺が片付けてやるよ≫


禍龍かりゅうが言った。


「あっ、」


『ああ、』


『ふ~ん片付ける……ねぇ』


「えっ、ああ、それでもかまわんが」


禍龍かりゅうの言葉が聞える俺、オトア、エードラム様に


クリスタルマンルビー(カラン)さんがそう反応する。


(あいつの魂胆は見え見えだが……)


「うん、どうしたんです」


禍龍かりゅうの言葉が聞えないデーモンレディー(マヤ)


さんが、俺とクリスタルマンルビー(カラン)


さんに不思議そうに尋ねてくるので、


「ああ、禍龍かりゅうがあれを片付けてくれるそうだから、


俺達は邪魔にならないように……」


と言いながらあたりを見回すクリスタルマンルビー


(カラン)さんが、右の壁の入り口後を見て、


「そうだ、あそこの中で休憩しよう」


と提案してくれた。


の提案に俺達は頷き、クリスタルマンルビー(カラン)さん


共々チーム『デビライザー』の4人も壁の中にある部屋に


入って行った。


俺は一先ず、スカイバリアンを右側の壁付近に移動させて


から、皆の後に続いて入った。













『フェードアウト』


「リバース」


右側の壁にある部屋へ入った俺は、コンバットスーツを


解除し、生身の姿へと変わると、開いている場所に座り


込み小槌から水筒を出して、水を飲み一息ついた。


同じようにさらに水を入れると、三毛猫オトアも水を飲み


一息ついているようだ。


相変わらず、俺はの体は”だるおも”(だるくて体が重く


感じている)な状態だった。


そこへ、チーム『デビライザー』のジェシー(イマタン)


さんがやって来て、俺に


「これたべてみー」


と一粒のキャラメルらしきものを手渡す。


「これは……」


俺は手渡されたキャラメルらしきものを見つめジェシー


(イマタン)さんに尋ねると、


「ああ、それ、それは1粒で300mのやつだ」


と笑って答える。


(?……なんかおじいちゃんが、昔そんなことを言って


たような気がする)


と思いながらも、包み紙をむき、口の中に入れてみる。


(味はキャラメル……)


食べてからすぐに何かが変わったって感じではなかったが、


しばらくすると、”だるおも”感が少し和らいだ気がする。


「これは、なって言うものですか?」


と俺がジェシー(イマタン)に尋ねると、


「正式名称は回復キャラメルだが、俺達はグリキャラって


呼んでる、なんか懐かしい味だろう?」


と笑いながら言われた。


「あっ、はい」


とは答えたものの俺は頭が?だったが、隣に居た三毛猫オトアが、


「グリキャラ……多分それって、お父さんが子供のころ食べたって


言ってたやつかも?」


と言って来るので、俺はふと考えると、


「ああ!」


って思いだした、確かおまけつきキャラメルで、父さんが子供


ころ、おまけ目当てに買っていたキャラメル。


確かさっきジェシー(イマタン)が言っていた”1粒で300m”


って言うキャッチフレーズの物と同じ味のキャラメルのようだ。


俺がそんなことを思い出していると、


\ガブッ/、\ムシャムシャ/、\ぼりぼり/


部屋の壁の向こうから、禍龍かりゅうが、フェンリル


(ゾル将軍)を豪快に頬張る音が聞こえてくる。


流石にフェンリル(ゾル将軍)の処理をどうするんだろう


と思っていたチーム『デビライザー』の4人も、禍龍かりゅうが、


どうやって処理しているのかは察しが付いているようだ。


だれも外の様子を見ないし、ふれないようにしている。


(だ、しょうね、グロテスクだものね)













 禍龍かりゅうが、フェンリル(ゾル将軍)を食べ終わったころ、


俺は右側の壁付近に留めていたスカイバリアンのミニガン


の弾の補充をしていると、クリスタルマンルビー(カラン)さんが


休憩していた部屋からチーム『デビライザー』の4人共々出て


きて、


「そろそろ、出発するよテンタ君」


と声を掛けてきたので、


「はい」


と俺は返事し、弾の補充を急いで済ませようとしていると、


「禍龍(かりゅう)そろそろ出発しるから犬の姿に戻ってくれ


ないか?」


禍龍かりゅうにも声をかけると、


≪ああ、わかった≫


禍龍かりゅうが、犬の姿に変わろうした時だった。


「ちょっと、待ってください柱!」


禍龍かりゅうの言葉は聞こえないものの、そのやり取りの雰囲気


で察したデーモンレディー(マヤ)さんが、待ったを


掛けた。


「どうしたんだ、マヤ?」


と尋ねるクリスタルマンルビー(カラン)さんにデーモンレディ


ー(マヤ)さんが、


禍龍かりゅうって30mの体だと言っても見ての通り細長


い体をしてますよね」


と言うと、クリスタルマンルビー(カラン)さんは、


「確かにな」


と答えると、


「なら、鎌首を持ち上げたりしない限り、この通路を通るのに


そんなに邪魔にならないって言うか、支障はないんじゃないで


すか?」


というデーモンレディー(マヤ)さんの言葉に


「確かに……うん?何が言いたいのかなマヤ」


と頷きながら疑問を浮かべるクリスタルマンルビー(カラン)


さんにエディー(ザマタン)さんが、


「要は、マヤは楽したいんですよw、俺達自分の羽で飛んでる


んで……」


と笑いながら言うと、それを聞いたデーモンレディー(マヤ)


さんが、顔をプっと膨らまし、


「楽したいんじゃなくて、魔力エネルギーの節約よ、


せ・つ・や・く!」


と抗議するが、クリスタルマンルビー(カラン)さんは、


それに対して、


「じゃ、皆で禍龍かりゅうの背中に乗って行こうか」


とあっさり認めると、


「えっ、あ・はいw」


と急に笑顔になった。












「もどるんだなぁ~!」×3


ザマタン(エディー)さん、イマタン(ジェシー)さん、


ガマタン(チャド)さんの3人が変身(ブランチ)を終え


ると、等身大のクリスタルマンルビー(カラン)さん、デー


モンレディー(マヤ)さんに次いでザマタン(エディー)


さん、イマタン(ジェシー)さん、ガマタン(チャド)


さんの3人が、背中に乗ると、クリスタルマンルビー


(カラン)さんが、禍龍かりゅうの体を軽く叩いて、


「じゃ、出発しようか禍龍かりゅうと声を掛けると、


禍龍かりゅうは、体をふわっと浮かせてその場から


出発するのだった。


「赤着(せきちゃく)」


「フェードイン」


それをコンバットスーツ姿になった俺がスカイバリアン


で追いかけた。


しばらくは何事もなく進み、5重の螺旋の最後の通路に


入って、しばらくすると……。


禍龍かりゅうストップ!」


とクリスタルマンルビー(カラン)さんが、禍龍かりゅうの体を軽く


叩いて止める。


「えっ、」


「何だこれは」


「大きいな」


「これは扉?」


と目の前に見える門のような金属でできた観音開きの扉を見て、


驚き声をあげるチーム『デビライザー』のデーモンレディー


(マヤ)さんにザマタン(エディー)さん、イマタン(ジェシー)


さん、ガマタン(チャド)さん。


 俺もスカイバリアンを止めまじまじとその扉を眺める。


「これを開けたら王城なのかしら」


と尋ねるデーモンレディー(マヤ)さんにクリスタルマンルビ


ー(カラン)さんが、


「ああ、おそらく」


と答えた。


その言葉に俺は、


(しっかし、これどうやって開けるんだろう)


と思うのだった。


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