129話 古代王都イーリオス攻防その2
------(テンタ視点)------☆
スカイバリアンに跨り2階の窓から俺が飛びだしたが、
その時はすでに、
「デーモンディスチャージ!」
とデーモンレディー(マヤ)さんが叫び、全身から高圧の
電気を放出し、”あっ”と言う間に空中に浮かぶレッサ
ーデーモン共々それらサハギンクロコダイル(魚人+ワニ)
達を焼き尽くした後だった。
(えっ、俺の出番は?)
と俺は一瞬思ったが、奥で、黒いマンモス(ファング族長)
と戦うクリスタルマンルビー(カラン)さんの姿が目に入った。
(あれ?悪魔闘気が消えているのに、クリスタルマンルビー
(カラン)さんの光線技が全然効いていない)
ならばと、俺は乗っているスカイバリアンのフロント部分を
左右に開き、中にあるミニガンを露出させる。
”キュイーンキュルキュルキュル”
\\バリバリバリバリ//
\ポロ/、\ポロ/、\ポロ/、\ポロ/
「な・何っ!」
しかし、ミニガンの弾丸は、黒いマンモス(ファング族長)
のその長い体毛に阻まれ、すべて通路の床に落ちた。
それを見たカムイ(ブレード人)さんが、黒いマンモス(ファン
グ族長)目掛け斬りつける\シュン/。
「えっ、斬れない!」
が、奴の体毛で刀の刃が通らなかった。
ならば!とばかりに今度はチーム『デビライザー』のザマタン
(エディー)さんがブランチスキル『隠遁』を発動させ、黒い
マンモス(ファング族長)に気づかれないように近づき、奴の
体にレイピアを突き刺すが……。
「んっ、レイピアが通らん!」
それを見たデーモンレディー(マヤ)さんが、翼を広げ空中に舞う
と奴の背中に降り立ち、
「デーモンディスチャージ!」
とデーモンレディー(マヤ)さんが叫び、全身から高圧の電気を
放つが効かず、「ならば!」と尻尾を奴の背中に突き刺し毒を
打ち込もうとするが、
「尻尾の先が通らない!」
と驚くデーモンレディー(マヤ)さんを黒いマンモス(ファン
グ族長)は、
「ええぃ!」
と言いながら自身の背中を振るいデーモンレディー(マヤ)さん
を振るい落とそうとするが、デーモンレディー(マヤ)さんは
素早く翼を広げ、空中へとエスケープする……。
しかし、突然、空中で
「えっ!」
「あっ!」
突然、
俺が素早くスカイバリアンで駆け付け、右手を伸ばして
マヤ(デーモンレディー)さんをつかむ。
「あ・ありがとうw」
俺にお礼を言うマヤ(デーモンレディー)さんに俺は、
「どうしたんですか?急に変身を解くなんて」
と聞くと、
「いえ、解いたんではなく解けたのよ」
「なんで!?」
マヤ(デーモンレディー)さんの答えに俺がさらに聞くと、
「多分、エネルギー切れ」
とばつが悪るそうに答えた。
取り合えず、マヤ(デーモンレディー)さんをスカイバリアンに
引き上げ俺の後ろに乗せると、俺は、後方にスカイバリアンを
着陸させ、マヤ(デーモンレディー)さんを下すと、俺のヘル
メット内の左モニターに映るエードラム様が、ポツリと呟いた。
『やはりあれはベビルデーモンが言うように神毛の様ねぇ』
その言葉に、今度は右モニターに映るオトアが、
『神毛……何ですか?』
とエードラム様に尋ねると、
『ええっ、神毛ってね書いて字のごとく神の毛何だけどね……
本物の神の毛ではないんだけど、あらゆる魔法攻撃や物理攻撃
を防ぐ毛なんでそう言われてるんだけどね』
俺はそのエードラム様の言葉に、
「じゃ、どうやって倒したら……」
と聞くと、エードラム様が、少し考えて、
『うーんとね……やぱり中からしか倒せないかもねぇ』
とおっしゃる。
その言葉を聞いて俺は考える。
(中から?……って言っても体長20mのマンモス、大きいとは
言え、俺が口の中に飛び込むには小さすぎる大きさ)
しかし、その時俺はあることを思い出す。
(ひょっとして……これなら効果あるかも!)
俺は左太ももの装甲板を開き、小槌をだして、小槌からある物を
取り出す。
それは、ガイゼルさんにもらった予備の手りゅう弾に、これまた
誕生日のお祝いにデーモンレディー(マヤ)さんからもらった搾り
たての毒が入った小瓶を細い革ひもで硬く縛ったものを取り出し、
俺のヘルメット内の左モニターに映るエードラム様にお願いする。
『俺が合図したら俺を光の速度で移動させてください』
『んっ?ああ、わかったわ』
俺のお願いにエードラム様からそう答えをもらった俺は、一先ず
、その場にスカイバリアンを置き、その黒いマンモス(ファング
族長)目掛け走った。
\パォーン/
俺が奴の目の前に立つと、黒いマンモス(ファング族長)は、自
身の体重を後ろ足で支え、前足を上げ2足で立ち上がると同時に
鼻を大きく振り上げる。
(思った通りw)
俺は以前動画配信サイトの雑学で知ったんだが、象の鼻は上唇と
一体になった構造らしい。
なので、鼻を上げると口が開くんだと。
まぁ、マンモスも似たような物だろうと考えての今回の作戦なん
だが、思った通り、奴が鼻を上げると口が開いた。
「今だ!」
俺はそう言うと、手りゅう弾のピンを抜き、奴の口の中に手りゅ
う弾を放り込んだ。
そして、
「今ですエードラム様!」
と俺が叫ぶと、俺はすぐさま赤い光に包まれその場から光の速度
で退避する。
\ドシーン/
\バシッ/
奴が前足を下すと同時に上にあげた鼻が鞭のように俺が居た場所の
床を叩く。
と、
\ボンッ/
奴の口の中で手りゅう弾が爆発するが……。
口からは白い煙が立ち昇るものの、奴は平気な顔で、その場から
退避した俺を睨みつけ、
「小僧何をした」
と訝しく俺に言うが……。
次の瞬間!
「うっ……」
と声を漏らしたかと思うと、\ドスン/
とその場に勢いよく倒れこんだ。
(マヤさんの毒が効いたようだ)
◇
「痛てててて……」
体がきしむような痛さが俺を襲う。
すぐさまエードラム様が回復魔法を掛けてくれたので、
痛みは引いた。
俺達は、魔獣達の死体が転がる場所から少し奥に移動した。
「マヤどうして
と等身大の大きさに戻ったクリスタルマンルビー(カラン)さん
が、マヤ(デーモンレディー)さんに聞く。
「エネルギー切れです」
そうマヤ(デーモンレディー)さんが答えると、クリスタル
マンルビー(カラン)さんが、
「そうか、で、君のブランチレベルはいくつだ」
と聞き返すと、
「レベル7です」
と答えるマヤ(デーモンレディー)さんの答えを聞いて、
たクリスタルマンルビー(カラン)さんが、
「レベル7……か、ならライフ3か」
と言うと、それに頷きながら
「はい」
と答えるマヤ(デーモンレディー)さんに、クリスタ
ルマンルビー(カラン)さんが、
「で、エネルギれの再変身にかかる時間は?」
と再度尋ねると、
「30分~40分ぐらいだと思います」
と答えるマヤ(デーモンレディー)さんに、少し考え
俺達の方を向いて、
「じゃ、マヤが再変身できるまでここで休憩をしよう」
とおっしゃるのだが、その言葉を否定するようにマヤ
(デーモンレディー)さんが、
「いえ、柱に頂いたこの鎌がありますから援護くらい
はできます、先を急ぎましょう」
とクリスタルマンルビー(カラン)さんに反論するが、
クリスタルマンルビー(カラン)さんがマヤ(デーモン
レディー)さんの方に向き直り、
「いや、生身では命の保証が……」
と言いかけると、それを遮るように、マヤ(デーモン
レディー)さんが、右手人差し指に着けた指輪を見せ、
「いえ、大丈夫です、例の空中砦で報酬として頂いた
身代わりの指輪がありますから」
と再度反論する。
ここで2人が何を話しているのかと言えば、転生者が
持つ
ベルに合せて1日に出せるブランチの数が決まるらしい。
レベル1~3まではライフ(1日に変身できる回数)
が1で、レベル4~6でライフ2、レベル7~9で
ライフ3、レベル10がMAXでライフ5と言う事に
なるらしい。
マヤ(デーモンレディー)さんの言葉にクリスタルマン
ルビー(カラン)さんが、少し困ったような顔をして考え
ていると、急にクリスタルマンルビー(カラン)さんが、
「ちょっと待て、念話を共有する」
と言うと、俺やみんなの頭の中に外で戦ていたチーム
『ナル』のトリン(ナイア)さんの
≪こっちは片付いたよ~、そっちはどう?今からそっち
に行くねw≫
と言う言葉が聞えた。
(えっ、念話って共有できるんだ)
と驚いている俺をしり目に会話が進む。
トリン(ナイア)さんの念話にクリスタルマンルビー
(カラン)さんが、
≪ご苦労様、こっちも第一弾は片付いたが、君達は
そのままそこを引き上げ帰ってくれ≫
とトリン(ナイア)さんに告げると、
≪ええ――――っ!なんで!?≫
と驚いたように言うトリン(ナイア)さんにクリ
スタルマンルビー(カラン)さんが、
≪君とマリーナは水中戦に特化したブランチだ、地
上戦はかなり不利だろうからな≫
と返すと、
≪そんな!≫
と言い返すトリン(ナイア)さんにクリスタル
マンルビー(カラン)さんが、さらにこう付け加える。
≪特に君(トリン)は、人魚の姿だ、その魚の下半身で
地上戦は難しいだろう≫
と諭す様に言うと、トリン(ナイア)さんは、
≪しかたないな……≫
と諦めたようだ。
すると、クリスタルマンルビー(カラン)さんが、トリン
(ナイア)さんに、
≪あっ、そこに
と聞いた。
≪あっ、はい、いますけど≫
とトリン(ナイア)さんの返事に
≪なら、
すると、トリン(ナイア)さんが、
≪いますけど……すぐにはそっちに行かないかも?≫
と何か含みがある返事に、
≪すぐには来れないのか?≫
とクリスタルマンルビー(カラン)さんが聞くと、
≪えっ……何と言うか……
今何かを伝えても取り合わないと思います≫
トリン(ナイア)さんが、困ったように言うと、
≪食事中!?……て?≫
と頭に?を浮かべクリスタルマンルビー(カラン)さんが、
再度尋ねると、
≪ああ、はい、さっき倒したマーライオンを食べてます≫
のトリン(ナイア)さんの言葉に
≪!?≫
絶句するクリスタルマンルビー(カラン)さんだが、その時
念話を聞いていた俺のヘルメット内の左モニターに映る
エードラム様が、
『
と言うと、
≪なにっ、マンモスとな!今すぐそっちに向かうw≫
と返してきた。
その時、側に居たであろうトリン(ナイア)さんが、
≪あ、あっ、
と念話を送って来た。
(うーん現金な奴)
◇
\ムシャ、ムシャ/
すっ飛んできた
あれだけ苦労した神毛も、死んでしまえば……ただのマンモスの体毛
と言うことなのか、
なので、この間に俺は、スカイバリアンのミニガンの弾の補給
をしてからスカイバリアンを小槌に戻した。
クリスタルマンルビー(カラン)さんは、一旦、
自身の小槌から地図のような物を出して、何やら確認している。
ここ、王都イーリオスは、王城を守るための城壁都市とも言うべき、
街で、左右にある壁に人が住んでいたらしいのだが、クリスタルマン
ルビー(カラン)さんの話では、そのほとんどが城を守る兵士達だった
のではないかと言うことなのだが、その根拠にこの渦巻き型の都市の
あちらこちらに侵入者を防ぐ罠も仕掛けられているそうで、クリスタ
ルマンルビー(カラン)さんは、今その確認をしているとのこと。
確認し終わったクリスタルマンルビー(カラン)さんが、俺に
「地図を見るのいちいち
テンタ君が持っていてくれないか?」
と言われたので、俺は預かった地図を左太腿の装甲版を開き、そこ
に仕舞った。
「では、出発しようか!」
「はい」×5
皆がそう返事をする中、まだ
俺が、
「
って声を掛けたら、奴は慌てて最後の一口を口に無理やりねじ込む。
≪ふぁん、……ふぁかった(うんわかった)≫
と返事をする。
するとクリスタルマンルビー(カラン)さんが、
「すまないが、ここはそんなに広い場所ではないから、戦闘以外は
犬の姿に戻ってくれ」
と言うと、
そしてマヤ(デーモンレディー)さんが
「デ~ィモン~!」
\\バリバリバリ//
体の全身から稲妻を出し
さんを確認して、皆で歩き出した。
先頭は、クリスタルマンルビー(カラン)さんと先ほど再変身した
デーモンレディー(マヤ)さんで、その後をチーム『デビライザー』
のザマタン(エディー)さん、イマタン(ジェシー)さん、ガマタン
(チャド)さんと続き、俺、
天所までの高さ40m、通路歩幅20mで、左右の壁には扉や窓の
後が並ぶ風景が続く。
しばらくすると、左右の壁にあった窓や扉の後が壁に無くなった
って思ったら、クリスタルマンルビー(カラン)さんが手を挙げ、皆に
止まれの合図を送る。
そして、クリスタルマンルビー(カラン)さんが、俺達に先んじて2、
3歩歩いた……その時だった。
\\ズズズズズ//
\\ドンガラガッシャーン//
と床が100mの長さで崩れ、大きな穴が出来る。
「トアー!」
クリスタルマンルビー(カラン)さんは通路が崩れると同時位に空中へ
飛び上がり、
「初歩的な罠だな」
と呟くのだった。
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