125話  「わたしの搾りたてよw」



------(第三者視点)------☆




 深い海中を、ピンクのウエットスーツ姿のチーム『ナル』の


マリーナ(マカナ)が、踵のスクリューの泡の航跡こうせきを引きな


がら進んでいた。


その隣には、マリーナ(マカナ)と同じくチーム『ナル』のトリン


(ナイア)が人魚の姿で泳いでいると、そこに一匹のイルカが通


りかかり、マリーナ(マカナ)は進むのをやめると同時に隣の


トリン(ナイア)も泳ぐのを止める。


そして、マリーナ(マカナ)は、自身のブランチスキル『会話』


を発動させる。


 このスキル『会話』は、マリーナ(マカナ)とその周辺に居る


人間並びに海の生物達がお互いに会話できる能力である。


「フリッパー、しさしぶりじゃない~」


と自身の側を通りかかった白いイルカに声を掛けた。


すると、声を掛けられたイルカは、その声に反応し、2人の


もとに近づいてくると、


「やぁ、マリーナにトリンじゃないか、久しぶりw」


と声を掛ける。


そして、


「今から魔物狩りにでも行くのかい?」


と聞いてくるフリッパー(白イルカ)にマリーナ(マカナ)が、


「うん……って言うか、ちょっと海底調査のお仕事でね」


と答えると、フリッパー(白イルカ)は不思議そうな顔で、


「海底調査?……」


と聞き返すと、マリーナ(マカナ)の隣のトリン(ナイア)


が、フリッパー(白イルカ)に、


「うん、悪魔達の住処を探しにね」


と答えると、フリッパー(白イルカ)は、再び頭に?を浮かべ


「悪魔!?って」


と聞き返すので、マリーナ(マカナ)は、少し考えて、


「うーん……、まぁ強力な魔物……って感じかな」


と答えると、フリッパー(白イルカ)は、


「うーん……」


と頭をひねり考え込む。


そんなフリッパー(白イルカ)にマリーナ(マカナ)が、


「じゃぁさ、なんか海で変わったことなかった」


と言い換えフリッパー(白イルカ)に聞くが、聞かれた


フリッパー(白イルカ)は、


「変わったこと……最近?」


とまた考え込んでしまう。


すると、海底の方で”ゴソゴソ”と砂をかき分け1匹の


エイが突然顔を出す。


それを見たマリーナ(マカナ)とトリン(ナイア)が声を


揃えて、


「あら、エイ吉、元気だった?」×2


声を掛けると、エイ吉と呼ばれたエイが、


「ああ、おかげさんでな、2人も元気そうで何より」


と答えた。


そのエイ吉(エイ)に再び、マリーナ(マカナ)が聞く。


「ねぇねぇ、最近海で変わったことなかった?エイ吉」


と尋ねると、エイ吉(エイ)も少し考えてから、


「そーいや、最近、サハギンを見なくなったな」


と答えると、その言葉に”ハッ”としたフリッパー(白


イルカ)が、


「そうそう、ここ1か月前からサハギンを1匹も見なく


なったっけ」


と言うとエイ吉(エイ)もフリッパー(白イルカ)の


言葉に頷きながら、


「そうそう、ここら辺の海だけでなく、奴等の根城の


ネシア王国の島の東側沖合の海底にも全く姿を現さなく


なったよな」


と答えた。


それを聞いたトリン(ナイア)が隣のマリーナ(マカナ)


の顔を見て、


「そう言えば、シャッキー達が使役している合成魔獣の


多くに、サハギンベースのものが多かったんじゃなかっ


た?マリーナ(マカナ)」


と聞くと、それにマリーナ(マカナ)も頷き、


「そうね、これは調べてみる価値がありそうねw」


と言うと、マリーナ(マカナ)は、


「フリッパー、エイ吉2人とも情報ありがとう」


とフリッパー(白イルカ)とエイ吉(エイ)に


お礼を言い、


「じゃ、行ってみましょうwトリン」


とトリン(ナイア)に言うと、再び海を進むのだった。


その2人の後ろ姿に、エイ吉(エイ)もフリッパー


(白イルカ)が、


「気をつけてな」


「じゃ、またねw」


と手の代わりにそれぞれ鰭を振るのだった。













------(テンタ視点)------☆




 チーム『ナル』のマカナ(マリーナ)さん、ナイア


(トリン)さんをみんなで見送った後、巻貝の家の前


に戻って来ると、そこには、チーム『デビライザー』の


リーダーのエディー(ザマタン)さん、ジェシー(イマ


タン)さん、チャド(ガマタン)さん達にマヤ(デーモン


レディー)さんが居た。


するとカラン(クリスタルマンルビー)さんが、


「おお、来たか」


とチーム『デビライザー』の4人に声を掛けると、


リーダーのエディー(ザマタン)さんが、カラン


(クリスタルマンルビー)さんの方に近づいてきて、


「はい、ルビーはしらの悪魔退治の御依頼があった


と言うことで、こちらに参りました」


と言う言葉に、カラン(クリスタルマンルビー)さんは、


「で、コントローラーの件はもういいのか?」


と聞き返すと、エディー(ザマタン)さんが、


「はい、ニム博士(クリスタルマン)のお話ですと


殆ど解析が済んだとおっしゃるので……」


と答えると、カラン(クリスタルマンルビー)さん


が頷き、


「そうか兄さんがそう言うなら……」


と言い続けて、


「今、チーム『ナル』の2人に情報を集めに行って


もらってるから、2人がこちらに帰ってくるまでは、


ここでしばらく待機していてくれ」


と付け加えて言うと、エディー(ザマタン)さんは、


「はい」


と答え、再び他のメンバーの元へ戻っていき、メンバー


に、


「しばらくここで待機だそうだ」


と伝えると、他のメンバーのジェシー(イマタン)さん、


チャド(ガマタン)にマヤ(デーモンレディー)さんが


頷く。


そして、1人マヤ(デーモンレディー)さんが自身の


メンバーの所から、俺と三毛猫オトアの方にやって来て、


「はい、これw」


と言って木箱と真っ白い眼鼻のないぬいぐるみを手渡し


ていた。


俺はそれを受取り、俺と三毛猫オトアがぽやんとして


居ると、マヤ(デーモンレディー)さんが、


「2人共お誕生日だったんでしょ?」


と笑顔で言い続けて、


「この白いぬいぐるみは、オトアちゃんので、この箱は


テンタ君ねw」


の言葉に、俺と三毛猫オトアは”ああ”って感じで腑に


落ちた顔で、


「ああ、ありがとうございます」


「ありがとうございます」


とマヤ(デーモンレディー)さんにお礼の言葉を継げると、


「2人共、遅くなってごめんねw」


と言われ、


「いえいえ」×2


と恐縮する俺と三毛猫オトア


すると、マヤ(デーモンレディー)さんは、ニコニコしながら、


俺から高さ30Cmくらいの白い眼鼻のないぬいぐるみを取り


上げ、三毛猫オトアに向かって、


「オトアちゃんここを引っ張ってみてw」


と言いながらぬいぐるみの尻尾を指さす。


「あ、はい」


三毛猫オトアは、そう言われ、訳が分からないまま、その


ぬいぐるみの丸い尻尾を右前足の爪でひっかけ引っ張ると……。


”ムクムクムク”とその白いぬいぐるみは形を変え、あっという


間に三毛猫オトアの姿になった。


「なんと!」


「えっ!」


それを見て驚く俺と三毛猫オトアにマヤ(デーモンレディー)さん


は嬉しそうに言う。


「これは、身代わりのぬいぐるみだそうよw」


それを聞いた俺と三毛猫オトアは驚き声をそろえて、


「身代わりのぬいぐるみぃ~!」×2


と言うと、三毛猫オトア分身体であるそのぬいぐるみの三毛猫オトア


も驚く。


「これはオトアちゃんの意思で操作できるからねw」


と言うと、マヤ(デーモンレディー)さんはさらにこう付け加える。


「但し、これは子供用なんだけどねぇw」


「へー」×2


その言葉に俺と三毛猫オトアが感心し、三毛猫オトア


その分身体を操作して遊んでいると、今度はマヤ(デーモン


レディー)さんが、俺が持つ箱を指さし、


「箱の蓋開けてみてw」


と言うので、俺が木箱の蓋を開けると、小さな薬用瓶のような


物が10個入っていた。


「これは……」


って俺がマヤ(デーモンレディー)さんに尋ねると、マヤ


(デーモンレディー)さんは、意味ありげに俺にウインクを


して、


「これは、私のをさっき搾ったばかりの搾りたてよw」


その言葉に俺は驚き、


「し・搾りたて……って」


と言いながら思わず俺がマヤ(デーモンレディー)さん


の胸を見ると、


「あっ、何想像してんのよ、Hね!」


と頭を\バシッ/と叩かれ言われた。


「いやぁ~ね、これは私の尻尾から絞り出した悪魔と魔物に


効く毒よ」


その言葉に俺は、”ああ”って顔で、


「てへへ」


と照れ笑いでごまかすのだが、それを見ていた三毛猫オトア


三毛猫オトアの分身2人に\シャー/と唸られるのだった。


(だって、マヤさんが紛らわしい言い方するんだもん)














------(第三者視点)------☆





 ネシア王国の島の東側沖合の海底の悪魔伯爵シャッキーの


アジトにて、デッド団長(猛獣使い風の男)の前に配下である


1体のデーモンサハギンチャック(悪魔+魚人+イソギンチャク)


が現れ、デッド団長(猛獣使い風の男)に報告をする。


「Ж◎δ▽Σ※◇■」


それを聞いたデッド団長(猛獣使い風の男)団長が


「な・何っ!、こちらに向かう人間が居ると!ここを人間どもに


知られるのはまずい……でっ、数は?」


と聞くと、配下のデーモンサハギンチャック(悪魔+魚人+


イソギンチャク)が、


「ЖΞ※」


と答えると、


「そうか2人か、ならデーモンサハギンメガロを2体だして


そ奴らをしますせい!」


と命令を下のだった。













 一方、悪魔達が今まさに自分達を襲おうとしているいことなど


知らないチーム『ナル』のマリーナ(マカナ)と、トリン(ナイア)


は、ネシア王国の島の東側沖合の海底で、サハギンの調査をしていた。


「エイ吉の言う通り、この辺サハギンの巣だと言うのに1匹もいないわ


ねぇ」


と言うマリーナ(マカナ)に、


「そうねぇ、……あっ!」


と同意しつつ、何かを思い出したかのように叫ぶトリン(ナイア)に、


「えっ、どうしたのトリン?」


と聞くマリーナ(マカナ)に、前方の岩山を指さし、


「確か、あの洞穴にサハギンの巣があったんじゃない?」


と言うと、マリーナ(マカナ)は、


「そうね、以前は確かあの洞穴に巣があったわね」


と同意すると、トリン(ナイア)は、マリーナ(マカナ)に、


「行ってみましょう」


と声を掛ける。


「そうね、調べてみましょう」


とマリーナ(マカナ)が頷き、トリン(ナイア)に言って、


2人は海底のその大きな岩山にぽっかり空いた洞穴に向おうと


した時だった。


”◇ビユーン====”


巨大な何かがその洞穴から出てくる。


「な・なに・あれ!?」


驚き声をあげるトリン(ナイア)に、冷静なマリーナ(マカナ)


が、


「あれは……」


と言いながら出てきた巨大生物をよく見ているとマリーナ


(マカナ)より先に、トリン(ナイア)が声をあげる。


「えっ、メガロ(巨大サメ)!!!」


すると、マリーナ(マカナ)が、


「いいえ、よく見てトリン(ナイア)、背中の背びれ部分が


サハギンの上半身になっているわ……恐らく悪魔達が作った


合成魔獣よ」


と言い放ちながらさらに


「2体もいるわね」


と言うと、さっきまで驚いていたトリン(ナイア)が、


「いくら巨大な合成魔獣を悪魔達が作ろうが、この海の中なら


あれが使える」


と自信気に言うと、早速自身のブランチスキル『使役』を発動


させ、迫って来るデーモンサハギンメガロ2体に向かい。


「止まりなさい!」


と命令をした。


※因みにトリン(ナイア)のブランチスキル『使役』は、海の


生き物を自身に従えることが出来る能力である。


 しかし、止まるどころか、2体のデーモンサハギンメガロは


その命令に従うどころか、そのまま2人目掛けて突進してくる。


「危ない!」


それを見てマリーナ(マカナ)が、トリン(ナイア)の手を引き


回避する。


「えっ、えっ、何で?」


と戸惑うトリン(ナイア)にマリーナ(マカナ)が、


「あなたのスキルは悪魔が憑依しているものには効かないってこ


とよトリン(ナイア)」


と言う。


そして、先ほど体当たりを避けられたデーモンサハギンメガロは、


再び踵を返し、2人に向かって来た。


「やばい、やばい、やばい、今の私達の武器じゃ悪魔の闘気で防


がれてしまう、どうしよマリーナ(マカナ)」


とマリーナ(マカナ)にすがるように言うトリン(ナイア)に


「こうなれば奥の手よ、いい今から私があいつの口にこれを投げる


から、奴の口の中にこれが入った瞬間、その銛を投げてこの瓶を


壊してちょうだい」


と言いながら、『オキシドールキャンディー』の瓶をトリン(ナ


イア)に見せながら言うと、トリン(ナイア)がその言葉に


「わかった」


と頷くと、さらにマリーナ(マカナ)はこう付け加える。


「瓶をその銛で破壊したら全速力でここから逃げるわよ」


その言葉にトリン(ナイア)が頷くと、


口を大きく開けて迫って来る2体のデーモンサハギンメガロ


の内1体の口目掛けて、


「えーい!」


とオキシドールキャンディーの瓶を投げ、それがデーモン


サハギンメガロの口の入った瞬間、


「今よ!」


とトリン(ナイア)に合図を送るとその合図ににトリン(ナ


イア)は、思い切り持っていた銛を投げつける。


\ぱりーん/


見事、トリン(ナイア)の投げた銛はデーモンサハギンメガロ


の口の中でオキシドールキャンディーの瓶を割ったと同時に


「今よ!」


とマリーナ(マカナ)は、トリン(ナイア)合図を送ると


2人はその場から全力で逃げる。


すると、デーモンサハギンメガロの口の中で海水に擦れた


30個のオキシドールキャンディーが一気に気化し口の


中にキャンディーを放り込まれたデーモンサハギンメガの


の体は膨大な酸素で大きく丸く膨れ上がったと思った次の


瞬間、


\\\ボカーン///


と爆発し、隣に居たデーモンサハギンメガロは、その爆発の


衝撃波で吹っ飛ばされると共に体がバラバラに散っていく。


そんな中、衝撃波に追いつかれまいと、必死に泳いで逃げる


マリーナ(マカナ)とトリン(ナイア)の姿があった。

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